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ナイトウィザード!クロスSS超☆保管庫
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ナイトウィザード!クロスSS超☆保管庫

第06話03

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邪神は学園世界の夢を見る


「っ!?」
ライズたちの前に姿を現した男が纏う真紅の甲冑に驚き、ライズ・ハイマーは出遅れた。
「たあああああ!」
その間にライズが組んでいるもう1人の戦士…人造人間、姫宮空が駆け、敵へと向う。
(…ダメね。あれでは勝てないわ)
がむしゃらな突撃。それを見て、ライズはむしろ反射的に動こうとした身体を止める。

『戦場では決して激昂するな。指揮官たるもの常に冷静に状況を判断し、冷徹に行動せよ』

戦場を生き抜くため、お父様とじいやに叩き込まれた教えがライズに次に取るべき行動を教える。
(…あの紛い物は私から生み出されたもの。ならば)
そして出した結論に従い、ライズは行動を開始する。
「…フィル。貴方はここで待機を。癒しの祈りがきっと必要になるわ」
目の前で繰り広げられる、軍団長と空との戦いに手を出しあぐねていたフィルに、ライズが命令する。
「うん、分かった…気をつけてね。ライズ」
純粋な戦士としての実力では2人に大きく劣るフィルが素直に納得して頷いたのを確認し、ライズは自らの行動を開始する。
軽く息を吸い込み、言葉を紡ぐ。
「…マナよ。刃に宿りなさい」
手袋の下に隠されたマジックアイテム…小さな指輪の発動の言葉(コマンドワード)を。

「てりゃあああああ!」
ダッシュで生み出された勢いを利用してのアームブレイドでの突撃。
乱暴で粗い攻撃だが空の人間離れした身体能力と強力なバイオオーガンであるアームブレイドで放てば立派に必殺技となりうる攻撃。
その攻撃に対し、男は並みの戦士であれば両手で使うような剛剣を片手で軽々と振りあげ、そのまま思い切り振り降ろす。
「あうっ!?」
アームブレイドに加わった、上からの強烈な打撃。そのまま腕が引きちぎられそうな衝撃に空が思わず悲鳴を漏らす。
叩き落とされたアームブレイドが地面に突き刺さり、空に隙が生まれてしまう。
その隙を見逃さず、男はそのまま斬り上げる。
「きゃう!?」
鍛え抜かれた戦士の膂力と卓越した剣技によって放たれた刃は空のアーマーと皮膚装甲を易々と突き抜け、辺りに鮮血が飛び散る。
「こ、この!」
お返しとばかりにアームブレイドを振り上げる空の攻撃も、男には通用しない。
身体をわずかに動かして打点を鎧の最も厚い部分へそらし、前に踏み込んで衝撃を殺す。
空の攻撃が男の甲冑の上を滑り、火花を飛び散らせる。
そのまま男は更に踏み込み、空に強力なタックルを叩き込む。
「こふっ!?」
男の巨体を叩き込まれた衝撃で肺の中の空気を絞り出され、空は息を詰まらせつつ吹き飛ばされた。
(つ、強い…!?)
身体が覚えていた動作に従って立ち上がり、目の前の敵を見据えながらも、空は混乱していた。
純粋な力で互角。技術は比べるべくもない。
圧倒的なまでの強さの差を自覚した空は震える。
「一旦引きなさい!貴方の手に負える相手ではないわ!」
(こ、怖い…!)
恐怖と痛みに怯える空に、その声は届かない。
(な、なんとか…なんとかしなきゃ!)
怯えたまま、空は再び攻撃を繰り出す。
「えええええええええええええええええい!」
「ぐぅっ!」
追い詰めた空が放ったそれは、今までで最高の鋭さと破壊力を持った一撃。それは初めて男をまともに捉え、男は初めて僅かに声を漏らす。
だが、倒すには至らない。
そして、反撃に男は動き出す。
横薙ぎの一撃。剛剣によって放たれた攻撃が、空のアームブレイドを大きく弾く。
「きゃあ!?」
再び腕がもぎ取れそうな衝撃。物理的にアームブレイドと一体化している腕が大きくそれ、男の前に無防備な胴体をさらす。
そして、男はそれを見逃さない。
振り抜いた刃を瞬時に振り上げ、渾身の力で振り下ろす。
剣を弾き、防御を打ち砕く"横"と、相手を倒すための渾身の"縦"。
単純な攻撃2つを組み合わせた、シンプルであるが故に相手に小細工を許さぬ大技。そう、これこそが。
「滅せよ!」
ズバシャアッ!
今まで無数の相手に"破滅"をもたらしてきた、男の最大の必殺技。
「あ…くう…」
それをまともに受けてしまった空が、血を飛び散らせ、倒れる。
「…」
それを見て男はとどめを刺すべく無言で剣を振り上げ…
「…!」
突如飛び込んできた赤い影の攻撃を辛うじてかわす。
「…フィル。ソラをお願いするわ」
「任せて!ラヴェルよ、癒しを!」
真紅の鎧をまとい、淡く輝く細剣を持った戦士…ライズの声にこたえるように、倒れた空に駆け寄ったフィルが空の回復を願い癒しの祈りを自らの神に捧げる。
「ら、ライズ…その人、もの凄くつよ」
「当然よ」
祈りが効いて意識を取り戻した空の声を遮るように軽く言葉を返す。
「偽物とは言え、一軍を束ねる破滅のヴォルフガリオが弱いはずが無いでしょう?」
氷のように冷たい怒りを纏いながら、ライズは剣を構え、言い放つ。
「この偽物は私が知る限りの最も強きもの。その事実こそが、この偽物の最大の弱点」
自らの記憶から生まれた過去の幻影に、決闘を挑むように。
「軍団長を愚弄した罪は、その血でもって贖って貰うわよ」
戦いが始まった。

にらみ合いは一瞬。
相手を変え、再び命がけの決闘が再開される。
「…っふ!」
サイドステップでもって、繰りだされた男…ヴォルフガリオの攻撃を辛うじてかわす。
「…流石ね。偽物でも技量は私より上だわ!」
むしろ避けられたことが幸運。ライズすらそう思うほどの剣技の冴えを見せられ、ライズはかすかに、不敵に笑う。
「けれど…プレシズ・ヘル!」
お返しとばかりに攻撃を繰り出す。
プレシズ・ヘル。舞うように無数の連撃を繰り出して切り刻むこの技は手数は手数こそ多いが一撃が軽い。
本来であればヴォルフガリオの分厚いプレートメイルに弾き返されるだけだろう。だが。
「ぐうっ!?」
淡く輝く刃が鎧ごと斬り裂いてダメージを与える。それは蓄積し、大きなダメージとなる。
「思ったとおり…どうやらこれが弱点のようね」
自らの考えが正しかったことを確認し、ライズは油断なく相手を見据える。
「当然と言えば当然の話だわ。私が知っている…"元の世界のもの"が、魔法攻撃への対策を行なえるはずがないもの」
ライズのいた世界には無い技術…魔法の力を宿した刃を敵に向けながら。

かつて、ライズは剣が通用しない悪魔と戦う事になり、文字通り手も足も出なかったことがある。
そのときに得た戦訓がライズに"備え"を用意させていた。
剣が通用しない相手に剣が通用するようにするための魔力を剣に宿らせる魔法を扱うことができるようになる、指輪。
剣の鋭さを増す効果もあるそれを、ライズは準備していた。

ライズとヴォルフガリオの一騎討ち。互いの技の限りをつくし放たれた刃が互いの身を削る。
「…くう!?」
(まだ…あと少し…)
そろそろ2ケタに達する、ヴォルフガリオからの剣の傷をその身に刻みながら、ライズは冷静に相手を観察する。
「はっ!」
突きだした刃が鎧を貫いて肉に達した感触を手に伝える。何度目かのクリーンヒット。
(…!来たわね!)
それを受けたヴォルフガリオが半歩だけ下がったのを見て取り、ライズは深く身を沈みこませる。
「…!?」
ブォンッ!
一瞬遅れ、横薙ぎに振るわれた刃がライズの頭上をかすめる。
「滅せ…「プレシズ・キル!」
そのまま、屈した膝のバネを使い半ば突進するようにライズは剣を突き出す。
狙いは鎧と兜の僅かな隙間。
ライズの渾身の必殺技は、狙い通りの場所に吸い込まれ、鎧下のチェインメイルを突き抜けて喉笛へと達する。
ヴォルフガリオが剣を取り落とす。
「…その技は何度も見たわ」
自らがその対象となったのは初めてだったが、何とかうまく行ったことに内心安堵しながら、無表情にライズが言う。
「…もっとも、万全の状態から放たれていれば、私では避け切れなかったでしょうけどね」
ヴォルフガリオの動きが鈍っていた原因…空が倒れる寸前に与えた、大きな傷を一瞥した後、ライズは深く貫いた細剣を引き抜く。
それを合図にするように、ヴォルフガリオは轟音とともに倒れ伏し、融ける様に地面へと消えて行った。

「終わったわ。フィル、傷を治して頂戴。そのあとは、少しの間、休憩にしましょう」
「分かった。じゃあ、治すね…ラヴェルよ…」
「…やっぱり、凄い」
フィルの治療を受ける、自分が手も足も出なかった真紅の甲冑を着た男を相手に勝ったライズを見て、空が思わず呟く。
戦況は最後までほぼ互角だった。魔法で剣を強化し、相手のことを知り尽くした状態で挑んでいるライズであっても、楽に勝てるほど甘い相手では無かった。
ライズの攻撃は何度か避けられたり剣でそらされたりしているし、ライズ自身もさばき切れなかった攻撃を受けて身体に剣の傷がいくつも刻まれた満身創痍状態。
だが、そのことが更に空にライズとの差を意識させていた。
彼女が受けた剣の傷が全て戦闘不能に追い込まれるような深手では無いのは、偶然ではない。
相手の技量は同等以上と見てとったライズは最初からすべての攻撃を避けるのを諦め、致命傷にならない浅い攻撃は無理に捌かず喰らいながら戦っていた。
今、空たちのパーティーに回復の技が使えるフィルがいることを前提に組み立てられた、長期戦のプラン。
考えるのは簡単だ。だが、これには浅くとはいえ身体中を剣で斬られる苦痛に耐え、一瞬たりとも隙を見せず、最後まで冷徹に戦い続ける精神力が求められる。
それを、ライズにはやり遂げた。実力が上の相手の攻撃に取り乱し、ただ暴れていただけの自分とは、大違いだ。
「…私じゃ、ライズには敵わない…」
そのことを痛感した空が俯き、唇をかみしめる。涙がわずかに零れる。
『戦場でのイチローに相応しいのは貴方では無いわ』
治療を終え、次のフロアへ向かう準備を始めたライズの背中が、空にそう語っているように見えて。
そんな時だった。
「…大丈夫だよ」
そっと、空の肩に手が添えられる。小麦色の、温かい手。
「フィル…?」
その手の持ち主に、空は目を向ける。
「大丈夫」
ライズの治療を終えたフィルは空に対し、微笑む。そして、ライズの方に目を向け、言う。
「確かに今はまだ、空よりライズのが強いと、ボクも思うよ」
フィルのライズに対する目には、どこか懐かしいものが含まれていた。
「だけどね、諦めなければ、きっと追いつくから。ユウキみたいにね」
「ユウキ…?」
「うん。薙原ユウキ。見ず知らずの子供のわがままにつきあってくれるような優しい人で、ボクの好きな人」
そう言いながらフィルが思う。ずっと前から好きな、その人のことを。
「前にね、ライズにはユウキを助けてもらったことがあるの」
ユウキが命を落としかけた、あの事件の後からのことを。
「あのときからユウキはずっと頑張ってた。隣の学校のサイト君たちと一緒に特訓したり、色んな人と一緒に選抜委員のお仕事したり、日曜日に冒険に行ったりしながらね」
あれから、元々努力家だったユウキは前にも増して努力するようになり、冒険者としての実力を磨き続けていた。借りっぱなしじゃあ格好悪い。そう言いながら。そして。
「今ならば、ライズとも結構いい勝負になるんじゃないかな?」
フィルから見てもそう思えるだけの実力を、身につけていた。
「だからね、今は敵わなくても、頑張って追い付けばいいんだよ。それだけ」
そしてにっこりと笑いかける。
「これからこれから。私たちはまだ学生なんだから、その時間はいっくらでもある。ね?」
その太陽のような笑顔に釣られ、強張っていた空の顔が綻ぶ。
「そう、だね…私、頑張ってみる。ありがとう、フィル」
「うん。じゃあまずはここから何とかして、出なきゃ…?」
フィルが目をしばたたかせる。
「あれ…急に…眠く…?」
めまいがして空ががっくりと膝をつく。
見れば離れていたライズも同様のようだ。壁に手を付いてずるずると滑り落ちるように倒れる。
―――やるじゃないか。過去の幻影を倒しちまうとはね。
頭の中に響く声は、先ほどの羽根の生えた女の声。
―――ご褒美だ。今から見せてやるよ。
その声に混じるのは、かすかな同情。
―――あんたらの"未来"を。
その声を最後に、空の意識は暗転した。




解説

コモンルーン・エンチャントウェポン

種別 その他
価格 300,000v.
重量 0
  • 《異界魔法 エンチャントウェポン》
タイミング メジャーアクション
コスト 3MP
対象 単体
射程 3sq
判定 自動成功
攻撃力を+3し,攻撃の属性を<虚>属性の魔法ダメージに変更する。
;この効果は1シーンの間持続する。
学園世界にある学園の1つ、『オーファン賢者の学院』にて買う事の出来る、異界魔法の力が宿った魔法の指輪。
武器に魔力を宿らせることができる。誰が使っても同じ効果が得られることから、魔法を使えない戦士に人気の装備。
NW仕様にした際に元ネタとは微妙に効果が変わっています。分厚い鎧が何の役にも立たなくなっていたり、効果時間が長かったり。


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