オレがあの酒を飲んで高校生に戻ったら…
こいつらとこーやっていっしょにいるのも…
最後になるかもしれねーしな…
『図書館殺人事件』とは、『迷探偵コナミ』において、江戸川コナミが解決した事件の一つ。
単行本第10巻に収録。テレビアニメでは第50話として、1997年3月3日に放送された。
外交官殺人事件の後日談にあたり、原作だけでなくテレビアニメでも次の話になっている。
以下、ネタバレにご注意ください。
【あらすじ】
外交官殺人事件から3日後、ようやく風邪が完治したコナミ。
何故自分の体が戻ることができたか考えたところ、平次が持ってきた酒・白乾児(パイカル)が原因ではないかと気付く。
すぐに元の体に戻ろうと白乾児を飲もうとしたが、蘭に見つかってしまい取り上げられてしまう。
また、それと同時に少年探偵団のメンバーが毛利探偵事務所を訪れ、コナミの読書感想文を完成させるために米花図書館に行こうと誘ってきた。
コナミは少年探偵団との付き合いもこれで最後になるかもしれないからと思い、図書館へ一緒に行くことにした。
コナミたちが児童書コーナーで本を探していると、目暮が部下を連れて米花図書館に現れる。
目暮は一昨日から行方不明になっている図書館の職員を捜索しに来ていた。しかし、館内をくまなく捜索しても職員は見つからず、外に連れ出されたと考えた目暮は捜索を打ち切り、引き上げていった。
だが、コナミはこの図書館が怪しいと思い、閉館までトイレに隠れて少年探偵団と共に捜査することにする。
そんな中、コナミたちは館長の津川が図書館の職員を殺し、その死体を図書館のどこかに隠していることを聞いてしまう。
果たして津川は警察でも見つけられなかった死体をどこに隠したのか。江戸川コナミ最後の事件が始まる――。
【事件関係者】
津川秀治(つがわ しゅうじ)
CV:永井一郎
米花図書館の館長。通称津川館長。57歳。
変な輸入本を見つけたコナミを止める際に初登場。
その直後、目暮から職員の玉田が一昨日から行方不明になっていると聞いて驚いていた。
だが、玉田を殺したのは津川であり、玉田の死体を図書館のどこかに隠している。
警察の目も欺いた事で閉館後に高笑いを上げていたが、コナミたちが物音を立ててしまったことで津川は閉館した図書館に誰かがいると疑うようになる。
一度は気のせいだと思った津川だったが、げたとヒカリが暗いからと電気をつけてしまったところを目撃し、誰かがいると確信。
暗い図書館の中でコナミたちを殺すために付け狙ってくる。
玉田和男(たまだ かずお)
米花図書館の職員。
几帳面な人物であり、家に帰る前に図書館の電話から奥さんに必ず連絡をしてから帰っていた。
だが、一昨日の夜には連絡がなく、その後連絡が取れなくなっている。
津川の話では玉田と一緒に残業をしており、津川が帰った後に何者かに連れ去られたか、殺されているとみて警察は捜査を進めている。
だが、玉田はすでに津川に殺害されており、その死体も図書館のどこかに隠されている。
警察の話では玉田は大柄で目立つ体格をしており、死体を隠したとなればすぐに発見できると考えていたが、昼間の捜索では見つけることができなかった。
【レギュラー陣】
江戸川コナミ
ご存知主人公。
白乾児を飲めば体が戻ると気づいたが、口に含んだ直後に蘭に阻止されてしまう。
そのすぐ後に事務所にやってきたヒカリの提案で「米花図書館でコナミの読書感想文を終わらそう」と言われ、コナミとして会うのも最後かもしれないからと付き合うことにする。
ヒカリ
ご存知純真小学生。
コナミの読書感想文を終わらせるのを手伝うために米花図書館に行くことにする。
死体の捜索中に、コナミが声を掛けなければ、津川に殺されていたかもしれない場面もあった。
ちなみに体重は15kg。
げたくん
ご存知探偵団団長。
ヒカリにくっ付いて米花図書館に向かう。
げたの体重が40kgでコナミや光彦の倍近くあるが、そのことをきっかけにコナミは玉田の死体の隠し場所を見つける。
円谷光彦
ご存知天才小学生。
ヒカリにくっ付いて米花図書館に向かう。
げたに余計なことを言って殴られているだけで、特に目立った活躍はない。
後述のような推理をして顔を青ざめさせる場面も。
ちなみに体重は20kg。
目暮十三
ご存知警部殿。
玉田の捜索目的で部下を連れて米花図書館に来ていた。
(この部下の刑事、顔は高木刑事だが、声は千葉刑事の声優が当てている)
だが、津川が巧妙に死体を隠していたため行方不明の玉田を発見できず、外に連れ出されたと判断して図書館を出る。
毛利蘭
ご存知蘭姉ちゃん。
コナミが白乾児を飲もうとした時に止めて注意する。
高校生は飲酒OKなのにね。
毛利小五郎
ご存知おっちゃん。
今回はエピローグで寝ているだけ。
服部平次
前回の事件で登場した色黒関西弁探偵。
コナミが風邪で寝込んでいる間に大阪へ帰ったことが語られている。
お茶の水博士むちゅっす
ご存知天才発明家。
事件解決後のエピローグに登場している。
【用語】
輸入本
コナミが見つけた、背表紙がケースの奥になるように入れてある奇妙な輸入本。
中身を確認しようとしたところ、津川に止められてしまい中身を確認することができなかった。
津川が言うには玉田はこの本の中身を見たために殺されてしまったらしい。
津川が帰った後に本の中身を確認しようとしたが、津川に中身を取り出された後だったらしくケースのみになっていた。
実は逆に仕舞っているのではなく最初から背表紙がない。
そして中身はくり抜かれて麻薬が詰められており、津川はこれらの本を使って麻薬を密輸していた。
本棚の本と本の間に背表紙のないこの輸入本を挟んでおり、その本の中に麻薬を隠していたのである。
加えて、児童向けの本棚に隠したのは子供なら気にしないだろうと考えてのことだった。
玉田が見てしまい、津川が殺害に踏み切った「中身」も当然この麻薬。
死体の隠し場所
警察が図書館の倉庫やトイレ、人目が付かない場所などをくまなく探していたが見つけることができなかった。
警察もここに死体がないと諦めているが、津川はこの図書館のどこかに隠していると言っていた。
コナミも本棚の裏などをくまなく探したが、死体を見つけることができなかった。
だが、げたの体重の話をした時にコナミは普通は見ることもない死角に気づく。
【以下、事件のネタバレ】
ひでー事しやがるぜ…
死体の隠し場所
昼間にコナミたちがエレベータに乗った時に定員オーバーでブザーが鳴ったことがあった。
エレベータは定員7名(重量制限450kg)となっており、すでにエレベータに乗っていた4人とコナミと少年探偵団を含めた4名、計8名乗っていたことによる定員オーバーだと考えられていた。
だが、それはあくまでも大人が乗った時の換算(*2)で、実際には重量制限450kg以上で鳴るはずだった。
コナミと少年探偵団の体重を合わせても93kg(コナミ18kg、ヒカリ15kg、げた40kg、光彦20kg)で大人1.5人分の体重にしかならず、最初に乗っていた大人4人の体重と荷物を含めたとしても体重制限で引っかかるには大人1人分の体重が足りない。
つまり玉田の死体の隠し場所は死角となっているエレベータの天井だったのだ。
津川は玉田を後ろから首を絞めて殺した後にエレベータの扉を手動で開くようにしてから死体を突き落としていたのである。
図書館の3階にいたコナミたちは手動でエレベータの扉を開け、下の階から上がってくるエレベータの天井に死体があることを確認。
あまりにも惨い死体だったために少年探偵団のメンバーも悲鳴は挙げなかったもののドン引きしていた。
死体を見つけたことを確認して、急いで警察に死体の隠し場所を知らせようとするコナミだったが……
どうしたんだい?ボウヤ達…
こんな時間に…
津川秀治
ちょうど下の階から上がってきたエレベータの中に津川が乗っていたのである。
コナミたちは津川がもうすでに帰った後だと思っており、さらには死体が乗っていたエレベータから急に現れたため驚きを隠せなかった。
優しい言葉をかける津川だったが、すでに殺人犯だと分かっているため誰も津川の言葉を信用していなかった。
津川もまた、コナミたちを殺す気満々であり、後ろに鉄パイプを隠し持っていた。
だが、コナミは津川に怯むこともなく、すべて見破ったと告げて津川を動揺させる。
動揺している隙に少年探偵団はエレベータを動かし、動いている最中にコナミは津川の攻撃を避けながら、滑り込んでエレベーターに入りその場を離れた。
そして、津川はコナミたちを追い詰めて殺そうと追いかけて――。
探偵団の活躍
津川は1階で待ち構えるが、すでにコナミたちは2階に下りて逃げていた。
津川はエレベータを止めることで袋のネズミにして、2階に隠れているコナミたちを探し始める。
そんな中、2階の一室に荒らされた部屋があり、本棚などでバリケードを張っていると周りを警戒する津川だったが、一つ傾いている本棚があることに気付き、自分が本棚の後ろに来た時に押しつぶそうとしていることを察した。
そして、後ろに来たタイミングで本棚を押し倒すコナミたちだったが、津川は本棚を簡単に避けてしまう。
笑いながら誤魔化して本棚から離れるコナミたちだったが、津川は気にすることもなく鉄パイプをコナミたちに振り上げた。
だが、バリケードのようになっていた本棚は、実はU字に並べられており、一つが倒れるとドミノ倒しのように倒れるように設置されていたのである。
コナミたちが本棚から離れたのも、津川を本棚が倒れる場所へ誘導するための罠であり、油断していた津川は鉄パイプを振り下そうとしたタイミングで本棚に押しつぶされ倒されている。
しかし、小学生4人に短時間で何台も動かせるような軽い本棚に潰されただけで活動できなくなるものなのだろうか?
運よく急所に当たったのかもしれないが、普通に麻酔銃やキック力増強シューズで応戦した方が確実だったのではないだろうか…
その後、コナミたちは警察に通報。2時間後に警察が到着して津川は逮捕された。
それと同時に図書館にあった死体も収容され、麻薬もすべて回収されたことが語られている。
目暮警部他警察の皆さん
今回は大柄な玉田の遺体を見逃してしまうという捜査ミスをしてしまった。
捜査時点では玉田が死んでいるかも分からず、余所で自殺していたり逃げていたりという可能性もあったため、突っ込んだ捜査が難しかった点は否定しきれない。
ただ、津川も玉田の上司であり、手掛かりのためにももっと突っ込んだ話を聞くべきであっただろう。
金銭や女性の関係、職場内人間関係など手掛かりになりえることはいくらでもあったはずだし、あわよくば津川にボロを出させられる可能性もあったはずなのだが…
【以下、更なるネタバレ】
江戸川コナミとしての最後の事件に幕を下ろしたコナミ
少年探偵団とその場で別れるが、少年探偵団はどことなくコナミが遠くへ行くように感じていた。
毛利探偵事務所に戻ったコナミは、さっそく白乾児を持ち出して、お茶の水博士むちゅっすの家に向かう。
お茶の水博士むちゅっすに白乾児で元の姿に戻ったことを伝えて、白乾児を飲みだすコナミの体は前回同様に熱くなり、元の体に戻る前触れかと思われたが……
江戸川コナミ
1時間経ってもコナミは元の姿に戻らず、逆に飲みすぎたコナミが酔っぱらってしまった。お茶の水博士むちゅっすの見立てでは、一度目は何かの作用で元の姿に戻れたが、(寝込んでいた間に)免疫がついてしまいもう効かなくなったと推測している。
(『黒の組織との再会』で大人に戻った灰原は「細胞の増殖作用でもあるのかしら」という仮説を立てている。)
それでも納得できないコナミは、酒の量が足りないからだとさらに白乾児を呷り始めるが、結局元の姿に戻ることはできなかった。
翌日、コナミは二日酔いで具合が悪くなりながら、少年探偵団のメンバーと共に登校することになる。
結局、コナミ(新一)はまたしばらく子供の姿で過ごす羽目になるが、後に現れるある人物によって再び元の体に戻る機会が来ることに…
【余談】
原作で読書感想文の本を探している最中に、本のタイトルに「サムライ小僧」と「怪盗ボーイ」という作品があるが、表紙の絵は作者の別作品である「YAIBA」と「まじっく快斗」の主人公の絵になっている。
また、背表紙に「ふしぎなバット」というタイトルの本があるが、おそらくモデルは作者の別作品である「4番サード」だと思われる。
玉田の遺体を探す際、原作では光彦が「遺体をスライスして本の中に入れた」と推理するシーンがあり、本の中に手足が入っているのを想像しヒカリ・げた・光彦はひいており、コナミから「バレバレだろ」と突っ込まれていた。
グロテスクな為か、アニメではこのシーンはカットされている。
実はてんとう虫コミックス『名探偵コナン 特別編』の第12巻に収録されている「消えた恋愛小説家」では遺体をスライスして本の中に隠すトリックがある。あちらの方は現場が病院、犯人は医師であり、遺体をミクロトームという医療機器で薄くスライスしてファイルのページ一枚一枚に遺体を挟んでいる。
今回の事件の舞台となった米花図書館は、この事件以降も何度か(特にアニメオリジナルで)登場しており、劇場版『漆黒の追跡者』『異次元の狙撃手』などでもレギュラー陣が利用している。
津川の声優を務めた永井一郎氏が亡くなった後、追悼として本話再放送された。
追記・修正をしないお子ちゃまたち、おじさんがみんなまとめてあの世に送ってあげるからね!!!
おい、館長
なんだ!
デュエルしろよ
最終更新:2020年10月23日 08:33