創作部日常風景
351 名前:創作部日常風景 投稿日:2009/08/08(土) 00:22:11 ID:ALey9wys
「だりゃぁ!」
思いっきり憎しみを込めた唸り声が、教室内にこだまする。
一人の少女が発した叫びは、床にちらばっている陶器の破片がその苛立ちを表現している。
一人の少女が発した叫びは、床にちらばっている陶器の破片がその苛立ちを表現している。
「いかん!あたしは陶芸の才能ない!」
手で頭を押さえてウォーと低くもだえる。若干うっとおしい。
「士乃。騒ぐなら外で騒いでくれ」
「崇人どおしょー!全然仕上がらん・・・」
「崇人どおしょー!全然仕上がらん・・・」
俺がした注意を無視してまだもだえている。もう慣れたのか俺自身あきらめ気味だ。
この「創作部」の部室にいるのは、今は二人だけだ。ほかの部員は殆ど出払っている。
未だもだえている少女は、士乃という。高知からこの町に引っ越してきた方言少女だ。今は陶芸の創作に苦戦しながらも励んでいる。しかし作品が気に入らないからと言って、無闇に癇癪を起すのはやめてほしい。ほとんど騒音公害だ。
この「創作部」の部室にいるのは、今は二人だけだ。ほかの部員は殆ど出払っている。
未だもだえている少女は、士乃という。高知からこの町に引っ越してきた方言少女だ。今は陶芸の創作に苦戦しながらも励んでいる。しかし作品が気に入らないからと言って、無闇に癇癪を起すのはやめてほしい。ほとんど騒音公害だ。
「わかった、土がいかんがや!こんな軟弱な粘土やきんあたしの才能が死滅する!」
「無茶苦茶だな」
「無茶苦茶だな」
突っ込みをすかさず入れると、帆を膨らませて威嚇のような行動をとる。犬かお前は。
「何ー。あたしの才能がないゆうの?」
「単にスランプなだけだろ」
「芸術家にっ、スランプはっ、必要っ、ないきん!」
「テンション高いね」
「単にスランプなだけだろ」
「芸術家にっ、スランプはっ、必要っ、ないきん!」
「テンション高いね」
無理やり会話を曖昧にさせて終わらせる。これ以上話しても、会話が不服になるだけと悟ったからだ。灯士乃は不利になると手が出るし、人の作品に悪影響を及ぼす事もある。
「崇人はええねぇ。いっつも変なこと書きゆう」
椅子の腰掛けに手をかけて、足をブラブラさせながらそう言う。少しだけ癇に障ったので、一応反論する。
「あのねぇ士乃。これは詩だ。変なことじゃないぞ」
「うわぁ、ぽえまーゆうがやったけ。うわぁ」
「うわぁ、ぽえまーゆうがやったけ。うわぁ」
・・・・・・いちいち癇に障るやつだ。
でも喧嘩は好きではないからこらえておく。大人の余裕を持ってこいつと話さないと直ぐに喧嘩になってしまう。
でも喧嘩は好きではないからこらえておく。大人の余裕を持ってこいつと話さないと直ぐに喧嘩になってしまう。
・・・・・・しばし沈黙。
普通なら異性の二人きりの沈黙は、たぶん気まずいのだろうか。しかし士乃はご機嫌そうに眼をつぶりながら椅子の背もたれの上に付して、鼻歌をうたっている。
どこか聞いたことあるようで、リズムが癖になる。そんな空間が心地よい。
普通なら異性の二人きりの沈黙は、たぶん気まずいのだろうか。しかし士乃はご機嫌そうに眼をつぶりながら椅子の背もたれの上に付して、鼻歌をうたっている。
どこか聞いたことあるようで、リズムが癖になる。そんな空間が心地よい。
「それ」
鼻歌をやめて、士乃が話しかけてくる。
「ん?」
「何書きゆうが、それ」
「何書きゆうが、それ」
顎で俺が手に持つ、黒いノートを指す。今にも眠りに落ちそうな眼で俺の顔を見て、士乃は回答を待っている。
「まあ、日常の風刺というか・・・・そんな感じ」
特に隠す必要のない内容だったので、そこはかとなく答える。士乃は、関心なさそうな目で曖昧にあいずちを打った。
そして、また沈黙がやってくる。ノートに目をやって執筆していると、静かな寝息が聞こえてきた。 見ると士乃が寝ていた。騒ぎ疲れた子供のように、このままずっと寝ているかのような寝顔だった。
起こすのも悪いので、ゆっくりと椅子から立ち上がる。
士乃をそのまま置いていくのも不安なので、棚の上になぜかあったタオルケット大の布切れを、そっと肩にかけておく。
そっと扉を開けて、教室から出る。少し飲み物が恋しくなってきたので、食堂の自販機を目指す。
士乃をそのまま置いていくのも不安なので、棚の上になぜかあったタオルケット大の布切れを、そっと肩にかけておく。
そっと扉を開けて、教室から出る。少し飲み物が恋しくなってきたので、食堂の自販機を目指す。
食堂の自販機の前で、ふと、いい事を思いついた。
缶コーヒーのホットを二つ、胸に抱えてまた教室に踵を返す。
士乃へのちょっとしたサプライズのつもりだ。起きたら暖かいコーヒーを振る舞ってやろうと、俺は柄でもないことを考えて、そう遠くはない創作部の教室を目指す。
缶コーヒーのホットを二つ、胸に抱えてまた教室に踵を返す。
士乃へのちょっとしたサプライズのつもりだ。起きたら暖かいコーヒーを振る舞ってやろうと、俺は柄でもないことを考えて、そう遠くはない創作部の教室を目指す。
本当に柄でもないのに、俺の顔はなぜか、綻んでいた。
-END-
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