黒の空が段々と藍色に変わりつつある黎明の時刻。
空の遥か下にあるレンガ造りの家が立ち並び、石畳が敷き詰められた路面――つまるところの西洋の街並みが此処にある。
まだ黎明故に月は空に浮かんでいる。金色の球体から放たれる光は電灯が少ない辺りを照らすのを手伝っていた。
電灯の煌々とした明かりと月のほんのささやかな光、二つが合わさって物を視認させることを可能にさせる。
空の遥か下にあるレンガ造りの家が立ち並び、石畳が敷き詰められた路面――つまるところの西洋の街並みが此処にある。
まだ黎明故に月は空に浮かんでいる。金色の球体から放たれる光は電灯が少ない辺りを照らすのを手伝っていた。
電灯の煌々とした明かりと月のほんのささやかな光、二つが合わさって物を視認させることを可能にさせる。
「……誰もいねぇのな」
これらの世界に存在していた静寂はコツコツと規則的に鳴る足音によって終焉を迎える。
終焉をもたらした人間が電灯の明かりによって照らされた。
ブレザーとスラックスを着崩し、茶髪の軽薄そうな顔立ちの少年――杉崎鍵はため息をついた。
先刻、大切な人達を護るために殺し合いに乗ることを決め、早速出会った少女――宮永咲を殺した。
確かな殺意を拳銃に込めて少女を黄泉の世界に送り、幸先は順調だったのだが。
終焉をもたらした人間が電灯の明かりによって照らされた。
ブレザーとスラックスを着崩し、茶髪の軽薄そうな顔立ちの少年――杉崎鍵はため息をついた。
先刻、大切な人達を護るために殺し合いに乗ることを決め、早速出会った少女――宮永咲を殺した。
確かな殺意を拳銃に込めて少女を黄泉の世界に送り、幸先は順調だったのだが。
(街に出たはいいけど静かだし、ったくよ……)
人がまったくいないのだ。一応、街に入って適当にぶらぶら歩いてはいるが、人影一つ見当たらない。
(それともどっかに固まって配置されてんのか? まっ考えたってしゃあねえか。いくら考えようとも仮定の域は出ない)
鍵の視線の先にあるメインストリート――どこまでも続いていると錯覚させられるような真っ直ぐの道が広がっている。
周りを見渡して誰か人影はいないか確認、いなければ他の場所を回る、数分前からそれの繰り返しだった。
最も、いつ戦闘が起こってもいいように武器は直ぐ使えるように腰にぶら下げている。
右の腰に下げているのは大型拳銃であるデザートイーグル。金属特有の銀色の光沢が月明かりを反射して、拳銃全体が怪しく輝いている。
左の腰に下げているのは木の鞘に収められている二本の太刀。片方は脇差の長さとほぼ同一であり、もう片方は太刀と同程度か。
これらの太刀は先ほど出会った咲のデイバッグに入っていたものであり、鍵が有り難く頂戴したものである。
周りを見渡して誰か人影はいないか確認、いなければ他の場所を回る、数分前からそれの繰り返しだった。
最も、いつ戦闘が起こってもいいように武器は直ぐ使えるように腰にぶら下げている。
右の腰に下げているのは大型拳銃であるデザートイーグル。金属特有の銀色の光沢が月明かりを反射して、拳銃全体が怪しく輝いている。
左の腰に下げているのは木の鞘に収められている二本の太刀。片方は脇差の長さとほぼ同一であり、もう片方は太刀と同程度か。
これらの太刀は先ほど出会った咲のデイバッグに入っていたものであり、鍵が有り難く頂戴したものである。
(武器は万全、来るなら来いっての)
そして数分後、状況は変化する。
小刻みな足音が鍵の耳に入ってきた。足音の主は急いでるのか音は大きく、間隔も速い。走っているのだろうと推測する。
乗っているか乗っていないかは不明。エスパーではないのだからわかるわけがない。
小刻みな足音が鍵の耳に入ってきた。足音の主は急いでるのか音は大きく、間隔も速い。走っているのだろうと推測する。
乗っているか乗っていないかは不明。エスパーではないのだからわかるわけがない。
(どうすっかな? 奇襲? それもいいけどこの開かれた道じゃやりにくい。やっぱ出たとこ勝負ってやつかね、吉と出るか凶と出るか。
まあなるようになるだろ)
まあなるようになるだろ)
そして、足音の主が道の角から姿を現す。少年だった。黒の衣服を身に纏い、腰にはレイピアのような細い剣を下げている。
自分より年下ではあるが実直で責任感の強そうな顔立ち。マジメ君だなと鍵の目からでもわかった。
自分より年下ではあるが実直で責任感の強そうな顔立ち。マジメ君だなと鍵の目からでもわかった。
「少しいいか? 情報の交換を行ないたいのだが」
ファーストコンタクトは少年の方から行われた。情報の交換、確かに互いの有益になり普通は断ることにはならない。
鍵にとっても特に断る理由はない。情報を引き出してから殺す、それでも遅くはないからだ。加えて、信用させておいて後ろからグッサリと殺す方が正面きって殺すよか楽だ。
利用するなら、どこまでも。
鍵にとっても特に断る理由はない。情報を引き出してから殺す、それでも遅くはないからだ。加えて、信用させておいて後ろからグッサリと殺す方が正面きって殺すよか楽だ。
利用するなら、どこまでも。
「おいおい、いきなりそう言われてもはいそうですかとは言えねえぜ。信用に足る何かはあるのか?」
そう言って笑顔を見せる片手間で頭の中ではこれからのプランを高速で思考する。
ひとまずはカマをかけておく。予想ではあるが目の前の少年が乗っていない可能性はほぼ100%だろう。
これでボロを出したらそれこそ役に立たないくず鉄レベルだ。そうであったら利用する価値すらない、すぐ殺せばいいだけだ。
ひとまずはカマをかけておく。予想ではあるが目の前の少年が乗っていない可能性はほぼ100%だろう。
これでボロを出したらそれこそ役に立たないくず鉄レベルだ。そうであったら利用する価値すらない、すぐ殺せばいいだけだ。
「それは……だがこの身を賭けてでも僕は殺し合いに乗っていないと誓う。改めて、時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ。
情報の交換などの協力を願うんだがいいだろうか?」
「……まあいいぜ。だけど、一方的に俺が協力するってのはナシだ。対等な関係で行こうじゃねえか」
「もちろんだ、こちらの情報も提示する」
「オーケー、交渉成立だ。と、名乗ってなかったな。俺は“伊達スバル”だ。まあよろしく頼むわ」
情報の交換などの協力を願うんだがいいだろうか?」
「……まあいいぜ。だけど、一方的に俺が協力するってのはナシだ。対等な関係で行こうじゃねえか」
「もちろんだ、こちらの情報も提示する」
「オーケー、交渉成立だ。と、名乗ってなかったな。俺は“伊達スバル”だ。まあよろしく頼むわ」
最後に自分の名前も偽っておく。殺し合いに乗っているのに本名を名乗るなどの馬鹿な行為はしない。
二人は近場にあったベンチに座る。
そして場面は変わる――。
二人は近場にあったベンチに座る。
そして場面は変わる――。
◆ ◆ ◆
「魔法に異世界、ファンタジー極まりって感じだな」
「やはり、信じられませんか」
「いいや、信じるぜ。この殺し合いに巻き込まれている時点で俺の常識はもうどっか行っちゃってるしな。
後、最初みたいに敬語じゃなくていいよ、クロノ。畏まる必要はないって」
「ですが、年上ですから最低限の礼儀として……」
「ははっ、細かいこと気にすんなって。俺とお前の仲だろ」
「会ってまだ一時間も経っていないと思うんですが……」
「やはり、信じられませんか」
「いいや、信じるぜ。この殺し合いに巻き込まれている時点で俺の常識はもうどっか行っちゃってるしな。
後、最初みたいに敬語じゃなくていいよ、クロノ。畏まる必要はないって」
「ですが、年上ですから最低限の礼儀として……」
「ははっ、細かいこと気にすんなって。俺とお前の仲だろ」
「会ってまだ一時間も経っていないと思うんですが……」
道端で出会った二人は会って早々に情報の交換を行っていた。
そのなかで出てきたワード、『魔法』、『時空管理局』など。
クロノの説明がよかったのかどうかはわからないが鍵は直ぐに受け入れた。
そのなかで出てきたワード、『魔法』、『時空管理局』など。
クロノの説明がよかったのかどうかはわからないが鍵は直ぐに受け入れた。
(錯乱して面倒な事態になることも一応の視野に入れておいたけど、大丈夫そうだな)
クロノは最初に相手に魔法の存在について知っているかと質問をした。
答えはノー。相手は何も知らない一般人、説明にかなりの時間をかけることを覚悟をしていた。
魔法の存在も知らない人が自分は異世界の警察みたいなものに入っていますよと言われて信じるであろうか?
さすがにすぐに信じろとはいくわけもない。
だが、予想とは裏腹に説明はトントン拍子で進んだ。
なんでもこんな殺し合いに巻き込まれている次点で十分ファンタジーだからいまさら驚くことではないということだ。
答えはノー。相手は何も知らない一般人、説明にかなりの時間をかけることを覚悟をしていた。
魔法の存在も知らない人が自分は異世界の警察みたいなものに入っていますよと言われて信じるであろうか?
さすがにすぐに信じろとはいくわけもない。
だが、予想とは裏腹に説明はトントン拍子で進んだ。
なんでもこんな殺し合いに巻き込まれている次点で十分ファンタジーだからいまさら驚くことではないということだ。
「とりあえずクロノは時空管理局って所の執務官何だろ? じゃあ此処からの脱出の当てはないのか」
「すいません、すぐに脱出は無理です。だけど心配は要りません、これ程の大規模な時空犯罪です、きっと管理局も今頃動いているはずだと思います」
「そっか、なら信じてみるかな。っとおいクロノ後ろ見てみろよ、人がいる」
「すいません、すぐに脱出は無理です。だけど心配は要りません、これ程の大規模な時空犯罪です、きっと管理局も今頃動いているはずだと思います」
「そっか、なら信じてみるかな。っとおいクロノ後ろ見てみろよ、人がいる」
鍵の言う人を確かめようとクロノがベンチから立ち上がって鍵が指差す方向へ視界を変える。
その無防備な瞬間――銀の線が空を斬った。
その無防備な瞬間――銀の線が空を斬った。
「っな!!!」
躱せたのは偶然だった。
放たれた斬撃が首を一直線に裂こうとする刹那、執務官としての戦闘経験から微かな殺気を感じ、咄嗟に大きく後ろに跳ぶ。
その経験による勘のお陰で首の皮一枚の差で生き延びることができた。
そして、クロノは腰に差していた空虚を抜き放ち、左手で前に突き出すように持ち、前を見据える。
一方の鍵はリラックスした形で右手に太刀を持ち、ニヤついた笑みを浮かべ、ヒュウと口笛を吹いた。
放たれた斬撃が首を一直線に裂こうとする刹那、執務官としての戦闘経験から微かな殺気を感じ、咄嗟に大きく後ろに跳ぶ。
その経験による勘のお陰で首の皮一枚の差で生き延びることができた。
そして、クロノは腰に差していた空虚を抜き放ち、左手で前に突き出すように持ち、前を見据える。
一方の鍵はリラックスした形で右手に太刀を持ち、ニヤついた笑みを浮かべ、ヒュウと口笛を吹いた。
「あらら、外しちまったか。結構いい一撃だと思ったんだけどな」
「伊達さん、あなたは……!」
「言わなくてもわかるだろ、俺は乗ってんだよ」
「伊達さん、あなたは……!」
「言わなくてもわかるだろ、俺は乗ってんだよ」
その言葉が終わるのを待たずに鍵は太刀をクルリと回して鞘にしまい、流れるような手つきで右腰に下げていたデザートイーグルを両手でしっかりと持ち、弾丸を放つ。
同時にクロノは大きく右に跳躍して銃口から身体を反らす。刹那、弾丸が風を突き抜けながらクロノの背後にあるレンガ造りの家の外壁に突き刺さる。
次弾発射、されど当たらず。銃弾はあさっての方向へと通り抜けていく。
同時にクロノは大きく右に跳躍して銃口から身体を反らす。刹那、弾丸が風を突き抜けながらクロノの背後にあるレンガ造りの家の外壁に突き刺さる。
次弾発射、されど当たらず。銃弾はあさっての方向へと通り抜けていく。
「おおおおおおおっ!!」
それらの間をクロノは見逃しはしない。
疾風の如く、身を屈めて鍵に迫る。そして、一閃。ガキンと金属特有の甲高い音が辺りに響く。
疾風の如く、身を屈めて鍵に迫る。そして、一閃。ガキンと金属特有の甲高い音が辺りに響く。
「悪いけどまだ俺は死ねないんだ」
鍵の右手にはいつの間にか太刀が握られており、空虚による一撃を防いでいた。
そしてもう片方の手には。
そしてもう片方の手には。
「こんだけ近いと当たるだろっ!」
デザートイーグルがクロノの眉間に照準を定め、弾丸が発射された。
それでも弾丸は空を穿つのみ。的にはかすりもしない。何故、こうまでかすりもせずに避けれるのか? 理由は単純明快、当たる前に避けているからである。
現在、魔法が封じられている彼の身体能力でそのような芸当は困難だが、一つそれを可能にさせるものが手に握られている。
永遠神剣第六位、空虚。これと契約したことでいろいろと恩恵を受けることが出来る。
それらの恩恵の中の一つである身体強化を利用することによって何とか鍵と渡り合っているのだ。
それでも弾丸は空を穿つのみ。的にはかすりもしない。何故、こうまでかすりもせずに避けれるのか? 理由は単純明快、当たる前に避けているからである。
現在、魔法が封じられている彼の身体能力でそのような芸当は困難だが、一つそれを可能にさせるものが手に握られている。
永遠神剣第六位、空虚。これと契約したことでいろいろと恩恵を受けることが出来る。
それらの恩恵の中の一つである身体強化を利用することによって何とか鍵と渡り合っているのだ。
「っ! フットワークが軽いことで……!」
「そこっ!」
「そこっ!」
クロノは背後に回りこみ、右腕を強く後ろに引いて弾丸と遜色違わないくらいの強いストレートをがらあきの背中に放つが、鍵は前に跳ぶことで射程の範囲外へと逃れる。
そしてぐるりと身体を回して右手に持つ太刀を再び首目がけて走らせる。
そしてぐるりと身体を回して右手に持つ太刀を再び首目がけて走らせる。
「どうしてこんな殺し合いに乗るっ!」
「そりゃあね、大切な人達を護るため……って理由でいいかい?」
「ふざけるなっ! こんなことをしてその人達は喜ぶのか? きっと悲しむぞ」
「はっ、喜ぶだの悲しむだのそんなの些細な事だ。それらは命あってのもんだろ、天秤に釣り合わねえぜ」
「他の人にだって大切な人はいるっ。その身勝手な行いで多くの人が悲しむんだぞ! 許されるわけがない!」
「だから? 嗚呼、くだらないくだらないくだらないっ――――ほんっっっとうにくだらねえ。お前の理屈はくだらなくてつまんねえよ」
「そりゃあね、大切な人達を護るため……って理由でいいかい?」
「ふざけるなっ! こんなことをしてその人達は喜ぶのか? きっと悲しむぞ」
「はっ、喜ぶだの悲しむだのそんなの些細な事だ。それらは命あってのもんだろ、天秤に釣り合わねえぜ」
「他の人にだって大切な人はいるっ。その身勝手な行いで多くの人が悲しむんだぞ! 許されるわけがない!」
「だから? 嗚呼、くだらないくだらないくだらないっ――――ほんっっっとうにくだらねえ。お前の理屈はくだらなくてつまんねえよ」
口での戦いと同時に互いの銀の線が空を駆ける。躱す。放つ。突く。受ける。薙ぐ。金属音のオーケストラが開演――最初はゆっくりと。
徐々に力強くっ! されどしなやかに! 斬る! 斬る! 斬る!
徐々に力強くっ! されどしなやかに! 斬る! 斬る! 斬る!
「お前の言う他の大切な人は俺にとっちゃあ、どうでもいいただの他人だ、切り捨てるね。
じゃあ、逆に質問するぜ? この島でお前の大切な人と赤の他人が襲われて今にも死にそうだ。しかし、どっちかしか助けられない――さあどうする?」
「どっちも助けるに決まっている! 誰かを犠牲にするなんて――――」
じゃあ、逆に質問するぜ? この島でお前の大切な人と赤の他人が襲われて今にも死にそうだ。しかし、どっちかしか助けられない――さあどうする?」
「どっちも助けるに決まっている! 誰かを犠牲にするなんて――――」
身体能力強化、強化、強化! もっとだ、速く動いて、敵の堅牢な壁(リアル)を突き抜けろ。
クロノの魔力を受けて空虚が光り輝いて辺りを照らす。見る者全てを浄化するような、強い光を纏いて。
クロノの魔力を受けて空虚が光り輝いて辺りを照らす。見る者全てを浄化するような、強い光を纏いて。
「認められないモノなんだっっ!!」
閃光が駆ける。
「皆助けてハッピーエンドか? 笑わせるなよ、此処は幻想のネヴァーランドじゃないんだぜ? 現実は何時だって幻想を壊す。
何かを得るには何かを切り捨てなければいけない――等価交換に満ちているんだ、この島は」
何かを得るには何かを切り捨てなければいけない――等価交換に満ちているんだ、この島は」
鍵は閃光をひらりと避け、太刀を横薙ぎに叩きつけ、心臓目がけてデザートイーグルを構え、撃ち抜く!
「当たってたまるか――っ」
閃光のような一撃は終わらない。身体を小さくかがみこませ、放たれた弾丸と太刀による斬撃をすれすれでくぐり抜けて右手で押し出すように顎目がけて掌底一閃。
これぞ、蓄積された戦闘経験から成り立つ一撃……! この一撃によってクロノの勝利とな――
これぞ、蓄積された戦闘経験から成り立つ一撃……! この一撃によってクロノの勝利とな――
「あぶ……ねっ!」
終りの鐘はまだ鳴らない。その一撃は鍵が後ろに跳ぶことでぎりぎり躱された。
太刀を鞘に戻して再びデザートイーグルを両手持ちに切り替えて照準を定める。
クロノも最初と同じような構えで正面を見据える。こうして戦況は膠着状態となった。
両者の距離はそれなりに離れていて、銃弾が当たり、神剣による強化でひとっ飛び出来るくらいに微妙だ。
少しのことで場はいくらでも変化する。そして静寂。音が世界から消えた。
太刀を鞘に戻して再びデザートイーグルを両手持ちに切り替えて照準を定める。
クロノも最初と同じような構えで正面を見据える。こうして戦況は膠着状態となった。
両者の距離はそれなりに離れていて、銃弾が当たり、神剣による強化でひとっ飛び出来るくらいに微妙だ。
少しのことで場はいくらでも変化する。そして静寂。音が世界から消えた。
「僕は何かを捨てなきゃ得られないモノ――人を殺さなきゃ得られない幸せを肯定できない」
「ハハハハハッッ、マジなってんじゃねえよ、乳酸菌足りてるか?」
「ハハハハハッッ、マジなってんじゃねえよ、乳酸菌足りてるか?」
相変わらずのふざけた口調にクロノのイライラは最高潮に達する。
どうして自分の言葉が届かない、人殺しは悪だと気づかない。
この島に蔓延る現実に屈しては主催者の思うつぼだというのに。
どうして自分の言葉が届かない、人殺しは悪だと気づかない。
この島に蔓延る現実に屈しては主催者の思うつぼだというのに。
「誰かの犠牲の上にある幸せなんて「バァ~~~カ、いつまで綺麗事並べてるんだか」……っ! 綺麗事で何が悪い」
悪を否定するこの心の理解の範疇外、エラー。エラー。
箱庭の世界での殺し合い、否定。否定。否定。
例え、どれほどの思い、言葉をつめ込まれても認められない。人の命を奪うという行為を。
クロノ・ハラオウンはそういう人なのだから。
箱庭の世界での殺し合い、否定。否定。否定。
例え、どれほどの思い、言葉をつめ込まれても認められない。人の命を奪うという行為を。
クロノ・ハラオウンはそういう人なのだから。
「何もプランもないくせにその自信はどこからでてくるんだか。じゃあ、首輪の解除方法はどうする?
敵対する参加者の扱いはどうする? そいつは殺すのか殺さないのか? 殺さないとしたらそいつの処置方法は? この島からの明確な脱出方法は?
――――八方塞がりなんだよお前の理想は」
「だったら殺し合いに乗ってもいいのか! そうじゃないだろう! 力をそういう風に使ってはいけないってことに何故気づかない!?
……伊達さん、あなたの持つ力はそんな、人を殺すためにあるものじゃない。その力は誰かを護るためのそんな力だったはずだ」
敵対する参加者の扱いはどうする? そいつは殺すのか殺さないのか? 殺さないとしたらそいつの処置方法は? この島からの明確な脱出方法は?
――――八方塞がりなんだよお前の理想は」
「だったら殺し合いに乗ってもいいのか! そうじゃないだろう! 力をそういう風に使ってはいけないってことに何故気づかない!?
……伊達さん、あなたの持つ力はそんな、人を殺すためにあるものじゃない。その力は誰かを護るためのそんな力だったはずだ」
そう言って手を伸ばす。争いの象徴である剣ではなく、話し合いの象徴である手を。
「……それで?」
「まだ間に合います、戻れますから! 僕と一緒に力を合わせて、」
「言葉で戻れる程の安い決意を持った覚えはねえな。それに、もう決めたんだよ。
俺の存在、日常、大切な人――全てを失うとしても。そんな覚悟をこの胸に抱いて俺は此処にいる」
「まだ間に合います、戻れますから! 僕と一緒に力を合わせて、」
「言葉で戻れる程の安い決意を持った覚えはねえな。それに、もう決めたんだよ。
俺の存在、日常、大切な人――全てを失うとしても。そんな覚悟をこの胸に抱いて俺は此処にいる」
手は、掴まれなかった。そして言葉は続く。それは悲壮なモノだった。それは綺麗なモノだった。
そんな陳腐な言葉を飾りたくなるくらいに――真っ直ぐなモノだった。
この人を曲げることはできない。クロノはそう悟った。
道は完全に分かたれていて、修正不可能な域までに到達してることに。
そんな陳腐な言葉を飾りたくなるくらいに――真っ直ぐなモノだった。
この人を曲げることはできない。クロノはそう悟った。
道は完全に分かたれていて、修正不可能な域までに到達してることに。
だから、諦めよう、この人を“伊達スバル”を切り捨てる存在として僕は――――
「出来るか、そんな決意。“クソッくらえ”だ」
――それでも足掻くんだ。
「僕はあなたを認めない」
何度けなされても。
「絶対に止めてみせる」
何度殺されそうになっても。
「あなたをその地獄から救い出して見せる!」
不屈の意志で挑むまで。それが時空管理局執務官としての誇り。
鍵と同じく曲げられない絶対の意志。
鍵と同じく曲げられない絶対の意志。
「……そこまで啖呵きったんだ、だったら――」
ナットク
「敗北させてみろよ、お前の意志の強さで――」
「敗北させてみろよ、お前の意志の強さで――」
戦いが再び始まった。始まりの鐘はデザートイーグルから放たれた弾丸。
弾丸は風の中を真っ直ぐに突き進む。故に。
弾丸は風の中を真っ直ぐに突き進む。故に。
(躱すことは容易)
身体を横にずらすことで回避。そしてそのまま鍵の元まで跳ぶ。
空虚を振るう。ヒュンと鳴る風を斬る音が心地いい。だが刃は鍵がいつの間にかに持っていた太刀によって受け止められる。
当然だ、クロノに殺す気はない、だとすると狙われる場所は限られてしまう。
なら読むことは可能である。加えて太刀筋が正直なのだ、これにて十全。
空虚を振るう。ヒュンと鳴る風を斬る音が心地いい。だが刃は鍵がいつの間にかに持っていた太刀によって受け止められる。
当然だ、クロノに殺す気はない、だとすると狙われる場所は限られてしまう。
なら読むことは可能である。加えて太刀筋が正直なのだ、これにて十全。
完 全 に 見 切 る こ と が で き る !
踊る……踊る踊る踊る! 二つの刀によるダンスパーティは開演して刹那の間を開けずに激しい。
バックミュージックは金属音。もの寂しく、味気はないがこれはこれでいい。
ここで状況が変わる。鍵がデザートイーグルをクルンと回してホルダーに入れて、開いた手に小太刀を持つ。
いわゆる、二刀流というものだ。それにより金属音の数は増え、先程の剣劇よりも苛烈になる。
バックミュージックは金属音。もの寂しく、味気はないがこれはこれでいい。
ここで状況が変わる。鍵がデザートイーグルをクルンと回してホルダーに入れて、開いた手に小太刀を持つ。
いわゆる、二刀流というものだ。それにより金属音の数は増え、先程の剣劇よりも苛烈になる。
「なあ」
剣劇の途中で鍵が突然口を開いた。何か揺さぶる事でも言うのかとクロノは思う。
先の戦いの時もそうだった。口を開いてはこちらの神経を逆なですることを次から次へと発する。
最も、それも殺し合いにおいて有益な戦闘を進める為の手段であり文句をいうつもりはないのだが。
だが、聞いていて気分がいいものではない。
先の戦いの時もそうだった。口を開いてはこちらの神経を逆なですることを次から次へと発する。
最も、それも殺し合いにおいて有益な戦闘を進める為の手段であり文句をいうつもりはないのだが。
だが、聞いていて気分がいいものではない。
「お前は俺が戻れると思うか」
しかし、放たれた一言は想像の範疇外だった。それは今までおちゃらけていた鍵から吐かれたとは思えないくらいに重い言葉。
戻る、すなわち協力して主催を倒すという光の道。それを歩むこと。
戻る、すなわち協力して主催を倒すという光の道。それを歩むこと。
「戻れるさ、戻ろうとする意志があれば!」
本人が罪を認めて、やりなおそうとする意志があればきっと。
こんなふざけた世界でも抗うことを諦めずに戦うと決めたクロノはそう思った。
今までの幾多の戦いでもそうやって生きてきた。それはこれからも変わらないし変えるつもりもない。
こんなふざけた世界でも抗うことを諦めずに戦うと決めたクロノはそう思った。
今までの幾多の戦いでもそうやって生きてきた。それはこれからも変わらないし変えるつもりもない。
「へえ、もう既に人を殺している俺でもかい?」
「……それでもだ」
「……それでもだ」
人を殺した、この言葉を聞いても揺らがない。命に色なんてない、平等に手を差し伸べるのがクロノの決意だ。
一度救うと決めたんだ、いまさら曲げることなんてできない。
その意志を貫け。刃に乗せて彼の胸元まで届かせろ。届かないのなら何度でも。
一度救うと決めたんだ、いまさら曲げることなんてできない。
その意志を貫け。刃に乗せて彼の胸元まで届かせろ。届かないのなら何度でも。
「僕は、曲げない」
「……そういえば殺した女の子は可愛かったな」
「……そういえば殺した女の子は可愛かったな」
いきなり発せられたのは人殺しの懺悔。それは謳うような声に乗せられて軽快に響く。
不謹慎だ、可愛かったとかそんなのは関係ない。
命を奪ったのには変わりはないんだ、例え誰を殺したとしてもそれは罪として成り立つ。
不謹慎だ、可愛かったとかそんなのは関係ない。
命を奪ったのには変わりはないんだ、例え誰を殺したとしてもそれは罪として成り立つ。
「名前はなんだったけ? ああそうそう!」
クロノの世界が。
「フェイト・テスタロッサ・ハラオウン」
止まった。
この人は何を言っているんだろう――――
「隙ありだ」
ハッと気がついた時には全てが遅かった。ザシュっと肉が引きちぎれる音と共に宙に浮き上がる腕。
これは誰の腕? 決まってるさ。宙に浮く手に持ったままの空虚が証拠となっている。
視界に映るのは小太刀を振るいニヤリとしている鍵と。
クロノ・ハラオウンの右腕だ。
これは誰の腕? 決まってるさ。宙に浮く手に持ったままの空虚が証拠となっている。
視界に映るのは小太刀を振るいニヤリとしている鍵と。
クロノ・ハラオウンの右腕だ。
「あ、ああ、あァああァあ嗚呼あああああァあああああ、ああぁぁァああああああ!」
痛みに耐え切れず絶叫する。血が止めどなく溢れ出し、地面を紅く染める。
紅でペインティングされた石畳の道にクロノはへたり込む。
頭上から落ちてくる刃には為す術も無くただ受け入れるのみ。
紅でペインティングされた石畳の道にクロノはへたり込む。
頭上から落ちてくる刃には為す術も無くただ受け入れるのみ。
「死ね、ない――っ!」
だがそんな結末はゴメンだ。
クロノは“ゲームオーバー”を否定する。
ゲームはまだ始まったばかり、第一ステージも過ぎてないのに“リタイア”は――しない、してたまるかと心中叫び散らす。
ラストステージまで生き残るんだ、絶対に。この決意が身体を無理やりにでも動かす。
その結果、現れた反応はなりふり構わないものだった。何も考えずただ右に跳躍。受身? その後どうするか? そんなの考えちゃいない。
ただこの一秒を生き残るためだけの行動、先行きなんて知ったことか。
クロノは“ゲームオーバー”を否定する。
ゲームはまだ始まったばかり、第一ステージも過ぎてないのに“リタイア”は――しない、してたまるかと心中叫び散らす。
ラストステージまで生き残るんだ、絶対に。この決意が身体を無理やりにでも動かす。
その結果、現れた反応はなりふり構わないものだった。何も考えずただ右に跳躍。受身? その後どうするか? そんなの考えちゃいない。
ただこの一秒を生き残るためだけの行動、先行きなんて知ったことか。
「っ……」
だがそれは功を成した。刃はクロノに到達せずただ飛び散って宙に浮いた血を斬るのみ。
完全なる勝利の一撃には程遠い。だが、それでも片腕を斬り落としたアドバンテージは大きい。
血は止めどもなく流れ落ちいずれは出血多量で死んでしまうだろう。
完全なる勝利の一撃には程遠い。だが、それでも片腕を斬り落としたアドバンテージは大きい。
血は止めどもなく流れ落ちいずれは出血多量で死んでしまうだろう。
(悔しいけど、此処は撤退する)
残った左腕でデイバッグを乱暴にまさぐり、目当ての物を探す。
あれでもない、これでもないと思考を重ねながらついに見付け出した。
あれでもない、これでもないと思考を重ねながらついに見付け出した。
「これ、でもくらえっ!」
鍵に向かって放たれた空き缶のようなモノ、しかしそれはあくまで空き缶のようなモノであり空き缶ではない。
それを視界に入れるのと同時に大きく跳躍してそれから距離を取る。
それを視界に入れるのと同時に大きく跳躍してそれから距離を取る。
「っ……やっぱスタングレネードかよ!」
大きな音と共に発光。正体はスタングレネード、相手に対する目眩ましに使用する非致死性手榴弾である。
これらのもたらした光と音に鍵がひるんでいる隙にクロノは落ちていた空虚を握っている手ごと拾い、魔力供給。
神剣の恩恵により上昇した身体能力をフルに使いこの場から逃走する。
それに舌打ちし、手に持つ二振りの太刀からデザートイーグルに持ち替え、適当に撃つが当たらず。弾丸は虚空を穿つのみ。
視界がしっかりと晴れた頃にはクロノの姿はどこにもいなかった。場には点々と残る血だけが存在している。
これらのもたらした光と音に鍵がひるんでいる隙にクロノは落ちていた空虚を握っている手ごと拾い、魔力供給。
神剣の恩恵により上昇した身体能力をフルに使いこの場から逃走する。
それに舌打ちし、手に持つ二振りの太刀からデザートイーグルに持ち替え、適当に撃つが当たらず。弾丸は虚空を穿つのみ。
視界がしっかりと晴れた頃にはクロノの姿はどこにもいなかった。場には点々と残る血だけが存在している。
「あーあ、逃がしちまったか」
今から追いかけることは難しい、少なくともこの辺りにはいないだろう。
最も、取り逃がしてしまったのは仕方がないので諦めるしかないのだが。
ともかく鍵は太刀を鞘に戻し、デザートイーグルはマガジンの交換。このような下準備はこまめにやっておくほうがいい。
空のマガジンは念のためデイバッグに入れておく。この先何が起こるかわからない、何かに使う用途が有るかもしれないからだ。
最も、取り逃がしてしまったのは仕方がないので諦めるしかないのだが。
ともかく鍵は太刀を鞘に戻し、デザートイーグルはマガジンの交換。このような下準備はこまめにやっておくほうがいい。
空のマガジンは念のためデイバッグに入れておく。この先何が起こるかわからない、何かに使う用途が有るかもしれないからだ。
「さてと、どうすっかな」
デザートイーグルをくるくると指で回し、鍵はあくまで余裕を見せた表情で呟く。クロノを取り逃がしたことをまるで気にしてないかのように。
しかし、鍵は実際に気にしていないのだ、加えて損害だとすら思っていない。
あの傷では長くは持たない、腕が斬られ、出血は多量。あの状態から完全復帰するのはほぼ不可能だ。
しかし、鍵は実際に気にしていないのだ、加えて損害だとすら思っていない。
あの傷では長くは持たない、腕が斬られ、出血は多量。あの状態から完全復帰するのはほぼ不可能だ。
(まぁ、そうはいっても一応は確かめようかね)
そう心中で呟いて鍵は血痕の跡を歩き始める。
最中、ククッと自嘲気味の笑みを浮かべながら。その顔が一瞬泣いているように見えたのは気のせいだっただろうか。
最中、ククッと自嘲気味の笑みを浮かべながら。その顔が一瞬泣いているように見えたのは気のせいだっただろうか。
「もう、止まれないんだ。貫くなら最後までってな」
優しさに溢れていた少年は修羅となりて敵を狩る。血塗られた道をひたすら歩くのみ。
願いはただ一つ。大切な少女達を生かすこと。この願いは自分一人のエゴだけど。
願いはただ一つ。大切な少女達を生かすこと。この願いは自分一人のエゴだけど。
「――――――殺す」
最後のつぶやきは誰にも聞こえず。ただ風に吹かれて飛んでいった。
「幾らでも罵ってくれてもいい、俺はみんなを……」
修羅となった少年の物語は続く、正義の少年の物語は早くも潰えようとしている。
しかし。
しかし。
「――んだ」
恐怖劇はまだ始まったばかりだ。
【E-2 /1日目 黎明】
【杉崎鍵@生徒会シリーズ】
【装備】IMI デザートイーグル(6/7+1)予備マガジン×5、月詠の太刀@魔法先生ネギま!
【所持品】:支給品一式×2、空のマガジン、不明支給品0~4
【状態】:疲労(中)
【思考・行動】
1:大切な人達を護るために殺し合いに乗る 。
2:クロノ・ハラオウンを追う。
【装備】IMI デザートイーグル(6/7+1)予備マガジン×5、月詠の太刀@魔法先生ネギま!
【所持品】:支給品一式×2、空のマガジン、不明支給品0~4
【状態】:疲労(中)
【思考・行動】
1:大切な人達を護るために殺し合いに乗る 。
2:クロノ・ハラオウンを追う。
【月詠の太刀@魔法先生ネギま!】
月詠が使っている太刀。長いのと短いのがセットとなっている。
夕凪と打ち合えるくらいだから業物なのだろう。
月詠が使っている太刀。長いのと短いのがセットとなっている。
夕凪と打ち合えるくらいだから業物なのだろう。
【クロノ・ハラオウン@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:疲労(大) 、空虚と契約、右手首喪失、魔力消費(中)、出血多量
[装備]:空虚@永遠のアセリア、斬られた右手首、スタングレネード×3
[道具]:支給品一式、不明支給品0~1
[思考・状況]
基本:正義を貫く
1:出血を止める。
2:仲間との合流
[状態]:疲労(大) 、空虚と契約、右手首喪失、魔力消費(中)、出血多量
[装備]:空虚@永遠のアセリア、斬られた右手首、スタングレネード×3
[道具]:支給品一式、不明支給品0~1
[思考・状況]
基本:正義を貫く
1:出血を止める。
2:仲間との合流
【スタングレネード】
爆音と閃光を発する手榴弾。非殺傷で安全だね☆
爆音と閃光を発する手榴弾。非殺傷で安全だね☆
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