迷う者。傍にいたい者。そして見つめる者
「これから先、俺どうなっちまうんだろう……」
3番・伊藤誠はこれから起こるであろう惨劇を前に自身の未来を予想していた。
(世界や言葉や泰介たちはどうするんだろうな………?)
誠としては、なんとか皆で島を脱出したいと思っていた。
しかし、そう思うたびに先程の言峰が言っていた「島から出ると体内の爆弾が爆発する」という発言が頭をよぎった。
(なんとか爆弾を体から取り出す方法が見つかるといいんだけど……爆弾がどこに仕掛けられているかわかんないしなぁ……)
そんなことを考えていると、ふいに知っている声がした。
「誠くん……」
「言葉……」
誠に声をかけたのは(一応)彼の彼女である12番・桂言葉だった。
「隣……座ってもいいですか?」
「ああ…」
「失礼します……」
誠が頷いたのを確認すると言葉はそう言って一礼した後誠の隣に座った。
「どうなっちゃうんでしょうね……これから………」
「わからない……」
そう言った後、しばらくの間2人は黙ってしまった。
本当はお互い言いたいことは山ほどあった。しかし、2人ともあえてそれを言わなかった。
言ってしまったら、教会を出た後もう二度と会えない気がしたからだ。
十分ほどして言葉が口を開いた。
「あ……そろそろ私自分のいた場所に戻りますね。妹がいるので………」
「そうか……」
「………誠くん」
「なに?」
「―――さよならは言いませんよ」
「あ………」
そう言った言葉の目には涙が溢れていた。
「それじゃあ……」
「ことの………」
誠は言葉を呼び止めようとしたが肝心の言葉が最後まで出なかった。
「――やっぱり。迷っているのか? 俺は………」
誠はそう言うと両手を力一杯握り締めた。
そう。彼は迷っていた。自分が本当に好きなのは言葉なのか、それとも西園寺世界なのかということに。
「こんな時にもそんなこと考えて………俺は……いったい何をやっているんだ………?」
誠はそう言うと椅子を軽くドンと叩いた。
そんな誠を影から見つめる人影が2つあった。
「誠……」
そのうち、ひとつは無論28番・西園寺世界。もうひとつは……
「……………」
世界の幼なじみで親友の20番・清浦刹那だった。
【時間:1日目午前11:30分】
【場所:教会(大聖堂)】
伊藤誠
【所持品:携帯電話】
【状態:言葉と世界どちらが好きかで迷っている。そして、そんな自分に嫌悪している】
桂言葉
【所持品:携帯電話】
【状態:聖杯戦争に不安】
西園寺世界
【所持品:携帯電話】
【状態:誠が心配】
清浦刹那
【所持品:携帯電話】
【状態:世界を気遣って心配しているが、自身も誠が心配】
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最終更新:2010年06月27日 16:44