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DP3 その4 - (2007/01/16 (火) 18:33:50) のソース

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第3話『パートナー』#9 
――スネ夫's report―― 

釣り人が隠し玉を持つ理由。それは、 
「自らの釣り上げた大物に対抗するためってのもあるが、 
隠し玉のポケモンが、釣り人界のステータスシンボルに
なってるってのが一番の理由だな」 
との事。 
つまり、ギャラドスを繰り出した釣り人のステータスは高めといえる。 
理由を聞いて、隠し玉も見てしまった今となっては、釣り人のボロボロの服装も、
数々の大物と戦ってきたという勲章に見えなくもない。 

「さあ! どこからでもかかって来い!」 
ギャラドスの後方で、シゲさんがドンと胸を叩く。 
完全に下に見られている。気に食わないな。 
「じゃあお言葉に甘えて! グレッグル! どくばりだ!」 
グレッグルは手を前方へ突き出すと、指先から無数の毒針を飛ばす。 
使えるかどうか解らなかった【どくばり】。ダメ元で命令してみたのだが、
使えるレベルまで達していたようだ。 
毒針がギャラドスの胴に命中する。 
しかし、表層の所作から読み取るに、殆どノーダメージと言っていいだろう。 
「その程度か? じゃあ次はこっちの番だ!」 
不適な笑みを浮かべる釣り人。 
「ギャラドス、アクアテール!」 
アクアテール――ギャラドスがレベル35で覚える大技だ。
ゲームで育てていたからよく解る。 
旋回しながら高速接近するギャラドス。グレッグルの目の前でターンし、
自らの巨大な尾を勢いに任せて振りかざす。 
「かわすんだ! グレッグル!」 
という僕の叫び虚しく、アクアテールはグレッグルにクリーンヒットする。 

「グレッグルー!」 

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第3話『パートナー』#10 
――スネ夫's report―― 

蹴り飛ばされたラグビーボールのような回転と放物線で飛んでいくグレッグル。 
落下地点が砂浜でなければ大惨事だったろう。 
この勝負は負けたか・・・・・・。 
いや、これは仕方がない。相手が悪かった。 
相手が悪かったのだけれど、さすがに悔しい。 
歯を食いしばり俯く。 

「いい勝負だったよスネ夫君!」 
と、いうようなことを言うと思ってた。健闘を称えるような、そんな言葉。 
だけど釣り人の発した言葉は違った。 
「ほう、君のポケモン、なかなか丈夫じゃないか」 
僕は恐る恐るグレッグルの方へ目をやる。 
片膝を着きながらガクガクと震えるグレッグル。 
さすがに驚いた。こう言うと語弊があるが、何故立っているのか。 
ゲームとは違い、根性でなんとかなるとか? 

僕はグレッグルに駆け寄り、腰を落として目線を同じ高さにする。 
「君はまだ、闘えるのかい?」 
大きく頷くグレッグル。 
「そうか」と、グレッグルの顔に付いた砂を落としてやる。 

「ありがとう。僕はまだ、負けてないんだね」 

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第3話『パートナー』#11 
――スネ夫's report―― 

現状、僕のグレッグルが使えるワザは、 
【おどろかす】【どろかけ】【どくばり】の三つ。 
ゲーム内では、ギャラドスに対して地面タイプのどろかけは効果はない。 
だけどこの世界ならどうだろう? やっぱり上昇されて避けられてしまうのかな? 
もし効果があるなら、どろかけで命中率を下げ、そこから勝機を――いやダメだ。 
この際、この世界でも効果がないとして動くべきだね。 
判断ミスが命取りの今、確認している暇はない。 

完全に手詰まりになった。 
と、僕が眉を顰めていると、徐にグレッグルが手を差し伸べてきた。 
手には、こびり付くといった感じで、砂が張り付いている。 
何だ? 「一緒に頑張ろう」みたいな握手かい? 
よく解らないが握手してみる。 
そしてすぐ、手を握ってハッとした。 
「――まさか!」 
手の汗が完全に吸い取られた。 
じゃあ、グレッグルの手に付着している砂は、
どろかけの際に投げつけた、元湿った砂ということか。 
「グレッグル。君の特性は、乾燥肌・・・・・・そう解釈していいんだね?」 
クスクスと笑うグレッグル。 
「グレッグル。君がアクアテールを受けて立ち上がる時、
片膝を着いて震えていたのは演技。そう解釈していいんだね?」 
ケタケタと笑うグレッグル。 
「グレッグル。つまりこの勝負、僕が上手く立ち回れば勝てる。
そう解釈していいんだね?」 
ゲラゲラと笑うグレッグル。 

「グレッグル。そこまでだ。笑うのは、勝利の時までとっておくといい」 

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