第一回放送◆SqzC8ZECfY



さて時間だ。おはよう諸君。
これから六時間ごとに放送を行い、君たちに途中経過を伝える。
つまり、6:00、12:00、18:00、24:00の一日四回といった具合だ。
まずはこの会場内に禁止エリアを設置する連絡をこの定時放送にて行うこととする。
自分の現在位置を確かめ、支給された地図を見たまえ。
これは地図で区切られたエリア――例えばA-1を禁止エリアとするなら、そこに入ると君たちの首輪が爆発するというルールだ。
時間と共に君たちの人数が減っていけば、そのぶん他の参加者と遭遇する確率も減り、殺し合いのペースが落ちるからだ。
これは良くない。
ゆえにこのルールによって進入禁止となる地域を定めて会場を狭くしていき、円滑に殺し合いを進行することができる。
それでも死亡者のペースが落ちる場合は、禁止エリアの増加も考えておくとしよう。
積極的に殺し合いに加わらず、皆で私を倒そうと考える者もいるようだが、さっさと考えを改めたほうがよい。
私を倒したければ最後の一人になるまで殺し合い、そして生き残ることだ。他に方法はない。
そこで対等の条件で正々堂々と戦おうではないか。
私はそれを楽しみに待っているよ。
さて……では肝心の禁止エリアを君達に伝えるとしよう。
聞き逃さぬよう、気をつけたまえ。

7:00からD-1、
9:00からA-4、
11:00からはF-7の区域が進入禁止となる。

私としても君達が殺し合い以外で無為に死ぬのは、あまり望ましくないのでね。
禁止エリアに進入すると警告のアラームが鳴るように設定しておいた。

猶予は30秒。

それを過ぎたら君達に待っているのは死、だ。
ゆめゆめ忘れないように。


さて……そしてここからがこの放送のメインイベント……死亡による脱落者の発表だ。
君たちの敵が死んだのならば安心するが良い。
恋人、家族、友人といった者達が死んだのならば、このバトルロワイアルに勝ち残り、望みを叶えることで蘇生させることを推奨するよ。
もちろん、そんなものよりも叶えたい願いがあるというのならば、好きにすればよい。
最後まで勝ち残り、私にも勝利することができれば、どんな願いでも叶う。
肝要なのはこの一点のみだ。せいぜい頑張りたまえ。
なお、このイベントの進行役としては当然のことだが、私はこの会場の様子を全て把握している。
よってこれから読み上げる者達は現在、確実に死亡しているということだ。
私を信用しない、もしくは信じられないのは勝手だが、その者たちの死体は確かにこの会場に存在しており、彼らを殺した者達もここにいる。

――今から読み上げる者達は、君たちのうちの誰かに殺されたのだ。

――君たちのうちの誰かが彼らを殺したのだ。

そして次に殺される者になりたくなければ……後は言うまでもないだろう?
それを忘れるな。
では、脱落した死者の名前を読み上げるとしようか。
一度しか言わないので聞き逃さないようにすることだ。


……以上15名だ。
のび太が早々に脱落したのは拍子抜けだが、まあいい。
なかなか順調なペースといえるだろう。
君達もなかなか飲み込みが早くて助かるよ。

では六時間後の第二回放送でまた会おう。
君達がそれまで生き残っていれば――の話だが。


   ◇   ◇   ◇


どこからともなく会場中にギラーミンの声が響き渡っていき、身勝手で理不尽な言い分を一方的に伝え、そして消えた。


ギラーミン――――このバトルロワイアルの主催者にして進行役。


だが彼は元来、辺境宇宙のとある惑星を我が物にしようとしていた、ある企業に雇われた用心棒に過ぎない。
偶然のび太たちと知り合い、友人となったロップルらを困らせていたガルタイト鉱業側の、つまり敵の一員。
面識があるドラえもんやのび太でも知っているのはそれだけである。
だから気付かない。
彼が本来はこのような尊大で慇懃な口調で喋ることなどないという、その違和感に。
彼が本当にギラーミンという人間なのか、それを判断できる者は、少なくともここには誰もいない。
ギラーミンという存在と同じ姿、同じ声、ただそれだけ。
それらの事柄は魔力、超能力、未来の科学、その他の異能力が跋扈するこの超常の舞台では、確定のためにはあまりに曖昧すぎる要素でしかない。
姿を変える、または幻影を見せる魔法、超能力、アルター、ARMS、ひみつ道具エトセトラ、エトセトラ。

誰が、何故、何のためにここに集めて、何のために殺し合わせるのか。

何一つ明らかにならないままに、殺戮の饗宴は加速していく。
運命の歯車は血と涙と様々な想いを巻き込み、回り続ける。


くるくると――――、


狂々と――――。




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我はここに在り ギラーミン 第二回放送

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最終更新:2012年12月02日 06:24