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小鳥遊さんの日常-1-

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小鳥遊さんの日常-1-


458 名前: ◆JOjO5CPwM2 [sage] 投稿日:2009/10/18(日) 11:59:21 ID:1TB4EwMM

「ただいまー」

静まりかえった一室に一つ、声が響いた。
けれどもそれに返事は無く、ただ若干響いた後、すぐその音は消え去る。

「…一日目…色んな事があったよな、うん」

彼、小鳥遊総一郎という男からしたら、今日一日はとんでもない事ばかりだった。
それは鷲ヶ谷和穂という少女との出会いである。
すぐに出会い、すぐに別れ、すぐにまた会う。
それが続く、本当に鷲の様な、でも見た目は小さな少女。
小鳥遊からしたら、無論あり得ないと言える。
あんなんは漫画や小説だけのキャラだと思っていた程の強烈な個性の持ち主だからだ。

「…ってか、あんな個性強いのと居ると俺、ネームバリューだけになっちまうんじゃ…いや、別に良いか」

「考えても無駄っぽいしな」と呟きながら、小鳥遊は時計を見る。
短い針は既に六時を過ぎていた。

「…コンビニでも行くか」

そう言って小鳥遊は頭を掻きながら、財布をポケットへと突っ込むと、家の外へ出た。


「さっみ…」

春、とはいえ夜となるとまだ寒さは残る。
時たまくる冷たい風が、小鳥遊の春服を掻い潜り、彼の肌へと襲い続ける。

「…仕方ねぇ、早く急いで行くとすっか」

そう言った小鳥遊の足が自然と早くなる。
ただ寒さから早く逃れたいが為にだ。

(…おかしいな、コンビニってこんな遠かったけか…?)

だからいつも早く着くコンビニも、そのせいか若干遠く感じる。
これが人間の性といえばそうとなるのだが。

◇◆◇◆◇◆

「はぁ~。あれだな、生き返るってこの事だな」

なんという事でしょう!
そこには外で一人寂しくコーヒー(無糖)を飲む小鳥遊総一郎の姿が!
…ここだけ切り取ると、明らかに友達の居ない可哀想な人になってしまうのが不思議である。

「…なるべく熱は保ちたいし…このまま行くか」

夜空を若干見上げながらも、小鳥遊はまたその歩みを進め初める。


「はぁ…」

白い息が呼吸という動作とともに生まれ、消える。
それを見ながら、小鳥遊はまたコーヒーに口をつける。

「はぁぁぁぁ」

缶コーヒーであったが、美味かった。
五臓六腑に染み渡る…という表現は今使うべきであろうか。
いや、今使わずして、いつ使うというのかとも思ってしまう。
いや、つまりそれは実生活にこういう言葉をあまり使っていない証拠であるとともに、自らの国語力を呪う。

「ま、こうしている間に…家だ」

一目見ただけで分かる豪邸を見た瞬間、ただでさえ急かした足が更に早くなる。
白い息が出る速度が早くなり、手に持った缶コーヒーの小さな水滴が、空を舞う。
そして鍵を取り出し、まるで飛び込む様に、小鳥遊は冷たい床を急いで走り、リビングへと入る。

「少し急かしすぎたか…まあ良いとして…」

時計を見ると、七時五分前。
丁度、晩御飯には良い時間帯だ。

「さぁ、早速飯でも…」

そう言って小鳥遊は本来あるレジ袋に手を取ろうとした。
…だが。

「…あ」

読み直してほしい。
彼はコンビニで何を買っただろうか。
…そう。コーヒー『のみ』である。

「あ…ああああああああああああ!!」

ただ虚しく小鳥遊の悲鳴は白い息の様に空へと消えていったのであった。



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