起承転結の分量配分

  例えば400字詰め原稿用紙換算で400枚の物語を書こうと思ったとき、それを単純に4で割り、「起承転結それぞれに100枚ずつ」といった分量配分をしていないだろうか。
  確かにこの考え方は数字的に見て美しく、合理的なように思えるが、この分量配分では意外と書きにくい。例えば4コママンガなどでは、起承転結のそれぞれがそのまま1コマに割り当てられることが多い(1コマから3コマが起承承、4コマ目で転結をまとめてやる、という構成も見られる)が、そのような均等分配は、量が増えれば増えるほどやりにくくなってくる。
  なぜか。
  簡単にいってしまえば、全体の分量が増えたとき、増やすことができる部分とそうでない部分とがある、ということである。
「転」部でこれを見てみよう。
  仮に40枚ほどの短編で、起承転結にそれぞれきっちりと10枚ずつを割り振って作品を仕上げたとする。この作品を改稿して5倍、200枚ほどの作品に仕上げようとしたとき、そこで書いた「転」部が5倍になるかというと、決してそうはならない。せいぜい倍の20枚か、多くても30枚程度にしかならないだろう。
」の解説でも述べたとおり、「」から先では物語をもたつかせてはならない。当然物語の進行も早くなるわけだから、文章量も「起承」部に比べれば少なくなる。短編であれば各部に費やすことのできる原稿量も限られるため、起承転結を均等割りしてもさほど問題はないが、物語が長くなった場合は、「転」以降は物語が加速する分を考慮して、分量配分は少なくなるだろう。
  具体的な配分については、作品の総量や構成などの要因によって変わってくるため、どこを何割といい切ることはできないが、「総枚数を起承転結で均等割り」は構成としては少し無理がある、という点は頭に入れておいた方がよい。

最終更新:2007年04月29日 11:07