貴族街を二分する二大貴族の一であり、シースト・カトラス貴族の中でも随一の蛮勇を誇った武門の家柄である。元来は辺境の名も知れぬ郷士であったが、長い戦乱の中、猛々しい家臣を率いて武力を振るい、若々しい蔦の生え出づるようにしぶとくその勢力を伸張した。シースト・カトラスを占拠していた海賊と都市連合軍との一大戦争の折に、海賊の本拠に攻め入る大功を立て、アップルスロウワーの家名と共に、シースト・カトラスの防備を統括する任を得た。爾来、シースト・カトラスの背骨を支える一大貴族として長らく栄え、尊敬と畏怖の対象として振舞ってきた。アップルスロウワー家の大広間では、現在でも、海賊戦争当時の当主が投擲したリンゴで頭をカチ割られた海賊の首領の頭蓋骨が飾られているのを見ることができる。
しかし、この強大な一族も、伝統を墨守する保守的な性格によって、呪文荒廃後の千変万化の時代の趨勢から取り残されつつある。近年、次代の後継者問題をも抱えるに至って、栄華を誇った武門も斜陽の時を迎えたというのが、権力のありように敏感な貴族街の貴族たちのもっぱらの評判である。かつては大勢の着飾った貴族が敬意を示して訊ね来た城門も、いまや黒ずんだ蔦の這え茂るばかりとなっているのである。
しかし、この強大な一族も、伝統を墨守する保守的な性格によって、呪文荒廃後の千変万化の時代の趨勢から取り残されつつある。近年、次代の後継者問題をも抱えるに至って、栄華を誇った武門も斜陽の時を迎えたというのが、権力のありように敏感な貴族街の貴族たちのもっぱらの評判である。かつては大勢の着飾った貴族が敬意を示して訊ね来た城門も、いまや黒ずんだ蔦の這え茂るばかりとなっているのである。
カザック・アップルスロウワー
「息子よ、どちらでも好きなほうを手に取るのだ」リンゴと長剣を差し出しながら
アップルスロウワー家の現当主。巨大な体躯で二重顎、厳しい顔つきで、武門の統領の風格を漂わせている。家名を重んじ、一族の名誉を侮るものは決して許さない。寄る年波のため、足の力は衰えているが、腕の力は衰えておらず、投擲したリンゴが息子の背中にメリ込むほどである。引きこもりの息子を心配している。
ガマゴール・アップルスロウワー
「ぐげげー、ぐげげー」自分が虫になった夢にうなされながら
現当主カザックの一人息子で、次代の当主候補だった。アップルスロウワー家に伝わる成人儀礼である、神聖なるアップルスロウワーの儀に失敗したことで、後継者失格の烙印が押されようとしており、自室に引きこもっている。背中には既に父親の投擲したリンゴの烙印が押されている。
ファズ・アップルスロウワー
「お願いです、兄を助けてやってほしいんです」
心優しく聡明なガマゴールの妹。厳つい父親にも似ず穏やかな笑顔の似合う美しい少女で、彼女の奏でるバイオリンの優しく柔らかな響きは、オーガの凍てついた心まで溶かすという。引きこもりの兄を、心の底で軽蔑しながら心配している。
トヨッカ・アップルスロウワー
「ぶくぶくぶく」(口から泡を吹きながら)
カザックの妻で、ガマゴールとファズの母。息子が成人の儀に失敗して引きこもったことがトラウマとなり、息子が視界に入ると気絶する。息子を心配している。
コーチャ
「これも捨てられる…」
アップルスロウワー家お付きのメイド。尊敬する主人たちの大切なものを自分の判断で勝手に捨てるのが生きがい。ガマゴールは生ゴミに分類されるのか心配している。