濫読者の羅針盤 @ ウィキ
QQ020
最終更新:
nhoshi
-
view
#020 The Strange Schemes of Randolph Mason / M.D.Post
ランドルフ・メイスンの奇妙な企み / M・D・ポースト
- The Corpus Delicti / 罪体,罪の本体
- The Plungers of Manhattan / マンハッタンの投機家,マンハッタンの相場師
- Woodford's Partner / ウッドフォードの共同出資者
- The Error of William Van Broom / ウィリアム・バン・ブルームの過ち
- The Men of the Jimmy / バールを持った男たち,金策,いかさま師たち
- The Sheriff of Gullmore / ガルモアの郡保安官
- The Animus Furandi / 犯意
ここでリストに初めて職業「弁護士」の主人公が登場し、法廷シーンで検事と対決する物語を読める。その名はランドルフ・メイスン。しかしこの作品は単純な法廷モノではありえない。なぜならメイスンが正義の人ではなく、悪人だから。
えぇ、悪人です。悪徳弁護士という表現ではちょっとおとなしすぎる。その内容についてはちょっと差し控えたい。気になる人はぜひ読んで欲しい。少なくとも1を。但し悪人が嫌いな人は読まない方がいい。同じポーストでもアブナー伯父の野生的な正義と比べ、なんと頽廃的な悪。実はアブナー伯父と比較すると20年も早く出版されている。この間に彼が変わったのか、それともメイスンのあまりの反響に嫌になったのか。
1があまりにも有名で、原文も邦訳もネットで見つけることができる。しかし実はこれ以外の短編の原文が見つからない。本の形では光文社文庫版『クイーンの定員I』があるが、絶版。あと、2は河出文庫の『詐欺師ミステリ傑作選』に収録されていて、やはり絶版。5は創元推理の『完全犯罪大百科 下』に収録(これは読んだことがない)されていて、やはり絶版。ちゅーかそもそもポーストの作品で新本で読めるものは現在ない。うぅむ、多作家なのに読めないねぇ。
2009/02/11追記
2008年に一冊まとめて邦訳されました。『ランドルフ・メイスンと7つの罪』です。
---追記分終わり
なお、他にランドルフ・メイスンものとしては次の2冊がある。
- The Man of Last Resort: or The Clients of Randolph Mason (1897)
- The Governor's Machine
- Mrs. Van Bartan
- Once in Jeopardy
- The Grazier
- The Rule Against Carper
- The Corrector of Destinies: Being Tales of Randolph Mason as Related by His Private Secretary, Courtland Parks (1907)
- My Friend at Bridge
- Madame Versay
- The Burgoyne-Hayes Dinner
- The Copper Bonds
- The District-Attorney
- The Interrupted Exile
- The Last Check
- The Life Tenant
- The Pennsylvania Pirate
- The Virgin of the Mountain
- An Adventure of St. Valentine's Night
- The Danseuse
- The Intriguer
聞くところによるとメイスンも最後の方では正義の人になっているらしい。それで面白さを保っているのかどうかは不明。
せめて第一短篇集だけでも一冊まとめて出してもらいたいもんである。