4_ルールセクション


■ルールとは■

 RPGにおけるルールとは、物語を作る遊びであるRPGを、円滑に、公平に進行するために存在する決まり事のことを言う。
 誰もが好き勝手に行動しては、物語はいとも簡単に破綻してしまう。
 そうした事故を未然に防ぎ、素晴らしい物語を皆で味わう為に、この章は存在している。


■黄金律■

 最も重要なルールを教えよう。それは、

 【ルールはない】

 というルールだ。
 前述したことと矛盾している? オーライ。まずは聞いて欲しい。
 これは物語を面白くする妨げとなるのなら、(GMも、PL全員も納得した上で)ルールを変更して良いし、無視すらして良いという、最上位のルールだ。
 ルールで雁字搦めにすることにはなにひとつ! 欠片も価値はない!
 美しい物語を皆で共有し、味わうことが目的なのであって、つまらない思いはして欲しくない。
 ただしこれは諸刃の剣だ。ワンマンなGMを、僕は腐るほど見てきた。そうしてRPGから離れていった人も。
 だからこそ、全員が楽しもうとして、かつルールに矛盾や不条理な部分があった時、それを打破する為にこの黄金率を明示した。
 独りよがりにルールを改造して、どうだすごいだろう、と自慢するための黄金率ではないとわかってもらえただろうか。


■ルール上の処理■

 ・このゲームでは十面ダイス(サイコロ)を複数使用する。一人10個から20個程度用意しておくと良い。
 ・ダイス目の0は10として扱う。
 ・数値の計算を行う時、小数点以下が出た場合は全て切り捨てとして算出する。
 ・ルールに矛盾が発生した際の優先順位は「黄金率」>「GMの判断」>「ルールブックの記述」>「判定ルール」として扱う。


■判定ルール■

 このゲームにおいて、失敗する可能性があるとGMが判断した時、また、競争相手がいて、どちらが勝利したのか判断したい時、それらを公平に解決する為に「判定」を行う。
 「判定」は3種類存在し、それぞれ「通常判定」「対抗判定」「継続判定」と呼称する。ルールブック上で、単に「判定」と記述されている場合は、この3種類すべてを示している。

【通常判定】

 物事が上手く行ったかどうかを判断するための「判定」。
 GMはその「判定」に相応しい【能力値】と≪技能≫を指定する。
 判定を行うPLは指定された【能力値】と≪技能≫の合計値(以降、この合計値のことを「ダイスプール」と呼ぶ)を算出する。
 適した≪技能≫を所持していない場合でも、【能力値】の値のみを「ダイスプール」とすることが出来る。
 「ダイスプール」に等しい個数のダイスを振り、「目標値」以上(通常は8以上、つまり8、9、0)の出目を出したダイスの数を数える。
 その個数を「達成数」と良い、GMから「難易度」の指定が無い場合、「達成数」が1以上であればその行動は「成功」となる。(難易度を0として扱う)

 【能力値】+≪技能≫=ダイスプール
 「達成数」>難易度 → 成功!
 「達成数」=難易度 → 成功!
 「達成数」<難易度 → 失敗!


【対抗判定】

 何らかの行為で競争を行う時や、激突する時、GMは「対抗判定」をするように指示出来る。
 「対抗判定」を行うことで、どちらがその競争に勝利したのか決定出来るのだ。
 手順は簡単である。
 能動的にその行為を行う側(攻撃をしかけたり、先に行動をけしかけたりした方である。わかるね?)を「能動側」、その判定を受ける側(攻撃を回避しようとしたり、挑戦をうけて立った側だ)を「受動側」と称する。
 まずGMは「能動側」「受動側」それぞれに、使用する【能力値】と≪技能≫を伝える(これがダイスプールとなる。もはや説明はいらないね)。
 GMは基本的に、「能動側」には「アクト」に属する【能力値】を。「受動側」へは「リアクト」に属する【能力値】を指定すること。
 次にそれぞれ指定された「ダイスプール」で判定を行い、「能動側」の「達成数」から「受動側」の「達成数」を差し引く。
 その結果、「能動側」にひとつでも「達成数」が残っていれば「能動側」の勝利、ひとつも「能動側」の「達成数」が残っていなければ「受動側」の勝利となる。
 ※明確な能動、受動がわからない時? その時は、その判定を行う原因となった行為を先にしかけた方を能動とするように。

 「能動側」の達成数>「受動側」の達成数 → 「能動側」の勝利!
 「能動側」の達成数=「受動側」の達成数 → 「受動側」の勝利!
 「能動側」の達成数<「受動側」の達成数 → 「受動側」の勝利!


【継続判定】

 瞬間的に結果を導くことが困難である行動を解決する時、継続判定を行う。
 時間をかけてセキュリティを突破する、何かを作り上げる、誰かを説得する……そういった時にこの判定を利用してほしい。
 実際に行うことは、「通常判定」の連続だが、「継続判定」では「難易度」の代わりに「目標達成数」「累積達成数」という概念が追加される。
 GMは判定開始時に「目標達成数」を指定する。
 「継続判定」に挑むキャラクターは、「判定」時に指定されたダイスプールで「判定」し、その「達成数」を求める。
 次に「達成数」を「累積達成数」に合計する。「累積達成数」の初期値は0である。
 「累積達成数」が「目標達成数」以上になっていなかった場合、先の判定のダイスプールを2点減少して、再び判定を行う。
 これを繰り返して、ダイスプールが無くなる前に「目標達成数」を満たせば、「継続判定」は成功となる。

■重点■ニンジャ限定のボーナス■重点■

 あらゆる「判定」において、DLが1以上のキャラクター(つまりニンジャであるキャラクター)は、そのダイスプールにDLの二倍の数のダイスを追加する。
 これはニンジャ存在の能力が、そのベースからしてモータル以上であることを示すルールである。

■タツジン! ウカツ!■

 「判定」を行う際の、奇跡的な成功や、致命的な失敗を表現するルールが、「タツジン!」と「ウカツ!」である。

【タツジン!】

 判定を行う際、10の目(つまり、多くのダイスでは0の目だ)を出したダイスが一個でもあった場合を「タツジン!」と呼ぶ。
 「タツジン!」が発生した場合、出目が10であったダイスは、達成数1点と数えた上でさらに振り直す。
 これによって「タツジン!」が発生したダイスは1個で何点も「達成数」をあげられる可能性がある。

【ウカツ!】

 「達成数」が0だった場合はただ、その行為が失敗しただけである。
 しかし、失敗した際に振ったダイスの中にひとつでも1の出目があった場合を「ウカツ!」と呼ぶ。
 「ウカツ!」が発生した場合、即座に現在インガオホー値を1減少させること。





■■戦闘ルール■■

 マッポーの世に生きる者達と戦闘は、切っても切れないものである。
 ここからは戦闘を表現するためのルールを解説する。
 このゲームの戦闘は「ラウンド進行」という、一種のターン制をとっている。
 「イニシアティヴ値」の最も高い者から行動を宣言し、解決していくことになる。
 全キャラクターが行動を終えると、次のラウンドが始まる。
 GMの提示した勝利条件、敗北条件のどちらかを達成した段階で、戦闘は終了となる。
 また、最初のラウンドから勝利条件、敗北条件を満たすまでを1シーンとして扱う。

■4種のフェイズ■

 ラウンドを構成する4種のフェイズについて、以下に簡単に解説する。

 ▼セットアップフェイズ▼
 新しいラウンドが開始される。「戦闘不能」「死亡」でない全てのキャラクターは「未行動」になり、アクトが行えるようになる。

 ▼イニシアティヴ決定フェイズ▼
 次にメインフェイズを行うイニシアティヴキャラクターを決定する。全員が「行動完了」「戦闘不能」「死亡」のいずれかの状態であった場合、クリンナップフェイズに移る。

 ▼メインフェイズ▼
 イニシアティヴキャラクターが、移動や攻撃を行う。

 ▼クリンナップフェイズ▼
 ラウンド終了時の処理を行う。勝利条件、敗北条件のいずれも満たされていないのならば、再びセットアップフェイズに戻る。


■キャラクターの状態■

 全てのキャラクターは「未行動」「行動完了」「戦闘不能」「死亡」のいずれかの状態にわかれている。

【未行動】

 キャラクターがまだこのラウンドでメインフェイズを行なっていないことを意味する状態。
 ラウンドの最初、セットアップフェイズに「行動完了」であった全てのキャラクターは「未行動」になり、そのラウンドでメインフェイズを行う権利を得る。

【行動完了】

 キャラクターが既にメインフェイズを終えていることを表す状態。

【戦闘不能】

 キャラクターが戦闘行動を行えない状態であることを表す状態。
 「戦闘不能」であるキャラクターは、何らかの手段で「戦闘不能」を解除しなければ、メインフェイズを行うことは出来ない。
 「戦闘不能」が解除された場合、そのキャラクターが「戦闘不能」となる直前の状態になる。
 また、「戦闘不能」状態で1点でもダメージを受けた場合、「死亡」状態となる。

【死亡】

 キャラクターが完全にPLの手を離れ、二度とセッションにPCとして参加出来ない状態にあることを表す状態。
 ズンビーとして蘇生することもあるかもしれないが、少なくとも、そのセッション中には一切の行動を行うことが出来ない。






■勝利条件、敗北条件■

 勝利条件、敗北条件とは、そのどちらかを満たした段階でラウンド進行が終了することになる条件である。
 ラウンド進行の開始と同時にGMはこれらの条件を提示する。
 内容の例をあげれば、「敵対しているキャラクターすべての戦闘不能」だとか、「PC全員の戦闘不能」だとか、「特定のNPCの死亡」だとか、そういったものである。
 この条件が満たされた時点で、GMはラウンド進行の終了を宣言すること。


■ラウンドの進行■

▼セットアップフェイズ▼

 1.戦闘に参加している「行動完了」のキャラクターが「未行動」になる。
 2.セットアップフェイズに宣言可能な「アーツ」の使用

▼イニシアティヴフェイズ▼

 1.イニシアティヴフェイズに宣言可能な「アーツ」の使用
 2.イニシアティヴキャラクターを決定する。「未行動」の最も高いイニシアティヴ値を持つキャラクターを選出する。
 3.イニシアティヴキャラクターは次のメインフェイズを行う。
 4.「未行動」のキャラクターが存在しない場合、「クリンナップフェイズ」へ以降する。

▼メインフェイズ▼

 「アクト宣言」を任意の順番で任意の回数、「行動回数」が0になるまで行うことが出来る。
 また、望むのなら残りの「行動回数」を破棄しても良い。(一度だけアクト宣言を行い、行動完了になる、といった具合だ)
 「行動回数」が0になるか、破棄するかし終えたら、そのキャラクターは「行動完了」になる。
 また、通常のキャラクターの「行動回数」は2回であり、ニンジャである場合はそこにDLの値を加えたものが「行動回数」となる。

★イニシアティヴフェイズへ戻る★


▼クリンナップフェイズ▼

 1.クリンナップフェイズに宣言可能な「アーツ」の使用
 2.クリンナップフェイズまで効果を発揮する「アーツ」や「アウトフィット」の効果の解除
 3.セットアップフェイズへ戻る

■アクト宣言一覧■

 アクト宣言とは、すなわちこういった行動をするぞ、という宣言である。
 以下にアクト宣言時に行える選択肢を提示する。

【戦闘移動】行動回数1回消費

 戦闘移動の数値までの任意の距離を移動する。この移動で離脱を行うことは出来ない。

【全力移動】行動回数2回消費

 戦闘移動の三倍までの任意の距離を移動する。この移動では離脱を行うことが出来る。

【攻撃】行動回数1回消費

 任意の対象に攻撃を行う。詳しいルールに関しては後述する。

【アーツを使用する】消費する行動回数はアーツに記載されている。

 「使用タイミング:アクト宣言」のアーツを使用する。












■IRCコトダマ空間について■

 ニンジャスレイヤーにおける特徴的な要素はふたつ存在していると、僕らは考える。
 ひとつはニンジャ。
 神話的存在であり、絶対の力の象徴であり、物語の根幹をなす大きなファクターだ。
 そしてもうひとつ。
 IRCコトダマ空間。
 サイバーパンクとして、ネットワーク空間というものは外すことの出来ない、最大のファクターである。
 事実、第一部における――おっと、未読のニュービーのお楽しみを奪ってはいけないね。
 さて、ここからはIRCコトダマ空間についての解説を行う。
 最初に宣言しておく。
 GMはこのルールを採用しなくても構わない。
 ただし、もし採用しないのであれば全てのPLに、事前に伝えておかなければならない。

■IRCコトダマ空間の扱い■

 「IRCコトダマ空間」を、このゲームでは「現在進行中のシーンと同時に進行されるもうひとつのシーン」として扱い、「コトダマシーン」と呼称する。同様に、普段セッションで用いるシーンを「通常シーン」と呼称する。
 別のシーンであるこの両者の間では、攻撃や何らかのアーツが影響を与えることもないし、そもそも会話すらすることが出来ない。
 この両者間の移動も本来は不可能である。
 ただし、これらには例外が存在する。「ワザマエカウンター」を用いた一時的なものや、「アクター」の特性、また「アーツ」の効果などだ。
 これらは後述するので、よく読むこと。

■PCの状態■

 全てのキャラクターは「コトダマシーン」に対する状態として、「スタンドアロン状態」「認識状態」「並列状態」「ダイブ状態」の四種の状態のいずれかになっている。
 「スタンドアロン状態」とは、UNIXなどを使用していない、IRC空間に一切触れていない状態。(つまり、誰とも、どことも繋がっていないスタンドアロンな状況だ)
 「認識状態」とは、UNIXやLANジャックを使用して、IRC空間に接続しているが、コトダマ空間自体の視覚化はできていない状態。すなわち、コトダマ空間で起きていることは分かるし、会話も可能な状態。(ただし、)
 「ダイブ状態」とは、「IRCコトダマ空間」に意識を没入し、IRC空間を認識している状態。
 「完全ダイブ状態」とは、キャラクターが「IRCコトダマ空間」にのみ存在している状態を表している。

▼未接続状態

 「未接続状態」のキャラクターは、完全に「IRCコトダマ空間」から隔絶された状態にある。
 また、「通常空間」にキャラクターが存在するものとして扱う。


▼認識状態

 「認識状態」のキャラクターは、UNIX等を通じてIRCコトダマ空間に接続している。
 コトダマ空間を三次元的に認識する領域にはなく、読者である我々の知るネットサーフィンに近い状態であると言える。
 また、「通常空間」にキャラクターが存在するものとして扱う。

▼ダイブ状態

 「ダイブ状態」は特殊な状態である。
 「ダイブ状態」にあるキャラクターは、「IRCコトダマ空間」と、同時に「通常空間」にも存在しているものとして扱う。
 ただし、PLが操作出来るのは「IRCコトダマ空間」に存在しているキャラクターのみで、「通常空間」に存在しているキャラクター(つまり本体)を操作することは出来ない。「通常空間」のキャラクターを操作したい場合は「ダイブ状態」から「未接続状態」もしくは「認識状態」にならなければならない。
 また、HPやインガオホー値は共有しており、「通常空間」からの攻撃であろうと、「IRCコトダマ空間」からの攻撃であろうと、同じようにダメージを受けるし、同じようにインガオホー値も増減する。
 また、ダメージに関しては「IRCコトダマ空間ルール」の制約下におかれる。

▼完全ダイブ状態

 「完全ダイブ状態」にあるキャラクターは、「IRCコトダマ空間」のみに存在している。
 コトダマ空間にのみキャラクターが存在し、「通常空間」には存在していない状態を表す。
 あらゆる判定の≪技能≫を≪電制≫であるものとして判定を行なって良い。
 ダメージに関しては「IRCコトダマ空間ルール」の制約下におかれる。

■IRCコトダマ空間ルール■

 「IRCコトダマ空間」と、「通常空間」の間の距離は「オーバーレンジ(数値による距離の概念の外側)」であるものとする。
 「IRCコトダマ空間」と「通常空間」の間では、射程が「オーバーレンジ」でないアーツやアウトフィットは効果を及ぼすことはない。
最終更新:2013年04月24日 16:14
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