深夜の草原で拳と剣が激突する。ガンガンギンギンと喧しいくらいに激しい鳴き声を上げ、二人の参加者が交錯する。
目に殺気を溜めて駆け抜けるのは少女。青い髪に青い瞳、青い服と全身が青いペンキがぶちまけられたかのようだ。
だが、その何もかもを諦めた濁りがある瞳だけは青を想像させない。どちらかというと藍を想起させる。
そして、手には一振りの剣を。剣の刃が月の光を反射して銀色に輝く。
少女の名は美樹さやか。正義の味方“だった”魔法少女である。
もう一人の参加者も少女。後ろで束ねた茶色の髪がふるふると横に踊る。服は動きやすいように半袖Tシャツと短パンという活発なものだ。
さやかとは違い、少女の茶色の瞳は意志という光に満ち溢れ、キラキラとしている。
少女は口を釣り上げらせてニンマリと笑い、風を切って迫る刃を捌く。
そのお返しとばかりにカウンター気味の掌底の一閃を放つがさやかは後方に跳んで悠々躱す。
掌底を振るった少女の名は朝日奈さみだれ。地球を砕こうと目論む魔王である。
目に殺気を溜めて駆け抜けるのは少女。青い髪に青い瞳、青い服と全身が青いペンキがぶちまけられたかのようだ。
だが、その何もかもを諦めた濁りがある瞳だけは青を想像させない。どちらかというと藍を想起させる。
そして、手には一振りの剣を。剣の刃が月の光を反射して銀色に輝く。
少女の名は美樹さやか。正義の味方“だった”魔法少女である。
もう一人の参加者も少女。後ろで束ねた茶色の髪がふるふると横に踊る。服は動きやすいように半袖Tシャツと短パンという活発なものだ。
さやかとは違い、少女の茶色の瞳は意志という光に満ち溢れ、キラキラとしている。
少女は口を釣り上げらせてニンマリと笑い、風を切って迫る刃を捌く。
そのお返しとばかりにカウンター気味の掌底の一閃を放つがさやかは後方に跳んで悠々躱す。
掌底を振るった少女の名は朝日奈さみだれ。地球を砕こうと目論む魔王である。
「まさかいきなり襲われるとは思わんかったわー。殺気立っていたからわかりやすかったけどな」
「……」
「……」
さみだれは軽口を叩きながらも眼の前にいるさやかからは意識をそらさない。
一瞬でも油断したら斬り込まれて自分は真っ二つ。二分割さみだれちゃんのできあがりだ。
そんなことは断固として拒否だ。
それならばどうすればいい? 決まっている、叩き潰すだけだ。
一瞬でも油断したら斬り込まれて自分は真っ二つ。二分割さみだれちゃんのできあがりだ。
そんなことは断固として拒否だ。
それならばどうすればいい? 決まっている、叩き潰すだけだ。
「だんまりか……まあええよ。襲ってくれたとこ悪いんやけどな、まだあたし死ねへんねん」
さみだれには叶えたい野望がある。地球を自分の手で破壊すること、愛してるからこそ――この小さな手で砕くことを決意した。
それをなすまでは決して死ぬことは許されない。
だからと言ってこの殺し合いで優勝して地球を破壊しようなどとは考えていなかった。
優勝した願いで地球を破壊する? 論外だ、この手で破壊するからこそ意味を持つのだ。
加えてこの場には魔王の騎士、雨宮夕日が呼ばれている。その時点で乗るという選択肢は那由他の彼方へと消え去った。
それをなすまでは決して死ぬことは許されない。
だからと言ってこの殺し合いで優勝して地球を破壊しようなどとは考えていなかった。
優勝した願いで地球を破壊する? 論外だ、この手で破壊するからこそ意味を持つのだ。
加えてこの場には魔王の騎士、雨宮夕日が呼ばれている。その時点で乗るという選択肢は那由他の彼方へと消え去った。
「だから、さっさと終わらせる」
一刻も早く夕日と合流してこの殺し合いを叩き潰す。首輪の解除方法、この島から脱出する方法、知った事ではない。
たかが首輪如きで魔王を縛れるものではないと徹底的にあの郷田真弓に刻み込んでやる。
たかが首輪如きで魔王を縛れるものではないと徹底的にあの郷田真弓に刻み込んでやる。
「じゃあ、行くで」
ドンと地を踏みしめる音と共にさみだれの身体が一瞬でさやかの懐に入る。
そのまま横に手刀を走らせて剣を力任せに打ち砕く。手刀によって武器を壊されたさやかは後退するしか手立てがない。
故に足を後ろに進めようとするが。
そのまま横に手刀を走らせて剣を力任せに打ち砕く。手刀によって武器を壊されたさやかは後退するしか手立てがない。
故に足を後ろに進めようとするが。
「そんな暇はあたえへん」
魔王からは逃げられない。否、逃さない。無防備な腹に力いっぱいの拳を叩きつける。
その衝撃は大地を揺らすほどの強さだった。無論、そんな拳をまともに受けたさやかは血反吐を吐きながらゴミのように吹き飛ぶ他ない。
その衝撃は大地を揺らすほどの強さだった。無論、そんな拳をまともに受けたさやかは血反吐を吐きながらゴミのように吹き飛ぶ他ない。
「ごめんな、あんま手加減はできへんのや」
そう、平時より身体能力が格段に落ちている現在のさみだれに手加減をする余裕は皆無だ。
下手に手心を加えて殺されてしまったらたまったものではない。
ただの素人に対して本気を出すつもりは全くないが、同じレベルの界隈にいる者に手を抜く理由などあるはずもなく。
下手に手心を加えて殺されてしまったらたまったものではない。
ただの素人に対して本気を出すつもりは全くないが、同じレベルの界隈にいる者に手を抜く理由などあるはずもなく。
「さてと、ピクリとも動かんようだけど生きてるんかな」
生きているとしたら拘束して何処か適当な場所へ放り投げておけばいいいし、死んでいるとしたらそのまま野晒しにしておくのも寝覚めが悪い。
しかるべき墓でも作ってやるというのが礼儀だとさみだれは考える。
そして指一本動いていないさやかの目の前に来た瞬間。
しかるべき墓でも作ってやるというのが礼儀だとさみだれは考える。
そして指一本動いていないさやかの目の前に来た瞬間。
「え……?」
それは一秒にも満たない刹那。その刹那が生んだ決着だった。
自分の胸から突き出ている刃にさみだれは目を見開いて。
立ち上がり刃を突き刺したさやかはニヤリと笑みを浮かべ。
自分の胸から突き出ている刃にさみだれは目を見開いて。
立ち上がり刃を突き刺したさやかはニヤリと笑みを浮かべ。
「やーーーーっと隙を見せてくれたねえ。これで、終わり」
そのまま剣を横に引き抜かれて地面に膝をつく。
さみだれは思った。この傷は致命傷でもう自分は地球を砕くことも夕日に会うこともできないということも嫌というぐらいに。
武器はもうない、この怪我では動けはしないと油断した自分に対して悔しさを感じる。
さみだれは思った。この傷は致命傷でもう自分は地球を砕くことも夕日に会うこともできないということも嫌というぐらいに。
武器はもうない、この怪我では動けはしないと油断した自分に対して悔しさを感じる。
「ゆー、くん」
魔王は騎士を残していくことに赤い涙を流して。
死という避けられない事象を前にして魔王は黄泉比良坂へと足を踏み入れる。
誓いは――――果たせない。
死という避けられない事象を前にして魔王は黄泉比良坂へと足を踏み入れる。
誓いは――――果たせない。
◆ ◆ ◆
「まず、一人」
美樹さやかは魔法少女の衣装から制服姿へと戻り深夜の草原を歩く。
初めての殺人は自分と同じくらいの少女を相手にとったものだった。
戦闘に対しては明らかに向こうの方が慣れていた。
だからこそ、さやかは正面から戦わず不意を打つことでさみだれを殺すことを選択した。
そうなれば後は戦略を練り実行するのみ。さやかの頭に浮かんだのは簡単な策とも言えぬ稚拙なものだった。
大量の剣を自由に出す能力と怪我を一瞬で治療し、痛覚を消す能力。
その二つの併用で油断させて殺すという至ってシンプルなものだ。
結果は見ての通り、見事殺害に成功した。驚くほどにあっさりと。
初めての殺人は自分と同じくらいの少女を相手にとったものだった。
戦闘に対しては明らかに向こうの方が慣れていた。
だからこそ、さやかは正面から戦わず不意を打つことでさみだれを殺すことを選択した。
そうなれば後は戦略を練り実行するのみ。さやかの頭に浮かんだのは簡単な策とも言えぬ稚拙なものだった。
大量の剣を自由に出す能力と怪我を一瞬で治療し、痛覚を消す能力。
その二つの併用で油断させて殺すという至ってシンプルなものだ。
結果は見ての通り、見事殺害に成功した。驚くほどにあっさりと。
「あぁ……殺しちゃった。あんなにも必死で守っていた人間を殺しちゃった。
正義の味方失格だね、あははっ」
正義の味方失格だね、あははっ」
正義の心を胸に抱き、大切な人の夢を助けたいが為に魔法少女になったはいいが明かされた真実は残酷なものだった。
自分はもう人間じゃない。最終的には何の意志もない化物と成り果ててしまう。
それでも、正義の味方として戦おうと決めた。あの憧れた巴マミの背中を目指したのだ。
自分はもう人間じゃない。最終的には何の意志もない化物と成り果ててしまう。
それでも、正義の味方として戦おうと決めた。あの憧れた巴マミの背中を目指したのだ。
「ばっかみたい、正義の味方なんてただの体の良い生贄じゃない」
だが彼女は気づいてしまったのだ、心の片隅には想い人である上條恭介との幸せな未来を望んでいたことに。
正義の味方になんて価値がこれっぽっちもなかったことに。
何もかもを諦めて捨ててしまった少女に残ったものはゾンビとしての肉体と穢れが満杯にまで溜まったソウルジェムのみ。
絶望の闇に囚われ、もはや魔女に堕ちる他ない、そんな時に彼女はこのゲームに呼ばれたのだ。
最初はどうでもいいと思った。殺されてもいい、もう楽にさせてくれ。
しかし、途中からその考えが徐々に成り代わっていった。
何故自分はこんなに傷ついているのだろう。
何故自分は想い人と添い遂げられないのだろう。
何故自分は魔法少女なんかになったのだろう。
何故……他の人は幸せで自分は不幸なんだろう。
正義の味方になんて価値がこれっぽっちもなかったことに。
何もかもを諦めて捨ててしまった少女に残ったものはゾンビとしての肉体と穢れが満杯にまで溜まったソウルジェムのみ。
絶望の闇に囚われ、もはや魔女に堕ちる他ない、そんな時に彼女はこのゲームに呼ばれたのだ。
最初はどうでもいいと思った。殺されてもいい、もう楽にさせてくれ。
しかし、途中からその考えが徐々に成り代わっていった。
何故自分はこんなに傷ついているのだろう。
何故自分は想い人と添い遂げられないのだろう。
何故自分は魔法少女なんかになったのだろう。
何故……他の人は幸せで自分は不幸なんだろう。
「みんな、死んじゃえばいいんだよ」
最終的に行き着いた結論はこんなはずじゃなかった世界の破滅。
目に映るモノが憎い。だから殺す。その諦めない瞳が憎い。だから殺す。
人間として生きていける未来が憎い。だから殺す。
目に映るモノが憎い。だから殺す。その諦めない瞳が憎い。だから殺す。
人間として生きていける未来が憎い。だから殺す。
「いらない、こんな世界なんていらない」
殺して殺して殺し尽くす。幸せを刈り取る死神となりて敵を討つ。
滅尽滅相――この島にいる生きた参加者を誰一人元の日常へと帰すものか。
滅尽滅相――この島にいる生きた参加者を誰一人元の日常へと帰すものか。
「ははっ、は、ははははははっ。ひゃはっ、アハハハハハハハハッッッッ」
泣き叫べよ、人間。この世界に神はいない。
全員この腐った肥溜めの絶望に引きずり降ろしてやる。
ああ、それはなんと愉しい事なのだろうか。
今のさやかの頭にはもはや希望など存在しない。
あるのはとびっきりにスパイスの効いた絶望だけだった。
全員この腐った肥溜めの絶望に引きずり降ろしてやる。
ああ、それはなんと愉しい事なのだろうか。
今のさやかの頭にはもはや希望など存在しない。
あるのはとびっきりにスパイスの効いた絶望だけだった。
【朝日奈さみだれ@惑星のさみだれ 死亡】
【I-4 草原/一日目・深夜】
【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】
【状態】肉体疲労(小)、腹部に重度の打撲(回復中)
【装備】
【持ち物】 支給品一式×2、ソウルジェム(さやか)@魔法少女まどか☆マギカ、不明支給品0~5
【思考】
基本:全ての参加者を不幸に陥れる。
1.殺す。
※魔女化直前、あたしってほんとバカ寸前からの参戦です。
【状態】肉体疲労(小)、腹部に重度の打撲(回復中)
【装備】
【持ち物】 支給品一式×2、ソウルジェム(さやか)@魔法少女まどか☆マギカ、不明支給品0~5
【思考】
基本:全ての参加者を不幸に陥れる。
1.殺す。
※魔女化直前、あたしってほんとバカ寸前からの参戦です。
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