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仁科学ライオン:【食い意地編】

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仁科学ライオン:【食い意地編】



「昼飯だぁあああ!!」

 お昼休みだ。いつものように学食へ駆け込み、いの一番に注文するのは日替わり定食。
 今日は鯖の塩焼きと鶏肉入った筑前煮。それにキャベツのサラダか。魚は好物だ。うむうむ。

 鯖は魚の中でも特にアミノ酸スコアが高い。その数値は99,999999………。要するに100%に近い。
 これは牛や鳥のようにタンパク質が分解されアミノ酸となった際に、筋同化に必要なアミノ酸が十分に含まれているという事で――
 まぁボディビル的な話はいいだろう。大事なのは鯖が旨いって事でしょ?

「ご飯の代わりにカツ丼大盛ちょーだい」

 これもいつもの事だ。定食の小さいお茶碗じゃ全然足りないんだ俺は。ドンブリ飯がいいが、いくらたのんでも何故かドンブリにご飯よそってくれない。マニュアル人間め。
 いつかこのおばちゃん丸め込んでドンブリで銀シャリ食ってやる。……ご飯はうまいんだよな。

「クリームクリーム……っと♪」

 あとはドリップコーヒーにクリームと砂糖入れた奴。
 ……熱いよ。番茶じゃねぇんだぞ。だから最初にカップに注いでおく。食い終ったらちょうどよく冷めてるはずだ。多分。
 本当はクリームたっぷりのエスプレッソがいいが、ここのエスプレッソはマズイ。
 いっちょ前にでかいマシンが蒸気吹いてるけどシブチンのおばちゃんの性格が出てるのか、薄いくせに苦い。逆にどうやって炒れてんだ。
 ここらでまともなエスプレッソ飲みたいなら喫茶・茶々森堂まで行く必要がある。
 あのオッサンが手動の小さいマシンで入れるアレは地味に旨い。侮れねぇオッサンだ。
 女の子が多く出入りするのも高得点だグヘヘ……

 しかしあそこに行くとケーキ等をキレ食いしたくなるから注意が必要だ。アレを女の子に見られるとドン引きされかねない。
 ……ええ。以前にケーキひとホール丸ごと食ってる所目撃されましたよ。ええ。まぁ口封じは済んでいるがな。
 やり方? ソイツは言えねぇなグヘヘ……。

「頂きます……」

 静かな気合を込めて御百姓様に感謝の言葉を言った後、一気に鯖にかぶりつく。うめぇ。この世の物とは思えねぇ。
 日本人でよかった。
 そういえば東ヨーロッパのとある港街でも鯖や鰯をよく食べるとか。魚が取れない時は塩に付けた鰯を食べるんだと。まんま「ひしこ漬け」じゃん! とツッコんだのは内緒だ。何の話だ。

「サラダはマヨより中華ドレッシングだろ」

 俺のポリシーは周囲のマヨラーを敵に回している。何人かのマヨラー共はこの発言によりこちらへ視線を向ける。
 上等だ。かかってこい。
 と、視線による戦闘を仲裁するるように鼻につくいい香り。
 横を見ると、なんとそこには……

「と……豆腐ハンバーグだと……」

 ヤバイまずい危険だ。豆腐の類超好き俺。
 ヘルシー故に女子に人気のメニューだろう。案の定それを持って隣に座ったのは見知らぬ女子生徒。
 かかっているソースは醤油ベースのあんかけソースだと俺の鼻が言っている。
 よろしい。交渉だ。

「それちょーだい」
「へ?」
「うまそうなんで」
「てかアンタ誰……?」
「初めまして懐と言います。てか俺の事はいい。問題はその危険な豆腐ハンバーグだ。わけてくれ」
「良くないでしょそこ」
「俺のカツ丼のカツを代わりにやろう」
「カロリー高いだろ……。いらんわ」

 厳しい交渉の末にハンバーグ半分ゲット。……カツ全部持ってかれた。ふざけんな。

「ごちそうさま」

 至福の時は過ぎ去る。口に残る鯖の刺が気になるので速やかにペッ、と排除。よし。見られてない。
 温くなったコーヒーを飲んで一息。

 よし、やっぱ今日、茶々森堂行こっと。


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