仁科タイガー【お兄ちゃんと一緒】
仁科学園とは小中高一貫の学園である。それどころか、幼稚園や大学まで備えている超巨大な教育機関。まさにマンモス校なのだ。
人口も並ならぬ多さであり、別所に校舎を持つ大学を除き、幼稚園児から高校生まで一つの敷地に溢れている。
基本的には住み別けはされているが、それらがごった煮になる場所というのも、どうしてもあるのだ。
代表的な場所は、職員室や特別教室がある中央棟、グラウンド、体育館等。
そして、このお話の舞台となる、図書館である。
人口も並ならぬ多さであり、別所に校舎を持つ大学を除き、幼稚園児から高校生まで一つの敷地に溢れている。
基本的には住み別けはされているが、それらがごった煮になる場所というのも、どうしてもあるのだ。
代表的な場所は、職員室や特別教室がある中央棟、グラウンド、体育館等。
そして、このお話の舞台となる、図書館である。
小咄:【お兄ちゃんと一緒】
「あ」
「あ」
「何してんの?」
「そっちこそ」
「あ」
「何してんの?」
「そっちこそ」
何者か二人。お互い驚いた様子で目を開き、次いで馴れた様子で言葉を交わした。
一人は少し大柄な金髪の少年。やたらと目立つ頭髪と言動の持ち主。黒鉄懐。仁科随一のおバカ。
一人は少し大柄な金髪の少年。やたらと目立つ頭髪と言動の持ち主。黒鉄懐。仁科随一のおバカ。
もう一人は、少し小柄な中等部の少女だった。
金髪、というより明るいイエローに近い、ローライトを混ぜたショートカット。ちょっと跳ねている。
控えめ、というより中学三年生と考えれば至って普通サイズの胸とちょっと大きなサイズの制服。おそらく今後の成長を見越して買ったのだろうが、それは失敗だったようだ。
在って無いような制服のレギュレーションぎりぎりの短いスカート。横のボーダー柄の膝の上まで届くソックス。本人はちょっと脚が太いのを気にしているようだが、だがそれがいい。
まだ幼い中学生らしい顔立ちのかわいらしい少女である。
彼女の名前は黒鉄亜子。なんとあの懐の妹。
金髪、というより明るいイエローに近い、ローライトを混ぜたショートカット。ちょっと跳ねている。
控えめ、というより中学三年生と考えれば至って普通サイズの胸とちょっと大きなサイズの制服。おそらく今後の成長を見越して買ったのだろうが、それは失敗だったようだ。
在って無いような制服のレギュレーションぎりぎりの短いスカート。横のボーダー柄の膝の上まで届くソックス。本人はちょっと脚が太いのを気にしているようだが、だがそれがいい。
まだ幼い中学生らしい顔立ちのかわいらしい少女である。
彼女の名前は黒鉄亜子。なんとあの懐の妹。
家に帰れば毎日顔を合わせるが、このだだっ広い仁科の敷地で遭遇する事など滅多に無い。
図書館の入口の前で、二人は偶然にもばったり出会ったのだ。
無意味なんか恥ずかしい。
図書館の入口の前で、二人は偶然にもばったり出会ったのだ。
無意味なんか恥ずかしい。
「お前何してんの?」
「いや、図書館だよ? 本借りにきたに決まってるじゃん」
「いや、図書館だよ? 本借りにきたに決まってるじゃん」
懐の妹、亜子は読書家なのだ。
自然科学本がお気に入りで、学校故かその類の本が充実している図書館はお気に入りの場所でもある。
懐が同じ建物内部のホールでぼけーっとしている間、亜子は文字を読み耽っている事が多い。知らぬ間に何度もニアミスしていたが、ちゃんと遭遇したのはこの日が初めて。
自然科学本がお気に入りで、学校故かその類の本が充実している図書館はお気に入りの場所でもある。
懐が同じ建物内部のホールでぼけーっとしている間、亜子は文字を読み耽っている事が多い。知らぬ間に何度もニアミスしていたが、ちゃんと遭遇したのはこの日が初めて。
兄貴がやたらと目立つタイプだが、亜子は逆で目立つ方ではない。むしろ大人しいタイプである。
いつも靴を脱いで、図書館の椅子に起用に体育座りで無言で読書に勤しむのが趣味である。
その姿勢だとパンツが見えるだろと思った者にはそれで正解だと言っておこう。本人はなんと気付いていない。
とにかく大人しい、静かでかわいらしい少女。なのだが、あの懐の妹である。黒鉄一族が普通な訳が無い。亜子の真実はやはりただ者では無いのだ。
いつも靴を脱いで、図書館の椅子に起用に体育座りで無言で読書に勤しむのが趣味である。
その姿勢だとパンツが見えるだろと思った者にはそれで正解だと言っておこう。本人はなんと気付いていない。
とにかく大人しい、静かでかわいらしい少女。なのだが、あの懐の妹である。黒鉄一族が普通な訳が無い。亜子の真実はやはりただ者では無いのだ。
「お前、制服買い替えたら?」
懐が亜子の制服を見て言う。意図的にオーバーサイズの制服を着用する某デバガメ少女と異なり、亜子のそれは成長を見越して買った物。
残念ながらその思惑は見事に失敗に終わっている。なんと成長期ど真ん中のはずが、買った時から体格あんまり変化せず。
本人は希望的観測の元に大きめサイズを選んだが、おかげで毎日微妙にデカイ制服のまま。兄貴がみるみるデカくなったので自分も続くだろうと思ったのだ。
残念ながらその思惑は見事に失敗に終わっている。なんと成長期ど真ん中のはずが、買った時から体格あんまり変化せず。
本人は希望的観測の元に大きめサイズを選んだが、おかげで毎日微妙にデカイ制服のまま。兄貴がみるみるデカくなったので自分も続くだろうと思ったのだ。
「いつまで着てんだよ。アイツと被るぞ。即座に辞めたほうがいい」
「アイツって誰よ。それにまだまだ大きくなる、きっと……」
「諦めろって。見事に平均のちょい下じゃねーか。その制服は似合わないって」
「何よ……。自分がちょっとデカいからって……。私だってまだ大きくなる。絶対! 一年か二年後にはきっとグラマーに……」
「無理だってば。頑張っても普通が精一杯だよお前は」
「酷い」
「現実を見るんだ亜子。お前は普通。現在普通以下。それよりベストサイズを買いなさい。
来年にゃ高等部に上がるけど、そん時はちゃんと体格に見合ったサイズにしなさい。お兄ちゃんからのアドバイス」
「いやよ。高等部用にはもう一つ大きいの買うんだから」
「足掻くなよ。無理だって。ムリムリムリムリ」
「アイツって誰よ。それにまだまだ大きくなる、きっと……」
「諦めろって。見事に平均のちょい下じゃねーか。その制服は似合わないって」
「何よ……。自分がちょっとデカいからって……。私だってまだ大きくなる。絶対! 一年か二年後にはきっとグラマーに……」
「無理だってば。頑張っても普通が精一杯だよお前は」
「酷い」
「現実を見るんだ亜子。お前は普通。現在普通以下。それよりベストサイズを買いなさい。
来年にゃ高等部に上がるけど、そん時はちゃんと体格に見合ったサイズにしなさい。お兄ちゃんからのアドバイス」
「いやよ。高等部用にはもう一つ大きいの買うんだから」
「足掻くなよ。無理だって。ムリムリムリムリ」
兄貴は決して馬鹿にしている訳ではない。むしろ真面目に言っているつもりなのだ。デリカシーががっぽり欠如しているだけで。
亜子は兄貴と性格が逆。デリケートな方。傷つきやすい女の子。
亜子は兄貴と性格が逆。デリケートな方。傷つきやすい女の子。
「なんでお兄ちゃん大きいのに私だけ普通以下なのよ。卑怯よ……」
「いや、俺だってそんな飛び抜けてデカいほうじゃ……。二メートル級ごろごろ居るし。
お前は考えようによっちゃ普通の範囲内なんだし、別にいいじゃん」
「良くないじゃん。おっきいほうが色々いいじゃん」
「そうでもない。早く悟れ。身長も普通。おっぱいも普通。脚ちょっと太い。それでいいだろ」
「脚は関係ないじゃん!」
「いや、俺だってそんな飛び抜けてデカいほうじゃ……。二メートル級ごろごろ居るし。
お前は考えようによっちゃ普通の範囲内なんだし、別にいいじゃん」
「良くないじゃん。おっきいほうが色々いいじゃん」
「そうでもない。早く悟れ。身長も普通。おっぱいも普通。脚ちょっと太い。それでいいだろ」
「脚は関係ないじゃん!」
炸裂音。突然それは鳴り響く。
説明しよう。亜子が懐に蹴りをくれた音である。
説明しよう。亜子が懐に蹴りをくれた音である。
「気にしてるって知ってるクセに! なんでそんな事言うの!? 酷いよお兄ちゃん!」
ジャンプ。空中で後ろ回り。高く飛びすぎた為か懐の頭上まで亜子の脚は上がる。
遥か天空から、虎踵(踵落としの事だよ☆)が降って来る。
遥か天空から、虎踵(踵落としの事だよ☆)が降って来る。
「バカーッ!」
懐の顎が打ち抜かれ、言葉を発する事すら許さずノックダウン。
どさりと糸が切れた操り人形のように、懐は腰砕けで倒れて行く。当然、これだけ大声で叫び、大技を繰り出して少女が男をKOすれば、周りの注意を引く物だ。
どさりと糸が切れた操り人形のように、懐は腰砕けで倒れて行く。当然、これだけ大声で叫び、大技を繰り出して少女が男をKOすれば、周りの注意を引く物だ。
「ふえぇん! お兄ちゃんがイジメる~!」
亜子はぺたんと床に座り、泣いて言った。が、いじめてるのは一体どっちだと言わんばかりの光景。
黒鉄亜子。懐の妹。中三。
空手一級。つまり茶帯。ところが実態は、その強さに昇段試験のほうがが追い付いていないだけ。
初めて出た大会で、対戦相手を次々とボコボコにして優勝して以来、彼女は負け知らずの拳豪と一部で恐れられている。兄貴など物の数では無いのだ。
あまり目立つほうでは無いので関係者と武道系の部活以外にはあまり知られていないが、誰が呼んだか「仁科の虎」
決してタ○ガーフットの持ち主とかそういう事では無い。
しかして、その虎の蹴りを喰らった懐はというと。
空手一級。つまり茶帯。ところが実態は、その強さに昇段試験のほうがが追い付いていないだけ。
初めて出た大会で、対戦相手を次々とボコボコにして優勝して以来、彼女は負け知らずの拳豪と一部で恐れられている。兄貴など物の数では無いのだ。
あまり目立つほうでは無いので関係者と武道系の部活以外にはあまり知られていないが、誰が呼んだか「仁科の虎」
決してタ○ガーフットの持ち主とかそういう事では無い。
しかして、その虎の蹴りを喰らった懐はというと。
「おい大丈夫か!?」
「先生助けて! 懐先輩が息をしてないのっ!」
「ダメだ、誰か……! 誰かあやめ先生を呼べー!」
「先生助けて! 懐先輩が息をしてないのっ!」
「ダメだ、誰か……! 誰かあやめ先生を呼べー!」
数分後、駆け付けた救護要員のあやめ先生(三十二才。美人。でもオカマ)によって、懐の状態がその場で診察される。
脳震盪による失神。呼吸困難。至急病院へと告げられる。
脳震盪による失神。呼吸困難。至急病院へと告げられる。
「トラックにでも轢かれたのかしら……」
あやめはそう言って救急車の懐に付き添って行った。
残った亜子はそれを見ていたが、馴れた物で心配はしていない。あの程度であの兄貴が死ぬはずは無いと確信していたし、手加減だってしたのだ。
逆に言えば殺ろうと思えば殺れたは秘密である。
残った亜子はそれを見ていたが、馴れた物で心配はしていない。あの程度であの兄貴が死ぬはずは無いと確信していたし、手加減だってしたのだ。
逆に言えば殺ろうと思えば殺れたは秘密である。
「お兄ちゃん……。まぁいいか」
泣きっ面を拭って、その場を立ち去る亜子。
家に帰ればきっと普通にごろごろしている兄貴が居るはずだと思っていた。残念ながら三日の入院だったが。
小柄な体格の「仁科の虎」は、仁科の中に静かに潜んで居る。
家に帰ればきっと普通にごろごろしている兄貴が居るはずだと思っていた。残念ながら三日の入院だったが。
小柄な体格の「仁科の虎」は、仁科の中に静かに潜んで居る。
「取り合えず、キャラ被りはイヤだから制服は買い替えるよ。お兄ちゃん……」
【反省はしている。終】