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ナイトウィザード!クロスSS超☆保管庫
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ナイトウィザード!クロスSS超☆保管庫

第02話

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だれでも歓迎! 編集
先ほどまでの喧騒とは打って変わって静寂が森の中を包む。

「・・・・・さて、もういいか。なあ、そう思うだろ?」

と、明がそう呟いた瞬間、世界が赤く染まった・・・・・。


「デッ!ビイイィィィィルゥ!!!!」

赤い闇に飲まれる瞬間デビルマンへと変身する明。
赤い月が昇る闇の世界・・・・・裏界よりの侵略者エミュレイターの結界――月匣
この赤い世界の中でデビルマンの前に現れたのは3つの人影。

誘惑者エイミー

風雷神フール=ムール

そして

「・・・・・・久しいと・・・・言うべきなのだろうか・・・・のう?」

それは幼い少女の姿をした金色の闇。
かつて、その驕りから神々に反旗を翻した古の神
裏界の魔王達を統べる恐怖の大魔王

「デビルマン・・・・・・いや・・・・不動明」

「・・・・・・・ルー=サイファー」

裏界第一位の魔王・・・・他の世界においては『ルシファー』とも呼ばれる『金色の魔王ルー=サイファー』がデビルマンの目前に現れた。

 「こうして会うのは、私は始めてだったかな?デビルマン?」

 デビルマンと魔王達・・・・無言で対峙する双方の間からフール=ムールが一歩踏み出しデビルマンに声を掛ける。

 「フール=ムール・・・・・だったよな?たしか」
 「ああ。」
「ん?お前がいるって事は・・・・・そうか!柊達をあそこに誘導したのはおまえかフール=ムール?」

 ぽん!と手を叩きながらデビルマンがフール=ムールに問う。
ムツミと同じようにファージ=アースへの侵攻にあまり積極的でない彼女は基本的に他の魔王とも関わりはしない。
そんな彼女がここにいるのは恐らく・・・・

「・・・・まあ、そうゆう事だ。
なかなかあれで骨が折れたよ。
気付かれないように誘導するというのは・・・・・。
気付かれれば罠だと誤解されたかもしれないからな。
いらぬ節介だったかもしれんが、あまり良い結果になるとは思えなかったので・・・ね。」

あっさりと答えるフール=ムール
横でエイミーが苦々しい表情をしているが、どこ吹く風で気にもしていない。

「なるほどな。まあ、礼をいうぜ。
あのままじゃどうなってたか分からんからな・・・・。」


柊達が現れなければ・・・・いや後少し、来るのが遅れていたら不味い事になっていたかもしれない。
例えば・・・・さやかがムツミを守る為に連中に手を出したかもしれない。
それが威嚇だろうと、こちらから手をだせば、奴等は一気にさやかと自分を襲っただろう
・・・・・・ムツミを避けて。
そしてさやかを・・・・・殺していたはずだ。そう・・・・・・・

『あの時』のミキのように・・・・・・・・

そうなれば自分は怒りに任せ、必ず奴等を皆殺しにしていただろう・・・・・・デビルマンに変身して

 後は奴等の一人が逃げ延びて執行委員に報告するなり、柊達が、虐殺を行う自分を目撃するなりすれば、
 晴れてデビルマンは学園世界の敵になる

「ふん。ご苦労な事だぜ。
俺を引き込むためにこんな茶番を仕掛けるなんて・・・・・・な。」

ルー=サイファーを睨みながら呆れたようにデビルマンが呟く。

そう、今回の一件・・・・ムツミや明達をウィザード達が襲ったのは全て、
デビルマンを裏界に引き込むための罠。
あのウィザード達をデビルマンに襲わせ、学園世界と敵対させる事が目的だったのである。

「あいつ等はエイミー・・・・お前の差し金だろ?」

誘惑者エイミー・・・・人間達を誘惑して堕落させる事が得意な魔王。
当然、堕落しきった者達はエイミーのいいなりとなる。
奴等は誘惑者エイミーによって撒かれた餌。
エイミーの手によって誘惑され、エイミーの言うとおりに動く、操られている事にも気が付かない人形達。
彼等こそが、彼等自身の言う『魔王に組みした裏切者共』だったのである。

「そ、それは・・・・・。」

「諦めよ。エイミー
 こやつはとっくに貴様の茶番の全容に気付いておったのだよ。・・・・最初から・・・・・のう?」

 ふっ、と嘲笑の入り混じった笑みを浮かべながらルーがデビルマンに同意を求める。
 驚愕の表情でデビルマンを見つめるエイミー

 「・・・・・まあな。柊達が言ってたようにあまりに俺達に対して強気だったし・・・・・
普通魔王級相手に疲弊した戦力で挑んでこようとするか?
それまで雑魚冥魔に、碌に攻撃できてなかったような奴等が。
それも、逃がすまいと逃亡の阻止まで・・・・・・
以前もムツミに武器を向ける奴らがいなかったわけじゃないが・・・・・・
そう言う奴等はだいたいムツミを追い払ッたり、逃げ出すだけで精一杯だったぜ?」

くくく、と意地の悪い笑みを浮かべながら、デビルマンが答える。
いくらウィザードと魔王が敵対関係にあるとはいえ、あまりにも不自然な話だ。

「あいつ等には厳命しておいたんだろ?ムツミ=アマミとデビルマンを逃がすな!って・・・・・。
それにな、お前等と関わっているのに俺が執行委員や輝明学園の事、何も知らないとでも思っていたのか?
あそこには、元からあのベール=ゼファーとか言うのがちょくちょく顔覗かせてるだろ
それなのにムツミを敵視してるのは無理があるだろう?」


あの蠅女めぇぇ~!!!と
エイミーが悔しさに顔を滲ませる。
普段敵対するベール=ゼファーが輝明学園にさんざん顔を出しているのに
勇者魔王として今までもラビリンス=シティでウィザードにも手を貸してきたムツミがあそこまで迫害されるのはおかしい。


「まあ、そう言う事だ。
残念だったな。学園世界にいるのは、悪魔を恐れる者たちだけでも、悪魔を憎む者達だけでもない。
柊やくれは、さやか達のようにムツミに手を差し出す奴等もいるんだ。
学園世界の人間達を悪魔に怯える弱いだけの存在だと見下していたのがお前等の敗因だ!!」

デビルマンが、キッ!!とルーを睨む。
エイミーの上司たる魔王、この茶番をエイミーが起こした原因は彼女だ

「!お、お待ちください明様!!今回の件は私が!!!私が独断で行った事です!!!
ルー様は関わりございません!!!!」

慌ててエイミーがルーとデビルマンの間に割ってはいる。
ムツミと明をウィザード達に襲わせたのはエイミーの独断だ。
ルー=サイファーとは関係ない!!

だが・・・・・・

「・・・・・よい。エイミー」
「しかし!!!」

「よいと言っている!!これ以上我の顔に泥を塗るなら貴様とて容赦はせぬぞ!!!」

「!!!!・・・・・・・・・・・っ!!!も、申し訳ありません・・・・・・・。」

悔しさに顔を滲ませ、涙を流しながらエイミーが呟く。
彼女にとって敬愛するルーの顔に泥を塗るなど万死に値する行為だ。
だが、

「だから、よいと言っているだろう。」

ルー=サイファーはエイミーに優しく答える。
かまわないと。・・・・・・更に

「・・・・・・フール=ムールよ。エイミーを連れて先に裏界に戻ってくれぬか?」

とエイミーとフール=ムールにこの場から去るよう言うルー=サイファー

「ふむ、・・・・・・それはかまわないが・・・・・いいのか?」

今のルー=サイファーは、とある理由で力のほとんどを失っている。
それでも人間相手なら遅れを取らないだろうが・・・・・

「かまわぬ。元より、いつかはこやつと顔を合わせねばならなかったのだ。ちょうどよい機会さ。
エイミー。貴様もご苦労であった。
今は宮殿で休め。貴様もまだ我には必要な存在だ。」

「ル、ルー=サイファー様・・・・・・!!もったいないお言葉でございます。私は・・・・・」

「何度も言わせるな。よいと言うのだ。フール=ムール、エイミーの事はまかせる。」

「・・・・・分かったよ。・・・・・・やれやれ、邪魔をする気はないが・・・・・・二人共エロスはほどほどに・・・・な?」
「おい!?」
「ふん。好きに言うがいい。残念だが、貴様の思っているような事は何も起こらんよ。」

デビルマンが焦りながら、ルー=サイファーが笑いながら反論する。

「そうか。それは残念・・・。では、な・・・・・・また会おうデビルマン」
「・・・・・それではルー=サイファー様、明様失礼いたします。
・・・・・・ルー様、どうかお気をつけて・・・・・・・」

そう言い残すと二人の魔王、エイミーとフール=ムールは闇に飲み込まれるようにその場から掻き消えてしまった。

この場に残ったのはルー=サイファーとデビルマンの二人だけ
たった二人だけの世界に静寂が訪れる

「・・・・・さて、これで邪魔者は無く、話しをする事が出来るな。デビルマン・・・・・いや不動明」

切り出したのはルー=サイファー
その幼い顔に浮かぶのは相手・・・・・デビルマンに対する慕情の感情

「ああ、そうだな。ルー=サイファー・・・・・・・・ルシファー、『大魔王サタン』・・・・・・」

悲しげにしかし淡々とデビルマンが相手の名を呼ぶ

「『飛鳥了』・・・・・」

『飛鳥了』・・・・とある世界において、デーモン族のトップであり頂点であった存在『大魔王サタン』の正体であり
そして、不動明の友人であり、彼を愛するが故に悲劇の引き金を引き、それ故に明と敵対した神の一柱

その真の姿は『ルシファー』・・・・・・・ファージ=アースにおける『ルー=サイファー』に相当する存在である。

「・・・・・・私はルー=サイファーだよ。
貴様が『アモン』ではなく『不動明』あり、『デビルマン』であるように・・・・・な。」
「・・・・・ああ、そうだな。」

そっと目を閉じて、『とある記憶』を呼び覚ますデビルマン・・・・・・・

その記憶の中では自分は不動明であり、デビルマンとは『デーモンの勇者アモン』の力を不動明が奪い、
その力で、親友である飛鳥了と共にデーモン達と戦いを繰り広げていた時の名前だ。
だが・・・・・

「・・・・・俺は最初からデビルマンだった。不動明とは、ヒマラヤの山脈において俺が人間世界に忍び込む為に
体を奪った人間の名前だ。そして・・・・おれは不動明の父である不動教授の友人での牧村夫妻の家に入り込み
そこでミキと出会い彼女を守るためにデーモン族と戦った。
そこには、飛鳥了なんて存在は、存在しなかった。」

そう、少なくとも元の世界において大魔王サタンも飛鳥了も自分は知らない。
だが、この世界・・・・学園世界に来てからは『何故か』飛鳥了の事も明確に思いだされる。
更に・・・・・

「いまだに夢に見るぜ・・・・。飛鳥了・・・・・・大魔王サタンの策略によって世界に悪魔狩りが横行し・・・・・
そして・・・・・そして!!!!!」

それは悪夢。デビルマンにとって、不動明にとって決して信じたくない光景。
燃える家。そこに群がる悪魔狩りの暴徒達
そして・・・・・大切な・・・・・・誰よりも守りたかった存在・・・・・牧村ミキの・・・・・・・

「・・・・・今も目に焼きついているんだ・・・・・あの光景が・・・・・あいつ等が!!!人間達が!!!!!
マサを!!!!ドス六を!!!!!!健作を!!!!!!!!!!!
そして!!!!そして!!!!!!!!!」

デビルマンは泣いていた。
あの光景を思い出し。
自分が知らないはずのあの悪夢・・・・・・それは、自分がこの世界においても、正体を隠し続けた理由

「ミキを!!!!!ミキの体を!!!!!!
バラバラに引き裂いて!そして首を掲げて狂気乱舞していた人間共の姿が!!!!!!!!!
汚らしい姿で!!!笑いながら!!ミキを殺したあいつ等の姿が!!!!!!!!!!!!!!!!!」


デビルマンが・・・・・・不動明が叫ぶ。
 忘れられないと、この世界に来てすぐに見たあの悪夢が頭から離れないと

 「明・・・・・・」

 「信じたくない!!!!信じられない!!!!!!!!!!ミキは生きてる!!!!生きてるんだ!!!!!
 あんな風に殺されてなんかいない!!!!!!!!!今だって!!!!!アイツはクラスメイト達と授業を普通に受けてるはずだ!!
 普通に笑い!!!!!俺に怒って!!!!!!ムツミ達といる事に嫉妬したり、さやか達と笑い合ったりしてるはずなんだ!!!!!
 なのに!!!それなのに!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 「っ!!!明!!!!!」

 がばっ!!!とルー=サイファーがデビルマンに抱きつく。
 彼の心を落ち着かせるために、その小さい体を精一杯広げて、デビルマンの・・・・・不動明の恐怖を取り除くために

 「あ・・・・・・」
 「大丈夫だ・・・・・大丈夫だから・・・・・・・」

 やさしく・・・・・赤ん坊をあやすようにルー=サイファーがデビルマンを慰める。
 それは夢だと、やさしく語りかける・・・・自らと共にある『彼女』のように慈愛に身をゆだねて

 「う、うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

 デビルマンの咆哮が、絶叫が月匣内に響きわたる。

 「俺の所為だ!!!俺がデビルマンなんかになったから!!!!!!!
 その所為でおじさんとおばさんも!!!!!!健作達も!!!!!!!!ミキも!!!!!!!!!!!!!!」

 力のままにルー=サイファーの幼い体に爪を立てて、引っかきながら・・・・
 『なかったはずの悪夢』に苦しみながら叫ぶデビルマン

 「大丈夫・・・・それは夢だから・・・・それは我とお前が見るただの悪夢だから!!!」

 「うあ、あああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 赤い世界のその中で、悪夢に苦しむ哀れな悪魔の嘆きの声がいつまでも、いつまでも世界に響き渡った。
 彼を抱きしめ、必死に彼を慰める少女の、本来流れるはずのない魔王の涙に誰も気付かずに・・・・・・。




「・・・・・・落ち着いたか?明」

 しばらくして、やっと泣き止んだデビルマン・・・・既に変身は解除されて不動明に戻ったその少年に
 ルーはそっと声を掛ける。

 「・・・・・・・・・ああ。・・・・・・・・・みっともない所を見せちまったな。それに・・・・・・」

 明がルーの体に目を向ける。
 パニックに陥っていた自分の所為で傷ついたその姿に、
 自分に力のままに引っかかれた傷がルーの全身に痛々しく残っていた。

 「すまない・・・・・。」
 「なに、かまわんさ。しばらくすればこの程度の傷、すぐに回復する。」
 「だが!!」
 「かまわん!・・・といっておるのだ。
 おとなしく言う事を聞け」
 「・・・・・・・すまん。」

「ふふ、気にするなと我はいったはずだぞ?」

 軽く笑みを浮かべながら、ルーが明に優しく語りだす・・・・・・。

 「全く・・・・お互い難儀なものだな。
 『他の世界の記憶』と言うものは・・・・・・・・。」

 他の世界の記憶
 それは、先ほどの明の身に覚えのないはずの悪夢や、

 「私にも飛鳥了とやらの記憶があるのだよ。」

 飛鳥了……大魔王サタンの記憶。

 不動明を守る為にと、裏で暗躍を繰り返し、明を愛するが故に牧村ミキを人間達が襲うように仕向け
 とうとう明との間に決定的な亀裂を生み、明率いるデビルマン軍団と戦った悲しい記憶が

 「この学園世界は・・・・過去や未来、ifとif、現実と非現実の壁が、限りなく薄く、そして近く
全ての可能性と世界が『学校』と言うキーワードを介して混ざり合っている。
・・・・・・・ただの人間共ならともかく 我らのような元来唯一無二の存在は・・・・・互いに影響しあってしまう・・・・・。

 ・・・・・私たちの『体験したことないはずの記憶』もそんな世界が混ざり合った結果の一つだ。」

 人と違い、ルシファー・・・・ルー=サイファーのような存在はただ存在するだけで世界そのものに影響を及ぼす。
 故に、たとえ別々の存在だとしても存在そのものの根底は同じであり、
どれだけ世界が離れていても互いに少なからず影響し合っているのだ。

 ルシファーもルー=サイファーも同じように神々に反逆したのがその最たる例だろう・・・・・・。

 だからこそルーと明には『体験していないはずのもう一つ世界』における
 『不動明』と『飛鳥了』の記憶が宿っているのだ。

 「案外、明…貴様とムツミも同じ様な存在なのかもしれんぞ?」

 茶化すようにルーが言う。

 「・・・・おいおい、簡便してくれ。」

 未だ力なく・・・・しかし確かに笑みを浮かべながら明がルーに反論する。
 正直、他人のような気がしなかったのがムツミに手を貸し続けた理由ではあるが・・・・

 「俺はあいつほど博愛主義じゃない。
 何があっても諦めないあいつは俺には眩しく見えすぎる・・・・。」

 明・・・・デビルマンは元々ミキを守るためだけにデーモンを裏切った存在だ。
 エミュレイターだろうが人間だろうが苦しんでいれば誰でも助けようとするムツミとは違う。
 自分はあいつほど崇高な理想など持ってはいない。

 「しかし・・・・・あやつを放っておく事もできまい?
 なんのかんのと言って、貴様はあやつに似ておるのだよ。」

 思わず嫉妬してしまうほどにのう。と笑いながら答えるルー

 「ふん。冗談はよせ。」

 「冗談ではないよ。しらなんだか?我は嫉妬深いのだぞ?」


 ふっふっふ、と本気か冗談かわからない笑顔で答えるルー。
 その笑顔に明は何も答える事ができない・・・・・・・ルーの笑顔が美し過ぎて……

 「それにしても……下に恐ろしきは、飛鳥了とやらの執念よのぅ。
 我をここまで動かすとは……な。」

 くくく、とルーが笑う。
 ルーが明のために身を呈したのも、エイミーが明をなんとかこちらに引き込む為に今回の事件を起こしたのも
 元をたどれば……明達の世界に似た、どこかの世界のルシファー・・・・・飛鳥了の、
明の手に入れる為ならば、どんな事でもすると言う恐ろしいまでの想い・……
執念と言うには美しすぎて、愛と呼ぶには醜すぎる・・・・・・情愛の念

本来ならば、互いに影響し合うとは言え、それだけでルーを動かすほどではないはずだった。
だが・・・・・

「まったく。学園世界の呪いとでも言うのかのう?
取るに足らないノイズ程度のはずの飛鳥了の記憶と想いが、我に貴様を手に入れさせようとする。
貴様も同じだろう?明」

「・・・・・ああ。」

こくり、と頷き明は話を続ける。

「俺の中にももう一人の俺・・・・・・別の世界の不動明の記憶と想いが確かにある。
ミキを殺した人間達を恨み、その引き金を引いた飛鳥了・・・・・大魔王サタンを激しく憎みながら・・・・・・
それでも、親友であった良を憎みきれない・・・・・
たとえ人の肉体は失っても、人間の心を失いはしなかった、もう一人の『不動明』の悲しい想いが・・・・」

そしてサタンとの最終決戦に敗れ、そして地獄に堕ちながらも、やがてサタンの手により現世に復活し、
神々の軍団を共に迎え撃った記憶が・・・・・

「ふん。面白い記憶だ。だからこそ、貴様を手に入れるのも悪くはないか・・・・・・とは、思うのだがな。」

いずれルーも神々・・・・『超至高神』に戦いを挑む事になる・・・・・・・
その時デビルマンの力は確実に強力な戦力となるだろう。

「もっとも、我は飛鳥了とやらではない。手に入れるとしても配下の者として・・・・・だがな。」

ニヤリと笑うルー。

「ふん。だからエイミーを俺に遣わせているのか?俺を堕落させるために。」

ぶす、とした不機嫌そうなジト目でルーを睨む明

「まあそう言うことだ。
もっとも今となっては、まったくあやつの誘惑に乗らない貴様に、エイミー自身が意地になっているだけだがな。」

かわいいものだ、とルーは語る。

「俺はいい迷惑なんだがな・・・・・。」
「まあ、そういうな。甲斐甲斐しいじゃないか。」
「その所為で俺は最近、寮の連中に女たらし扱いされてんだよ!?
まだばれてないけど、ミキにも誤解されるかもしれないし!!!」
「ふむ。それは我としてはむしろ望む所だな。」
「ふざけんなよ!?」
「何を言う。お前を配下に手に入れる為に、エイミーを遣わせていると言っておるだろう?」
「ぐわああぁぁぁ!!そういえばそうだった!!!!」


ああ、と頭を抱え出す明、
その姿をルー=サイファーは笑いながらずっと見つめていた。・・・・・ずっと。

明と軽口を叩き笑い合う

それは・・・・かつて飛鳥了・・・・大魔王サタンがずっと望んでいた、もう戻らない光景であった。



それから・・・・しばらくの時間が経ち・・・・・

「・・・・それじゃあ、な。・・・・・・・もう行くぜ。」
「そう・・・・・・か。」

それは軽い別れの挨拶・・・・・

二人に別れの時が訪れる。

すっと立ち上がり歩きだす明・・・・・ふとルーの方を首だけ振り返り・・・・・

「いいのか?」

俺を手に入れるんじゃなかったのか?と問う。
 しかし

 「ん?引き止めて欲しかったのか?」

 くくく、と笑いながら逆に聞き返すルー

 「・・・・・いや。」

 そう言う訳じゃ・・・・と口ごもる明

 「エイミーの策は貴様に破られたのだからな。今回はここまでだ。」

 そう言いながら妖艶に微笑むルー。

 そうかよ。と軽口を叩きながら歩きだす明。
 今度は振り返らずに

 「・・・・・・・案外、さっき抱きしめられた時なら・・・・・・そのまま堕ちてたかも・・・・・・な。」

 そう呟いて・・・・明・・・デビルマンは学園世界へと帰って行った。

 「・・・・・・・・そうか。・・・・・・・・それは、残念だ・・・・・・・・・。」

 そのルーの呟きは誰もいない赤い世界の闇の中に消えていった。
 その呟きに込められたルーの想いは・・・・・・・



「・・・・・・・・」

 「よかったのかしら?」

 元の学園世界の森の中に戻るとベール=ゼファーが声を掛けてきた。
 空を見上げると既に時間は夜になっていた。

 「出歯亀はしないんじゃなかったのか?」
 「あら?私はただ寂しそうにこんな森の中で佇んでる誰かさんに声を掛けただけよ?」
 「ふん。」

 そういって歩き出す明。

 「ああ、そうそう。くれはから伝言よ!『これからよろしく』ってさ。」
 「おいおい。今回の事件は俺が原因だったんだぞ?いいのか?」
 「いいんじゃない?くれはがいいって言ってんだから。
それにウィザードの間じゃ良くある事よ。魔王に操られるなんて。」

まあ、くれは達としても忍び込んでいた者たちを一斉検挙できて万々歳であろう。
喜びこそすれ、デビルマンを恨む必要はない。

「そうかもしれんが・・・・。」
「まったく。あなたも細かいわねぇ~」

やれやれ、と呆れながら呟く。

「とにかく!執行委員はデビルマンとムツミ=アマミを歓迎するってさ。
正体ばれたくないなら、さやか辺りに仲介してもらって協力しなさい。」

そういって去っていくベール=ゼファー

「しかし、珍しいな。お前がメッセンジャーとは・・・・・。」
「別に。ただのお茶のお礼と、後はルーへの嫌がらせよ。
その為には、あなたには執行委員達と組んでもらった方がいいもの。」

「・・・・案外執行委員達とお前に牙を向けるかもしれないぞ?」

その挑発とも取れる発言にベルは、
ニヤリ、と普通の人間が見ればそれだけで恐怖のあまり気絶するような笑みを浮かべ

「望む所よ。ゲームの障害は多いほうが楽しいでしょう?だから・・・・・・」

―――――――その時はせいぜいあがきなさい。私を楽しませるために・・・・ね?

そう述べて、裏界第2位の魔王は闇の中へと消えていった。

「やれやれ。おれはゲームの駒かよ。」

苦笑しながら明は寮の方へ歩きだす。
ムツミの事、執行委員会の連中との事、・・・・そしてルーの事
色々考える事はあるが・・・・・・まあ、それは

「この学園世界にいる間、ゆっくり考えていけばいいか・・・・・」

学校とは学生達が悩み、考え、学ぶ場所だ。
この世界が続く限り・・・・・彼等との関係に自分は悩ませられるだろう

ルーは学園世界の呪いと言っていたが・・・・・

「どっちかっていうと学園世界からの宿題・・・・いや、課題だな」

あの別の世界の記憶が、過去のものか、未来のものかは分からない・・・・・
だが、自分達は彼等ではない・・・・・だからこそ彼等とは別の未来の可能性を掴む事ができるはずだ。

この記憶と想いはその為の・・・・・学園世界・・・いや、もう一人の自分達からの課題

「ま、せいぜい考えさせてもらうよ。

・・・・・・・やれやれ・・・・・できればさっさと元の世界に帰りたかったんだがなぁ。」

ま、答えが出るまでは・・・・・この世界に居たい・・・・かな?


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