アイラ・ミミは、太陽系連合軍(UEF)に所属していた技術士官であり、可変戦闘機「ストライク・ヴァルチャー」のテストパイロット。物語開始時はUEFの第7独立機動部隊、通称「アークライト隊」に配属されている。階級は中尉。彼女は、UEFが開発した新型OS「A.R.I.Aシステム」の根幹設計にも関わったエンジニアでもある。このシステムは、戦闘機の機体制御と戦術予測を高度に支援するもので、アイラ自身の空間認識能力をAIに反映させる目的で開発が進められていた。物語中盤、UEF上層部の方針に反発し、開発データと試作機を持って連合軍を離反。その後、火星解放戦線(MLF)に合流する。以降はMLFの主力パイロットとして、自らが設計したシステムを搭載したかつての仲間たちと対峙することになる。UEFからは「重要機密漏洩および敵対行為」の容疑で第一級叛逆者として追われる身となる。
彼女は木星圏に位置する宇宙コロニー「ヘリオスV」の出身。両親はUEFの兵器開発局に勤務する研究者であり、次世代エネルギーの研究に従事していた。アイラは幼少期から工学とプログラミングに強い関心を示し、特に三次元空間における座標認識能力に優れていた。15歳の時、両親が関わっていた新型動力炉の実験が失敗(公式記録では「冷却システム暴走による爆発事故」)し、コロニーの一部区画が壊滅。この事故で両親を含む多くの住民が犠牲となった。アイラ自身もこの事故に巻き込まれ、数週間意識不明の状態であった。この事件をきっかけに、彼女は「技術は人を守るためにあるべきだ」という信念を強く抱くようになり、技術の暴走を防ぐための安全装置(フェイルセーフ)の重要性を認識する。その後、地球のUEF士官学校に進学し、技術開発コースを専攻した。卒業後はその才能を買われ、A.R.I.Aシステムの開発チームに最年少で配属された。システム設計の傍ら、AIの挙動を実機でテストする必要性から、その操縦適性を見込まれてテストパイロットを兼任することになった。
物語序盤、彼女はUEFのアークライト隊の一員として、火星圏で散発的に発生するMLFとの小競り合いに参加。この時点では、自らの技術が平和利用されると信じていた。しかし、MLFの捕虜との対話や、上官であるゼクス大佐の非人道的な作戦を目の当たりにし、UEFの正当性に疑問を抱き始める。決定打となったのは、A.R.I.Aシステムの「フェーズ2」計画の全容を知ったことである。これは、システムを無人機に搭載し、敵対勢力のコロニー住民を無差別に殲滅するというものであった。アイラは、自らが目指した「人命を救うAI」が、両親の命を奪った事故と同じ「技術の暴走」を意図的に引き起こすことに利用されると知り、深く絶望する。彼女はシステムの中枢部に、特定の倫理的判断を強制する「隠しコマンド(通称:ミミズ・コード)」を仕込み、計画を内部から妨害しようと試みた。だが、その行動がゼクス大佐に察知されたため、A.R.I.Aシステムのコアデータと最新試作機であるXCV-07「ストライク・ヴァルチャー」を奪取し、UEF基地から脱走する。逃亡中、追撃部隊によって撃墜されそうになったところを、MLFの部隊に保護される。当初はUEFの技術者であることから警戒されるが、リーダーのリア・システィーナに保護され、彼らの掲げる「火星圏の自治と技術の平等的利用」という理念に共感。正式にMLFのメンバーとして迎え入れられる。中盤では、MLFの拠点である移動要塞「アルカディア」の技術主任としても活動。UEF時代の知識を活かし、MLFの旧式な機体を改修する。また、UEFが投入したA.R.I.Aシステム搭載の無人機部隊と交戦。自らが仕込んだミミズ・コードを利用し、無人機の連携を寸断する活躍を見せた。終盤、UEFが地球圏の全権掌握を宣言し、MLFは地球軌道上での最終決戦に挑む。アイラはゼクス大佐が搭乗するA.R.I.Aシステム完全版搭載機と一対一で対峙。激戦の末、ゼクスの機体を戦闘不能にし、UEFの無人機部隊のコントロールを司る旗艦「アズラエル」の制御システムに侵入。戦争終結のきっかけを作った。
カイト・ナガクラは、UEFアークライト隊所属のエースパイロット。階級は同じく中尉。アイラとは士官学校時代からの同期であり、良きライバル関係にあった。アイラの技術者としての側面を高く評価していたが、彼女の理想主義的な部分を危ういとも感じていた。アイラの脱走後は、ゼクス大佐の命令により彼女を追う立場となる。幾度となく交戦するが、彼女を撃墜することに迷いを見せ、最終決戦では命令に背き、アイラを援護する行動に出た。ゼクス・マーキスは、UEFアークライト隊の指揮官。階級は大佐。アイラの才能を最初に見出し、A.R.I.Aシステム開発チームに推薦した人物。しかし、彼は技術を「効率的な支配の道具」としか見ておらず、秩序維持のためなら無人機による大量虐殺も是とする冷徹な合理主義者。アイラの離反を「個人的な感情による裏切り」と断じ、執拗に彼女を追跡する。物語における最大の対立相手である。リア・システィーナは、MLFの部隊長であり、移動要塞「アルカディア」の艦長。アイラを保護し、彼女に新たな戦う理由を与えた人物。冷静沈着な指揮官であると同時に、アイラにとっては姉のような存在であり、UEFを裏切った罪悪感に苦しむアイラの精神的な支えとなった。A.R.I.Aシステムは、アイラが「対話可能なパートナー」として設計思想に組み込んだAI。アイラはAIに対し、人間の感情や倫理を学習させることを目指していた。UEFはそれを非効率なものとして切り捨てようとしたが、アイラが持ち出したコアデータには、彼女の倫理観が強く反映されていた。
性格は穏やかで内向的。人付き合いは得意ではなく、機械やプログラムと向き合っている時間を好む。戦闘行為そのものには強い嫌悪感を持っており、UEF在籍時はシミュレーターでの高得点とは裏腹に、実戦では敵機に対し威嚇射撃を行うことが多かった。彼女の行動原理は、幼少期のコロニー事故の経験に基づく「技術による人命の救済」と「制御されない技術への恐怖」である。UEF在籍時は、自らが開発した技術が人命を奪う兵器として完成されていく現実に苦悩していた。MLFに参加してからは、リアや他の仲間たちという守るべき対象を得たことで精神的に成長する。自らの技術と操縦技術を「これ以上の犠牲を出さないための力」として行使する覚悟を決める。戦闘中も一貫して敵機のコックピットを避けて武装や推進器のみを破壊する戦法をとり、不殺を貫こうとする姿勢が描かれている。彼女は、AIや機械を知性ある存在として尊重する傾向が強く、自機ストライク・ヴァルチャーやA.R.I.Aシステムに対し、機械ではなく対等なパートナーとして接する。この価値観は、AIを道具としか見なさないゼクス大佐の思想と真っ向から対立するものであった。
アイラ・ミミの存在は、物語における「技術と倫理」「AIと人間の共存」という中心的なテーマを体現している。彼女がUEFを離反し、A.R.I.Aシステムのコアデータを持ち出したことが、物語が大きく動く直接的な転換点となった。彼女の行動により、UEFの無人機計画は大幅に遅延し、MLFはUEFに対抗する技術的手段を得ることになった。彼女が開発したA.R.I.Aシステムは、戦争の勝敗を左右する鍵となり、UEFとMLFの双方が彼女の技術を求める構図を生み出した。また、彼女の「不殺」の信念は、当初はMLF内部でも「甘さ」として批判されたが、次第にカイトや他の登場人物の価値観にも影響を与えていった。最終的に彼女がA.R.I.Aシステムと共にUEFの無人機部隊のコントロールを奪還し、その機能を停止させた行動は、武力による一方的な支配から、対話による共存へと、世界のあり方を変える第一歩として描かれた。彼女の行動は、戦争終結後の技術査察機関の設立にも繋がっている。