どーも、上条さんです。
現在進行形で死にそうです。
え? なんで死に掛けてるかって? そりゃ――
現在進行形で死にそうです。
え? なんで死に掛けてるかって? そりゃ――
「うぉおおおい!! なんでこんなところで、滝があるんだよ!?」
上条さんともう一人が必死で漕いでいるボート、その進路の先に滝があるからです。
うん、なんだこのベタなオチは。
うん、なんだこのベタなオチは。
「俺が知るかぁあああああ!」
「はーははは、大人しく止まってそこで蜂の巣にナルノデース!」
背後から聞こえる妖しげな声。
そこには大型のボートの上、腰みのに、上半身を黒と白のペイントで塗り潰したつるぱっげの怪しい怪人。
つい数十分ほど前にこの密林を護る守護者と名乗ってきた――変態。
ところで、その手に持つぶっとい機関銃はなんだ。
いや、マジで。
そこには大型のボートの上、腰みのに、上半身を黒と白のペイントで塗り潰したつるぱっげの怪しい怪人。
つい数十分ほど前にこの密林を護る守護者と名乗ってきた――変態。
ところで、その手に持つぶっとい機関銃はなんだ。
いや、マジで。
「テメエエエエ! 科学に反抗する自然の守護者とか名乗っておいて、なんで銃器使ってんだよ!」
上条さんは許しませんよ!
横にいる熟練のツッコミ使いとの日々で、何時いかなるときにも理不尽に抗う心を手に入れた俺に突っ込めないものは無い!
横にいる熟練のツッコミ使いとの日々で、何時いかなるときにも理不尽に抗う心を手に入れた俺に突っ込めないものは無い!
「OH-! これは機関銃じゃありマセーン、父なる木々が祝福を与えてくれた文明人抹殺デストロイヤー一号デス」
「お前絶対に原住民じゃねえええ!!」
「英語使うなよ!!」
「HAHAHA、お死になさーイ!」
向けられる機関銃の銃口。
やばい、ピンチです。
あ、引き金が――
やばい、ピンチです。
あ、引き金が――
「くそ、当麻! 後ろに居ろよ」
その瞬間、俺の前に飛び出た人が居た。
手には相変わらずよく分からない原理で抜き出した西洋剣――魔剣、その身に纏うのは俺と同じ迷彩服、茶髪に染めた髪、俺よりも数年年上の男の後姿。
銃撃音。
機関銃からマズルフラッシュ、耳に痛い破裂音に、金属音。グラグラと揺れるボート、危ない。
しかし、目の前の男――柊 蓮司は銃弾を全て叩き落していた。
手には相変わらずよく分からない原理で抜き出した西洋剣――魔剣、その身に纏うのは俺と同じ迷彩服、茶髪に染めた髪、俺よりも数年年上の男の後姿。
銃撃音。
機関銃からマズルフラッシュ、耳に痛い破裂音に、金属音。グラグラと揺れるボート、危ない。
しかし、目の前の男――柊 蓮司は銃弾を全て叩き落していた。
「HA-HAHAHA! 出やがりましたね、怪しげなバリアつかーい! そんな西洋かぶりの刀剣一本で、この密林の守護者~ハーモニクサァを倒せると思っているのですか!」
「うるせええ! テメエは密林の守護者なんかじゃなくて、単なる変態だろうが! っていうか、何時の間に月衣貫通弾を開発しやがった!?」
「ふふーん。そんなもの、お前たちにぶちこむ銃弾一発一発に愛と祈りを込めた口付けをしただけデース!」
怖気が走った。
撃たれるのは怖い、けれどそんな弾丸が体に食い込むほうがよりいやだ。
あ、柊が切り払った魔剣に嫌そうな目を向けている。
気持ちは実に分かるなぁ。
撃たれるのは怖い、けれどそんな弾丸が体に食い込むほうがよりいやだ。
あ、柊が切り払った魔剣に嫌そうな目を向けている。
気持ちは実に分かるなぁ。
「ところで、私に目を向けていいのですかー?」
「え?」
「は?」
「後ろをミルデース」
後ろ?
俺と柊が後ろに振り向く。
うん、轟々と音を立てる――滝がありました。
……うっかり、忘れてましたよー。
俺と柊が後ろに振り向く。
うん、轟々と音を立てる――滝がありました。
……うっかり、忘れてましたよー。
「ひ、柊―! いつものようにジャンプ!」
柊は俺が知る限り常人よりもかなり身体能力も高く、そして頑丈だった。
ガチンコ担当なこいつならきっといける! いや、いってくれる!
ガチンコ担当なこいつならきっといける! いや、いってくれる!
「ム、無茶言うな! こんな激流で、飛べるか!」
駄目ですかー!
「サヨウナラデース」
カチっと変態が持っているスイッチから音がなった。
途端に、変態の乗るボートが速度を上げて突っ込んでくる。
途端に、変態の乗るボートが速度を上げて突っ込んでくる。
「な!?」
「HAーHAHAHA!!! 滝つぼに落ちてクタバルデース!」
ざぶんと腰みのの変態は川へと飛び込む。
なんだ、あの速度!? この急流をいとも容易く泳いでやがる――って、ああああ!
なんだ、あの速度!? この急流をいとも容易く泳いでやがる――って、ああああ!
「やべえ、俺に掴まれ当麻!」
「またこんなオチですかー!」
しっかりと柊にしがみ付き、俺と柊は突っ込んでくるボートから避けるように滝に飛び込んでいった。
あー、不幸です! 不幸だ! 不幸ですよ!! 思わず三段活用だよ!
あー、不幸です! 不幸だ! 不幸ですよ!! 思わず三段活用だよ!
とある偽善使いと魔剣使い 嘘予告
それは本来ないはずの出会いだった。
「ん? どうしたんだ、お前」
苛められ、泣いていた少年。
そこに通りかかった一人の高校生――それが運命の始まりだった。
常識から剥離され、異能を操る夜の魔法使い。
異能を破壊し尽くす、幻想殺し。
まったく正反対のベクトルでありながら、神の如き力も運命も断ち切る剣を所持した少年、神のシステムすらも打ち砕く右手。
共に運命に抗う心が幻想殺しにすら打ち消せない絆を生んだのか。
それとも、無駄にフラグを立てる二人の性質でも共鳴したのか。
そこに通りかかった一人の高校生――それが運命の始まりだった。
常識から剥離され、異能を操る夜の魔法使い。
異能を破壊し尽くす、幻想殺し。
まったく正反対のベクトルでありながら、神の如き力も運命も断ち切る剣を所持した少年、神のシステムすらも打ち砕く右手。
共に運命に抗う心が幻想殺しにすら打ち消せない絆を生んだのか。
それとも、無駄にフラグを立てる二人の性質でも共鳴したのか。
彼らは出会う。
そして――不幸になった。
「柊さぁあああああああん! 任務ですよーって、あら?」
「おいこらてめええ! 任務終了と同時に拉致んな! って、ん?」
「ここ、どこ?」
高校生――柊 蓮司と出会った少年、上条 当麻は降り立つ。
己と同じ常識を護る、異能を否定する世界結界に覆われた惑星、ファージ・アースに。
己と同じ常識を護る、異能を否定する世界結界に覆われた惑星、ファージ・アースに。
「ほうほう、面白い手ですね」
「面白くなんかないよ、こんな右手」
「上条さん、あなた――世界を救ってみませんか?」
「え?」
「そこに柊さんと一緒に」
「俺かよ!?」
少年は知る。
異世界には彼の右手を、存在を、必要としてくれるものもいるのだと。
あと、神のシステムを殺せても、逆らえないものがあるのだということも。
異世界には彼の右手を、存在を、必要としてくれるものもいるのだと。
あと、神のシステムを殺せても、逆らえないものがあるのだということも。
つまり理不尽。
「うわー! 変態だぁあああ!!」
「だぁれが、変態かね!? この盛り上がった筋肉を、美しい悪魔の血で染まったグローリアを見たまえ!」
「それが変態なんだよ!」
彼が信じていたかもしれない神。
そんなのは居ない、っていうか信徒にろくなものは居ないと教えられた。
そんなのは居ない、っていうか信徒にろくなものは居ないと教えられた。
「これ、食べる?」
「なにこれ、なんかビクビクしてるんだけど」
「チョコレート」
「……」
パカ。
『ギシャァアアアアアアアアア!!』
フタを閉める。
形容してはならない、見るだけでSAN値がガリガリ削られそうな異形が見えたから。
形容してはならない、見るだけでSAN値がガリガリ削られそうな異形が見えたから。
「これチョコレート?」
「まちがいないわ」
「さすが異世界」
ちなみに右手で殴ったが、破壊できませんでした。
どうやら異能では無い模様です、ありえん。
どうやら異能では無い模様です、ありえん。
「出やがったな、魔王! っていうか、ベールゼファー!」
「ずいぶんと面白い子供を連れてるわね、柊 蓮司。幻想を否定する右手だっけ?」
「っ」
「こ、こいつが魔王!? っていうか、美少女にしか見えないんだけど!」
「油断するな、こいつは見かけどおりの年でも強さでもねえぞ!!」
「年は余計よ。まあいいわ、ちょっと殴ってみなさいよ」
「は?」
「私の纏う月衣と、その右手。どれだけのものか試させてあげるわ。普通に戦っても、すぐに死んじゃうもの」
「つ、舐めんな!」
当麻が走る。
床を蹴る、紅い月の世界を爪先から蹴り抜く様に疾走。
右手を構えて、一直線にベール・ゼファーという異形を否定するために右手を振り抜く。
床を蹴る、紅い月の世界を爪先から蹴り抜く様に疾走。
右手を構えて、一直線にベール・ゼファーという異形を否定するために右手を振り抜く。
「当麻!」
それのフォローに、柊が駆け出そうとして――
ぺシ。
酷く気の抜けた音が、右手からした。
殴ったのはベール・ゼファーの豪奢なドレスに覆われた腹。
殴ったのはベール・ゼファーの豪奢なドレスに覆われた腹。
「子供だましね」
「な、なんで!?」
今まで触れたエミュレイターならばほぼ滅殺出来た右手が効かない。
さすが魔王と言うべきか。
さすが魔王と言うべきか。
「さあ、つまらない芸のお礼よ。死になさい」
視認することも出来ない速度で首を掴まれる。
「うっ!」
「当麻を離せ!」
「うるさいわね、柊 れん――」
瞬間、何かが破ける音がした。
「じ?」
何故かスースーする感触にベール・ゼファーが体を見下ろす。
飛び込んできたのは肌色。
飛び込んできたのは肌色。
「……」
「……そういえば、お前らって魔力で服とか作ってるんじゃなかったっけ?」
姿形を自在に変化させることが出来るエミュレイター。
特にベール・ゼファーはよく服装を変えているが、一々用意していたのだろうか?
否。
彼女達は膨大な魔力と魔王の凄まじい技量によって、衣服などを作り、装着しているのだろう。
ならば、それは異能に値するものか?
肯定である。
特にベール・ゼファーはよく服装を変えているが、一々用意していたのだろうか?
否。
彼女達は膨大な魔力と魔王の凄まじい技量によって、衣服などを作り、装着しているのだろう。
ならば、それは異能に値するものか?
肯定である。
つまり、破壊されたので見事にすっぽんぽんでした。
「あ、銀色」
「死になさいっ!!!」
この日、当麻は全治一ヶ月の重傷を負った。
柊蓮司はベール・ゼファーと五時間にも及ぶ死闘を繰り広げ、死にかけた。
報告を受けたアンゼロットは笑い死にかけた。
柊蓮司はベール・ゼファーと五時間にも及ぶ死闘を繰り広げ、死にかけた。
報告を受けたアンゼロットは笑い死にかけた。
そんなこんなで数年後。
かなりの勢いで逞しくなった当麻は世界を四回ぐらい救って、元の世界に帰っていった。
任務のたびに当麻はフラグを立ててたりなどしたが、まあ気付くわけもなく、さようならを告げ。
いつか再会することを誓って、彼は元の生活に戻る。
かなりの勢いで逞しくなった当麻は世界を四回ぐらい救って、元の世界に帰っていった。
任務のたびに当麻はフラグを立ててたりなどしたが、まあ気付くわけもなく、さようならを告げ。
いつか再会することを誓って、彼は元の生活に戻る。
不幸だとは口癖のように呟きながらも、どこか余裕を持って。
困った人がいれば、ため息を付きながら手助けをして。
レベル0だと蔑まれながらも、まあレベル0でも世界は救えるしなぁとどこか開き直り。
アンチスキルに何故か目を付けられながらも逃亡し、彼は高校生になった。
日常の中で女子中学生に雷撃を喰らうという日々が追加されながらも、彼は平和だった。
いつかの世界のように世界の危機に晒されているわけでもない日々に順応していた。
困った人がいれば、ため息を付きながら手助けをして。
レベル0だと蔑まれながらも、まあレベル0でも世界は救えるしなぁとどこか開き直り。
アンチスキルに何故か目を付けられながらも逃亡し、彼は高校生になった。
日常の中で女子中学生に雷撃を喰らうという日々が追加されながらも、彼は平和だった。
いつかの世界のように世界の危機に晒されているわけでもない日々に順応していた。
そんなある日、彼は出会う。
「行き倒れ、変なシスター、ロリっ子。やべえ、すごい勢いで世界の危機とかいうフラグが立つ予感がするんですけど」
ベランダに引っかかっていた変な物体もとい幼女。
「私は彼女を保護します」
刀を振り回す、怖い女性。
「僕の名はステイル=マグヌス。君を殺すものの名だ」
赤い髪の魔術師。
胡散臭くなってきた。
超能力と魔術が織り成す事件。
その中で、当麻は一本の携帯――0-PHONEを手に取った。
その中で、当麻は一本の携帯――0-PHONEを手に取った。
「もしもし、アンゼロットさんですか? ちょっくら、柊蓮司を宅配してもらいたいんですけど」
これは神すら殺す魔剣使いと
神のシステムを否定する幻想殺し。
神のシステムを否定する幻想殺し。
二人が織り成すフラグ作っては、ぶち壊す物語である。