幸せ撲滅運動行動編(後編)、っぽいもの
363 名前:[[◆G9YgWqpN7Y]] [sage] 投稿日:2009/08/13(木) 21:30:43 ID:kyBSfJoE
「それで、あなたたちはどうしてこう問題行動起こすの?」
ここは柚鈴天神社の隣にある鈴絵の自宅のリビング。
負傷した那賀の手当をするため鈴絵の家へと向かい、治療した。
その後、落ち着いたところで始めの言葉が那賀へと向けられた。
負傷した那賀の手当をするため鈴絵の家へと向かい、治療した。
その後、落ち着いたところで始めの言葉が那賀へと向けられた。
テーブルを挟んで向かい合う。
鈴絵は腕を組み、それに対して那賀は背筋をぴんと伸ばし、座っている。
鈴絵の声音こそ柔らかいが、若干どすが効いている。
そう那賀は感じ、しかしき然とした態度で応じた。
鈴絵は腕を組み、それに対して那賀は背筋をぴんと伸ばし、座っている。
鈴絵の声音こそ柔らかいが、若干どすが効いている。
そう那賀は感じ、しかしき然とした態度で応じた。
「カップルといえば敵、しかもラスボスクラスの強大な敵。
すなわち立ち向かわずして何が漢か!」
すなわち立ち向かわずして何が漢か!」
「よくわからないけど、その発想はどうなのよ……」
勢いよく答えた那賀とは対照的に鈴絵は肩を落としてぼやく。
那賀はその様子を気にも留めず言葉を続ける。
那賀はその様子を気にも留めず言葉を続ける。
「ま、台がやってる理由は俺とは異なるようだが」
「えと、そうなの?」
「ああ、台の場合は"嫉妬の心は無限大"、つまりカップルが羨ましいから立ち向かっている訳だな」
「……どっちもどっちだと思う、それ」
「えと、そうなの?」
「ああ、台の場合は"嫉妬の心は無限大"、つまりカップルが羨ましいから立ち向かっている訳だな」
「……どっちもどっちだと思う、それ」
すでにテーブルに突っ伏しながら言う鈴絵。
おバカな理由すぎて気力を根こそぎ持っていかれたようだ。
おバカな理由すぎて気力を根こそぎ持っていかれたようだ。
「まったく……その時間勉強とかに割いた方がいいと思うよ。そもそもいつからそんなことやってるのよ」
「勉強のことはほっとけ。 いつからと聞かれたら……あの時からだな」
ふと、那賀は目を閉じ昔を懐かしむように話し始めた。
■ ■ ■
俺たちが中等部だったころ、ある日俺達は川の橋下で風景画を描いていた。
ん、意外か? 俺と台は小等部のころからいっしょに絵を描いてたんだよ。
あいつ、あの頃から絵だけは上手くてな。それだけは先生にも褒められてたっけな。
ん、意外か? 俺と台は小等部のころからいっしょに絵を描いてたんだよ。
あいつ、あの頃から絵だけは上手くてな。それだけは先生にも褒められてたっけな。
――おっと話がずれた。
それで、はじめは普通に描いていたんだがな……
台の奴、風景を描き終わった後、おもむろに一人の女性を川の中に描きだした。
いや、それを女性と言うには少し違うな。
その姿は、髪を5つに分け5本の角にし、全身塗料を塗られたように真っ赤だった。
さらに鉄輪を逆さに頭に載せ、その3本の脚には松明を燃やし、さらに松明を両端とも燃やし口にくわえていた。
そんな女を描いていたよ。そりゃあ恐ろしい容姿だった。
俺は流石にビビって台を止めようとしたんだが、台はちっとも止まらなくてな。
その絵を描きあげちまいやがった。
台の奴、風景を描き終わった後、おもむろに一人の女性を川の中に描きだした。
いや、それを女性と言うには少し違うな。
その姿は、髪を5つに分け5本の角にし、全身塗料を塗られたように真っ赤だった。
さらに鉄輪を逆さに頭に載せ、その3本の脚には松明を燃やし、さらに松明を両端とも燃やし口にくわえていた。
そんな女を描いていたよ。そりゃあ恐ろしい容姿だった。
俺は流石にビビって台を止めようとしたんだが、台はちっとも止まらなくてな。
その絵を描きあげちまいやがった。
描きあげたころには辺りはすっかり夕方になり、川の水も真っ赤になっていたよ。
ああ、そして……見たんだ。
川の中に、その絵とそっくりな女がいるのをな。
川の中に、その絵とそっくりな女がいるのをな。
さらにゆっくりとそいつがこっちを向くんだよ。
俺は情けないことに全く動けなくなっちまってな。
指一本たりとも、声すら出せねぇ。
俺は情けないことに全く動けなくなっちまってな。
指一本たりとも、声すら出せねぇ。
それなのに台はそいつをじっと見つめているんだ。
俺みたいに恐怖のあまりパニックを起こしてるわけではなかったな。
すごく冷静な目でそいつを見ていたんだ。
きっと台はその女のことをずっと見えていたに違いないな。
俺みたいに恐怖のあまりパニックを起こしてるわけではなかったな。
すごく冷静な目でそいつを見ていたんだ。
きっと台はその女のことをずっと見えていたに違いないな。
そしてその女は一歩一歩、音もなく台の方に近づいて行って……
台と完全に重なった途端、その女がスゥっと消えていったよ。
台と完全に重なった途端、その女がスゥっと消えていったよ。
しばらくして俺も体が動くようになって、始めは変な幻を見たと思ったんだがな……
ふと目を向けるとな……
……消えてたんだよ。
何が、なんて言わなくてもわかるだろ?
台の書いた絵の中からあの女がいなくなってたんだ。
■ ■ ■
「と、言うわけで、それからだな。台がカップル狩りを行うようになったのは」
話し終わり、那賀は目をあける。
そこには青ざめた顔をした鈴絵がいた。
そこには青ざめた顔をした鈴絵がいた。
那賀はその様子を見て、巫女さんなのに案外怪談話に弱いんだな、と思う。
あんまり脅かすのも不味いと思い、全部嘘であることばらすために口を開ける。
しかし、その一瞬前に鈴絵はガタッとイスを蹴り倒しながら立ち上がった。
あんまり脅かすのも不味いと思い、全部嘘であることばらすために口を開ける。
しかし、その一瞬前に鈴絵はガタッとイスを蹴り倒しながら立ち上がった。
思わず動きを止めてしまった那賀の前、鈴絵は家の奥の方へ声を掛けた。
「お父さーーん! お願いがあるんだけどー」
「なんだ?」
その声に応じてすぐに出てくる鈴絵の父。その父に鈴絵は話し始める。
「なんだ?」
その声に応じてすぐに出てくる鈴絵の父。その父に鈴絵は話し始める。
「お祓いを手伝って欲しいの」
「どういうことだね」
「ちょっと先輩が鬼に取り憑かれてるみたいなの。祓いたいけど私だけだと不安だから」
「ふむ、そういうことならすぐに準備をしよう」
「ありがとう。お父さん!」
「どういうことだね」
「ちょっと先輩が鬼に取り憑かれてるみたいなの。祓いたいけど私だけだと不安だから」
「ふむ、そういうことならすぐに準備をしよう」
「ありがとう。お父さん!」
パンと手を叩き、にこりと笑う。
そしてそこまで話したあと、おもむろに鈴絵は那賀に向き直った。
そしてそこまで話したあと、おもむろに鈴絵は那賀に向き直った。
「貴重な情報をありがとうね。私、これから準備があるからこれで失礼するね」
そう言ってぺこりと一礼すると、神社の方へ走って行ってしまう。
最後に残された那賀は、その場で気まずそうに一言つぶやいた。
「いや、全くの嘘だったんだが……。ま、このまま放っておいた方がおもしろそうだな」
結局そのまま那賀も学校へ向かう。始まるまで美術部で暇をつぶせばいいだろうと考えながら。
後日、
"夜、不良が出歩くと巫女さんやら神主さんが集団で追いかけまわす"
という怪談が出来上がっていたが、それはまた別の話である。
おわり。