信じてた 信じられた その全てを◆SqzC8ZECfY
ライダーと
レッドを見送ってからすでに30分以上が過ぎていた。
残りの三人、レナ、チョッパー、グラハムは最初の民家に戻り、食事を済ませてからもまだ出発していない。
朝日が入り込むリビングはキッチンと一体化しており、一般的な住宅としてはかなり広々としている。
窓際でのんびり日を浴びながら、一人の青年と一匹の鹿が食事をとっていた。
「悲しい……悲しい話をしよう……俺は最初、この肉だけの弁当を見て喜んだ。
だが一転、食い始めてみると最初は美味かったのだが、だんだんともたれてきた……。
今では横で命の恩人Bが食べているパンのほうが美味そうだとすら感じている!
世の中には一日一切れのパンで暮らす貧しい人々がいるというのに!
なんという傲慢、何と言う贅沢! これほどまでに最低な俺! これほどまでに悲しい話があるか!」
「あの、それなら分けてやろうか?」
「おお、命の恩人B! だが、しかし、俺はここで好意に甘えていいのか!?
命の恩人Bは命の恩人だ。しかしてその命の恩人に俺は何も恩返しをしていない!
恩知らず! そう、恩知らずだ! 命に加えてメシすら恩を受けても、俺は何も返せていない!
どうすればいい? どうすればいいんだ俺は!?」
「こ、交換しよう。俺も肉食べたいし」
流石にチョッパーも、慣れてきたと言うほどではないが、徐々にこの素っ頓狂な男への応対に関してはコツを掴みつつあった。
かくして仲良く朝食を済ませ、もう一人の仲間のところへ声をかける。
「おーい、レナ。こっちは食い終わったし、そろそろ出発しないか?」
「あ、うん」
呼ばれたレナという少女は、リビングのテーブルに座って地図を広げ、サンドイッチを摘みながら、なにやら思案に耽っていた。
水で口の中のものを喉に流し込み、チョッパーたちのほうへ振り返る。
すでに互いの支給品は確認を終了、各自に振り分けて出発の準備は万端だ。
チョッパーの支給品、残りの一つはタケコプターというアイテムだった。
頭につけて、そのプロペラで空を飛べるという道具らしい。
ぱっと見はこんな竹とんぼみたいなもので飛べるのか、と疑ってしまうが、試してみると本当に飛べた。
色々と使い道がありそうなので、そのままチョッパーが持つことになった。
自由に空を飛べるということに浮かれて、ついつい乱用したくなってしまうが、そのことをレナに見抜かれたのか、やや怖い眼で釘を刺されてしまった。
――あまり不用意に空飛んでると、遠くから銃で撃ち落されちゃうかも。
これを聞いた瞬間、チョッパーは涙目である。
そう、ここはどこから人を傷つける人間が出てくるか分からない、殺し合いの場なのだ。
震えながらレナの言うことを素直に聞いて、タケコプターを自分の荷物に戻した。
次にレナの荷物。
入っていたのは一本の剣。
無毀なる湖光――アロンダイトという。
これは小型レンチしか持たないグラハムに持ってもらう。
斬るのは趣味じゃないと渋っていたが、相変わらずの戯言をループさせた結果、剣の腹で殴ればいいじゃないかという結論に落ち着いたようだ。
それでもこんなので殴られれば、ただでは済まないだろうが。
「じゃあ、そろそろいこっか」
「おう、でもレッドたちは向こうにいったけど、じゃあ俺たちはどうするんだ?」
「うん。あの人たちのルートはこうだよね」
言いながらレナはテーブルの上に広げた地図を指差した。
河に描かれた橋から、駅、図書館、劇場へと、その指先が大きな道路の通ったところをなぞって地図上を南下する。
「これはまっすぐ劇場に向かうルートだよ。途中で目印になりやすい施設もたくさんある」
「うん、そうだな。地図の真ん中だし、誰かが集まってくる感じがする」
レッドやイスカンダルは、そう思ってこの道を行くと言ったのだろう。
あまり考え事は得意ではないがチョッパーにもこれは分かる。
だがそこでレナは一息ついてから発言。
「けどね、これは誰でも人が集まりやすいと考えるルートだよ。
少なくとも私は、このフィールドに放り込まれてからまず最初にここにいこうとは思わない。
殺し合いを望む人たちだって、そう考えて誰かを殺すためにこの場所を目指すはずだから……このルートは危険なんだよ」
「じゃ、じゃあ、あいつらが危ないじゃないか!」
「落ち着け、命の恩人B。おそらくあいつらはそれを承知の上でそう動いたんだ」
チョッパーの後ろで黙っていたグラハムがここで口を開いた。
レナはそれに大きく頷く。
「そう……イスカンダルさんは多分かなり強いよ。見た目も強そうだけど、それよりも、もっと強いと思う。
レッド君は心配だけど、それでもあの人のそばにいれば、よっぽどのことがなければ大丈夫。
だから殺し合いを望む人――殺人者って呼ぶね――から襲われても撃退できると思う。
それに、殺人者じゃなくてもここに来る人たちは、自分の強さに自信がある人だと思うな。
チョッパー君の言うルフィ君、ゾロ君にグラハムさんの言ってたラッドさんとかも」
「あ、ああ! ルフィやゾロならどんな奴にだって負けねえ! あいつらは滅茶苦茶強いんだ!」
「まったくその通りだ命の恩人A。ラッドの兄貴は誰にも負けん。
心配なのは、それであのおっさんや、命の恩人Bの仲間を殺してしまわないかということだけだ。
ん……? ひょっとしてこれはマジでヤバイんじゃないか? まずい、まずいぞ。あのおっさんはともかく、命の恩人Bの仲間はまずい。
悲しい、悲しい話だ! そうなったら俺はどうやって詫びればいい? こうしちゃいられん、今すぐに――」
「――――黙ってください」
底冷えのするレナの一喝。
そして欝に入り込んだグラハムは部屋の隅で体育座りの姿勢だ。
チョッパーもさっきの彼女が見せた迫力に内心でかなりビビリながらも、かろうじて踏みとどまる。
麦わら海賊団にもタイプは違うがある意味ルフィたちよりも恐ろしい女性メンバーがいて、耐性がついたせいだろうか。
「私だって仲間を探しにいきたいけど、今はできることをして最良の結果を目指さなきゃならないの。
あっちに大切な仲間がいるかもしれない。その逆もあるかもしれない。それは今は、私たちの誰にもわからないことだよ。
だから、まずは目の前のことを精いっぱいやって、それで結果がついてくることを目指して、協力して欲しいの。
それで、話の続きなんだけど……」
「う、うん、聞くぞ!」
「その人たちもイスカンダルさんたちからこちらの名前が出れば協力してくれると思う。
じゃあ、あっちがそういう強い人たちをターゲットにしてノルマ達成を目指すとして、私たちはどうするべきだろう?」
「お、俺たち……?」
チョッパーは考える。
なんだろう。
強い人以外をこっちが担当ってことは……。
「弱い人?」
「うん、そう」
レナは頷いた。
適当に答えたらどうやら正解だったようだが、チョッパーにはまだレナの真意が把握できない。
「ど、どういうこと?」
「最初、私はここに放り込まれたとき、怖くて隠れていようかって考えたの。
そういう考えの人は他にもいると思う。そしてそういう人は、殺し合おうなんて考えないんじゃないかな……かな」
「つまり、誘えば仲間になってくれるってことか!」
「うん。今からだと劇場に向かわなくちゃいけないからルートも限られるね……この都市西部と森の境目あたりを回ってみようと思うの」
レナが指したのは地図でいう、C-3とC-4の境界から線路沿いに南下、ホテルに寄って西から劇場へと至るルートだ。
そろそろ朝日が強くなってきた。
今から出発したとして、あと四時間とちょっとで約4kmほどのルート。
あまり悠長にもしていられない。
「じゃあ行こうか……グラハムさん、ほら早く」
「悲しい……悲しい話を「黙って歩く」
体育座りのグラハムを引き起こし、靴を履いて民家から出るレナ。
すでに完全に尻に敷かれている風のグラハムとチョッパーであった。
グラハムなどは両目が前髪に隠れて欝全開だが大丈夫だろうか。
「あ、何処行くんだレナ? 橋はあっちだぞ」
「真っ直ぐ河を渡るの。タケコプターを使えばいいよ。
まず私とチョッパー君で空を飛んで河を渡って、それでチョッパー君が戻ってグラハムさんを連れてくる。
チョッパー君なら軽いから、私たちのどっちか一人だけなら一緒に飛んでも重量オーバーってことはないんじゃないかな、かな」
「すげー、レナ頭いいな!」
「はぅ、そんな大したことないよ」
尊敬のまなざしを向けるチョッパーに対して、レナは照れるように顔を赤くした。
そしてこれ以上は耐えられないといった感じでくるりと背を向ける。
だがその時、呟きにもならないほどに小さく唇を動かしただけのその言葉。
もちろんチョッパーは気づかない。
「――――ごめんね」
◇ ◇ ◇
それはチョッパーにもグラハムにも隠すように呟いた言葉。
これはレナの我侭な思いから端を発した作戦だった。
レナの仲間――部活メンバーは皆で集まればすごい力を発揮する。
でも今はバラバラ。
ゆえにただの子供でしかなく、それは大人たちに比べればあまりに無力。
だから一刻も早く合流したい。
次の放送で仲間の名前が呼ばれない保証など、どこにもない。
彼らを見つけるためにはどうすればいいのか。
自分も含めてみんな無力な子供だ。
いわゆる『弱い人たち』。
だからレナはこの作戦を提案したのだ。
チョッパーたちを信用していないわけじゃない。
けれども、それでもレナは彼らに会いたかった。
それは、ただ、それだけのこと。
【あんた一人だけカッコつけて、ちゃっかり安全圏にひっこんで、仲間が大事じゃないの、礼奈?】
――うるさい。
なら、ねじ伏せてやる。
圭一君も魅ぃちゃんも詩ぃちゃんも梨花ちゃんも沙都子ちゃんも皆揃って生きて帰ってみせる。
あんたもギラーミンもねじ伏せてやる――礼奈!
【B-4 川沿い 1日目 午前】
【チーム名:○同盟】
1:主催者の打倒。
2:二チームに分かれ、それぞれで『ノルマ』(仲間集め、殺し合いに乗った者の討伐を、計三人以上行う)を達成する。
3:出会い、信用した相手に印のこと(腕に○の印を描き、その上に包帯等を巻く)を教える。
4:次の放送時に劇場へ集合。
5:サングラスにスーツの男(無常)、クロコダイル、
サカキ、アーチャー、
ミュウツーを警戒。クレアという女性を信用(グラハム以外)
6:ラッドについては微妙(グラハムの兄貴分という情報はあります)。
【
竜宮レナ@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:健康 私服 右腕に○印 僅かに罪悪感
[装備]: 包帯 二重牙@トライガン・マキシマム
[道具]:支給品一式(一食分、水1/10消費)、ドライヤー
[思考・状況]
1:とりあえずはグラハム・チョッパーと行動し、『ノルマ』を達成する。
2:部活メンバーと合流したい(ただし、積極的に探すかは保留)
3:森と都市部の境目~ホテルのルートを使い、次の放送までに劇場へ向かう。
4:何とかして首輪を外したい
5:イスカンダルの勧誘は保留。
※チョッパーから軽く自己紹介を受けました。またルフィたちやクロコダイルの情報もまだ知りました。
※幻聴はとりあえず消えましたがまた出てくる可能性があります。
※屋敷から見える街道に誰かが通るかもしれないと意識をしています。
※屋敷の洋服ダンスのなかからグラハム用のかぁいい服を見つけてきました。
※『○』同盟の仲間の情報を聞きました。
【
トニートニー・チョッパー@ONE PIECE】
[状態]:健康 腕に○印 悲しみ
[装備]:なし 包帯
[道具]:支給品一式(一食分、水1/10消費) タケコプター@
ドラえもん、 タオル、救急箱
[思考・状況]
1:グラハム・レナと行動し、『ノルマ』を達成する 。
2:仲間と会いたい
3:グラハムの様子を見る。
4:森と都市部の境目~ホテルのルートを使い、次の放送までに劇場へ向かう。
5:ギラーミンを倒し、脱出する。
6:イスカンダルの臣下になるかはとりあえず拒否。
※レナからはあまり情報を受けていません。圭一たちについての情報は知りません。
※参戦時期は不明。少なくともCP9編以降。
※『○』同盟の仲間の情報を聞きました。
【
グラハム・スペクター@BACCANO!】
[状態]:健康? ちょっと凹み 青いツナギ姿 腕に○印
[装備]:無毀なる湖光@Fate/Zero 包帯 小型レンチ
[道具]:支給品一式、(一食分、水1/10消費。うち磁石は破損)、スペアポケット@ドラえもん、かぁいい服
海楼石の網@ONEPIECE
[思考・状況]
1:レナ・チョッパーを助ける。
2:
ウソップを殺した者を壊す。
3:イスカンダルに敵意。
4:殺し合い自体壊す
5:ラッドの兄貴と合流、兄貴がギラーミンを決定的に壊す!
6:イスカンダルの勧誘は断固拒否。
※後遺症等があるかどうかはわかりません。
※4人の会話を途中から聞いたので、レッドたちがクレアを信用していることを知りません。
※『○』同盟の仲間の情報を聞きました。
【無毀なる湖光(アロンダイト)@Fate/Zero】
レナに支給された。
第四次聖杯戦争においてバーサーカーのクラスを持つサー・ランスロットの宝具。
セイバーの『約束された勝利の剣』と対をなす神造兵装。
魔力と引き換えに装備者の能力を1ランク上昇させる効果を秘めている剣。
また、火を吹く大蛇を退治した伝説により、龍属性を持つ者に追加ダメージを与える。
なお、このバトルロワイアルにおいては、魔力の代わりに使用者の体力を削って能力を上昇させる制限が施されている。
【タケコプター@ドラえもん】
チョッパーに支給された。
空を自由に飛びたいな。はい、タケコプター。
説明不要なほど有名なひみつ道具で、一見して竹とんぼのようなプロペラ。
自分の身体に取り付けて「飛びたい」と願うとプロペラが回って空を飛ぶ。
衣服の上に装着すると衣服だけが飛んでいってしまうことがあり、またバッテリー駆動なので、酷使するとバッテリーが上がる場合がある。
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最終更新:2012年12月02日 23:04