元々ルイージの中で渦巻くマイナスの感情は、とうの昔に限界を突き抜けていた。
全ての存在を信じられなくなったその心は、破裂寸前まで追い詰められていた。
そして、最後のきっかけとなったのはクマトラだった。
殺人を犯したクマトラが受け入れられている光景を前にして……爆発した。
全ての存在を信じられなくなったその心は、破裂寸前まで追い詰められていた。
そして、最後のきっかけとなったのはクマトラだった。
殺人を犯したクマトラが受け入れられている光景を前にして……爆発した。
全身に走る強烈な寒気と吐き気。力が抜け、朦朧とし始める意識。
何もしていないのに、メタナイト達はまるで命を削られるかのような感覚に襲われていた。
(バカな……奴は一体……!?)
コキリの剣を持つ右手が震えている。メタナイトは、自分が恐怖していることを自覚した。
ルイージという男に対して、理屈抜きの、絶対的な恐怖を。
(何だ……あいつから放たれる気は……!?)
圧倒的なプレッシャーを前に、メタナイトは動けないでいた。
比較的精神の均衡を保っていた彼ですらこれである。他の3人は彼以上に圧倒されていた。
ディディーは、仲間が殺し手に回ったことのショックで。
クリスタルとクマトラは、突然突きつけられた殺人疑惑で。
それぞれの心に隙を作った彼らはそこを突かれ、完全にこの空間に呑まれてしまっていた。
(今の心を乱した三人にこれを耐えろというのは酷か!?いや、しかし……!)
これは異常すぎる。立っているだけでも精一杯、まともに戦える状態などではない。
このまま奴と正面から戦うのは危険だ――全滅の危険すらある。
では逃げるか。だが、今の全身がすくみ上がったこの状態で逃げ切れるのか?
戦うにしても逃げるにしても、クリスタルは怪我をしている。まさに進退窮まっていた。
(どうする……どうすればいい……?)
思考をフル稼働させ、手を考える。焦りに支配された頭は気付かない。
彼らしくもない弱気が、自分の脳内を占めていることに。
何もしていないのに、メタナイト達はまるで命を削られるかのような感覚に襲われていた。
(バカな……奴は一体……!?)
コキリの剣を持つ右手が震えている。メタナイトは、自分が恐怖していることを自覚した。
ルイージという男に対して、理屈抜きの、絶対的な恐怖を。
(何だ……あいつから放たれる気は……!?)
圧倒的なプレッシャーを前に、メタナイトは動けないでいた。
比較的精神の均衡を保っていた彼ですらこれである。他の3人は彼以上に圧倒されていた。
ディディーは、仲間が殺し手に回ったことのショックで。
クリスタルとクマトラは、突然突きつけられた殺人疑惑で。
それぞれの心に隙を作った彼らはそこを突かれ、完全にこの空間に呑まれてしまっていた。
(今の心を乱した三人にこれを耐えろというのは酷か!?いや、しかし……!)
これは異常すぎる。立っているだけでも精一杯、まともに戦える状態などではない。
このまま奴と正面から戦うのは危険だ――全滅の危険すらある。
では逃げるか。だが、今の全身がすくみ上がったこの状態で逃げ切れるのか?
戦うにしても逃げるにしても、クリスタルは怪我をしている。まさに進退窮まっていた。
(どうする……どうすればいい……?)
思考をフル稼働させ、手を考える。焦りに支配された頭は気付かない。
彼らしくもない弱気が、自分の脳内を占めていることに。
「……クリスタル」
ふいにディディーが立ち上がり、そう口にした。
その手に木槌を構えて、真っ直ぐにルイージのほうを見据える。
「あんたがディクシーを殺したかどうかは、ひとまず置いとく。
とりあえず……さっきは助けてくれてありがと」
「!! ディディー……!」
そう言ったディディーの横顔には、強い意志と覚悟の表情があった。
「ディディー、お前まさか……」
「メタナイト、悪いけど……あとは頼んだよ」
ふいにディディーが立ち上がり、そう口にした。
その手に木槌を構えて、真っ直ぐにルイージのほうを見据える。
「あんたがディクシーを殺したかどうかは、ひとまず置いとく。
とりあえず……さっきは助けてくれてありがと」
「!! ディディー……!」
そう言ったディディーの横顔には、強い意志と覚悟の表情があった。
「ディディー、お前まさか……」
「メタナイト、悪いけど……あとは頼んだよ」
ディディーは持っていた海賊のお守りを、メタナイトに投げ渡す。
その行動で、メタナイトは彼がこれから何をしようとしているかを察した。
制止の声をかけようとしたところで、彼の肩の震えが治まっていないことにも気付く。
「待て、ディディー!お前……」
彼への認識を改めねばならない。
彼はこの空気に呑まれきっていない。勇気を振り絞り、恐怖に懸命に抗っている。
その行動で、メタナイトは彼がこれから何をしようとしているかを察した。
制止の声をかけようとしたところで、彼の肩の震えが治まっていないことにも気付く。
「待て、ディディー!お前……」
彼への認識を改めねばならない。
彼はこの空気に呑まれきっていない。勇気を振り絞り、恐怖に懸命に抗っている。
ルイージの銃から、第三射が放たれようとしていた。
それより僅かに早く、ディディーは、懐からペンシルロケットを取り出す。
木槌同様、ディクシーが持っていたものだ。二発あるうちの一発を、ルイージに向けて撃ち放つ。
同時に、ルイージの銃から、光弾が撃ちだされる。
それより僅かに早く、ディディーは、懐からペンシルロケットを取り出す。
木槌同様、ディクシーが持っていたものだ。二発あるうちの一発を、ルイージに向けて撃ち放つ。
同時に、ルイージの銃から、光弾が撃ちだされる。
両者のちょうど中間部分で、光弾とロケットはぶつかり、そして――
轟音と共に、爆発が巻き起こった。
光と煙が、彼らとルイージの互いの視界を遮断する。
光と煙が、彼らとルイージの互いの視界を遮断する。
「今だ、みんな逃げて!」
そう叫ぶと、ディディーは木槌を片手に爆煙の中へ――その向こう側のルイージのもとへと駆け出した。
「なっ……おい、よせディディー!」
「クマトラ!……我々は逃げるぞ」
後を次いで走り出そうとするクマトラを、メタナイトは制止する。
「なんだと!?てめぇ、あいつを見捨てる気か!?」
「今の我々では戦えん……わかっているはずだ。ディディーの覚悟を無駄にする気か!!」
クマトラは言い返せなかった。今の状態ではPSIを使うことすらままならないのだ。
しかし、かと言ってこのまま逃げ出していいのか?
「ぐ……っ」
クリスタルに視線を移す。怪我をしているし、何より今の彼女は精神的に危うすぎる。
どういう選択を取るにしても、彼女を安全な場所まで避難させなくてはならない。
そして、彼女を引っ張っていけるのは自分だけだ。メタナイトの一頭身の身体では理がある。
「クリスタル、立てるな!」
クリスタルは答えない。放心状態に陥っているようだ。
「ちっ……しっかりしろ、おい!」
強引に手を引っ張り立ち上がらせ、肩を貸し共に走り出す。
「ディディー……すまない!」
ディディー一人を残して、メタナイト達はその場から駆け出した。
そう叫ぶと、ディディーは木槌を片手に爆煙の中へ――その向こう側のルイージのもとへと駆け出した。
「なっ……おい、よせディディー!」
「クマトラ!……我々は逃げるぞ」
後を次いで走り出そうとするクマトラを、メタナイトは制止する。
「なんだと!?てめぇ、あいつを見捨てる気か!?」
「今の我々では戦えん……わかっているはずだ。ディディーの覚悟を無駄にする気か!!」
クマトラは言い返せなかった。今の状態ではPSIを使うことすらままならないのだ。
しかし、かと言ってこのまま逃げ出していいのか?
「ぐ……っ」
クリスタルに視線を移す。怪我をしているし、何より今の彼女は精神的に危うすぎる。
どういう選択を取るにしても、彼女を安全な場所まで避難させなくてはならない。
そして、彼女を引っ張っていけるのは自分だけだ。メタナイトの一頭身の身体では理がある。
「クリスタル、立てるな!」
クリスタルは答えない。放心状態に陥っているようだ。
「ちっ……しっかりしろ、おい!」
強引に手を引っ張り立ち上がらせ、肩を貸し共に走り出す。
「ディディー……すまない!」
ディディー一人を残して、メタナイト達はその場から駆け出した。
メタナイトは自分に言い聞かせる。他に手はなかった、と。
逃げるにしても戦うにしても、ネガティブゾーン下での今のこの状況はあまりに不利すぎる。
足止めが、時間稼ぎが必要だった。
「死ぬな、ディディー……!」
覚悟を決めたディディーなら、少なくとも今の自分よりは戦えるはずだ。勝てないまでも――
逃げるにしても戦うにしても、ネガティブゾーン下での今のこの状況はあまりに不利すぎる。
足止めが、時間稼ぎが必要だった。
「死ぬな、ディディー……!」
覚悟を決めたディディーなら、少なくとも今の自分よりは戦えるはずだ。勝てないまでも――
――勝てない……?勝てなければどうなる?
その先に待つは――殺される運命のみ。
それでも逃げるのか?彼が殺されるのをわかりながら、逃げ出すのか?
……いや、違う。ディディーとルイージは元々は仲間だ。
そう……ディディーの言葉がルイージに届く、僅かな可能性に賭けるしかない。
その先に待つは――殺される運命のみ。
それでも逃げるのか?彼が殺されるのをわかりながら、逃げ出すのか?
……いや、違う。ディディーとルイージは元々は仲間だ。
そう……ディディーの言葉がルイージに届く、僅かな可能性に賭けるしかない。
メタナイトは繰り返し、自分にそう言い聞かせた。
ルイージはもう説得など通じない……最初に下した、自分の判断も棚に上げて。
ルイージはもう説得など通じない……最初に下した、自分の判断も棚に上げて。
※ ※ ※ ※ ※
「う、うわぁっ!?」
メタナイト達がディディーに背を向け逃げていった、ほぼ直後。
ディディーは震えの治まりきっていない足をもつらせ、盛大に転んだ。
「う、ぅぅ……なんだよこれ……」
力が抜けていく。身体が重い。強烈な睡魔が襲い掛かる。
これがネガティブゾーンの効力だ。空間内にいる者達に、ありとあらゆるマイナスの効果を与える。
意志の弱い者なら、意識を保つことすら許されなかっただろう。
(くそっ、しっかりしろディディー!!)
それでも立ち上がり抗えるのは、仲間のためか、彼自身の意地か。
首をぶんぶんと振り、弱気を振り払う。
「!!」
動物的本能が、危険を察知する。即座に、ディディーは横っ飛びでその場を逃れた。
次の瞬間、キラーランスがその場所目掛けて突きつけられた。
「く――っ!」
槍先はディディーの身体を掠め、そのまま地面に突き立つ。
その一瞬に、隙が生まれる――この槍を無力化させるチャンスだ。
「こンのぉぉぉっ!!」
槍目掛けて、木槌を思い切り振り下ろす。
重量に任せたその一撃が、細身であるキラーランスをへし折った。
「よし……っ!?」
そう呟き顔を上げたディディーの視界に、槍の持ち主の姿が映し出される。
その瞬間、ディディーの体は蛇に睨まれた蛙の如く硬直した。
持ち主――ルイージの、凍りつくような眼差しを、その身に受けて。
遠目では伝わりきらなかった彼の恐ろしい姿を、目の当たりにして。
「う……わぁぁっ……がっ!?」
怯えの声があがり切る前に、腹に重い衝撃が、ルイージの足により蹴り込まれる。
ディディーの軽い身体は、それだけでたやすく5、6メートル近く吹っ飛ばされた。
「がは……げ……ほっ……」
ネガティブゾーンの効力で、受けるダメージもふっ飛ばされる強さも跳ね上がっている。
まともに蹴りを受け、ディディーは咳き込みながらその場に蹲った。
ルイージがゆっくりと歩いてくる。右手にはこちらに向けられた銃、左手には木槌――
そう、今の蹴りで手放してしまった木槌が、いつの間にか彼に拾われ、その左手に握られていた。
「ル、ルイージ……お前何やってんのさ……!」
恐怖を抑えて、ディディーは必死でルイージに呼びかけた。
メタナイト達がディディーに背を向け逃げていった、ほぼ直後。
ディディーは震えの治まりきっていない足をもつらせ、盛大に転んだ。
「う、ぅぅ……なんだよこれ……」
力が抜けていく。身体が重い。強烈な睡魔が襲い掛かる。
これがネガティブゾーンの効力だ。空間内にいる者達に、ありとあらゆるマイナスの効果を与える。
意志の弱い者なら、意識を保つことすら許されなかっただろう。
(くそっ、しっかりしろディディー!!)
それでも立ち上がり抗えるのは、仲間のためか、彼自身の意地か。
首をぶんぶんと振り、弱気を振り払う。
「!!」
動物的本能が、危険を察知する。即座に、ディディーは横っ飛びでその場を逃れた。
次の瞬間、キラーランスがその場所目掛けて突きつけられた。
「く――っ!」
槍先はディディーの身体を掠め、そのまま地面に突き立つ。
その一瞬に、隙が生まれる――この槍を無力化させるチャンスだ。
「こンのぉぉぉっ!!」
槍目掛けて、木槌を思い切り振り下ろす。
重量に任せたその一撃が、細身であるキラーランスをへし折った。
「よし……っ!?」
そう呟き顔を上げたディディーの視界に、槍の持ち主の姿が映し出される。
その瞬間、ディディーの体は蛇に睨まれた蛙の如く硬直した。
持ち主――ルイージの、凍りつくような眼差しを、その身に受けて。
遠目では伝わりきらなかった彼の恐ろしい姿を、目の当たりにして。
「う……わぁぁっ……がっ!?」
怯えの声があがり切る前に、腹に重い衝撃が、ルイージの足により蹴り込まれる。
ディディーの軽い身体は、それだけでたやすく5、6メートル近く吹っ飛ばされた。
「がは……げ……ほっ……」
ネガティブゾーンの効力で、受けるダメージもふっ飛ばされる強さも跳ね上がっている。
まともに蹴りを受け、ディディーは咳き込みながらその場に蹲った。
ルイージがゆっくりと歩いてくる。右手にはこちらに向けられた銃、左手には木槌――
そう、今の蹴りで手放してしまった木槌が、いつの間にか彼に拾われ、その左手に握られていた。
「ル、ルイージ……お前何やってんのさ……!」
恐怖を抑えて、ディディーは必死でルイージに呼びかけた。
何やっているか?見てわかるだろう。僕は殺し合いに乗ったんだ。
「こんな、こんな殺し合いなんかして、どうなるってんだよ!?」
自分が危なくなったから、攻撃をやめて口説き落としにきたわけ?反吐が出るよ。
ワリオもそうだったな。最初から僕を人殺しに乗ったと思い込んでた。
その態度がムカついたから、ちょっとからかってやったら、声を裏返してビビってさ。
まあ結果的に、僕が殺し合いに乗ったのは事実だからその辺はどうでもいい。
だいたい、僕が人を殺す意味なんて、ちょっと考えれば猿でもわかるだろうに。
「デイジー姫を生き返らせるため!?そのためにあいつらの言いなりになるのかよ!?
そんなことして生き返っても、デイジー姫が喜ぶと思ってんの!?」
思うわけがない。デイジーを殺したあの連中の言いなりになるのだって、嫌で仕方ないに決まってる。
それでも、あんな無惨な死に方を――二度も三度もさせられるよりはずっとマシだ。
「僕だって、ディクシーを殺された……
でも、誰かを殺してまで生き返そうだなんて思わない!!」
……そうか。君も大切な彼女を殺されたのか。辛かっただろう。
そうだよね、僕も最初はそう思ってた。何も知らなければ、そう考えただろう。
前の時と同じように、みんなと協力してあいつらと戦う道を選んで……
……前の時?前の時って何だっけ……いや、今はそれはどうでもいい。
「見損なったよ、とんだ弱虫だ!」
涙目になりながらも、そこには怒りと蔑みの光が灯っている。
ああそうだ。弱虫で臆病者だ。あんな見え透いた餌に釣られて人を殺す、どうしようもない屑さ。
今さら何を言ってるんだコイツは?お前達みんな、ずっとそういう目で僕を見てきたくせに。
最初から僕が人を殺すと判断して、疑って、恐れて、拒んでたくせに。
目を見開いてよく見ろ。これがお前達が疑ってた……いや、お前達が望んだ僕の姿だ。
「何やってんだよ……目を覚ましてよ……」
違う。目が覚めたんだよ。
二番手で燻っている自分がどれほど憐れで惨めで滑稽だったか、ようやくわかったんだ。
知りたくなかった。知らなければきっと幸せだった。
「く、来るな……来ないでよっ……!」
ディディーの声から、徐々に怯えの色が強くなっていく。
大丈夫だ、もう怖がることはない。一瞬で終わらせて――
「こんな、こんな殺し合いなんかして、どうなるってんだよ!?」
自分が危なくなったから、攻撃をやめて口説き落としにきたわけ?反吐が出るよ。
ワリオもそうだったな。最初から僕を人殺しに乗ったと思い込んでた。
その態度がムカついたから、ちょっとからかってやったら、声を裏返してビビってさ。
まあ結果的に、僕が殺し合いに乗ったのは事実だからその辺はどうでもいい。
だいたい、僕が人を殺す意味なんて、ちょっと考えれば猿でもわかるだろうに。
「デイジー姫を生き返らせるため!?そのためにあいつらの言いなりになるのかよ!?
そんなことして生き返っても、デイジー姫が喜ぶと思ってんの!?」
思うわけがない。デイジーを殺したあの連中の言いなりになるのだって、嫌で仕方ないに決まってる。
それでも、あんな無惨な死に方を――二度も三度もさせられるよりはずっとマシだ。
「僕だって、ディクシーを殺された……
でも、誰かを殺してまで生き返そうだなんて思わない!!」
……そうか。君も大切な彼女を殺されたのか。辛かっただろう。
そうだよね、僕も最初はそう思ってた。何も知らなければ、そう考えただろう。
前の時と同じように、みんなと協力してあいつらと戦う道を選んで……
……前の時?前の時って何だっけ……いや、今はそれはどうでもいい。
「見損なったよ、とんだ弱虫だ!」
涙目になりながらも、そこには怒りと蔑みの光が灯っている。
ああそうだ。弱虫で臆病者だ。あんな見え透いた餌に釣られて人を殺す、どうしようもない屑さ。
今さら何を言ってるんだコイツは?お前達みんな、ずっとそういう目で僕を見てきたくせに。
最初から僕が人を殺すと判断して、疑って、恐れて、拒んでたくせに。
目を見開いてよく見ろ。これがお前達が疑ってた……いや、お前達が望んだ僕の姿だ。
「何やってんだよ……目を覚ましてよ……」
違う。目が覚めたんだよ。
二番手で燻っている自分がどれほど憐れで惨めで滑稽だったか、ようやくわかったんだ。
知りたくなかった。知らなければきっと幸せだった。
「く、来るな……来ないでよっ……!」
ディディーの声から、徐々に怯えの色が強くなっていく。
大丈夫だ、もう怖がることはない。一瞬で終わらせて――
手に持った木槌を振り上げる。
そして、それをディディーに向け振り下ろそうとした一瞬――手の動きが止まった。
一瞬、ほんの一瞬だけ。
それは、まだ自分の中のどこかにある迷いのせいか。
それとも、自分と似た境遇に立たされながらも屈しない彼の姿に、負い目を感じたせいか。
そして、それをディディーに向け振り下ろそうとした一瞬――手の動きが止まった。
一瞬、ほんの一瞬だけ。
それは、まだ自分の中のどこかにある迷いのせいか。
それとも、自分と似た境遇に立たされながらも屈しない彼の姿に、負い目を感じたせいか。
一秒にすら満たない短い時間が、妙に長く感じられた。
僕は――
僕は――
「う……わあああああああああああ!!!!!」
僕の思考がその先に至る前に、ディディーの絶叫がそれを遮断した。
どうやら心が恐怖に耐えられなくなったらしい。
懐からペンシルロケットを取り出すと、それを僕に向けて発射しようとしてくる。
だがその行動に移られる前に、僕は反射的にレイガンの引き金を引いた。
次の瞬間、銃声が轟き――放たれた光弾が、ディディーの腕を貫く。
ロケットは、ディディーの身体から切り離された。そのロケットを握る、彼の右手ごと。
「ぎゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁああああッ!!!」
右手を失い、絶叫するディディー。これで、もう彼に抵抗する力は残っていない。
「うああああああっ!!嫌だ、死にたくない!!誰か、誰か助けてぇぇぇぇ!!!」
先までの強気はどこへやら、箍が外れたように泣き叫ぶ。ずっと怖いのを我慢していたのだろう。
「ドンキー!ディクシー!マリオ、ピーチ姫、ヨッシー、クッパでもワリオでもいいっ!!
助けて!誰かっ、たすけてぇぇぇぇぇぇ!!!」
己の醜態を隠そうともせず助けを求める、その中に僕の名はない。
当たり前か。彼を殺そうとしているのは他ならない僕なんだし。
もっとも、そうでなくとも脇役で『どうでもいい存在』の僕の名を呼ぶとは思えないけどね。
……まあいいや。そろそろ黙ってもらうよ。甲高い猿の鳴き声が耳障りでしょうがない。
ディディー、君はよく頑張ったよ。せめてもの情け、すぐに終わらせる。
今度こそ躊躇うことなく、彼の頭目掛けて木槌を振り下ろした。
トマトか何かが潰れるような音と共に、不愉快な感覚が木槌を通して手に伝わってくる。
どうやら心が恐怖に耐えられなくなったらしい。
懐からペンシルロケットを取り出すと、それを僕に向けて発射しようとしてくる。
だがその行動に移られる前に、僕は反射的にレイガンの引き金を引いた。
次の瞬間、銃声が轟き――放たれた光弾が、ディディーの腕を貫く。
ロケットは、ディディーの身体から切り離された。そのロケットを握る、彼の右手ごと。
「ぎゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁああああッ!!!」
右手を失い、絶叫するディディー。これで、もう彼に抵抗する力は残っていない。
「うああああああっ!!嫌だ、死にたくない!!誰か、誰か助けてぇぇぇぇ!!!」
先までの強気はどこへやら、箍が外れたように泣き叫ぶ。ずっと怖いのを我慢していたのだろう。
「ドンキー!ディクシー!マリオ、ピーチ姫、ヨッシー、クッパでもワリオでもいいっ!!
助けて!誰かっ、たすけてぇぇぇぇぇぇ!!!」
己の醜態を隠そうともせず助けを求める、その中に僕の名はない。
当たり前か。彼を殺そうとしているのは他ならない僕なんだし。
もっとも、そうでなくとも脇役で『どうでもいい存在』の僕の名を呼ぶとは思えないけどね。
……まあいいや。そろそろ黙ってもらうよ。甲高い猿の鳴き声が耳障りでしょうがない。
ディディー、君はよく頑張ったよ。せめてもの情け、すぐに終わらせる。
今度こそ躊躇うことなく、彼の頭目掛けて木槌を振り下ろした。
トマトか何かが潰れるような音と共に、不愉快な感覚が木槌を通して手に伝わってくる。
「ははっ……ははははは……」
頭が潰れ動かなくなったディディーを前に、僕の口から笑いが漏れる。
なんで笑ってるんだろう。別に可笑しくも楽しくもないのに。
どうでもいいや。僕はもう、戻れないんだから。
頭が潰れ動かなくなったディディーを前に、僕の口から笑いが漏れる。
なんで笑ってるんだろう。別に可笑しくも楽しくもないのに。
どうでもいいや。僕はもう、戻れないんだから。
※ ※ ※ ※ ※
「!!」
嫌な予感が過ぎり、クマトラは走ってきた道を振り返る。
胸騒ぎがした。置いてきたディディーの身に何かあったのか。
いや……何もないはずがない。
「くそっ……!!」
クマトラの足が止まった。
「やっぱり……放っておけるか……!」
「クマトラ!ディディーの覚悟を無駄にする気か!!」
「しかし――!?」
クマトラがメタナイトに反論するより先に。
「クリスタル!?どうした!?」
クリスタルが、突如わき腹を押さえ座り込んでいた。見れば、そこからかなりの量の血が噴出している。
ルイージに撃たれた傷は思いの外深手だったらしい。このまま無理に走り続ければ、傷に響くだろう。
嫌な予感が過ぎり、クマトラは走ってきた道を振り返る。
胸騒ぎがした。置いてきたディディーの身に何かあったのか。
いや……何もないはずがない。
「くそっ……!!」
クマトラの足が止まった。
「やっぱり……放っておけるか……!」
「クマトラ!ディディーの覚悟を無駄にする気か!!」
「しかし――!?」
クマトラがメタナイトに反論するより先に。
「クリスタル!?どうした!?」
クリスタルが、突如わき腹を押さえ座り込んでいた。見れば、そこからかなりの量の血が噴出している。
ルイージに撃たれた傷は思いの外深手だったらしい。このまま無理に走り続ければ、傷に響くだろう。
「大丈夫か、すぐに回復を……」
「来ないで!!」
クリスタルの叫び声が響いた。
「クリスタル……!?」
突然の拒絶の言葉に、クマトラは戸惑いを隠せない。
クリスタルの声に、その目に疑念が込められているのを、はっきりと感じた。
「クマトラ……ファルコを殺したって……本当……?」
「そ、それは……!」
言葉に詰まるクマトラ。それは、ルイージの言葉が真実であることを物語っていた。
「答えて。ファルコとあの女の子を殺したのは、あなた……?」
「待て、今はそんなことを言っている場合では……」
「答えてッ!!」
メタナイトの制止はクリスタルの叫びで打ち消される。
「……そう、だ」
少しの沈黙の後、クマトラは真実を口にした。
「女の子……モナを殺したのはあの鳥野郎……ファルコって奴で。
そして、ファルコを殺したのは……オレだ」
気まずい空気が流れるのは避けられなかった。だが、隠し続けることもできない。
「ああするしかなかった……あいつは殺し合いに乗ってて、オレももう少しで……」
正当防衛だった。仕方のないことだった。もし殺していなければ、逆に自分が殺されていただろう。
だが、そんなクマトラの都合などクリスタルにはわからない。
「そう言って、あの恐竜と同じように殺したの……?」
ヨッシーの無惨な姿がクリスタルの脳裏を走る。いや、ヨッシーだけではない。
「あの、絞殺された女の子も……あなたが殺したの……?」
「!?待て、あれはオレとは違――」
「モナって子も……あの人はあなたが殺したって言ってた……!」
「誤解だ!あいつが勝手に勘違いして……」
「仕方がないからって!正当防衛だからって、みんな同じように殺したの!?
あの男と同じように!!」
「来ないで!!」
クリスタルの叫び声が響いた。
「クリスタル……!?」
突然の拒絶の言葉に、クマトラは戸惑いを隠せない。
クリスタルの声に、その目に疑念が込められているのを、はっきりと感じた。
「クマトラ……ファルコを殺したって……本当……?」
「そ、それは……!」
言葉に詰まるクマトラ。それは、ルイージの言葉が真実であることを物語っていた。
「答えて。ファルコとあの女の子を殺したのは、あなた……?」
「待て、今はそんなことを言っている場合では……」
「答えてッ!!」
メタナイトの制止はクリスタルの叫びで打ち消される。
「……そう、だ」
少しの沈黙の後、クマトラは真実を口にした。
「女の子……モナを殺したのはあの鳥野郎……ファルコって奴で。
そして、ファルコを殺したのは……オレだ」
気まずい空気が流れるのは避けられなかった。だが、隠し続けることもできない。
「ああするしかなかった……あいつは殺し合いに乗ってて、オレももう少しで……」
正当防衛だった。仕方のないことだった。もし殺していなければ、逆に自分が殺されていただろう。
だが、そんなクマトラの都合などクリスタルにはわからない。
「そう言って、あの恐竜と同じように殺したの……?」
ヨッシーの無惨な姿がクリスタルの脳裏を走る。いや、ヨッシーだけではない。
「あの、絞殺された女の子も……あなたが殺したの……?」
「!?待て、あれはオレとは違――」
「モナって子も……あの人はあなたが殺したって言ってた……!」
「誤解だ!あいつが勝手に勘違いして……」
「仕方がないからって!正当防衛だからって、みんな同じように殺したの!?
あの男と同じように!!」
クマトラは再び言葉を詰まらせる。
最後まで信じると決めたクリスタルに疑われ拒絶された事実が、彼女の心に容赦なく傷をつける。
最後まで信じると決めたクリスタルに疑われ拒絶された事実が、彼女の心に容赦なく傷をつける。
――お前『も』人を殺したくせに
後を次いで、ルイージの言葉も脳内に蘇り、彼女の心の隙間に入り込んでくる。
お前『も』。オレは同じなのか?人を殺したと言う意味では、自分もあいつらも同じ――?
ならばオレも、もう人間じゃないのか……?
「いい加減にしろ!そんな話は後でもできる、今は――」
険悪なムードに陥る二人を一喝するメタナイト。
だがその言葉を最後まで言い終わる前に――
お前『も』。オレは同じなのか?人を殺したと言う意味では、自分もあいつらも同じ――?
ならばオレも、もう人間じゃないのか……?
「いい加減にしろ!そんな話は後でもできる、今は――」
険悪なムードに陥る二人を一喝するメタナイト。
だがその言葉を最後まで言い終わる前に――
背中に、寒気が走った。
ほんの少し前まで感じていた、絶対的な恐怖感が。
ほんの少し前まで感じていた、絶対的な恐怖感が。
(なん……だと……!?)
背後を、逃げてきた方角を振り返る。
何かが、まっすぐに飛んでくるのが見えた。あれは――
「いかん!!みんな散れッ!!」
背後を、逃げてきた方角を振り返る。
何かが、まっすぐに飛んでくるのが見えた。あれは――
「いかん!!みんな散れッ!!」
ペンシルロケットが、3人のいる場所目掛けて飛んでくる。
3人は慌ててそれぞれが散ってその場から離れた。
ロケットは彼らのいなくなった中央部に突き立ち、そのまま爆発を起こす。
続いて、周囲が爆煙で包み込まれる。ディディーが放った時と同じだ。
3人は慌ててそれぞれが散ってその場から離れた。
ロケットは彼らのいなくなった中央部に突き立ち、そのまま爆発を起こす。
続いて、周囲が爆煙で包み込まれる。ディディーが放った時と同じだ。
「くっ……二人とも、無事か――ッ!?」
煙で見えなくなった二人の安否を確認する間もなく。
寒気が――ネガティブゾーンの効果が、メタナイトを蝕み始める。
(馬鹿な、早すぎる……もう追いついてきたのか――!?)
全身を震わせる彼に隙が生まれ――
煙で見えなくなった二人の安否を確認する間もなく。
寒気が――ネガティブゾーンの効果が、メタナイトを蝕み始める。
(馬鹿な、早すぎる……もう追いついてきたのか――!?)
全身を震わせる彼に隙が生まれ――
そこを、「二発目のロケット」が襲い掛かる。
ロケット――そう、身体そのものをロケットと変えて。
緑の弾丸が炎を吹きながら、真っ直ぐにメタナイトに向けて突っ込んでくる。
――ルイージロケットだ。
「がぁ――ッ!?」
それを認識した時は既に遅し。メタナイトは為す術なく、そのロケットの直撃を身体に受ける。
衝撃は凄まじく、彼の軽い身体は容易に20メートル以上もの距離を吹っ飛んだ。
ルイージロケットの威力は明らかに異常だった。暴発時を含めた、本来の威力を凌駕している。
ルイージは、普段使用する時を遥かに超えた、限界以上のパワーを溜めた上で放ったのだ。
ここまでのパワーを溜めて放てば、万が一的を外した場合、自身に返ってくるダメージも計り知れなかっただろう。
だが、ルイージは一切の躊躇いなくそれを放った。
今の彼は、自分の身が傷つくことすら恐れない、殺人マシーンなのだから。
ロケット――そう、身体そのものをロケットと変えて。
緑の弾丸が炎を吹きながら、真っ直ぐにメタナイトに向けて突っ込んでくる。
――ルイージロケットだ。
「がぁ――ッ!?」
それを認識した時は既に遅し。メタナイトは為す術なく、そのロケットの直撃を身体に受ける。
衝撃は凄まじく、彼の軽い身体は容易に20メートル以上もの距離を吹っ飛んだ。
ルイージロケットの威力は明らかに異常だった。暴発時を含めた、本来の威力を凌駕している。
ルイージは、普段使用する時を遥かに超えた、限界以上のパワーを溜めた上で放ったのだ。
ここまでのパワーを溜めて放てば、万が一的を外した場合、自身に返ってくるダメージも計り知れなかっただろう。
だが、ルイージは一切の躊躇いなくそれを放った。
今の彼は、自分の身が傷つくことすら恐れない、殺人マシーンなのだから。
「メタナイトッ!?」
吹っ飛んだメタナイトに、クマトラの視線が向く。
それが――彼女にとって致命傷になった。
吹っ飛んだメタナイトに、クマトラの視線が向く。
それが――彼女にとって致命傷になった。
「がっ……!?」
クマトラの頭を、誰かの右手が掴んだ。
誰が?言うまでもない、ロケットを撃ち出し、今しがたメタナイトを倒したあの緑のヒゲ。
彼に対し絶対的な隙を見せたことを後悔する間もなく……
掴まれた彼の手の中で、自分の頭蓋骨がぎしぎしと悲鳴をあげる。
「ぐぁ……ッ!?」
「クマトラ!?」
「バカ、何してる!!逃げろ!!コイツがオレに気を取られてるうちに――」
誰が?言うまでもない、ロケットを撃ち出し、今しがたメタナイトを倒したあの緑のヒゲ。
彼に対し絶対的な隙を見せたことを後悔する間もなく……
掴まれた彼の手の中で、自分の頭蓋骨がぎしぎしと悲鳴をあげる。
「ぐぁ……ッ!?」
「クマトラ!?」
「バカ、何してる!!逃げろ!!コイツがオレに気を取られてるうちに――」
その言葉が最後まで終わることなく。
クマトラの全身に、激しい電撃が襲い掛かった。
「うああぁぁぁぁ―――ッ!!!」
クマトラの全身に、激しい電撃が襲い掛かった。
「うああぁぁぁぁ―――ッ!!!」
――サンダーハンド。
マメーリア王国での戦いの最中、ルイージが手にした力。
その雷の力を一切の手加減なしに、十分な殺意を込めてクマトラに流し込んだ。
光と火花を飛び散らせ、その中でクマトラのこの世のものとは思えぬ断末魔が響く。
痙攣する身体はまるで壊れた人形のようであり――
その雷の力を一切の手加減なしに、十分な殺意を込めてクマトラに流し込んだ。
光と火花を飛び散らせ、その中でクマトラのこの世のものとは思えぬ断末魔が響く。
痙攣する身体はまるで壊れた人形のようであり――
やがて、電撃が収まる。
クマトラは自分が殺した鳥男と同じように、黒コゲとなっていた。
誰の目にも、まともに生を続けられる状態ではない。
だがルイージはさらなるとどめとして、もう片方の手で木槌を彼女の首元目掛け横薙ぎに振るう。
その一撃は、クマトラの首と胴体を容易に分断した。
「う……ああ……」
クリスタルからは、もはや全ての気力が失われていた。
このネガティブゾーン下で、惨劇の一部始終を実演されたのだ。精神を正常に保つことなど不可能だった。
抵抗も、逃亡も、何も頭に浮かんでこない。あるのは純粋な恐怖だけ。
いや、もう一つあるとすれば……
クマトラは自分が殺した鳥男と同じように、黒コゲとなっていた。
誰の目にも、まともに生を続けられる状態ではない。
だがルイージはさらなるとどめとして、もう片方の手で木槌を彼女の首元目掛け横薙ぎに振るう。
その一撃は、クマトラの首と胴体を容易に分断した。
「う……ああ……」
クリスタルからは、もはや全ての気力が失われていた。
このネガティブゾーン下で、惨劇の一部始終を実演されたのだ。精神を正常に保つことなど不可能だった。
抵抗も、逃亡も、何も頭に浮かんでこない。あるのは純粋な恐怖だけ。
いや、もう一つあるとすれば……
――バカ、何してる!!逃げろ!!コイツがオレに気を取られてるうちに――
最後まで自分の身を案じ、自分を信じてくれていたクマトラ。
彼女を疑い、拒絶したことへの後悔。
もし自分が彼女を信じていれば、この男からも逃げ切れたかもしれない。
自分のせいで、全てが台無しになった。そう、ディディーの覚悟すらも。
ルイージが、自分に向けてゆっくりと歩み寄ってくる。
彼の手には、今クマトラの息の根を止めたばかりの血濡れの木槌が握られていた。
ディディーが持っていたそれを彼が手にしていることで、全てを察することはできた。
彼女を疑い、拒絶したことへの後悔。
もし自分が彼女を信じていれば、この男からも逃げ切れたかもしれない。
自分のせいで、全てが台無しになった。そう、ディディーの覚悟すらも。
ルイージが、自分に向けてゆっくりと歩み寄ってくる。
彼の手には、今クマトラの息の根を止めたばかりの血濡れの木槌が握られていた。
ディディーが持っていたそれを彼が手にしていることで、全てを察することはできた。
彼の心が、見える。何もない。この人の心は、空っぽだ。
「あ……ああ……」
ただ、一つだけ確かなことがある。
その目に灯るは、自分に真っ直ぐに向けられた――殺意。
ただ、一つだけ確かなことがある。
その目に灯るは、自分に真っ直ぐに向けられた――殺意。
「あああああああああああああッ!!!」
このまま、彼女が意識を失ってしまえばどれほど幸せだっただろう。
だが不幸にも、ルイージの手にする木槌が彼女の頭を粉砕し、絶命する瞬間まで。
クリスタルはその身を存分に、恐怖と絶望に苛まれた。
だが不幸にも、ルイージの手にする木槌が彼女の頭を粉砕し、絶命する瞬間まで。
クリスタルはその身を存分に、恐怖と絶望に苛まれた。
最初のロケットが撃ち込まれてから、実に24秒。
彼がこの場に現れて、惨劇が始まってからほんの24秒で、全てが終わった。
彼がこの場に現れて、惨劇が始まってからほんの24秒で、全てが終わった。
3人とも、いや先のディディーを含めて、彼らはただの一般人ではない。
多かれ少なかれ修羅場を潜り抜けてきた、相応の実力を持った戦士達だったはずだ。
その彼らが、自分達の力を全く発揮できることもなく、抵抗すらままならずに一方的に蹂躙された。
優しさを壊された、たった一人の殺人マシーンによって。
多かれ少なかれ修羅場を潜り抜けてきた、相応の実力を持った戦士達だったはずだ。
その彼らが、自分達の力を全く発揮できることもなく、抵抗すらままならずに一方的に蹂躙された。
優しさを壊された、たった一人の殺人マシーンによって。
倒れた3人の持つザックから、目ぼしい支給品を漁ると、ルイージは再び獲物を探し歩き出す。
愛しい人を蘇らせるため。その無念を晴らすため。
そして、自分達の存在意義を示すために――
愛しい人を蘇らせるため。その無念を晴らすため。
そして、自分達の存在意義を示すために――
※ ※ ※ ※ ※
巨大なモニターに、バトル・ロワイアル会場の地図が映し出されている。
そこに点在する光点。生存中の参加者を示す光点だ。
それを見つめるは、黒いスーツに身を包んだ一人の男。
そこに点在する光点。生存中の参加者を示す光点だ。
それを見つめるは、黒いスーツに身を包んだ一人の男。
このゲームの主催者であり、『5の兵士』の最後の一人。
そして彼らの中で、唯一の普通の人間でもある。
そして彼らの中で、唯一の普通の人間でもある。
――ロケット団首領、サカキ。
進行するゲームを静かに見守る彼の部屋に、別室より通信が入る。
『さて、どういうことか説明してもらおうじゃないか』
ポーキーだ。別モニターに映し出された彼の目には、サカキへの疑いが色濃く出ている。
『あのギガクッパのフィギュア。あれに仕込まれた力は何だ?
あの人形にあんな力が秘められていたなんて、聞いていないんだけど』
「当然だ。私は説明していないのだからな。元々君達は、支給品の選別は我々に一任しただろう?」
何食わぬ顔で答えるサカキに、モニターの向こうのポーキーは不快感を露骨に示す。
「何か問題でも?ゲームを円滑に進行させるために用意したカンフル剤ではないか。
もっとも予想外に早く発動した上、いい効果は得られなかったようだが」
『全くだ。殺し合いを促すどころか、一部の連中の結束させるきっかけになってしまった。
せっかくの愉快な泥沼が台無しじゃないか?』
「あの泥沼を収束させるなど、誰も予測できんよ。君も最初は、あれを楽しげに見ていたじゃないか。
……それに、たかだか一騒動が治まった程度で騒ぎ立てるなど、君らしくもないな。
争いの火種はまだ幾つも残っている。ゲームの進行にも何の影響もない」
会話は淡々と続けられる。
『まあいいさ。今回は見逃してやるよ。だけど、裏切ろうなどと思うなよ』
「まさか。私の目的はこのゲームの完成……そんな必要がどこにある?」
『さて、どういうことか説明してもらおうじゃないか』
ポーキーだ。別モニターに映し出された彼の目には、サカキへの疑いが色濃く出ている。
『あのギガクッパのフィギュア。あれに仕込まれた力は何だ?
あの人形にあんな力が秘められていたなんて、聞いていないんだけど』
「当然だ。私は説明していないのだからな。元々君達は、支給品の選別は我々に一任しただろう?」
何食わぬ顔で答えるサカキに、モニターの向こうのポーキーは不快感を露骨に示す。
「何か問題でも?ゲームを円滑に進行させるために用意したカンフル剤ではないか。
もっとも予想外に早く発動した上、いい効果は得られなかったようだが」
『全くだ。殺し合いを促すどころか、一部の連中の結束させるきっかけになってしまった。
せっかくの愉快な泥沼が台無しじゃないか?』
「あの泥沼を収束させるなど、誰も予測できんよ。君も最初は、あれを楽しげに見ていたじゃないか。
……それに、たかだか一騒動が治まった程度で騒ぎ立てるなど、君らしくもないな。
争いの火種はまだ幾つも残っている。ゲームの進行にも何の影響もない」
会話は淡々と続けられる。
『まあいいさ。今回は見逃してやるよ。だけど、裏切ろうなどと思うなよ』
「まさか。私の目的はこのゲームの完成……そんな必要がどこにある?」
『ふん……ロケット団だかなんだか知らないけど、所詮お前はただの人間なんだ。
俺がその気になれば、お前なんて簡単に殺せるんだからな』
「フ……ご忠告、ありがたく受け取っておくとしよう」
その言葉を最後に、通信は切られた。
俺がその気になれば、お前なんて簡単に殺せるんだからな』
「フ……ご忠告、ありがたく受け取っておくとしよう」
その言葉を最後に、通信は切られた。
「所詮ただの人間、か……人形(フィギュア)風情が、よく言う」
(バトル・ロワイアルの完成……その言葉に偽りはないよ、ポーキー君。
だが、ただ快楽に浸ることしか考えない君では、ゲームの真の意味はわからないだろうな)
サカキは別のモニターに目を移す。そこには会場の地図が映し出されていた。
今しがた話題に出ていたギガクッパが、ほんの少し前まで暴れていたその場所に注目する。
いくつかの光点が集まっていた。戦闘行為は行われていないことは盗聴で判明している。
「あのギガクッパの暴走を抑え、正気に戻したか。
そして、あのミュウツーをも仲間に引き込むとはな……」
状況は絶望的だったはずだ。力に支配され暴走するクッパに、殺し合いに乗ったミュウツー。
どう考えても相容れる要素は一切存在しない。
彼らの戦いは、そのまま規模を拡大しさらに被害を広げる、誰もがそう予測した。
だが……ギガクッパを巡る一連の騒動は、バトル・ロワイアルの常識を根底から覆す結果を出した。
たった一人の男の介入によって。
だが、ただ快楽に浸ることしか考えない君では、ゲームの真の意味はわからないだろうな)
サカキは別のモニターに目を移す。そこには会場の地図が映し出されていた。
今しがた話題に出ていたギガクッパが、ほんの少し前まで暴れていたその場所に注目する。
いくつかの光点が集まっていた。戦闘行為は行われていないことは盗聴で判明している。
「あのギガクッパの暴走を抑え、正気に戻したか。
そして、あのミュウツーをも仲間に引き込むとはな……」
状況は絶望的だったはずだ。力に支配され暴走するクッパに、殺し合いに乗ったミュウツー。
どう考えても相容れる要素は一切存在しない。
彼らの戦いは、そのまま規模を拡大しさらに被害を広げる、誰もがそう予測した。
だが……ギガクッパを巡る一連の騒動は、バトル・ロワイアルの常識を根底から覆す結果を出した。
たった一人の男の介入によって。
「マリオ……か。なんという男だ」
彼は見事に、クッパの暴走を止めることに成功した。
それだけではない。あの冷たく閉ざされたミュウツーの心すら、彼は難なく解きほぐした。
そう……彼は全てを丸く収めてみせた。ただ一人の犠牲もなく、だ。
その戦いから逃れたはずのゼルダもまた彼らと合流し、彼らの輪の中に入った。
まるで、このマリオという男の光に導かれるかのように。
「流石だな、スターの申し子。私の睨んだ通り……いや、それ以上だよ」
サカキは素直に驚嘆する。やはり彼は、他の参加者達とは一味違う。
彼なら、自分の求める力となり得る……そんな確信すらあった。
それだけではない。あの冷たく閉ざされたミュウツーの心すら、彼は難なく解きほぐした。
そう……彼は全てを丸く収めてみせた。ただ一人の犠牲もなく、だ。
その戦いから逃れたはずのゼルダもまた彼らと合流し、彼らの輪の中に入った。
まるで、このマリオという男の光に導かれるかのように。
「流石だな、スターの申し子。私の睨んだ通り……いや、それ以上だよ」
サカキは素直に驚嘆する。やはり彼は、他の参加者達とは一味違う。
彼なら、自分の求める力となり得る……そんな確信すらあった。
続いてサカキは、地図の南西部に目を向ける。
彼が注目したのは、今しがた虐殺を繰り広げた、緑の弟を示す光点だ。
兄とは対極的に、彼の周囲の光点は一気に消失した。
彼が注目したのは、今しがた虐殺を繰り広げた、緑の弟を示す光点だ。
兄とは対極的に、彼の周囲の光点は一気に消失した。
「ルイージ……修羅の道を堕ち続けるか。皮肉なものだな」
その運命に、苦笑するサカキ。
前の大会では、愛する人が死んでもなお絶望に屈することなく、最後まで抗い続けたというのに。
「人は、環境次第でこうまで変わるか」
もっとも、元を糺せばサカキの言葉に起因するとも言えるのだが。
いずれにせよ、ルイージもまたサカキの望む力へと成長しようとしている。マリオとは違う形で――
前の大会では、愛する人が死んでもなお絶望に屈することなく、最後まで抗い続けたというのに。
「人は、環境次第でこうまで変わるか」
もっとも、元を糺せばサカキの言葉に起因するとも言えるのだが。
いずれにせよ、ルイージもまたサカキの望む力へと成長しようとしている。マリオとは違う形で――
マリオとルイージ。
まさに彼らは、光と影。
まさに彼らは、光と影。
「マリオブラザーズ……か。さて、彼らはどういった運命を辿るのか……」
この先、二人が再会した時……そこに待つものは何だろうか。
新たな惨劇か。それとも……
「どう転ぶにしても、面白くなりそうじゃないか。……なぁ?」
傍らのペルシアンの頭を撫でながら、サカキは自分の座る椅子の左後ろに直立している男に声をかける。
痩せた体、紫のオーバーオール、帽子に描かれた逆向きのLの字。
男の目には光はない。まるで人形か、あるいは死人――
「……ワルイージ君?」
前座ゲームでマーダーとして活躍し、死んだはずだった男がそこに立っていた。
サカキの言葉にピクリとも反応せず、彼の虚ろな目は一点を見つめ続けていた。
ただ一点、ルイージの生存を示す光点を。
この先、二人が再会した時……そこに待つものは何だろうか。
新たな惨劇か。それとも……
「どう転ぶにしても、面白くなりそうじゃないか。……なぁ?」
傍らのペルシアンの頭を撫でながら、サカキは自分の座る椅子の左後ろに直立している男に声をかける。
痩せた体、紫のオーバーオール、帽子に描かれた逆向きのLの字。
男の目には光はない。まるで人形か、あるいは死人――
「……ワルイージ君?」
前座ゲームでマーダーとして活躍し、死んだはずだった男がそこに立っていた。
サカキの言葉にピクリとも反応せず、彼の虚ろな目は一点を見つめ続けていた。
ただ一点、ルイージの生存を示す光点を。
※ ※ ※ ※ ※
「なんて……ことだ……」
朦朧とする意識の中で、メタナイトは無念を隠すことなく呟く。
ルイージロケットの一撃は急所を外れ、かろうじて彼を生き延びさせていた。
幸運なことに、どうやらルイージは彼の生存に気付くことなく去っていったようだ。
だが、ダメージは大きい。意識を保つことすら難しく、しばらくは動けそうにない。
そして……彼の心に、生還の喜びなどない。
クリスタルは。クマトラは。二人はどうなってしまったのか。
一刻も早く確認したい所だが、それすらもままならない。
朦朧とする意識の中で、メタナイトは無念を隠すことなく呟く。
ルイージロケットの一撃は急所を外れ、かろうじて彼を生き延びさせていた。
幸運なことに、どうやらルイージは彼の生存に気付くことなく去っていったようだ。
だが、ダメージは大きい。意識を保つことすら難しく、しばらくは動けそうにない。
そして……彼の心に、生還の喜びなどない。
クリスタルは。クマトラは。二人はどうなってしまったのか。
一刻も早く確認したい所だが、それすらもままならない。
あまりにも、迂闊だった。無理にでもあの二人を引っ張って逃げるべきだった。
それを躊躇ったのは……彼女達への不信が自分の中に残っていたせいかもしれない。
無様だ。これでは、せっかくのディディーの命を賭けた行動を、無碍にしたも同じだ。
いや……違う。
そんな綺麗なものじゃない。自分は逃げたかったのだ。
あのルイージという男の異常さを、恐れていたのだ。
そのために、ディディーを言い訳に使った……!
それを躊躇ったのは……彼女達への不信が自分の中に残っていたせいかもしれない。
無様だ。これでは、せっかくのディディーの命を賭けた行動を、無碍にしたも同じだ。
いや……違う。
そんな綺麗なものじゃない。自分は逃げたかったのだ。
あのルイージという男の異常さを、恐れていたのだ。
そのために、ディディーを言い訳に使った……!
ルイージを恐れて。ディディーを利用して。クマトラとクリスタルを信じきれなくて。
そうして、全てが台無しになった。
情けない。あまりにも惨めだ。……だが今さら後悔しても遅い。
(すまない……)
沈んでいく意識の中で、メタナイトはディディーに謝罪した。
そして、誓う。
ルイージ。あの男だけは絶対に許さない。次に会った時は、必ずこの手で倒すと。
もう、恐れから逃げない。過ちは繰り返さないと――
そうして、全てが台無しになった。
情けない。あまりにも惨めだ。……だが今さら後悔しても遅い。
(すまない……)
沈んでいく意識の中で、メタナイトはディディーに謝罪した。
そして、誓う。
ルイージ。あの男だけは絶対に許さない。次に会った時は、必ずこの手で倒すと。
もう、恐れから逃げない。過ちは繰り返さないと――
メタナイト@星のカービィシリーズ
健康状態:ダメージ(大)。強い後悔。気絶
装備:コキリの剣@ゼルダの伝説 時のオカリナ、海賊のお守り
所持品:支給品一式
現在位置:H5
第一行動方針:ディディー達への贖罪
第二行動方針:ディディーやクマトラから聞いた仲間、もしくは脱出の為に必要な技術を持つ仲間を探す。
第三行動方針:ルイージは見つけ次第、必ず殺す
最終行動方針:ゲームからの脱出
備考:参戦しているのはゲーム版のメタナイトです。クマトラから、リュカの情報を入手しました】
健康状態:ダメージ(大)。強い後悔。気絶
装備:コキリの剣@ゼルダの伝説 時のオカリナ、海賊のお守り
所持品:支給品一式
現在位置:H5
第一行動方針:ディディー達への贖罪
第二行動方針:ディディーやクマトラから聞いた仲間、もしくは脱出の為に必要な技術を持つ仲間を探す。
第三行動方針:ルイージは見つけ次第、必ず殺す
最終行動方針:ゲームからの脱出
備考:参戦しているのはゲーム版のメタナイトです。クマトラから、リュカの情報を入手しました】
※ ※ ※ ※ ※
既に陽は傾きかけていた。
一人草原を歩くルイージは、ふと空を見上げる。
一人草原を歩くルイージは、ふと空を見上げる。
一番星が、輝いていた。
――兄さんにも、あの星が見えているだろうか?
誰も信じられなくなり、心が壊れた時――彼は真っ先に兄を殺すことを決意した。
今まで抑えていた、気付いてすらなかった黒い感情が表に出たせいもある。
だが……何より本当の理由は、自分自身にけじめをつけるためなのかもしれない。
いや……あるいは――
今まで抑えていた、気付いてすらなかった黒い感情が表に出たせいもある。
だが……何より本当の理由は、自分自身にけじめをつけるためなのかもしれない。
いや……あるいは――
「くくくっ……ははははははははははははっ!!!」
彼は笑った。ただひたすらに。
その目から流れている涙に気付くこともなく。
その目から流れている涙に気付くこともなく。
――どうしたの?兄さん。
早く僕を止めに来なよ。
でないと、本当に取り返しがつかなくなるかもよ?
【名前:ルイージ・マリオ@マリオシリーズ
健康状態:精神崩壊。ネガティブゾーン常時放出中
武装:木槌@アイスクライマー、レイガン@スマブラシリーズ(残り4発)
所持品:支給品一式、ペンシルロケット×3@MOTHERシリーズ、バンパー@スマブラシリーズ
現在位置:J-6
第一行動方針:ただ「殺す」のみ
第二行動方針:――しかし……?
最終行動方針:デイジーを生き返らせる?
備考:感情の大半を失っており、余程のことがない限り感情は戻らないと思います。
ネガティブゾーンの効果は現在軟化。しかし感情を刺激された場合、再度強まる危険あり】
健康状態:精神崩壊。ネガティブゾーン常時放出中
武装:木槌@アイスクライマー、レイガン@スマブラシリーズ(残り4発)
所持品:支給品一式、ペンシルロケット×3@MOTHERシリーズ、バンパー@スマブラシリーズ
現在位置:J-6
第一行動方針:ただ「殺す」のみ
第二行動方針:――しかし……?
最終行動方針:デイジーを生き返らせる?
備考:感情の大半を失っており、余程のことがない限り感情は戻らないと思います。
ネガティブゾーンの効果は現在軟化。しかし感情を刺激された場合、再度強まる危険あり】
【ディディーコング@ドンキーコングシリーズ 死亡】
【クマトラ@MOTHER3 死亡】
【クリスタル@スターフォックスシリーズ 死亡】
【残り26人】
【クマトラ@MOTHER3 死亡】
【クリスタル@スターフォックスシリーズ 死亡】
【残り26人】
【I-5/夕方】
夕焼け空の一番星。
あの日、デイジー姫と見つけた一番星に願ったのは、何だっただろう――
星は、どこか悲しげに輝きながら、闇に堕ちた男を見守り続けていた。
――ねぇルイージ、それで結局何をお願いしたの?
――もちろん、決まってるよ。僕のお願いは――
に い さ ん の や く に た ち た い