世界-The World- ◆YhwgnUsKHs
チャリン
ガシャッ
タン タン タン!
チャリン
ガシャッ
タン タン タン!
ジャラララララララ
タッタッタッ
チャリン
ガシャッ
タン タン タン!
チャリン
ガシャッ
タン タン タン!
ジャラララララララ
同じ音がほぼ同じパターンで何回も繰り返されている。それも30分ほど前から延々と。
放送が流れる中、そんな場所が存在した。
「残り24人……か」
同じ音が反復されていたその場所に、久しぶりに違う音が響いた。
それは声。
音の繰り返しを生んでいるその当人だった。
クレア・スタンフィールドはずっと繰り返していた『動作』を中断し、デイパックから名簿と地図を取り出すとさっき記憶した情報を書き込んで行った。
死者の名前に線を引き、禁止エリアの場所に禁止になる時間を記す。どうやらこの遊園地は未だにどこも禁止エリアにはなっていないようだ。
(禁止エリアの目的は参加者のいられる場所を狭め、遭遇機会を増やす事が目的。
ということは、そのエリアの指定は人間がまばらに散在しているエリアである可能性が高い。
あるいはそこにずっと隠れていた奴がいる、とか。少し前に禁止になった寺はもしかしたらそれかもしれないな。
そしてそう考えると、ここは広いにも拘らず未だに禁止エリア指定がない。
つまりわざわざそうする必要がないほど人が多いか、そうする価値もないほど人がいないか。
――――前者はないな。でなければあの女との派手な戦闘に何の介入も無かったのがおかしい。誰かに見られている気配も無かった。
となると、やはりここにはもう俺以外は誰もいない可能性が高いのか)
そう考えると、クレアは立ち上がった。
そして足元の箱を持ち上げて歩いていく。
もう充分に目的は果たした。と彼は考える。
彼が歩いていく道。それを左右に形作るは、大きな筺体。
真ん中に四角い窓があり、さらに3列に区切られている。その中にはいくつものマークが並んでいて、筺体の横にはレバーがある。
もうお分かりだろうか。
彼の目の前に連なっているのは、スロット。
彼がいるのは、遊園地の中のカジノコーナーだ。
なぜクレアが未だに遊園地に、しかもカジノにいるのか。
いまだ遊園地にいる理由は他の参加者の捜索だ。
少し前に戦闘した片目の男や更に前にこの近くで逃した少女と男。
この遊園地内にいる可能性もあると考え、クレアはまだ行っていない東方向に足を運んだ。
結局参加者は見当たらず、あったのは戦闘の痕跡と、湖の近くで見つけた船の破片と奇妙な貝だけだった。
貝にしても最初はゴミだと思っていたが、少しした拍子で貝の頭を押した途端とてつもない突風が生じ危うく吹き飛ばされそうになった件から
使い道があると判断してデイパックに忍ばせている。
ちなみにここで補足しておけば、クレアは『自分は何でもできる、最強である』という自負はあるが決してそれは道具に頼らない思考には繋がらない。
使えるなら銃も使うしナイフも使う。スター・プラチナも彼にとっては銃やナイフと同じ。貝も同じだ。
そして勝負に勝てるかどうかは決して道具の良し悪しでは決定しない。単体ではスター・プラチナに及ばない支給品を連携と罠思考で活用した沙都子や
ジェットコースターという特異空間を利用した
レヴィを見ればそこは納得できるだろう。
要は使う者次第。だからクレアは強い武器を使うことも躊躇わない。それを決して『道具に頼っている』とは思考しない。道具の力に頼らず、活用して自分の力にする。
だから彼はレヴィを倒した直後、すぐに周辺を捜索し吹き飛んだレヴィのデイパックを回収した。
幸運にも木にひっかかっており、中身に傷や破損は無かった。さすがに銃器は破損が酷すぎて諦めた。
中身の確認はしたが、回復薬というのは未だに使っていない。
使えば半身の不随が回復するかもしれないが、リスクがある以上は今の状態で持たせる。
それこそ切り札にしておいたほうがいい。
とはいえ、自分自身を疎かには出来ない。
何でもできるという自信はあるが、右半分がコンクリートと固まっているのはやはり不便。視界や動きはどうしても鈍い。
回復薬を温存しておくとなれば、なんとかしてそこを補完しておきたい。
そう考えていた彼の目に留まったのがカジノだった。
遊園地には不釣合いかもしれないが、あるのだから仕方ない。
クレアにとってはカジノとは懐かしい場所だ。
彼のいた時代ではカジノとはマフィアやカモッラの資金源の1つでもあり、彼の親友達もそこを取り仕切ったりしている者が居た。
当然クレアもカジノに足を運んだ事はある。闇に生きる暗殺者として、避けては通れない場所だ。
もしも、安全に列車が進んでいたなら、自分は今頃ガンドールの皆と仕事前の景気づけとしてでもカジノに繰り出していたかもしれない。
キースがポーカーやブラックジャックでもやってイカサマディーラーを打ちのめし、ベルガがそのディーラーをギタギタにし、がそのディーラーを精神的に追い詰める
のが目に浮かんだ。
(いや――現実にするんだ。フィーロはいなくても……俺は、戻る)
そう決意しクレアはカジノの扉を開けた。
親しい兄たちの面影をそこに見ながら。
さて、『勘を取り戻す』という目的とカジノ。全く割に合っていないと思うだろう。
確かにクレアも少しは気分を変えておきたいという思いも懐かしい記憶に浸ってみたいという思いもある。
だがクレアには狙いがあった。
彼が目をつけたのはスロットだった。
彼はそこに座りコインを入れる。なおコインは本当ならば換金制らしく、コインを得るには入り口のコインボックスに支給品もしくは首輪を入れなければならない
システムらしいが、『最初の挑戦者サービス』ということでクレアは無償でコインを受け取っていた。
ただしその数はわずか10枚。普通ならば少しやっただけで無くなってしまう様な酷いサービスだ。
更にひどい事に、実はここのスロット、それぞれにズレがある。
ボタンを押してリールを止めマークが揃えばいいのがスロットだが、ここのものは全てそのスイッチと止まるまでのラグがボタンごとにもバラバラになっている。
つまりいくらタイミングよくスイッチを叩いても、レール自体のストップがずれるのでなかなか当たらないというわけだ。
しかもそのズレはスロット筺体ごとにも異なる。
要するに10回のチャンスでは常人にはあまりに酷なシステムなのだ。
常人には。
そしてそれこそがクレアがスロットに興じていた目的でもあった。
クレアは初めての筺体の前に座ると、まずはコインを1つ入れる。
レバーを降ろし、リールが回転した後、リールを見る。右目が失明している以上、左目のみでだ。
そしてクレアはまずレールのある場所を定めてスイッチを押す。
3つの列、全て同じ位置に来るように調節し、正確に押す。
無論それは目押し。高速で回転するレールのマークを見切り、押す。
当然レールはズレているため当たりはしない。
だがそれによりクレアはどの程度ズレが生じているのかを把握する。
なにしろ彼はコンマのズレもなく正確に押しているのだから、ズレは一目瞭然。
まあ、レールが止まっている時間は僅かであり、ズレを理解するのも本当なら困難なのだが。
だが、クレアは見る。
その動体視力で、車掌として必要な『目』を、更に鍛え上げる。
ここの敵は油断できないと判断した上で。
今まで残っているからにはそれだけの戦いを潜ってきた奴らも多いと判断した上で。
回るレールは相手の攻撃。
ズレは相手の隙。
調整はその隙を付く反応。
それを目に教え込む。
ずっと同じ筺体でやっていてはパターンが決まってしまう為、当てればすぐに隣に移動し同じことを繰り返す。
ちなみに揃えたのは全て777だったことを補足しておこう。
*****
そうしながら放送を聞き、換金スペースまでクレアはやってきた。
気づけばコインケースはいっぱいになっていた。
1箱でたしか9999枚入るらしいが……にしては軽々と持てる上箱がやけに小さい気がするのだが……気にしないことにした。
せっかくコインがあるのだ。なら貰える物は貰っておこう。
というわけで一応交換所を見てみると、そこには誰もおらずコインを流し込む穴とボタンがあった。
説明書きによると、コインを流し込み欲しい景品のボタンを押すことでその景品が下の取り出し口から出てくるらしい。
なお、無理やり景品を取り出そうとしたり破壊しようとしたりすると景品を自動的に消滅させるとか物凄い説明があった。
上に張られている景品の交換表にはA表、B表、C表があり、景品の種類によって別れているらしい。
『A表(ポケモン及びその関連)
180枚:ケーシィ
500枚:ピッピ
1200枚:ニドリーナ
2800枚:ミニリュウ
3300枚:わざマシン23(りゅうのいかり)
5500枚:ストライク
5500枚:わざマシン15(はかいこうせん)
7700枚:わざマシン50(みがわり)
9999枚:ポリゴン』
ポケモン、とはよくわからない。
羅列されている名前もまったく覚えがない。
ただ少なくとも『ポリゴン』というのがこの中では価値が高いのだけはわかる。
B表は『武器・防具』、C表は『その他』とざっくばらんに類別されている。
普通なら武器の方を選ぶべきなのだろう。
見れば『ウージー9ミリサブマシンガン』だの『ブローニングハイパワー』だのよくわからないもの(前者はマシンガンだとわかるのだがウージーなどクレアは聞いた事がない)
というものもあれば、『コルトM1911』、『トンプソンM1928』と知っている銃器、なぜか『○○の~』と 人名が入っているもまで色々ある。
だがクレアはそこで武器に即決はできなかった。
ここで見てきた色んなもの。そして今自分にあるスタンド。
それらは一目では武器とわからないものも多かった。円盤、ボール、etc。
つまりポケモンというものも、『その他』に類別されているものもどんな価値があるかわからない。
主催がわざわざ施設を作って置くくらいだ。
殺し合いを加速させるようなそんな趣味悪いものがある可能性は高い。
(さて、景品を決めたら――次は行き先か)
遊園地内に自分以外はいない、とほとんど断言できた。少なくとも今の時点では。
となれば獲物を求めて移動するべきだろう。
禁止エリアを見る限り、それは北の方や中央部付近に多い。
つまりその辺りこそが人の多い場所だとも推測できる。
となればここから北上していくのがやはり吉か。そもそも自分は南からやってきたのだから、北を目指した方がいい。
更に言えば、南に行ってもどうせ地図の端。今になって端のほうにいる奴がいるとは思えない。
だが、ここで彼は思う。
もし中央部に人がいたとして、そいつらは禁止エリアの応酬にあい、そこから離れようとするのではないかと。
そしてその逃れる先は――端と言わずとも中央部から離れた場所。つまり
(ここか)
クレアが考えたように、ここに誰かいると考えて来るものたちはこれからもいるかもしれない。
それなら、遊園地でいくらか地の利がある、あるいはいくらでもこれから『作れる』自分はここで待ち構えた方が得策ではないかと。
誰もいないなら、逆に言えばここは自分の独壇場。
罠を張るなりいくらでもできる。
(一種の賭けにはなるな。流石に俺も全ての地域に仕掛けはできないから、中央部方向の西の方の入り口。その周辺くらいか。
北上するか、それとも待ち構えるか……)
彼は考える。
必ず帰る為に。
必ず乗客を救う為に。
必ず恩人達を助ける為に。
(何、大丈夫さ。なぜなら世界は――俺のものなんだからな)
そう考えた時、1つのものが彼の目に留まった。
交換所から見える壁。
そこに張り付いた
1枚のポスターが。
【G-4 遊園地内カジノコーナー/1日目 夜】
【クレア・スタンフィールド@BACCANO!】
[状態]:拳に血の跡 脚にいくらかの痛み、左肩にわずかに切り傷(応急処置済み)、背中に銃創、腹部・胸部・右頬にダメージ(中)(応急処置済み)、
右半身がコンクリートと癒着(右目失明、右腕並びに右脚の機能喪失等)(コンクリートの欠損部分に応急処置済み)
[装備]:スタンドDISC『スター・プラチナ』@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:支給品一式×5<クレア、
一方通行、レヴィ(一食消費、水1/5消費)、クリストファー、
カルラ> 未確認支給品0~1 噴風貝(ジェットダイアル)@ONEPIECE
コインケース(9999枚)、クリストファーのマドレーヌ×8@バッカーノ!シリーズ、包丁@あずまんが大王、ミカエルの眼の再生薬×4@トライガン
応急処置用の簡易道具@現実、痛み止め
[思考・状況]
基本行動方針:優勝し、ギラーミンから元の世界へ戻る方法を聞き出す。
1:貰う景品を決める
2:遊園地で待ち受けるか、北上するかを選ぶ。
3:優勝のために他の参加者を殺す。迅速に、あらゆる可能性を考慮して。
4:再生薬は温存する。
5:ウルフウッド、梨花、沙都子、クリス、
カズマと再び出会った時には彼女らを殺す。
6:フィーロを殺した相手が分かったら、必ず殺す。
7:スター・プラチナに嫌悪感はあるがある程度割り切っている。
【備考】
※参戦次期は1931~特急編~でフライング・プッシーフット号に乗車中の時期(具体的な時間は不明)
※ほんの一瞬だけ時間停止が可能となりました。
※梨花が瞬間移動の能力を持っていると思っています。
※右半身の数箇所がコンクリートと一体化しました。余分なコンクリートはスター・プラチナが破壊しましたが、機能は戻っていません。
※名前を聞いていなかった為、カズマとクリスの死を知りません。
※G-4にあるカジノコーナーについて。
基本的にはタマムシシティのロケットゲームコーナー@ポケットモンスターSPECIALと類似。
中にはスロットを始めいくつものギャンブルゲームが存在。スロットには意図的なズレがある。
コインは首輪、もしくは支給品を入り口のコインボックスに入れることで得られる。交換レートは不明。
景品交換所はカジノコーナー内にあり。交換所にある穴にコインを流し込み欲しい景品のボタンを押せば景品が得られる。
なお、コインボックス、各ギャンブルゲーム、景品交換所共に無理やり開けようとしたり破壊しようとしたりするとコイン、景品共に消滅するらしい。
景品は『ポケモン及びその関連』、『武器・防具』、『その他』に類別されていて
『ポケモン及びその関連』は
『180枚:ケーシィ
500枚:ピッピ
1200枚:ニドリーナ
2800枚:ミニリュウ
3300枚:わざマシン23(りゅうのいかり)
5500枚:ストライク
5500枚:わざマシン15(はかいこうせん)
7700枚:わざマシン50(みがわり)
9999枚:ポリゴン』となっている。なおこのストライク、ポリゴンがグリーンのものかは不明。
『武器・防具』には少なくとも『ウージー9ミリサブマシンガン』、『ブローニングハイパワー』が存在。
それ以外の『武器・防具』、『その他』の景品、それぞれの交換レートは後続の書き手に任せます。
壁に張られてあるポスターについては後続の書き手に任せます。
ロケットゲームコーナーにはポスターの裏にスイッチがありそれを押すと地下施設への扉が開いたが、こちらにもあるかどうかは不明。
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最終更新:2012年12月05日 02:39