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Mohikan meets girl 1話目

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Mohikan meets girl 1話目


503 [[◆G9YgWqpN7Y]] [sage] 投稿日:2009/12/03(木) 21:26:23 ID:g0LDeSWF

これは少しだけ昔のお話。


中型那賀はもう少しで3年になる春間近のある日、学校帰りの空を見上げる。
赤く染まった空が目に入り、那賀は目を細めた。

「なに感傷的になっているんだ。俺は……」

軽く頭を振り、那賀は一人歩く。

一組のカップルを見かけたときから彼はこの調子だった。
普段の彼ならあっさり因縁をつけに行っただろう。
しかし、彼がみた女性はかつて憧れた一才年上の女性だった。
その女性が見知らぬ男性と楽しそうに歩いてる。
那賀の目から見ても、それは幸せなカップルそのものだった。

吹っ切れたはずの心に震えが走り、彼は踵を返すと方向転換し、今の道を歩いている。

――そして、冒頭に戻る。

那賀は唇の端を僅かに歪め、息を吐いた。

「っち、全く俺は……いつまでたっても女々しいよな」

その女性に初めて会ったのは幼稚園の時だった。
よくいじめられて泣いていた俺を助けてくれたのが彼女だった。
そのまま同じ小学校に通い、年上でも近所が近いということもありよく遊んだ。
その時の那賀の心にあったのは始めは純粋な尊敬だった。
しかし、時が過ぎ、中学生になる頃には尊敬の心が恋心へと変わっていた。

しかし、そのころの那賀にはその思いを告げる勇気はなく。
女性が高校に入ることによって会う回数自体が激減し、そのまま自然消滅した。

那賀にあった幼い恋のあっけない終わりだった。

それは、実によくある話。

しかし、昇華されない思いは燻り続け、那賀の中でその思いは一種の聖域と化してしまっていた。
その思いが歪んで歪んで歪み切り、那賀をカップル狩りに走らせているが、本人はそのことに気づいていない。


――その那賀の中で知らず神聖視してしまった女性が、彼氏と思われる男性と仲良く歩いている。

その光景を見て、那賀はいつものように因縁つけるのも忘れ、逃げだした。


那賀は再び視線を地面に落とし、たそがれるように歩いている。
寄り添う影すらも元気がなく見えるくらい陰気だった。

ふと視界に影が増えたことに気づき、顔をあげる。
そこには見知った顔が一つあった。

「なんだ、台か」
「どうした? なんだか暗いな、おい」

台は苦笑しながら那賀に近づく。那賀も苦笑し、しかし歩みは止めない。

「分かってるさ。なに、ちょっとした古傷が痛んだのさ」
「そうか」

台はそのまま何も言わず、一緒に歩いている。
その台に那賀はわずかな苛立ちを感じる。

「っち、相変わらず何でもお見通し見たいな顔しやがって」
「何、なんでもお見通しだから仕方ないだろう」
「……けっ!」

那賀は悪態を吐くが、それ以上は何も言わず歩く。
実際そうなのだろう。台の人を見る目は神がかり的な物があった。
本人は、これを鍛えたからと言っているが、実際は天性だと那賀は思う。

「まったく、お前のように人を見る目があればまた違う人生もあったかもな」

――そうすれば、あの女性の気持ちもわかったかもしれないのに。

その気持ちを込め、ぼやくように言う那賀に対し、台は再び苦笑する。

「なに、これはこれで大変だぞ。必要以上に分かってしまうのも困りものだ」

半分は独り言のような口調で呟き、台は歩く。

「? おい、それはどういう……?」
「さて、では那賀の正式な失恋記念と言うことで、ラーメンでも食いに行くか」
「……おう、お代は台が持てよ」

台の言葉に違和感を感じ、那賀は疑問の声をあげようとするが途中で台は遮るように言葉を続ける。
那賀は台の雰囲気に疑問を飲み込み、頷く。

二人は近くの 早い、安い、まずいの三拍子そろったラーメン屋に連れ立って行く。

騒ぎ、笑い、怒鳴り、怒り、殴り合い、那賀にあった、今まで引きずっていた気持ちを昇華していく。

今やっと、ようやく完全な失恋ができた。
台と別れ、一人帰る那賀はそう感じていた。

その帰り道、那賀は街頭の照らす道の脇にある影に一組の男女がいることに気づいた。

那賀は普段なら気にもせず通り過ぎただろう。
それは別れ話をする雰囲気を持った男女だったから。

しかし、少し感傷的になっていた那賀はふと眼を向ける。
そこには男が殴ろうとしてる瞬間だった。

男の拳が振るわれ、女が崩れ落ちる。

その男はひきつった表情のままさらに蹴りを加えようとし、

――半回転するように転がった。

状況に気づいた那賀はとっさの判断で駆け出し、
その勢いのまま男の軸足を蹴り飛ばしていた。

「な! なんだてめ――!」

怒りで我を忘れかけた男は、しかし、那賀の姿を見て凍りつくように黙り込む。

一昔前の不良の服装、髪型はモヒカン。
どう見ても悪物そのものの姿に男は言葉を飲み込む。
その男に対し、那賀は一言告げる。

「失せろ」

その低く、唸るような声色に男は震え、慌てて逃げ出す。


後には那賀と女が残された。


続く。



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