元ネタ?


このゲームには色々な史実や、実際に存在する神話や伝説、民俗が取り上げられています。

クエストやロケーションの他、コレクションアイテム、捜し物としてロケーションに落ちている物にも元ネタがある場合があります。
元ネタがわかれば楽しいかと思い、このようなページを立ち上げました。
書く方は以下のような立場で、お気軽にお書きください。
『違っていたらごめんなさい。訂正よろしくお願いします』

読む方は、間違っている可能性があることをご了承の上、お読みください。


女性狩猟家はハイネが好き?

コレクション『幸運の魔法』



コレクション『幸運の魔法』ではトケイソウを探します。
主人公への依頼者は女性狩猟家です。

ハイネの詩に歌われているので探したいとのことです。

ハインリヒ・ハイネ(1797-1856)はドイツのユダヤ系詩人です。
どんな詩か知りたくて、「ハイネ詩集」を調べてみました。
バレリーまで知っているのだから、ポピュラーな詩でしょう。

「ムーシェのために」という詩の一節に黄色と紫の派手な花が出てくることがわかりました。


花びらは硫黄(いおう)いろの黄とそしてむらさきだった。
そして花の中には野性的な愛の力が生きていた。
(中略)
硫黄いろの情熱の花は


Wikipediaによると、トケイソウは中南米原産です。
ドイツ語でトケイソウは"Passionsblume"で、passionは英語と同じ、Blumeが花です。
Passionは『情熱』ではなく、ラテンアメリカに行ったイエズス会士宣教師が十字架に見立てて、「キリストの受難の花」の意味でつけたのだとか。

ですから、下の翻訳は誤訳かもしれません。

ただ、ドイツ語の原文では"Passionsblume"(passion flower)ではなく、"die Blume der Passion"(the flower of passion)と書かれています。

以下が詩の引用になります。

ムーシュのために

(前略)
しかし私の墓の上には
珍しいかたちの、菫(すみれ)の花が咲いていた。
花びらは硫黄(いおう)いろの黄とそしてむらさきだった。
そして花の中には野性的な愛の力が生きていた。

そんな花がわたしの墓に咲いていた。
そして私のなきがらの上に身をかがめて
私の手に、額に、眼に接吻した、
悲しげに、無言に、あたかも女ごころの嘆きのように。

しかし夢の妖術よ! 不思議にも
硫黄いろの情熱の花は
一人の女の姿に変容した、そしてそれがあなただった>——まさにあなただった、懐かしい人よ!

あなたがその花だった、そうなのだ、その口づけで、
それがあなたなのだと確かにわかった。
どんな花の唇にもあんな情熱はこもっていない。
どんな花の涙にもあんな熱情は燃えていない。

わたしの眼は閉じていたけれど
魂はあなたの顔を見まもっていた。
そしてあなたも私を見つめていた、その心は喜びに震えつつ、
姿は月の光のため精霊のようにほのぼの照って。

私たちは話さなかった。しかし私の心は聴き取っていた、
口には言わずあなたが心の奥で想っていたことを。——
口に言われる言葉は恥じらいを失う、
沈黙こそなつかしく貞潔な花。

後略("Für die Mouche")
 ——『ハイネ詩集 新潮文庫』片山敏彦訳


ドイツ語版全文はこちら 
https://gutenberg.spiegel.de/buch/gedichte-9679/442

色々なバリエーションがあるようです。