開演 ◆YwLV7iJ2fw
そこは、神々の住まう場所だった。
そこに、悪魔が船に乗って現れた。
それが、死神の宴の始まりだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
―――にゃー……にゃー……
「……起きろ。……目を覚ませ……」
―――ああ、かわいいにゃー……アルルゥかわいいにゃー……
ぺチン!
「あ痛っ」
「楽しそうな夢を見ている所を悪いが、いいかげん起きないか、トウカ」
「…はっ、せっ、聖上!?」
「やっと目が覚めたか」
「すっ、すすすすみませぬ聖上! 聖上をお守りせねばならぬ某が眠りこけてしまうとは何と言う失態! この失態は腹を切っ…てぇぇーーっっ!?」
「トウカ!!」
「楽しそうな夢を見ている所を悪いが、いいかげん起きないか、トウカ」
「…はっ、せっ、聖上!?」
「やっと目が覚めたか」
「すっ、すすすすみませぬ聖上! 聖上をお守りせねばならぬ某が眠りこけてしまうとは何と言う失態! この失態は腹を切っ…てぇぇーーっっ!?」
「トウカ!!」
ガシッ
トウカと呼ばれた藤色の長髪を束ねた武士然とした女性が、聖上と呼ばれた仮面の男の呼びかけに目を覚まして飛び上がり――落下しかけた。
間一髪、男の伸ばした手がトウカの手を掴み事無きを得る。
間一髪、男の伸ばした手がトウカの手を掴み事無きを得る。
「か、重ね重ね申し訳ありませぬ、聖上…」
「構わんさ。普通、目が覚めたらこんな場所にいるなどとは想像もしないだろうからな」
「?……なっ!?」
「構わんさ。普通、目が覚めたらこんな場所にいるなどとは想像もしないだろうからな」
「?……なっ!?」
引っ張り上げられたトウカが言われて辺りを見回し、その言葉の意味に気付く。
空は既に日が沈み宵闇に覆われているが、こうこうと照らす満月の光が、この空間の異常な状況を顕にしていた。
空は既に日が沈み宵闇に覆われているが、こうこうと照らす満月の光が、この空間の異常な状況を顕にしていた。
まず眼下には雄大な湖。だがどういう訳かその水面は全体が激しく渦巻き、ごうごうと激流の音を立てていた。
そしてその湖の中心辺りに、いくらかの間隔を空けつつ数十本ともの巨大な木柱が、大渦の激流にぴくりともせず泰然とそそり立ち、
その柱の内の一つの天辺に、自分達がいる事がわかった。
更に目を凝らして良く見ると、それぞれの柱には注連縄が巻かれ、また、自分達と同様に、天辺に二人ずつの人間がいるのも見て取れた。
遠くの柱にいる者達の風体までははっきりとは判別できないが、それでも、視認できる範囲の柱には、見知った顔は一つも無く、
寧ろ、見た事の無い変わった服装の人間が大量にいるのが、彼女の目を引いた。
そしてその湖の中心辺りに、いくらかの間隔を空けつつ数十本ともの巨大な木柱が、大渦の激流にぴくりともせず泰然とそそり立ち、
その柱の内の一つの天辺に、自分達がいる事がわかった。
更に目を凝らして良く見ると、それぞれの柱には注連縄が巻かれ、また、自分達と同様に、天辺に二人ずつの人間がいるのも見て取れた。
遠くの柱にいる者達の風体までははっきりとは判別できないが、それでも、視認できる範囲の柱には、見知った顔は一つも無く、
寧ろ、見た事の無い変わった服装の人間が大量にいるのが、彼女の目を引いた。
『ようやく全員お目覚めのようだね…』
「何奴っ!」
不意にそこへ、流麗な男の声が響いた。
それは静かな声だったが、渦を巻く轟音の響く湖上でもはっきりと聞き取れる不思議な声で、全ての柱の上の人物が、一斉に声のした方を向く。
果たしてそこには、巨大な鏡を無数に取り付けた、軍船のような砦のような奇妙な巨大建造物が、湖の畔に鎮座しており、
それの甲板と思しき場所に、一つの人影があった。
それは静かな声だったが、渦を巻く轟音の響く湖上でもはっきりと聞き取れる不思議な声で、全ての柱の上の人物が、一斉に声のした方を向く。
果たしてそこには、巨大な鏡を無数に取り付けた、軍船のような砦のような奇妙な巨大建造物が、湖の畔に鎮座しており、
それの甲板と思しき場所に、一つの人影があった。
「テメェ……竹中半兵衛!! 生きてやがったのか!」
「久しぶりだねぇ、片倉くん。元気そうで何よりだよ」
「久しぶりだねぇ、片倉くん。元気そうで何よりだよ」
トウカ達よりいくらか前方、軍艦にほど近い柱の上から、片倉と呼ばれた男が、竹中半兵衛と呼ばれた流麗な声の男に掴みかかるように吼える。
どうやらこの二人には何らかの面識があるらしい。それも、あまり穏やかでない類のが、だ。
どうやらこの二人には何らかの面識があるらしい。それも、あまり穏やかでない類のが、だ。
「今度はいったい何を企んでやがる!」
「なぁに、簡単な事さ。ちょっとここにいる君達にみんなで殺し合いをしてもらいたいんだよ」
「なぁに、簡単な事さ。ちょっとここにいる君達にみんなで殺し合いをしてもらいたいんだよ」
殺し合い。
そのたった五文字の言葉に、片倉は一瞬、言葉を失い、そこへ竹中が畳み掛けるように言葉を続ける。
そのたった五文字の言葉に、片倉は一瞬、言葉を失い、そこへ竹中が畳み掛けるように言葉を続ける。
「今この湖上にいる25組50人の主従。それが最期の一組になるまで殺しあってもらいたいのさ。勿論、拒否権なんてないよ。何故なら…」
そう言って竹中がパチンと指を鳴らすと、軍艦の中から5、6人程の人間が姿を現し、竹中のもとへと近付いていった。
トウカが遠目にその様子を見てみると、その内の二人は両手を後ろ手に縛られ、足にも枷を嵌められているらしく極端に歩みが遅く、
残りの3、4人の、軽装鎧を着込んだ兵士らしきが人物達が、その二人を連行しているのが判った。
しばらくして、竹中のすぐ側までその二人が連れて来られる。
トウカが遠目にその様子を見てみると、その内の二人は両手を後ろ手に縛られ、足にも枷を嵌められているらしく極端に歩みが遅く、
残りの3、4人の、軽装鎧を着込んだ兵士らしきが人物達が、その二人を連行しているのが判った。
しばらくして、竹中のすぐ側までその二人が連れて来られる。
「ああ、遠くの人達にはちょっと見え難いだろうから、判り易いようにしてあげるよ」
竹中がその言葉と共に右手を高々と上げると、軍艦の巨大な鏡の一つが一瞬まばゆく輝き、そこにその二人の表情がアップで映し出される。
そして、すぐに反応があった。
そして、すぐに反応があった。
「あれは…!」
「ギルフォード卿!! それに……」
「お姉さま!!」
「コーネリア皇女殿下!!」
「ギルフォード卿!! それに……」
「お姉さま!!」
「コーネリア皇女殿下!!」
「ユ、ユフィ!?」
「ユーフェミア様!?」
「ユーフェミア様!?」
いくつかの柱の上から、何人かの動揺を隠し切れない声が上がり、縛されている二人が、それ以上の驚きの篭った声を返す。
その様を見て、片倉の全身から視認できそうなほどの怒気が立ち上った。
その様を見て、片倉の全身から視認できそうなほどの怒気が立ち上った。
「何処の誰だか知らないが、そいつらは人質ってワケか…? 見下げ果てた真似をしやがる!」
「いやいや、誤解だよ片倉くん。彼等の首もとを見てごらん? “君達と同じように”赤と青の首輪が付いているだろう?」
「いやいや、誤解だよ片倉くん。彼等の首もとを見てごらん? “君達と同じように”赤と青の首輪が付いているだろう?」
そう片倉が言って初めて、トウカも自分達の首に奇妙な首輪が付いているのに気付く。彼女の首輪の色は青だ。
トウカよりも先に目覚めていた他の面々は既にそれに気付いていたらしく、大きな騒ぎは起こっていない。
この時までは。
トウカよりも先に目覚めていた他の面々は既にそれに気付いていたらしく、大きな騒ぎは起こっていない。
この時までは。
「この二人の立場はそんな生易しいものじゃなくてさ…」
パァン
竹中が上げていた右手を下ろすと同時、そんな軽い音が周囲に響き、コーネリアと呼ばれた女性が目を見開いて動きを止めた。
「姫様!?」
何事かとコーネリアの方を振り向いたギルフォードと呼ばれた男が目にしたものは、彼にとっての絶望そのものだった。
彼女に嵌められていた赤い首輪と首の隙間から、濁々と、首輪の赤よりも鮮やかな、真紅の液体が流れ出し、彼女の全身を一色に染め上げていった。
すぐにがくりとコーネリアが膝元から崩折れ、次いで―――更に赤い劫火が首輪から吹き出した。
彼女に嵌められていた赤い首輪と首の隙間から、濁々と、首輪の赤よりも鮮やかな、真紅の液体が流れ出し、彼女の全身を一色に染め上げていった。
すぐにがくりとコーネリアが膝元から崩折れ、次いで―――更に赤い劫火が首輪から吹き出した。
「ひ……姫様ァァァァァァァァァ!!!」
「いやああああああああああああああああああああ!!!!」
「いやああああああああああああああああああああ!!!!」
甲板上と柱の上から、悲鳴の二重奏が奏でられる。
尤も、ギルフォードの悲鳴は兵士達に組み伏せられた事によって、ユフィと呼ばれた女性の悲鳴は彼女が気を失ってしまう事によってすぐに鎮まったが。
渦の轟音と、爆ぜる炎の音と、そして竹中の声だけが、湖上に響き渡る。
尤も、ギルフォードの悲鳴は兵士達に組み伏せられた事によって、ユフィと呼ばれた女性の悲鳴は彼女が気を失ってしまう事によってすぐに鎮まったが。
渦の轟音と、爆ぜる炎の音と、そして竹中の声だけが、湖上に響き渡る。
「と、まあ……彼等は“見せしめ”だったと言う訳さ。君達の置かれている立場と、これから行われる殺し合いの決まり(ルール)を解り易く説明する為の、ね」
「この……腐れ外道が!!」
「この……腐れ外道が!!」
ぎり、と歯軋りをする音が聴こえて来そうなほどの怒りを放ち叫びながらも、竹中の言葉どおり、自分達の置かれている立場を明確に理解したらしく、
片倉は、否、柱上の50人の誰一人とて、その場から身動き一つとる事ができないでいた。
片倉は、否、柱上の50人の誰一人とて、その場から身動き一つとる事ができないでいた。
「さて、それじゃあ説明を始めるよ。
君達にはこれから、殺し合いの会場へと移動してもらい、そこで最期の一組――つまり、一人の主と、一人の従者だけになるまで殺しあってもらう。
君達の内、『主』に分類される者には赤の、『従者』に分類される者には青の首輪をそれぞれ付けさせてもらった。
主従のどちらかが欠けて一人になってしまった時は、同じく一人になってしまった、“自分と違う色の首輪”の人物と契約し、新たな主従関係を結ぶ事ができる。
主従契約は口頭での意思確認だけでできるが、どちらかの死以外での契約解除と、主同士、従者同士での契約はできないから気をつけ給え。
一人となってしまった場合が長く続くと、徐々に首輪の色が変色していくので、時間の経過の目安にするといい。
赤の首輪は色が淡くなっていき、最終的には雪のように真っ白に、青の首輪の色は反対に濃くなっていき、最終的にはこの宵闇のような漆黒となる。
そうなった首輪がどうなるかと言うと―――」
君達にはこれから、殺し合いの会場へと移動してもらい、そこで最期の一組――つまり、一人の主と、一人の従者だけになるまで殺しあってもらう。
君達の内、『主』に分類される者には赤の、『従者』に分類される者には青の首輪をそれぞれ付けさせてもらった。
主従のどちらかが欠けて一人になってしまった時は、同じく一人になってしまった、“自分と違う色の首輪”の人物と契約し、新たな主従関係を結ぶ事ができる。
主従契約は口頭での意思確認だけでできるが、どちらかの死以外での契約解除と、主同士、従者同士での契約はできないから気をつけ給え。
一人となってしまった場合が長く続くと、徐々に首輪の色が変色していくので、時間の経過の目安にするといい。
赤の首輪は色が淡くなっていき、最終的には雪のように真っ白に、青の首輪の色は反対に濃くなっていき、最終的にはこの宵闇のような漆黒となる。
そうなった首輪がどうなるかと言うと―――」
パァン
再び軽い音。
兵士達に組み伏せられていたギルフォードの首からどろりとした血液が大量に溢れ出し、すぐに兵士達がその場から離れた。
兵士達に組み伏せられていたギルフォードの首からどろりとした血液が大量に溢れ出し、すぐに兵士達がその場から離れた。
「……ひ……さ、ま………」
主を呼ぶ掠れた声は、しかし炎の中で既に失われた命には届かず、すぐに彼も同じ様に劫火に包まれていった。
「―――こうなるのさ。主無き従者も、従者無き主も、等しく無意味という事だ。精々気を付けるんだね。
それと、首輪が君達の命を奪う条件は他にも二つある。
一つは、定められた禁止区域(エリア)に足を踏み入れた時。
禁止区域は殺し合い開始から四刻(8時間)後に最初の一箇所が決まり、以降は一刻(2時間)ごとに一箇所ずつ増えていく。
何処が禁止区域になるかは三刻(6時間)ごとに知らせるし、それを照会する為の地図はちゃあんと配給してあげるから安心するといい。
…ただし、最終的には会場全域が禁止区域になるから、誰も殺さずに隠れ潜んでいようとしたって無駄だからね。
それと、首輪が君達の命を奪う条件は他にも二つある。
一つは、定められた禁止区域(エリア)に足を踏み入れた時。
禁止区域は殺し合い開始から四刻(8時間)後に最初の一箇所が決まり、以降は一刻(2時間)ごとに一箇所ずつ増えていく。
何処が禁止区域になるかは三刻(6時間)ごとに知らせるし、それを照会する為の地図はちゃあんと配給してあげるから安心するといい。
…ただし、最終的には会場全域が禁止区域になるから、誰も殺さずに隠れ潜んでいようとしたって無駄だからね。
もう一つが、この首輪を無理やり破壊、分解しようとしたりする事だ。
下手な衝撃や呪法で壊れたり誤作動したりするような代物ではないが、故意にこの殺し合いから逃れようとする不敵な輩には、命を以って償ってもらうという訳さ。
ああ、隠れてこっそりやってみようとしても無駄だよ。僕達の監視から逃れる事は……絶対にできない」
下手な衝撃や呪法で壊れたり誤作動したりするような代物ではないが、故意にこの殺し合いから逃れようとする不敵な輩には、命を以って償ってもらうという訳さ。
ああ、隠れてこっそりやってみようとしても無駄だよ。僕達の監視から逃れる事は……絶対にできない」
そこまで説明が及ぶに至り、なんとか首輪を外そうとしていた何人かの手がパッと止まり、代わりに怨嗟の篭った視線を竹中に向ける。
「最後に。君達が最初から持っていた武具や道具なんかは、基本的に全て没収させてもらっている。
代わりに此方から、先に言った地図も含め、殺し合いを進める上で必要最低限の品は配給してあげよう。
まずは全員に水、食料、地図、筆、灯り、参加者の名を記した名簿と、それらを詰めた袋。加えて武器、薬、その他諸々の道具等が一人に付き一つから三つ。
ただし、これらの武器や道具の数と種類は完全に無作為に詰めさせてもらった。ロクな物が入っていなかったら、自分の不運を呪うんだね。
それから、地図の裏にはさっきの説明が記されている。覚え切れなかった愚か者はちゃんと目を通しておく事をお奨めするよ」
代わりに此方から、先に言った地図も含め、殺し合いを進める上で必要最低限の品は配給してあげよう。
まずは全員に水、食料、地図、筆、灯り、参加者の名を記した名簿と、それらを詰めた袋。加えて武器、薬、その他諸々の道具等が一人に付き一つから三つ。
ただし、これらの武器や道具の数と種類は完全に無作為に詰めさせてもらった。ロクな物が入っていなかったら、自分の不運を呪うんだね。
それから、地図の裏にはさっきの説明が記されている。覚え切れなかった愚か者はちゃんと目を通しておく事をお奨めするよ」
くっくっと竹中が口元を押さえて笑う。
その傍らでは、既に人の形を失った、かつて人だった二つのモノが、炭の塊になってどしゃりと崩れた。
その傍らでは、既に人の形を失った、かつて人だった二つのモノが、炭の塊になってどしゃりと崩れた。
「さあ! 宴の始まりだ!」
そう竹中が叫んだ直後、全ての柱の上部が、ぱかっ、と食虫植物の様に縦に開き、全員がなす術無く、空洞だった柱の中へと落ちていく。
「そうそう! 配給品は君達が次に目覚める所に置かせてもらうからね! よーく周りを確認するんだよー!!」
主従ロワイアル―――開始
【コーネリア・リ・ブリタニア@コードギアス反逆のルルーシュ 死亡】
【ギルバート・G・P・ギルフォード@コードギアス反逆のルルーシュ 死亡】
【残り25組50人】
【ギルバート・G・P・ギルフォード@コードギアス反逆のルルーシュ 死亡】
【残り25組50人】
【主催者:竹中半兵衛@戦国BASARA】
【現在地:???】
【現在地:???】