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#029 In the fog / Richard Harding Davis
霧の夜 / リチャード・ハーディング・デイヴィス


  1. ある外交武官の話
  2. ロシア皇后の首飾
  3. 弁護士の話

Richard Harding Davisは作家あるいはジャーナリストとして知られている。特に米西戦争、ボーア戦争、第一次大戦についての記録で有名、らしい。延原謙がこの人の全集を注文したら、探偵小説と呼べるものはほとんどなく、がっかりした、とのこと。WikipediaのページでもこのIn the fogは著作リストには入っていないので、探偵小説家としては知られていないのだろう。

「霧の夜」ははっきり言えば短編集ではない。このあたりクイーンの定員というリストがどういう基準で選んでいるのかはっきりしないところだが、もう既に「バチョニルの小男」とか「フライング・スコッツマンの冒険」とか中編がセレクトされているのでそこに突っ込んでもしょうがない。この話はまだ前者2作よりは短編集に近く、連作短編と言えなくもない。ロンドンのクラブに集まった人たちが、その場にいたある政治家を足止めしようと語りだす3篇の物語である。この3篇がつながって一つの話になっている。上にあげた収録作一覧では邦題しか書いていないが、この理由は原文では単にchapter1などと番号が振られているだけだからだ。

上記のタイトルは延原謙の訳による。1956年刊の世界大ロマン全集4『緑のダイヤ』という本に収録されている。オチが気に入るかどうかは人それぞれかと思うが、結構面白い。一冊で出すには中途半端な長さだし、上に述べたようにこの人の作品の中では異色のようなので、今後訳本が出ることは望み薄だが、どこかのアンソロジーにでも入っていてほしいものである。



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