修験道

○修験道とは、山にこもって呪術的な能力を得る修業、または修業を経て経験を得た者を表す。日本には古来から、山岳信仰があり、それが仏教道教と混ざり、独自の宗教として発展した。
○修験道の系統は天台宗の『聖護院』、真言宗は『醍醐寺』が中心となっている。
○室町時代になると、『教義』・『儀礼』・『組織』が整えられ、役小角を開祖とした、修験道が宗教教団として確立された。(真言宗では、醍醐寺の開祖とされる聖宝を派祖とする。)
○修験道では役小角が体得した蔵王権現や熊野権現あるいは不動明王などを拝し、加持祈祷といった呪術を行う事で、超越的な力を得て即身成仏を目指すとされる。また、呪術的な力を得て山を下り、その力が民衆に現世利益をもたらすと信じられていた。

<修験者の修業>
○十界修業
【凡夫の世界】
①地獄界:床堅:修験道に入る最初の日に、参加者を先達(先輩の山伏)が二本の短い棒や大きな棒で叩く。これにより、自らの仏性を自覚する
②餓鬼界:懺悔:山内の堂中で、先達を前に懺悔し、五体投地(両肘両膝額を地面に投げ出す、インドでの目上の者に対する礼儀作法)をし、懺悔文を授けられる。
③畜生界:業秤:山伏が腰に付けている螺の緒と呼ばれる縄で修行者を縛り上げ、罪業の重さを量る行。
④修羅界:水断:顔を洗う事はもちろん、水を口に含む事も禁止する。
⑤人界:閼伽:水断ちが終わると、先達が散杖と言う二本の細い棒で香水を行者の頭上に注ぎ、初めて手や顔を洗う事をゆるされる。この時、水を汲む法を授かる。
⑥天界:相撲:行者たちが相撲をとる。
【聖者の世界】
⑦声門界:延年:桧扇を手に舞い踊る。
⑧縁覚界:小木:山で焚く護摩木を採取して先達に修める。
⑨菩薩界:穀断:深仙の宿に入り、七日間の断食がなされる。
⑩仏界:修験正灌頂:不動明王の秘印と秘法が授けられる事により、行者の成仏が完成する。

<修験道の儀礼>
○柴燈護摩:修験道で行われる密教の儀礼に基づいた護摩。

参考

ナツメ社 図解雑学 仏教
ナツメ社 図解雑学 密教

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最終更新:2006年07月02日 17:54