休日の過ごし方(冒険編)
学園都市や麻帆良、蓬莱など"学生の遊び場"が充実している学園に遊びに行くもの。
"研究者の楽園"ザールブルグアカデミーで学業を忘れてひたすら研究に勤しみ、議論を戦わせるもの。
居住区で、出会った異世界の同好の士たちと様々な"同好会活動"を行うもの。
学園海や学園都市で"アルバイト"に精を出すもの。
"研究者の楽園"ザールブルグアカデミーで学業を忘れてひたすら研究に勤しみ、議論を戦わせるもの。
居住区で、出会った異世界の同好の士たちと様々な"同好会活動"を行うもの。
学園海や学園都市で"アルバイト"に精を出すもの。
そして、"侍:芳緒竜正"が選んだ休日の過ごし方は…
―――極上購買本部食堂『ハロークエスト』
錫蘭流増長館とは錫蘭流相伝である4振りの『魔王殺しの大太刀』を使いこなすことに特化した流派である。
己が身の丈を超えるほどの大太刀を振りまわすために多くの先人の手で洗練された錫蘭流の技は、それ故に普通の刀では十分な威力を発揮できない。
そして今、アルティシモ事件によって自らの受け継いだ刀を封印することになった菖子以外の3人は大きな"方向転換"を求められていた。
己が身の丈を超えるほどの大太刀を振りまわすために多くの先人の手で洗練された錫蘭流の技は、それ故に普通の刀では十分な威力を発揮できない。
そして今、アルティシモ事件によって自らの受け継いだ刀を封印することになった菖子以外の3人は大きな"方向転換"を求められていた。
ファー・ジ・アースに残っている長男の鬼一は父である武蔵より無手の技を学び磨くこととなった。
今までは増長館においては刀を使えない時、あるいは子に伝承した後に戦うための"非常手段"であった無手の技を更なる領域へと導くためだ。
そんなわけで鬼一は今、刀を使う"侍"から無手でこそ真価を発揮する"龍使い"への転向のため、日々父のもとで修行に励んでいると言う。
今までは増長館においては刀を使えない時、あるいは子に伝承した後に戦うための"非常手段"であった無手の技を更なる領域へと導くためだ。
そんなわけで鬼一は今、刀を使う"侍"から無手でこそ真価を発揮する"龍使い"への転向のため、日々父のもとで修行に励んでいると言う。
長女であり菖子の双子の姉である美紅は学園世界においてあくまでも刀にこだわるスタイルを貫く道を選んだ。
錫蘭流の"剛の技"を生かすべく選んだ超重刀を携え、多くの剣の達人が集うと言う特選7番隊「剣友会」に入隊したのだ。
今では選抜委員としての仕事をこなしつつ、"同僚"たちの身につけた各流派の技を学び、妹に負けない独自の技を編み出すと張り切っている。
錫蘭流の"剛の技"を生かすべく選んだ超重刀を携え、多くの剣の達人が集うと言う特選7番隊「剣友会」に入隊したのだ。
今では選抜委員としての仕事をこなしつつ、"同僚"たちの身につけた各流派の技を学び、妹に負けない独自の技を編み出すと張り切っている。
そして、最後の1人、芳緒家次男芳緒竜正。彼は錫蘭流の新たな可能性の模索を選んだ。
今までは錫蘭流ではほとんど使われなかった活人の技を身に着けた"癒し手"の道を目指すことにしたのだ。
学園世界において、彼は活人剣の師匠である十文字冴絵にとある助言を受け、剣道部の部活と共にもう1つの道へと入った。
『治療術はとにかく場数踏んでることが大事だからね。どうせなら色んな事を体験しといた方がいいよ』
そんな助言を受けた竜正が選んだ道。学園世界において最もバラエティに富んだ体験を得られる方法。それが、竜正の今の学生以外の称号。
今までは錫蘭流ではほとんど使われなかった活人の技を身に着けた"癒し手"の道を目指すことにしたのだ。
学園世界において、彼は活人剣の師匠である十文字冴絵にとある助言を受け、剣道部の部活と共にもう1つの道へと入った。
『治療術はとにかく場数踏んでることが大事だからね。どうせなら色んな事を体験しといた方がいいよ』
そんな助言を受けた竜正が選んだ道。学園世界において最もバラエティに富んだ体験を得られる方法。それが、竜正の今の学生以外の称号。
芳緒竜正は、現在『B級冒険者』である。
学園世界極上生徒会管理棟から歩いて5分のところに購買本部と呼ばれる建物がある。
購買本部。それは学園1つに匹敵するサイズを持つ大きな建物で食糧、文房具、書籍と言った学園に欠かせないものから
錬金術の材料や冒険用品、果ては武器防具などなど…学園世界での各学園で売買されるアイテムを管理している。
そして、この場所にはもう1つの顔がある。
購買本部。それは学園1つに匹敵するサイズを持つ大きな建物で食糧、文房具、書籍と言った学園に欠かせないものから
錬金術の材料や冒険用品、果ては武器防具などなど…学園世界での各学園で売買されるアイテムを管理している。
そして、この場所にはもう1つの顔がある。
その購買内部に作られた大食堂『ハロークエスト』…通称ハロクエ。
ここでは安くてそこそこうまい食事の他にアイテムの入手や護衛、試作品の実験、霊的事件の解決、モンスター退治など、危険な任務の臨時の選抜委員など、
学園世界で発生した生徒や教師、学園、越校組織からの様々な"依頼"を扱っている。
学園冒険者支援協会(School Adventurer's Guild)略してSAGが危険な依頼をこなせることを示すライセンスの発行を行うようになり3ヶ月。
ハロクエは今や普通の学校の購買には回ってこないような依頼をこなして報酬を受け取るなんでも屋…"冒険者"のたまり場となっていた。
そしてそのテーブルの1つに竜正たちはいた。
ここでは安くてそこそこうまい食事の他にアイテムの入手や護衛、試作品の実験、霊的事件の解決、モンスター退治など、危険な任務の臨時の選抜委員など、
学園世界で発生した生徒や教師、学園、越校組織からの様々な"依頼"を扱っている。
学園冒険者支援協会(School Adventurer's Guild)略してSAGが危険な依頼をこなせることを示すライセンスの発行を行うようになり3ヶ月。
ハロクエは今や普通の学校の購買には回ってこないような依頼をこなして報酬を受け取るなんでも屋…"冒険者"のたまり場となっていた。
そしてそのテーブルの1つに竜正たちはいた。
A級冒険者ライセンス昇級試験
監督官:輝明学園スクールメイズ管理人ヴィヴィ
内容
監督官の用意した月匣を突破し、最後の部屋に安置された"ドラゴンスレイヤー"を入手してきてください。
制限時間はありませんが、ダンジョンの再突入は不可とします。
監督官:輝明学園スクールメイズ管理人ヴィヴィ
内容
監督官の用意した月匣を突破し、最後の部屋に安置された"ドラゴンスレイヤー"を入手してきてください。
制限時間はありませんが、ダンジョンの再突入は不可とします。
「…ドラゴンスレイヤーっすか?」
テーブルに広げられた依頼書を見ながら、竜正が聞き返す。
「ああ、そうだ。それが今回のA級試験だそうだ」
竜正の問いにポニーテールの小柄な少女がこくりと頷く。
「アイテム探しかぁ…私はどうせならモンスター退治のが良かったなあ」
一房だけみつあみにしてメガネをかけた少女がぼやくように言う。
「いや、ヴィヴィ先生の用意したダンジョンだろ?モンスターやトラップも多いんじゃないかな?」
最後に答えるのは金髪の少年。派手なデザインの絹のシャツの上からはトリステイン魔術学院のメイジであることを示すマントがはおられている。
「ああ、だろうな」
少年の言葉に、ポニーテールの少女が頷く。
「ヴィヴィ先生のA級試験は他の監督官のものと比べても難易度が高いと聞いている。
何しろ今までにクリアしたのは光綾学園の『ルーシーだん』だけらしいからな」
「マジっすか…じゃあ、準備はしっかりしといた方がいいっすね」
A級試験の監督官の中でも厳しいと聞き、真面目な竜正が素直に返事を返す。
「だったら今回はMPポーションを多めに持って行くべきかな。精神力が切れたら美しいレディを守れないからね」
フッと薔薇の造花を口元に寄せて軽くキスしながら、少年が格好をつける。
その仕草は元の顔の造形が良いこともあって、それなりに決まっている。だが。
「え?別にいらないよ。むしろあの人形時々邪魔だし」
「と言うかお前は基本守られる側だろうに」
それは既に同じ学園の教師に片思いしているメガネの少女にとっても
彼女の基準的にはストライクゾーンから暴投レベルで大外れのポニーテールの少女にとっても魅力0なので冷静に返される。
「て、手厳しいね…」
主人の心情を察したのか、手にした薔薇の造花の花びらが1枚がはらりと落ちた。
「あ、そうだ。どうせだから私はナックルを新調しておこうかな。今使ってるのボロボロだし」
そんな金髪の少年を無視してメガネの少女が嬉々として言う。その笑顔には"不良壊し"の異名に恥じない、物騒な気配があった。
「…よし、一旦解散して各自買い物だ。30分後に本部の入口で落ち合おう。ヴィヴィの所へ行くのはそれからだな」
パーティーのまとめ役であるポニーテールの少女の言葉に、3人が頷いた。
テーブルに広げられた依頼書を見ながら、竜正が聞き返す。
「ああ、そうだ。それが今回のA級試験だそうだ」
竜正の問いにポニーテールの小柄な少女がこくりと頷く。
「アイテム探しかぁ…私はどうせならモンスター退治のが良かったなあ」
一房だけみつあみにしてメガネをかけた少女がぼやくように言う。
「いや、ヴィヴィ先生の用意したダンジョンだろ?モンスターやトラップも多いんじゃないかな?」
最後に答えるのは金髪の少年。派手なデザインの絹のシャツの上からはトリステイン魔術学院のメイジであることを示すマントがはおられている。
「ああ、だろうな」
少年の言葉に、ポニーテールの少女が頷く。
「ヴィヴィ先生のA級試験は他の監督官のものと比べても難易度が高いと聞いている。
何しろ今までにクリアしたのは光綾学園の『ルーシーだん』だけらしいからな」
「マジっすか…じゃあ、準備はしっかりしといた方がいいっすね」
A級試験の監督官の中でも厳しいと聞き、真面目な竜正が素直に返事を返す。
「だったら今回はMPポーションを多めに持って行くべきかな。精神力が切れたら美しいレディを守れないからね」
フッと薔薇の造花を口元に寄せて軽くキスしながら、少年が格好をつける。
その仕草は元の顔の造形が良いこともあって、それなりに決まっている。だが。
「え?別にいらないよ。むしろあの人形時々邪魔だし」
「と言うかお前は基本守られる側だろうに」
それは既に同じ学園の教師に片思いしているメガネの少女にとっても
彼女の基準的にはストライクゾーンから暴投レベルで大外れのポニーテールの少女にとっても魅力0なので冷静に返される。
「て、手厳しいね…」
主人の心情を察したのか、手にした薔薇の造花の花びらが1枚がはらりと落ちた。
「あ、そうだ。どうせだから私はナックルを新調しておこうかな。今使ってるのボロボロだし」
そんな金髪の少年を無視してメガネの少女が嬉々として言う。その笑顔には"不良壊し"の異名に恥じない、物騒な気配があった。
「…よし、一旦解散して各自買い物だ。30分後に本部の入口で落ち合おう。ヴィヴィの所へ行くのはそれからだな」
パーティーのまとめ役であるポニーテールの少女の言葉に、3人が頷いた。
―――輝明学園スクールメイズ管理人室
1時間後。
「良く来ましたね」
やってきた4人にローブを着こんだ金髪の美しい女性は笑顔で微笑み、歓迎の意を表した。
「こんにちは。今日はお世話になります」
部活や家で上下関係をしっかりと仕込まれている竜正がしっかりと頭を下げる。
「おやおや、そんなにかしこまらなくてもよろしいのですよ」
目の前の女性の名は、ヴィヴィ。
ファー・ジ・アースでも屈指のウィザードであると同時に最高の"錬金術師"である、スクールメイズの管理人である。
「最近は私の試験を受けたがる冒険者も少なくなっていて、暇だったのですよ」
今まで1組しか合格していないような難易度にしてたら当然な気もするが、そこは突っ込んではいけないのだろう。
「ふっ…昔から言うじゃあありませんか。高嶺の花ほど、手に入れたときの喜びは大きい、と。
同じA級冒険者の証でも貴方から受け取ったものの方が何倍も価値がある。そうは思いませんか?美しいレディ?」
その美貌にいつもの悪い癖が出た金髪の少年が格好をつけてきざなセリフを吐く。
その言葉に苦笑しながら、ヴィヴィは返した。
「あらあら。私からのライセンスでも他の先生方からのライセンスでも本質は変わりませんよ?
…それと、そう言うセリフは、モンモランシーさんのために取っておくべきですね」
今日もザールブルグの勉強会に行っているのであろう恋人のことを言われぎくりと少年が硬直する。
「さて、そろそろ始めてはもらえないだろうか?」
そんな少年を無視してポニーテールの少女がヴィヴィに切りだす。
「そうですね。それでは、始めましょうか」
ヴィヴィが頷くと同時に4人の立つ床に刻まれた転送の魔法陣が輝き出す。
「一応確認しておきます。この月匣は、"1度しか"入れません。1回でドラゴンスレイヤーを持ちかえってください」
ヴィヴィの言葉と共に。
「良く来ましたね」
やってきた4人にローブを着こんだ金髪の美しい女性は笑顔で微笑み、歓迎の意を表した。
「こんにちは。今日はお世話になります」
部活や家で上下関係をしっかりと仕込まれている竜正がしっかりと頭を下げる。
「おやおや、そんなにかしこまらなくてもよろしいのですよ」
目の前の女性の名は、ヴィヴィ。
ファー・ジ・アースでも屈指のウィザードであると同時に最高の"錬金術師"である、スクールメイズの管理人である。
「最近は私の試験を受けたがる冒険者も少なくなっていて、暇だったのですよ」
今まで1組しか合格していないような難易度にしてたら当然な気もするが、そこは突っ込んではいけないのだろう。
「ふっ…昔から言うじゃあありませんか。高嶺の花ほど、手に入れたときの喜びは大きい、と。
同じA級冒険者の証でも貴方から受け取ったものの方が何倍も価値がある。そうは思いませんか?美しいレディ?」
その美貌にいつもの悪い癖が出た金髪の少年が格好をつけてきざなセリフを吐く。
その言葉に苦笑しながら、ヴィヴィは返した。
「あらあら。私からのライセンスでも他の先生方からのライセンスでも本質は変わりませんよ?
…それと、そう言うセリフは、モンモランシーさんのために取っておくべきですね」
今日もザールブルグの勉強会に行っているのであろう恋人のことを言われぎくりと少年が硬直する。
「さて、そろそろ始めてはもらえないだろうか?」
そんな少年を無視してポニーテールの少女がヴィヴィに切りだす。
「そうですね。それでは、始めましょうか」
ヴィヴィが頷くと同時に4人の立つ床に刻まれた転送の魔法陣が輝き出す。
「一応確認しておきます。この月匣は、"1度しか"入れません。1回でドラゴンスレイヤーを持ちかえってください」
ヴィヴィの言葉と共に。
ヒュンッ!
転送の魔法陣により4人はヴィヴィの月匣へと送り込まれた。
―――A級試験ダンジョン 最初の部屋
「…ふむ。まずは力試しと言ったところか」
転送された1部屋目。
竜正たちが入ると同時にヴンッと言う音と共に部屋の中央に安置された大型ゴーレムの目に光が宿る。
「…あの先生。結構いい人かも」
その様子に、メガネの少女は嬉々として保護するための真新しいナックルをつけた拳を握りこむ。
「あの、友谷先輩。これを見てその感想はどうかと思うっす」
「同感だね」
そんな、危険なプラーナのほとばしりに冷汗を流しながら竜正と少年が突っ込みを入れるが、
もはや少女の耳には入っていないらしく、目の前のゴーレムから目を離さない。
「よし、頑張れ。私は隠れている。それと」
さっさと戦闘圏外に離脱し、ポニーテールは金髪の少年に言う。
「ギーシュ、さっさと準備をしろ。あんな化け物、私やお前が殴られたら一撃で病院送りだぞ」
「…そ、そうだね」
さっと懐から、薔薇の造花…正確には造花に似せたメイジの杖を構える。
転送された1部屋目。
竜正たちが入ると同時にヴンッと言う音と共に部屋の中央に安置された大型ゴーレムの目に光が宿る。
「…あの先生。結構いい人かも」
その様子に、メガネの少女は嬉々として保護するための真新しいナックルをつけた拳を握りこむ。
「あの、友谷先輩。これを見てその感想はどうかと思うっす」
「同感だね」
そんな、危険なプラーナのほとばしりに冷汗を流しながら竜正と少年が突っ込みを入れるが、
もはや少女の耳には入っていないらしく、目の前のゴーレムから目を離さない。
「よし、頑張れ。私は隠れている。それと」
さっさと戦闘圏外に離脱し、ポニーテールは金髪の少年に言う。
「ギーシュ、さっさと準備をしろ。あんな化け物、私やお前が殴られたら一撃で病院送りだぞ」
「…そ、そうだね」
さっと懐から、薔薇の造花…正確には造花に似せたメイジの杖を構える。
それを合図にしたように、ゴーレムが立ち上がる。
「行くよ!」
最初に動いたのは、メガネの少女だった。地を蹴って一気に近づく。
それを見て好機と取ったのか、ゴーレムが大きく腕を振り上げて振り降ろす。それを。
「ていっ!」
轟音とともに左の腕で受け止め、同時に右の拳を突き出す。
ベキョン!
鋼のナックルをつけているとは言え、並みのプレートアーマーより硬いゴーレムの装甲があっさりとへこむ。
だが、それだけだ。ゴーレムはまだまだ壊れる気配はない。
「結構丈夫だね…」
一撃ではまるで倒れる気配のないゴーレムに、少女は笑顔を返す。
「これなら、大分楽しめそう」
存分に力を振るえることが、嬉しくてたまらないとでも言うように。
「行くよ!」
最初に動いたのは、メガネの少女だった。地を蹴って一気に近づく。
それを見て好機と取ったのか、ゴーレムが大きく腕を振り上げて振り降ろす。それを。
「ていっ!」
轟音とともに左の腕で受け止め、同時に右の拳を突き出す。
ベキョン!
鋼のナックルをつけているとは言え、並みのプレートアーマーより硬いゴーレムの装甲があっさりとへこむ。
だが、それだけだ。ゴーレムはまだまだ壊れる気配はない。
「結構丈夫だね…」
一撃ではまるで倒れる気配のないゴーレムに、少女は笑顔を返す。
「これなら、大分楽しめそう」
存分に力を振るえることが、嬉しくてたまらないとでも言うように。
少女の名は、友谷蒼。
龍使い並みの格闘センスと人造人間並みの丈夫さを併せ持ちながらごく普通の世界に生まれたために『生まれる世界を間違えた』と評される、学園世界の喧嘩屋。
元の世界では幾多の不良を"壊し"て自らの思い人である某教師の胃を痛める生活を送っていた彼女は、存分に力を振るうために冒険者になった。
洗練とは無縁の純粋な"暴力"は、モンスターが相手ならば手加減なしに存分に発揮することが可能なのだ。
龍使い並みの格闘センスと人造人間並みの丈夫さを併せ持ちながらごく普通の世界に生まれたために『生まれる世界を間違えた』と評される、学園世界の喧嘩屋。
元の世界では幾多の不良を"壊し"て自らの思い人である某教師の胃を痛める生活を送っていた彼女は、存分に力を振るうために冒険者になった。
洗練とは無縁の純粋な"暴力"は、モンスターが相手ならば手加減なしに存分に発揮することが可能なのだ。
「ワルキューレ!アオイを守れ!」
蒼の攻撃を受け、反撃に転ずるべく再度拳を振り上げたゴーレムに先んじるように金髪の少年が杖を振る。
振った杖から落ちるは一枚の花びら。その花びらは蒼のそばに落ちると同時に地面を"錬金"し、甲冑を纏った女性の姿をした、青銅の人形へと変わる。
ガキィン!
蒼をかばうようにゴーレムの拳をその身に受けて、人形はひしゃげる。その一瞬の隙を突き。
「アース・ハンド!」
地面から土の"手"を生み出して、ゴーレムの足をつかむ。
ギシィ!
それで動きが阻害されたゴーレムが、転びそうになってよろけた。
蒼の攻撃を受け、反撃に転ずるべく再度拳を振り上げたゴーレムに先んじるように金髪の少年が杖を振る。
振った杖から落ちるは一枚の花びら。その花びらは蒼のそばに落ちると同時に地面を"錬金"し、甲冑を纏った女性の姿をした、青銅の人形へと変わる。
ガキィン!
蒼をかばうようにゴーレムの拳をその身に受けて、人形はひしゃげる。その一瞬の隙を突き。
「アース・ハンド!」
地面から土の"手"を生み出して、ゴーレムの足をつかむ。
ギシィ!
それで動きが阻害されたゴーレムが、転びそうになってよろけた。
ギーシュ・ド・グラモン。二つ名は青銅。
トリステイン魔術学院で学ぶラインメイジ(冒険者活動で、実力を上げた)である彼の得意系統は、土。
特にその二つ名の由来となった青銅製の戦乙女型ゴーレムの操作技術は、同世代の学生の中でも飛び抜けたものである。
そんな彼が冒険者となったのは、強くなるためである。
転移初期、隣の光綾学園の派手な鎧をつけた"戦士"に決闘で負けてからと言うもの、そいつを見返すべく、ギーシュは修行を重ねていた。
トリステイン魔術学院で学ぶラインメイジ(冒険者活動で、実力を上げた)である彼の得意系統は、土。
特にその二つ名の由来となった青銅製の戦乙女型ゴーレムの操作技術は、同世代の学生の中でも飛び抜けたものである。
そんな彼が冒険者となったのは、強くなるためである。
転移初期、隣の光綾学園の派手な鎧をつけた"戦士"に決闘で負けてからと言うもの、そいつを見返すべく、ギーシュは修行を重ねていた。
そして。
「大丈夫っすか友谷先輩!」
芳緒竜正が蒼のすぐそばにまで近寄り、回復魔法を詠唱する。
ヴンッ!
それに反応したゴーレムが攻撃対象を蒼から竜正へと変更する。
「ヒール」
蒼の傷を治しきると同時にアース・ハンドを引きちぎったゴーレムの足が竜正に迫る。
「錫蘭流柔の型…」
それを見ても竜正は慌てず、手にした洞爺湖と刻まれた木刀を構える。
「落葉!」
気合い一閃。その木刀でもってゴーレムの足を横に殴る。
鋼の装甲に木刀の一撃は通用しない。だが。
ゴォォォン!
力の流れをそらされたゴーレムが竜正に攻撃を当てるどころか逆に体勢を崩して転倒する。
「今っす友谷先輩!」
竜正の言葉に答えるように蒼が再び拳を握り締めた。
芳緒竜正が蒼のすぐそばにまで近寄り、回復魔法を詠唱する。
ヴンッ!
それに反応したゴーレムが攻撃対象を蒼から竜正へと変更する。
「ヒール」
蒼の傷を治しきると同時にアース・ハンドを引きちぎったゴーレムの足が竜正に迫る。
「錫蘭流柔の型…」
それを見ても竜正は慌てず、手にした洞爺湖と刻まれた木刀を構える。
「落葉!」
気合い一閃。その木刀でもってゴーレムの足を横に殴る。
鋼の装甲に木刀の一撃は通用しない。だが。
ゴォォォン!
力の流れをそらされたゴーレムが竜正に攻撃を当てるどころか逆に体勢を崩して転倒する。
「今っす友谷先輩!」
竜正の言葉に答えるように蒼が再び拳を握り締めた。
…数分後
「…終わったか。みなご苦労」
ゴーレムが(主に蒼の手で)破壊されたのを確認し、物陰に隠れていたポニーテールの少女が出てくる。
「うん。じゃあ後はチャーちゃん…」
「任せておけ」
ポニーテールの少女が手早く次の部屋を確認する。そして。
「友谷。そっちの方向には行くな。落とし穴がある。それと見えてる扉はダミーだ。開けると同時に扉と後方10mの床が爆発する。本物の扉は…あれだな」
何でも無いことのように器用に罠を避けるように歩き、隠し扉の前にたどり着く。
「こっちだ。私の歩いたルートを通ってこっちまで来い」
3人を誘導しつつ、隠し扉の前で聞き耳を立てた。
ゴーレムが(主に蒼の手で)破壊されたのを確認し、物陰に隠れていたポニーテールの少女が出てくる。
「うん。じゃあ後はチャーちゃん…」
「任せておけ」
ポニーテールの少女が手早く次の部屋を確認する。そして。
「友谷。そっちの方向には行くな。落とし穴がある。それと見えてる扉はダミーだ。開けると同時に扉と後方10mの床が爆発する。本物の扉は…あれだな」
何でも無いことのように器用に罠を避けるように歩き、隠し扉の前にたどり着く。
「こっちだ。私の歩いたルートを通ってこっちまで来い」
3人を誘導しつつ、隠し扉の前で聞き耳を立てた。
一行のリーダー的存在である平林茶々は、友人である蒼のような常識外れの戦闘能力も無ければ他のメンバーように魔法も使えない。
元は目を離すと何をやらかすか分からないから一緒に行ってくれと弾馬や次原に請われ、蒼のお目付け役とでも言うべき立場から、冒険者になった。
他のメンバーと違い、特殊な能力の無い少女だった茶々。だが、数か月の冒険の中で茶々は持ち前の器用さを生かして新たな技を獲得する。
元は目を離すと何をやらかすか分からないから一緒に行ってくれと弾馬や次原に請われ、蒼のお目付け役とでも言うべき立場から、冒険者になった。
他のメンバーと違い、特殊な能力の無い少女だった茶々。だが、数か月の冒険の中で茶々は持ち前の器用さを生かして新たな技を獲得する。
罠の発見と解除。
俗にシーフやスカウトと呼ばれるものたちが得意とする、ダンジョン探索必携のスキルである。
茶々がその技術を身につけてからというもの、受けられる依頼の幅は大きく広がった。
それに加え、茶々が元々得意としていた、交渉と情報収集、冷静な判断。
今や彼女は戦闘以外全般の担当として、パーティーになくてはならない存在となっていた。
茶々がその技術を身につけてからというもの、受けられる依頼の幅は大きく広がった。
それに加え、茶々が元々得意としていた、交渉と情報収集、冷静な判断。
今や彼女は戦闘以外全般の担当として、パーティーになくてはならない存在となっていた。
友谷蒼、平林茶々、ギーシュ・ド・グラモン、そして芳緒竜正。
この4人で構成されたパーティーは幾多の罠とモンスターを乗り越えて突き進む。
この4人で構成されたパーティーは幾多の罠とモンスターを乗り越えて突き進む。
―――A級試験ダンジョン 最後の部屋
『注意:この部屋から持ち出せるアイテムは1つだけです ヴィヴィ』
「なるほど。最後の部屋までたどり着いたパーティーは何組かいるとは聞いていた。
だが、クリアしたのは1組と言うのは…こういうことだったか」
最後の部屋のドアに貼られた貼り紙をしげしげと眺め、扉を開いた茶々は試験の内容を完全に理解する。
「え~っと…どれ持ってけばいいの?」
一緒に中を見た蒼がきょとんとして茶々に尋ねる。
「それを当てるのが最後の試験、と言うことなんだろうな」
部屋に入って辺りを見回し、茶々は溜息を吐いた。
「なるほど。最後の部屋までたどり着いたパーティーは何組かいるとは聞いていた。
だが、クリアしたのは1組と言うのは…こういうことだったか」
最後の部屋のドアに貼られた貼り紙をしげしげと眺め、扉を開いた茶々は試験の内容を完全に理解する。
「え~っと…どれ持ってけばいいの?」
一緒に中を見た蒼がきょとんとして茶々に尋ねる。
「それを当てるのが最後の試験、と言うことなんだろうな」
部屋に入って辺りを見回し、茶々は溜息を吐いた。
A級試験ダンジョン 最後の部屋。その部屋の内容を一言で表すと…
「凄い数の"武器"っすね…」
武器庫である。
剣、槍、斧、槌、弓…部屋いっぱいに並べられた武器の山。
見た目もどう見ても普通の品からいかにも曰くありげな装飾の施された品々まで、多数。
「…う~む。駄目だね。ディテクトマジックに引っ掛かるものだけで100を越えてる」
ギーシュが魔力感知の結果を伝える。やっぱり溜息と共に。
「大半は偽装魔法かも知れん…だが、ドラゴンスレイヤーがマジックアイテムとも限らん」
手直な武器を確認しながら茶々が言う。
「…アイテムの鑑定もある程度はこなせるが…今までにたどり着いたパーティー全員より自分が上とは思えんな」
大まかな見立ては出来るが、それがドラゴンスレイヤーかどうかと言われれば、自信は無い。
「どうする?ダメ元で適当なの持ってく?」
蒼の問いかけに茶々は首を振る。
「いや。仮にもこれは試験だ。最後が単純な運試しでは、試験とは言えない」
恐らくそ"正解"に至らない限り、絶対にクリアできないようになっているはずだ。
「…だが、単純な知識試しと言うのも妙だな」
茶々が考えつつ呟く。
これだけの数、1つ残らず鑑定するのには酷く時間がかかる。
時間制限は無いとは言え、下手をすると1日も2日もかかるような課題は出すまい。
「…しかしドラゴンスレイヤーって言うのは、どんな剣なんだろうね?」
ギーシュが部屋に置かれた椅子に腰かけながら、茶々に尋ねる。
「剣?」
ギーシュの問いかけに茶々が怪訝そうに聞き返す。
「ああ、違うのかい?ドラゴンを殺せる武器って言うからてっきりそうなんだと…」
「いや、ドラゴンスレイヤーは剣とは限らん。弓かもしれないし槍かも…うん?」
なんだ?何かが引っ掛かる。
そう考えた茶々が竜正に言う。
「竜正。部屋の入口にあった張り紙を持ってきてくれ」
「え?…了解っす」
茶々の言葉に首をかしげながらも竜正は張り紙を持って来る。
「凄い数の"武器"っすね…」
武器庫である。
剣、槍、斧、槌、弓…部屋いっぱいに並べられた武器の山。
見た目もどう見ても普通の品からいかにも曰くありげな装飾の施された品々まで、多数。
「…う~む。駄目だね。ディテクトマジックに引っ掛かるものだけで100を越えてる」
ギーシュが魔力感知の結果を伝える。やっぱり溜息と共に。
「大半は偽装魔法かも知れん…だが、ドラゴンスレイヤーがマジックアイテムとも限らん」
手直な武器を確認しながら茶々が言う。
「…アイテムの鑑定もある程度はこなせるが…今までにたどり着いたパーティー全員より自分が上とは思えんな」
大まかな見立ては出来るが、それがドラゴンスレイヤーかどうかと言われれば、自信は無い。
「どうする?ダメ元で適当なの持ってく?」
蒼の問いかけに茶々は首を振る。
「いや。仮にもこれは試験だ。最後が単純な運試しでは、試験とは言えない」
恐らくそ"正解"に至らない限り、絶対にクリアできないようになっているはずだ。
「…だが、単純な知識試しと言うのも妙だな」
茶々が考えつつ呟く。
これだけの数、1つ残らず鑑定するのには酷く時間がかかる。
時間制限は無いとは言え、下手をすると1日も2日もかかるような課題は出すまい。
「…しかしドラゴンスレイヤーって言うのは、どんな剣なんだろうね?」
ギーシュが部屋に置かれた椅子に腰かけながら、茶々に尋ねる。
「剣?」
ギーシュの問いかけに茶々が怪訝そうに聞き返す。
「ああ、違うのかい?ドラゴンを殺せる武器って言うからてっきりそうなんだと…」
「いや、ドラゴンスレイヤーは剣とは限らん。弓かもしれないし槍かも…うん?」
なんだ?何かが引っ掛かる。
そう考えた茶々が竜正に言う。
「竜正。部屋の入口にあった張り紙を持ってきてくれ」
「え?…了解っす」
茶々の言葉に首をかしげながらも竜正は張り紙を持って来る。
『注意:この部屋の中から持ち出せるアイテムは1つだけです ヴィヴィ』
「アイテム…」
この書き方に引っ掛かった。何だろう?何か…
「…そうか。そう言うことか」
疑問点に気づいた茶々が大きく頷く。
「なに?どうかしたの?」
その様子に怪訝そうに蒼がたずねる。
「答えが分かった。恐らくだが…な」
いつもの無表情のまま、茶々が皆にその答えを伝えた。
この書き方に引っ掛かった。何だろう?何か…
「…そうか。そう言うことか」
疑問点に気づいた茶々が大きく頷く。
「なに?どうかしたの?」
その様子に怪訝そうに蒼がたずねる。
「答えが分かった。恐らくだが…な」
いつもの無表情のまま、茶々が皆にその答えを伝えた。
―――A級試験 試験室
「お帰りなさい。ずいぶん早かったですね。かつて私の出した試験をクリアしたルーシーだんとほぼ同じ時間ですよ?」
転送の魔法陣に乗って戻ってきた4人に、ヴィヴィが興味深げに言う。
「…まさかアイテム持ち出した瞬間全員強制転移させられるとは思ってなかったっす」
代表で茶々が"ドラゴンスレイヤー"を持ちだした瞬間、4人は強制的に部屋に戻された。
持ち出した時点で試験は終了だと告げるように。
「あら。最後の部屋までクリアした以上、戻る時間は無駄でしょう?…さて、それでは貴方がたの"ドラゴンスレイヤー"を、ここに」
ヴィヴィの言葉に茶々が一歩踏み出し、机の上にそっとそれを置く。
「…では、問いましょう。何故、貴方がたはこれを"ドラゴンスレイヤー"だと?返答次第では、不合格にしますが」
ここまでは正解。
そう告げるヴィヴィの言葉に4人は安堵し、答える。
まずは、竜正。
「茶々さんが言うまで気づかなかったっすけど、まず、俺らは"ドラゴンスレイヤー"って言う"アイテム"を持ちかえれって言われたんであって、
ドラゴンスレイヤーって言う"武器"を持ち帰れとは一言も言われてないっす」
それに、と付け加える。
「表の張り紙も"アイテム"ってなってましたし。それでこりゃ"武器"じゃないかも知れないって思ったんっすよ」
言葉を継ぐのは、茶々。
「ドラゴンスレイヤーには"ドラゴンを殺せる武器"と言う意味ともう1つ"ドラゴン殺しの英雄"と言う意味がある。
ならばドラゴンスレイヤーとはそのドラゴン殺しの英雄の証たるアイテムと言う可能性もある。
そしてあの部屋にあるアイテム…椅子やら手入れ用の布やら掃除用具やらまで探して、これじゃないかと判断した。
もっともすぐには信じられなかったがな。理由は…」
ちらりとギーシュを見る。
「ああ。僕の土のメイジである僕には分ったんです。柄は丈夫な檜の木で作られているだけではなく、芯材に何か重たい金属…恐らくは鉛が使われています。
それにこの布と柄を止める止め金。小さい部品ですがこれは非常に丈夫な金属…ザールブルグで高級な武器に使われると言うグラセン鋼製ですね。
そんな細工の施された"それ"がただの"掃除道具"だとはとても思えませんよ。そして…」
最後は蒼。
「えっとその…私も前にマフラーで同じことしちゃったから分かったんですけど…この埃落としの布って"後から"染められたものですよね?
その…"モンスターの血"で。他の武器には全然血とかついて無かったし、これが"ドラゴンスレイヤー"だと思います」
転送の魔法陣に乗って戻ってきた4人に、ヴィヴィが興味深げに言う。
「…まさかアイテム持ち出した瞬間全員強制転移させられるとは思ってなかったっす」
代表で茶々が"ドラゴンスレイヤー"を持ちだした瞬間、4人は強制的に部屋に戻された。
持ち出した時点で試験は終了だと告げるように。
「あら。最後の部屋までクリアした以上、戻る時間は無駄でしょう?…さて、それでは貴方がたの"ドラゴンスレイヤー"を、ここに」
ヴィヴィの言葉に茶々が一歩踏み出し、机の上にそっとそれを置く。
「…では、問いましょう。何故、貴方がたはこれを"ドラゴンスレイヤー"だと?返答次第では、不合格にしますが」
ここまでは正解。
そう告げるヴィヴィの言葉に4人は安堵し、答える。
まずは、竜正。
「茶々さんが言うまで気づかなかったっすけど、まず、俺らは"ドラゴンスレイヤー"って言う"アイテム"を持ちかえれって言われたんであって、
ドラゴンスレイヤーって言う"武器"を持ち帰れとは一言も言われてないっす」
それに、と付け加える。
「表の張り紙も"アイテム"ってなってましたし。それでこりゃ"武器"じゃないかも知れないって思ったんっすよ」
言葉を継ぐのは、茶々。
「ドラゴンスレイヤーには"ドラゴンを殺せる武器"と言う意味ともう1つ"ドラゴン殺しの英雄"と言う意味がある。
ならばドラゴンスレイヤーとはそのドラゴン殺しの英雄の証たるアイテムと言う可能性もある。
そしてあの部屋にあるアイテム…椅子やら手入れ用の布やら掃除用具やらまで探して、これじゃないかと判断した。
もっともすぐには信じられなかったがな。理由は…」
ちらりとギーシュを見る。
「ああ。僕の土のメイジである僕には分ったんです。柄は丈夫な檜の木で作られているだけではなく、芯材に何か重たい金属…恐らくは鉛が使われています。
それにこの布と柄を止める止め金。小さい部品ですがこれは非常に丈夫な金属…ザールブルグで高級な武器に使われると言うグラセン鋼製ですね。
そんな細工の施された"それ"がただの"掃除道具"だとはとても思えませんよ。そして…」
最後は蒼。
「えっとその…私も前にマフラーで同じことしちゃったから分かったんですけど…この埃落としの布って"後から"染められたものですよね?
その…"モンスターの血"で。他の武器には全然血とかついて無かったし、これが"ドラゴンスレイヤー"だと思います」
「…いいでしょう。正解です」
4人の答えを聞き、ヴィヴィが満足そうにほほ笑み、その日、新たな『A級冒険者』が誕生した。
―――ザールブルグ マルローネの家
「そっか。シャルちゃんたち以外にもクリアした人が出たかァ」
ヴィヴィから事の顛末と共に返却された"ドラゴンスレイヤー"を見ながら、マリーは笑って満足そうにワインを飲む。
「…あのォ。マリーさん。なんですそれ?」
そんなマリーにエリーが尋ねる。
「…ん?ああ、そういやァしばらく前から武器屋じゃ売らなくなったって言ってたナァ」
苦笑しつつ、マリーは答える。
「ドラゴンスレイヤーだよォ。持って見る?」
そんな言葉と共にひょいとエリーに渡す。
「へ?…重い!?」
何気なく渡されたそれの重さにエリーは驚いた。これではまるで"武器"だ。
「それで、これが何でドラゴンスレイヤーなんですか?」
思いついたままの疑問をマリーに問いかける。
「そのまんまの意味だよォ」
その問いにマリーは笑いながら答える。
「フランプファイルを殴り倒した武器だからネェ。ドラゴンスレイヤーって言っても問題ないっしょ」
「ええっ!?」
その答えにエリーは驚きの声を上げる。
「ちなみに、他にも騎士隊長はたき倒したり、旅の途中で行った村を襲った悪魔殴り倒したりもしてるよォ。それ。
冒険者として引退するって言われたときに記念に貰ったんだァ」
「貰ったって…誰にですか?」
と言うかこんなもんでそんな恐ろしい相手と戦ったのかその人はと思いながら、エリーはマリーに聞く。
その言葉にマリーは。
「う~ん。一言で言うなら…」
最大限の微笑みと共にただ一言答える。
「親友、かな?」
遙か遠く、まだマリーが学生だったころから彼女の手の中にあり続けた"高級はたき"を見ながら、満足そうに。
ヴィヴィから事の顛末と共に返却された"ドラゴンスレイヤー"を見ながら、マリーは笑って満足そうにワインを飲む。
「…あのォ。マリーさん。なんですそれ?」
そんなマリーにエリーが尋ねる。
「…ん?ああ、そういやァしばらく前から武器屋じゃ売らなくなったって言ってたナァ」
苦笑しつつ、マリーは答える。
「ドラゴンスレイヤーだよォ。持って見る?」
そんな言葉と共にひょいとエリーに渡す。
「へ?…重い!?」
何気なく渡されたそれの重さにエリーは驚いた。これではまるで"武器"だ。
「それで、これが何でドラゴンスレイヤーなんですか?」
思いついたままの疑問をマリーに問いかける。
「そのまんまの意味だよォ」
その問いにマリーは笑いながら答える。
「フランプファイルを殴り倒した武器だからネェ。ドラゴンスレイヤーって言っても問題ないっしょ」
「ええっ!?」
その答えにエリーは驚きの声を上げる。
「ちなみに、他にも騎士隊長はたき倒したり、旅の途中で行った村を襲った悪魔殴り倒したりもしてるよォ。それ。
冒険者として引退するって言われたときに記念に貰ったんだァ」
「貰ったって…誰にですか?」
と言うかこんなもんでそんな恐ろしい相手と戦ったのかその人はと思いながら、エリーはマリーに聞く。
その言葉にマリーは。
「う~ん。一言で言うなら…」
最大限の微笑みと共にただ一言答える。
「親友、かな?」
遙か遠く、まだマリーが学生だったころから彼女の手の中にあり続けた"高級はたき"を見ながら、満足そうに。