孔雀明王

○多くの明王が怒りの表情(憤怒相と呼ばれる形式)であらわされるが、孔雀明王は慈悲をたたえた微笑(慈悲相)で描かれる。明呪の徳が勝れているので明王と呼ばれており、菩薩と書かれている経軌もある。『大孔雀明王画像壇場儀軌』に説かれている姿は、白色で白い衣を纏い、一面四臂で右第一手に開敷蓮、右第二手に倶縁果と呼ばれる果実、左第一手は胸の真ん中に吉祥果(ざくろ)持ち、左第二手には35の本孔雀の尾羽を持ち、金色の孔雀の上にある白蓮あるいは青蓮華上に結跏趺坐している。
○孔雀は気性の荒い動物であり、また毒蛇や毒蜘蛛も食べる習性から、信仰の対象として祀とされる。さらに、孔雀は雨をもたらす鳥とされ、雨乞いを行う本尊としても祀られ、京都の神泉庵で孔雀明王を本尊として、雨乞いを行ったことが記録に残っている。
○中国の高僧不空の訳した『仏母大孔雀明王経』によると、孔雀明王の陀羅尼を唱えることで、毒、病気、恐怖や災いを取り除き、安楽が得られるとされる。
修験道の開祖とされる役小角は、山中で孔雀明王の陀羅尼を唱え、修行したとされる。その結果、巨大な神通力を得、を従え空中飛行をも可能になったとされる。

参考

新紀元社 密教曼荼羅
随心院発行 仁海
大孔雀明王画像壇場儀軌 不空訳

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最終更新:2008年08月16日 18:17