(原村さんに優希ちゃん、部長に京ちゃんまで……)
静まり返った黒の森。月明かりのみが黒に微かな明かりを灯す。
この森でびくびく震える一人の少女がいた。
宮永咲。清澄高校麻雀部の大将を努めるエース。
だがそんなエースも殺し合いの場ではただの人。麻雀ができるからといって生き残れるわけではない。
そんな彼女の心境は恐怖と心配。
自分の知り合いがいることに安心と不安を感じる咲。
震えが収まらないどころかますます強くなっていく。
当然だ、普通の女子高校生が殺し合いをしますといきなり言われて怯えるのは当たり前だ。
この森でびくびく震える一人の少女がいた。
宮永咲。清澄高校麻雀部の大将を努めるエース。
だがそんなエースも殺し合いの場ではただの人。麻雀ができるからといって生き残れるわけではない。
そんな彼女の心境は恐怖と心配。
自分の知り合いがいることに安心と不安を感じる咲。
震えが収まらないどころかますます強くなっていく。
当然だ、普通の女子高校生が殺し合いをしますといきなり言われて怯えるのは当たり前だ。
風が吹き、スカートがたくし上げられる。しかし咲にはそれを気にする余裕すらない。
――怖い怖い怖い。痛いのは嫌だ。死ぬのはもっと嫌だ。そして何よりも――
皆と会えなくなるのは嫌だ。
(会いたい……会いたいよ、原村さん)
ただそのことだけを考えながら歩く。本当はもう歩けないぐらい精神的に参っているというのに。
再び風が吹く。宙を舞う木の葉が顔に張り付き思わず声を上げる。
「少しいいか?」
「ひっ……!」
「ひっ……!」
機を覗っていたのだろうか、突然の後ろからの声に驚く咲。
振り向いた先にいたのは制服を着た利発そうな顔立ちの青年。
咲は汗を滝のように流しながらがたがたと震える。
振り向いた先にいたのは制服を着た利発そうな顔立ちの青年。
咲は汗を滝のように流しながらがたがたと震える。
(どうしようどうしようどうしよう!助け……助けを呼ばないと。
こういう時は、大声を出して――無理、怖くて出せない!それに、声なんて出したら殺される!?
そんなの嫌だよぅ)
こういう時は、大声を出して――無理、怖くて出せない!それに、声なんて出したら殺される!?
そんなの嫌だよぅ)
頭の中がごちゃごちゃでどのように対応すればいいのか迷う咲。
こうなるのも無理はない。この暗闇で後ろから突然声をかけられたら誰だってびっくりする。
こうなるのも無理はない。この暗闇で後ろから突然声をかけられたら誰だってびっくりする。
「あ、ごめん、驚かせちゃって。大丈夫、俺は君に危害を加えるつもりはない」
「ふぇ?」
「ただ少し……聞きたいことがあって声をかけただけだから」
「ふぇ?」
「ただ少し……聞きたいことがあって声をかけただけだから」
青年は両手を軽く挙げて、敵意がないことを示し咲を落ち着かせようとする。
「じゃあ改めて、俺の名前は杉崎鍵。少し聞きたいことがあるんだ。
君は俺と会う前に誰か他の参加者と会ったかい?」
「い、いえ杉崎さんが初めてです……」
君は俺と会う前に誰か他の参加者と会ったかい?」
「い、いえ杉崎さんが初めてです……」
声が上ずりながらも律儀に答える咲。
「そうか……なら、」
咲の返答に失望したのか、鍵の顔が能面のように無表情になり、
「もう用はない。悪いが死んでくれ」
背中に隠し持っていた銃を取り出し即座に引き金を引いた。
◆ ◆ ◆
ひどく乾いた音が辺りに響いた。パンッと軽い音が。
それと同時に奇妙な感じがした。
ナニカが欠けた感覚。
右手が、ない。
何でない、の。
手がないと麻雀ができないよ?
あ、
ナニカが欠けた感覚。
右手が、ない。
何でない、の。
手がないと麻雀ができないよ?
あ、
「ああ゛あぁあ゛あああ゛ああ゛ァぁぁぁ嗚呼ああ゛あ嗚呼ぁ゛ぁああああああああ!」
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!
「っち、はずれたか。やっぱ片手撃ちなんてかっこつけるんじゃなかったわ。
はぁ、主催者も気がきかねえな。もっと使いやすい拳銃をよこせっての」
はぁ、主催者も気がきかねえな。もっと使いやすい拳銃をよこせっての」
何を言ってるの?この人は。
こんな危害を加えないって、そう言ってたのに。
こんな危害を加えないって、そう言ってたのに。
焼けるような痛みが私を襲う。
そして、欠損した右手から流れ出る血液が私を赤に染める。
あはは、全身血塗れ、きっと洗濯は大変になるだろうな。
そして、欠損した右手から流れ出る血液が私を赤に染める。
あはは、全身血塗れ、きっと洗濯は大変になるだろうな。
「たす……てぇ、ぉね゛ぇぢゃ……おとぉ……さぁ、原…………らざん、京ぢゃん、部ちょぉ、染……輩、
だずげて、だれ……か」
だずげて、だれ……か」
誰か助けてよ。誰でもいいから。
どうしてこんな目に私があわなきゃいけないんだろう。
私は麻雀が好きなただの女子高生なのに。
どうしてこんな目に私があわなきゃいけないんだろう。
私は麻雀が好きなただの女子高生なのに。
「うーん、ほっといても死ぬかな、これは。でも一応とどめをさしておくかね。
まあ、運が悪かったね、美少女ちゃん」
まあ、運が悪かったね、美少女ちゃん」
何を言ってるんだろう、もう何も聞こえないや。
最後にもう一度原村さんと――
最後にもう一度原村さんと――
麻雀したかったな。
死に、た、くな、いな、ぁ。
――――お姉ちゃん――――
◆ ◆ ◆
「まずは一人、順調なスタートかな」
暗闇の森の中を一人の青年、杉崎鍵は足早に歩いていた。
宮永咲を殺したあの場所から一刻も早く離れるために。
宮永咲を殺したあの場所から一刻も早く離れるために。
(俺、人を殺しちまったんだな。何も悪くもない美少女ちゃんを。ハーレムの主、失格だな)
鍵は歯を食いしばり俯く。それも仕方がない。自分を僅かながらでも信じてくれた少女を、
殺してしまったのだから。
それでも、鍵は歩みを止めたりはしない。
殺してしまったのだから。
それでも、鍵は歩みを止めたりはしない。
「俺は大切な人達を護るために、」
人を殺してしまった以上、立ち止まることは許されない。
痛くても、苦しくても、辛くても。
痛くても、苦しくても、辛くても。
「人を殺すって決めたんだ」
もう、あの日常には――
【宮永咲@咲-Saki-死亡】
【E-4 /1日目 深夜】
【杉崎鍵@生徒会シリーズ】
【装備】:IMI デザートイーグル(6/7+1)予備マガジン×6
【杉崎鍵@生徒会シリーズ】
【装備】:IMI デザートイーグル(6/7+1)予備マガジン×6
【所持品】:支給品一式×2。不明支給品1~5
【状態】:健康
【思考・行動】
1:大切な人達を護るために殺し合いに乗る
※E-4で宮永咲の叫び声が響き渡りました。
【状態】:健康
【思考・行動】
1:大切な人達を護るために殺し合いに乗る
※E-4で宮永咲の叫び声が響き渡りました。
【IMI デザートイーグル】
アメリカのマグナムリサーチ社がデザインし、イスラエルのIMIが生産している。
世界有数の大口径自動拳銃。口径は.50口径モデル。
アメリカのマグナムリサーチ社がデザインし、イスラエルのIMIが生産している。
世界有数の大口径自動拳銃。口径は.50口径モデル。
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