遭遇!!◆z9JH9su20Q




「……園咲さん? 牧瀬さん?」
 今は亡きネイサン・シーモアがオーナーを務める企業、ヘリオスエナジー。
 その社内を、巴マミは尋ね人を探し彷徨っていた。

「私は巴マミと言います。後藤さんに話を聞いてここまで来ました。お二人を保護するように、って……」
 呼びかけを繰り返しながら、全てのフロアを調べ終えるのに時間は掛からなかった。
 一人なら何時間も必要としてしまっただろうが、ワイルドタイガーから譲渡されたセルメダルを用い、カンドロイド達の助力を借りていたためだ。
 結果は、無人。後藤慎太郎が保護していたという二人の女性の行方は、ようとして知れなかった。
 念のためと、周辺の警戒と捜索に向かわせていたカンドロイド達を呼び戻した。しかし彼らもまた、何ら成果を得られず。
 守るべき人々との合流は、ならなかった。

「……何をやっているのかしらね、私」

 後藤から託された、保護すべき人々は見つけ出すことができず。
 一人戦場に残った虎徹から頼まれた、ニンフの元に向かうという約束は反故にして。
 守りたかった人まで、死なせてしまった。

 ……どうして、こんなことになってしまったのだろう。
 やはり全ては、人を殺した自分への罰なのだろうか?

 失意に沈み、膝を折る中で、ふと。そんな考えが、再びマミの中で鎌首をもたげた。

 あの時。殺さずとも、最早常人以下のジェイクを含めて誰も死なずに済ませる可能性は、確かに存在していた。
 発生が遅いとはいえリボンで拘束する、もしくはその手だけを撃ち抜く。無論、単純に間に合わない、あるいは暴発を許すリスクは負うが、それだけでも智樹を守れる可能性もまた、確かにあったはずだ――少なくとも、発砲されたところで致死を防げる見込みはそれらの手法だけでも、十分に確保できたことだろう。
 なのにあの時のマミは咄嗟に、誰もが助かる可能性の道よりも――智樹を守るための、確実な罪を選んだ。誰も犠牲を出さないというワイルドタイガー達の掲げる正義に、どんな人でもやり直せるというまどかの信じる祈りに、傷をつける方法を選んだのだ。

 ……振り返ってみれば、どこか奇妙だとマミは気づいた。
 あれほど孤独を恐れ、そして今、喪失感に打ち拉がれている臆病な自分が、他者との同調以外の道を選ぶだなんて。

 いったいどんな理由が、そんな選択を行わせたのだろうか?
 時には厳しくとも的確な決断もできる、皆に憧れられるような立派な魔法少女として振る舞いたかった? でもそれなら、どうして自分はこんな、約束とは見当違いの場所にいる?
 どうして、ニンフのところに向かわなかった?

 どうして――――?

「――――――ぁ」

 自問を重ねて行く中、マミは見つけた。
「…………そっか」
 自身の不可思議な行動に潜む、共通点を。
「そう、よね……」
 気づいてしまえば、簡単なことだった。
「桜井、君……っ」
 ――自分は彼が、大切だったのだ。



 巴マミは、本当は正義の味方などではない。
 彼女に憧れ、魔女による悲劇を無くすために戦うと語る彼女こそを理想の魔法少女、正義の味方と神聖視する者もいただろう。
 だが、何のことはない――マミは強がってみせているだけの、普通の女の子だったのだ。

 本当は――誰もいない家に帰るのが寂しくて、なのに魔法少女の使命のために誰かと遊ぶこともできずに、泣くのを我慢している女の子でしかなかった。
 ならせめて、同じ魔法少女との繋がりが欲しいと、そう願っていた。

 なのに佐倉杏子は、ある日、マミのことを友達とは違う――と言った。
 弟子である彼女は、一人前になったら自分を置いてどこかに行ってしまうのだと、マミは知らしめられた。
 だから彼女や、他の後輩達に少しでも長く傍に居て欲しくて――誰よりも強くて頼りがいがあって、品が良くて皆に優しくて、優雅な――せめて、魔法少女の憧れる自分であろうと、マミは努力を重ねて来た。

 本当は誰かが弱いマミを受け入れて、一緒にいてくれさえするのなら、すぐに捨ててしまえるようなポーズを取り続けた。

 なのに、いつしかそんな理想の先輩像を保持するのにばかり必死になって。
 集まってくれた後輩達に本音を晒せず、見せかけの強がりで美樹さやかを見捨てた結果――彼女は、魔女になった。

 明かされた魔法少女の真実は、それまでのマミを徹底的に打ち砕いた。
 それまでのマミの努力は、全て、大切な仲間を魔女にするための戦いだったのか?
 どんなに努力したって、どうせいつか同じ運命を辿るなら、いっそ、仲間達と一緒に死んだ方がマシ――そんな風に、自暴自棄になってしまった。

 そんな巴マミの悲しみを想って、桜井智樹は、本気で泣いてくれたのだ。
 見ず知らずのマミを、命を懸けて止めてくれた。いつかいなくなってしまうかもしれなくても、仲間は大切で、喪うのは辛いのだろうと、マミを助けてくれた。

 いつだって正義のためと嘘を吐いて、本当は自分のために戦っていただけのマミに、それでも彼はちゃんと欲張れと言ってくれた。

 友達が欲しくても歩み寄る勇気のないマミのために、出会ったばかりの彼は躊躇わず踏み込んで、あの時確かに、マミの心を救ってくれたのだ。

 その優しさに癒されて、その勇ましさに励まされて――それから一緒に戦って、まどかと仲直りするチャンスまで作らせてくれて。死者を告げる放送を迎えるその時までは、殺し合いの中だというのに、いっそ充実していたことを覚えている。

 桜井智樹は巴マミにとっては恩人であり、彼の勇気は憧れの的であり、弱さを受け入れてくれた彼の優しさは、絶望で穴の空いた心を埋めてくれた希望だった。

 だから、他の何より彼の無事を惜しんでジェイクを殺し――その選別を行った後ろめたさをどこかで自覚していたからこそ、ルナティックとの問答では恥じ入ることしかできなかったのだ。
 そして今も、ニンフの生死がどちらに転んでいても、智樹の不在を強く知らしめられることへの忌避感が、見当違いの方向へと足を進ませていたのだろう。

 そんなことがわかったのは、繋がったばかりだった彼との関係が終わって――いいや、終わらされてからのことだった。

 ――憎い。
 智樹を、まどかを。奪っていったあの堕天使が。
 甘い展望だったことはわかっている。それでも仲間や智樹と一緒に、平穏へ帰りたかった。

 だけれどその可能性は、もう永遠に閉ざされたのだ。
 あの翼に引き裂かれて、あの炎に焼き尽くされて。
 結局こんな、利己的な自分だけが残された。

 希望を刈り取られて、いっそ死んでしまいたいとすら思ったけれど。まどかに救われた命を、今更無駄にするつもりはない。
 それでも、カオスへの復讐を避けて進むことはできない――そんな、決意という名の諦念が、マミを包んでいた。

 しかし憎悪にだけ浸っていられる時間は、思いの外早く終わりを告げた。

 それは――背中越しでも目を焼くほどの圧倒的な爆光と、それに伴う衝撃波が、ヘリオスエナジー社の窓を悉く破砕したためだった。

「――っ!?」
 突然訪れた破壊に吹き飛ばされながらも、マミは咄嗟に魔法少女に変身して立ち向かう。光に視野を潰されながらも魔導障壁を展開し、殺人的な爆風とそれに運ばれたガラス片の直撃を防ぐ。その隙に宙を舞っていた身体の姿勢を制御し、空中で反転。轟音に耳鳴りを覚えながらも無事着地したマミが視線を向けた先にあったのは――自身を狙った敵対者、などではなく。
 山ほどの大きさの火の玉が、キャッスルドランのある場所を中心に膨張し、世界の一部を埋め尽くす様子だった。

「あっ……そんな……!?」
 ついさっきまで居た場所で発生していることが信じられない、非現実的な終末の景色。
 この距離でも容赦なく頬を叩く熱風に煽られながら、マミは悲鳴を漏らしていた。
「ワイルドタイガー……火野さん……っ!」
 あの場に残して来た仲間達。
「……後藤さんっ!?」
 孤独に潰れそうになっていた自分を気遣い、彼らの救援に向かってくれた映司の友。

 そんな彼らがいるはずの戦場に、地獄が顕現している。
 逃げ延びた自分だけが安全地帯に居るという事実に、マミは茫然自失に追い込まれていた。

 やがて、自重に耐え切れず崩壊するようにして、空へと腕を伸ばしていた爆炎が収束していく。
 まるで周囲の何もかもを引き込み、消えていく津波のようなその様を見届けて、マミはふと衝動に襲われた。

 ――助けに、行かなければ。

「待ってて、皆……っ!」
 虎徹に押し付け逃げ出して、後藤に任せて背を向けて。
 彼らの正義より智樹を選んだことを自覚しておいて、今更なことは、理解している。
 ――それでもまだ、残されていたのだ。
 その一念でマミは割れた窓から飛び出して、彼らがいたはずの場所を目指し跳んでいた。

 その行動をさせたのは、彼女の正義感ではなく――ただ、これ以上独りぼっちで置いていかれたくないという、恐怖によるものだったのかもしれない。



 キャッスルドランまでの道程は、膨大な熱量に大気が歪み、全て蜃気楼のようにして歪んで見えた。

 爆炎が収まった後だというのに、吹き散らされて残された炎と赤熱した物体とが、今も満月や星々よりも強い輝きで夜空を照らし続けている。キバの世界に在って辛うじて形を残していた建物は熔解した断面を晒し、露出した床や壁の鉄骨が燃焼する液体となって、今も血のように滴り落ちていた。
 融け出したコンクリートや金属は街路に流れ、掘り返された土砂とも混ざり合った灼熱の坩堝と化し、蒸気を上げている。迂闊に踏み入れば火傷では済まないと、魔法少女にも前進を躊躇わせるような死地と化していた。

 まるで無数の赤い子鬼が廃墟にひしめき、我が物顔で踊っているかの如き異様な地。そこは間違いなくヘリオスエナジー社と地続きの空間ながら、まるで魔女の結界の中みたいだと、マミは息を呑む。

 これが、本当に魔女の結界であれば。それはそういった能力でしかないものと理解できている以上油断を禁じはしても、怯えることなどなかっただろう。
 だが、これは魔法による幻惑の類ではない。何ら魔性を伴わない、純粋な破壊で生まれた物理的な災禍なのだ。

 白濁した眼球と黒焦げた断面を晒す、キャッスルドランの首だけが大地に横たわっているのを視界に収め、マミの中でますますその結論が重みを増す。
 これだけのことを成せるだけの破壊力から、生き延びられた者がいるのかという疑問と――この先、ともすればそれを成した元凶との遭遇が待ち受けているのではないのかという恐怖とに、渡って行くべき足場を探していた足が止まる。
 暫しの放心の後、マミはそんな己を叱咤する。

(いいえ、大丈夫……支給品だろうと自前の能力だろうと、これだけのことをしでかせば、メダル制限からは逃れられないはずよ)
 故に、危険人物がいるとしても、取り押さえ生存者を救助するのなら今こそが好機のはず。
 カオスから与えられたダメージも、ヘリオスエナジー社に到着する前から続けている自己治癒のおかげでかなり回復することができた。

 ……今なら、戦える。もし誰かが取り残されているなら――大切な命を繋ぎ止めることのできなかった自分でも、今度こそ。誰かを助けることができる。
 生存者が存在する可能性も皆無ではない。マミの魔導障壁やジェイクのバリアを超える防壁を持つ者がいないとも限らない。それに例えばカオスの猛攻を生き抜いたプトティラコンボなら、最初の爆発さえ凌げていればこの灼熱地獄でも十分生存できていることだろう。
 ここに苦しむ誰かがいるとすれば、助けに行けるのは最早自分だけ――そう自分に言い聞かせ、マミは前進を決意した。

 未だ蒸気は上がりながらも、同時にその高すぎる熱を外気に奪われ急速に冷やされていることは間違いないのだ。炎上していない場所にリボンを先行させ、足場に利用できる残骸などを一つ一つ選別し、緩慢ながらも進んで行く。
 そうして足場を探しては跳躍を繰り返していたが、ある程度進むと、足場代わりの建物やキャッスルドランの残骸は見当たらなくなってしまった。

 その時代わりに彼女が見つけたのは――自身に向かって流星のような速度で迫る、一人の天使の姿だった。



      ○○○      ○○○      ○○○      ○○○      ○○○       ○○○



 数秒前まで、大地は沸騰していた。
 裁きの矢から解き放たれた灼熱の濁流に攪拌され、太陽にも迫る恐るべき熱量を注がれた万物は溶け合い、あらゆる生命の存在を許さぬ原初の地獄を再現していたのだ。
 とはいえ、所詮は世界の一角に現れた仮初。それ以上の侵食を続けるということはなく、逆に取り込まれ、平均化されて行く。

 故に流体化していた大地は、最終兵器を使用した張本人が降下する頃には、既にその固体性を取り戻し始めていた。
 未だ蒸気を立ち上らせてはいても、『空の女王(ウラヌス・クイーン)』なら問題なく活動可能。そう結論したイカロスは、自身の身体能力が維持できるうちに目的を達成する必要があると結論し、一先ず全力の蹴りを放った。

 最強のエンジェロイドが放った回し蹴りの威力に、完全には固化していなかった大地に高波が起きる。
「……あった」
 舞い散る灼熱の飛沫の中に、他とは異なる輝きを見つけたイカロスは音速で跳びつく。
 再び大地と同化する前にその手が掴んだのは、金の環に包まれた青い円盤。
 ディケイドが落としたと見られる、ウナギの柄が刻印されたコアメダルだった。

『APOLLON』の炸裂で四方に飛び散ったと思しき、悪魔が遺したコアメダル。
 彼が何枚保有していたのかはわからないが、予想の通り、物理的に破壊できないとされるコアメダルは最終兵器の洗礼の後もこうして、瑕疵一つない完全な姿のままで存在していた。
 イカロスは早速それを首輪に装填する。セルメダル五十枚分の代替として機能したコアメダルはイカロスの自己修復を許し、更に能力使用のための余力を齎す。
 同様の行為を繰り返し、程なく二枚目、三枚目のコアメダルを発見できた。
 幸い、いずれも色は抜け落ちていない。丸々能力使用のコスト補填に費やせるのは有り難かった。

「……?」
 破損の修復を完全に終了し、『空の女王』を解除した後。次のコアメダルがないものかと探していたところ、全く異なる形状の物が飛び出して来た。
「これは……」
 メダルも見当たらなかっため、代わりに掴み取ったそれは、細長い箱状の物。
 色こそ違うが、放送直後に戦った男が最初に使っていた道具と同型の支給品であると予想できた。
 あの時も粉砕できず、そして今回は『APOLLON』の爆心地にも残っていた代物だ。他者に使わせないために今更破壊を試みるのは無益であると判断し、イカロスは一先ず持ち歩くことにした。後でカザリにどうすれば良いのかを聞くとしよう。

 引き続き発掘作業を続けると、四枚目のコアメダルが出現したが、それが打ち止めとなってしまった。以降は何度繰り返してみても、新しい発見は出て来ない。
 徒労を感じたことで、イカロスは大分冷やされて来た焦土の上で一度立ち止まった。

 グリードにはコアメダルを感知する能力が備わっているらしいし、これ以上の取り零しがあれば自分が探すよりも、カザリに頼る方が効率的だろうか。
 作業に没頭したい気持ちもある。無心になることで、忘れてしまえることがあるから。
 だけれど、イカロスには止まれない理由がある。

 その欲望を叶えるためには、どうするべきか。
 四枚のコアメダルで確保された活動能力を用い、自力で残る標的を追うか、それとも一旦カザリのところに戻るべきか。
 追うといっても宛もなく、その後の扱いにカザリの判断を仰ぎたいガイアメモリを入手したという事情もある。合理的な結論に達しようとしていた、その時。

 沈黙を続けていたレーダーに、反応があった。

「――――!」

 北部より接近する参加者の存在を認識したイカロスは、密かに飛翔していた。
 目的と関係ない、無意味な消耗は避けたい。
 しかし情報不足の身でもあるのだ。接触すべきか否かは、最低限相手の姿を確認してから判断しても遅くはない。
 故に早期に相手を発見できるよう飛んだイカロスの視野に入ったのは、白と黄色を基調としたブラウスとスカートの少女。
 金の巻き髪をした顔を解析し、続いて首輪を確認し――イカロスは、彼女との接触を決意した。

「…………ぁ」
 しかし接近した際、速度を出し過ぎていたらしい。彼女の立っていた足場に着地しようとしたら、勢い余って砕いてしまった。
 仕方がないのでそのまま再浮上しつつ、悲鳴を上げる少女の手を掴み、彼女が落下するのを防ぐ。人体にはまだ、この辺りの地面だと火傷の危険性があるからだ。

 突然のことに、害意があると勘違いされたのだろうか。恐懼に身を竦めている少女に、イカロスは己の首輪のランプに残った手を添えながら語りかけようとした。

「あ、の……」
 同じ陣営だから、怯えなくても大丈夫、と。
「イカロス……ッ!?」
 たったそれだけのことを伝える前に名を言い当てられて、イカロスは微かに瞠目する。

 間近で見る少女の容姿には、イカロスは見覚えがない。
 今はこうして同じ時間に存在しているが、本来バトルロワイアルがなければもっと先の未来で出会う相手なのだろうか、などと時間軸のズレから生じる可能性を疑っている間に、相手は詰問して来ていた。

「これは、貴女がやったの……?」

 ――その問いかけに載せられた、恐怖の視線が痛かった。
 大量破壊兵器というこの身を、自分の欲望のためにマスターの気持ちを裏切ったこの心を、咎められているようで。
 消沈し項垂れるイカロスに、少女は糾弾の声を緩めなかった。

「ここにはカオスだけじゃなくて、火野さん達も居たのに……!」
「――!」
 しかしそれに入り混じって、聞き逃せない情報が彼女の口から漏れた。
 彼女はここに居たのだ。イカロスが辿り着く前、標的の二人がまだ留まっていた頃に――!
 だがそれも、続いて吐き出された名前に比べれば……イカロスにとっては、大して重要ではなかった。

「桜井君がこんなこと、望んでるわけが……」
「――――詳しく、聞かせて」
 知らず、どこかでスイッチを入れながら。
 思わず手に入れた最愛の人の死の手がかりを前にして、イカロスは再び心に蓋をすることを決めていた。

「どうしてマスターが死んだのか……貴女は、知ってる、の……?」



      ○○○      ○○○      ○○○      ○○○      ○○○       ○○○



 こうして、主を喪った盲いた天使は、彼が導いた少女と邂逅する。
 彼を喪失を嘆き、同じ憎しみを燃やす同胞と。
 彼を守れず、むざむざと死なせた同伴者と。
 少女の口から語られる言葉に、そして間も無く開始される放送に、どんな答えを天使が見出すのかはまだ、定まっていない。

 それでも一つだけ、言えるのは。
 巴マミでは、紅く汚れたその翼を止められない。

 もう一度彼に会うまで、イカロスはもう止まれない。
 道を誤った盲いた天使を正せるのは、いつだって桜井智樹だけなのだから。

 この遭遇は――平穏無事には、繋がらない。



【一日目 真夜中】
【C-6 キャッスルドラン付近跡地】


【巴マミ@魔法少女まどか☆マギカ】
【所属】黄
【状態】ダメージ(中)、疲労(大)、深い悲しみ、カオスへの憎しみ
【首輪】40枚:0枚
【コア】ゴリラ:1、ゾウ:1
【装備】ソウルジェム@魔法少女まどか☆マギカ
【道具】基本支給品、ランダム支給品0~1(確認済み)
【思考・状況】
 基本:???
 0. イカロスに対処する。
 1. 他の魔法少女とも共存し、今は主催を倒す為に戦う?
 2.ディケイド、イカロス、カオス、メズールを警戒する。
 3.真木清人は神をも冒涜する十二番目の理論に手を出している……!
 4. 人を殺してしまった……
 5. 火野さん、後藤さん、ワイルドタイガーの安否が気がかり。
 6. 園咲さん、牧瀬さんはどこ……?
【備考】
※参戦時期は第十話三週目で、魔女化したさやかが爆殺されるのを見た直後です。


【イカロス@そらのおとしもの】
【所属】黄
【状態】疲労(中)、智樹の死に極めて強いショック、フェイリスを殺してしまったことへのショックと罪悪感
【首輪】195枚:0枚
【コア】サイ(放送まで使用不可)、ウナギ(放送まで使用不可)、タコ(放送まで使用不可)、スーパートラ(放送まで使用不可)
【装備】なし
【道具】T2オーシャンメモリ@仮面ライダーW
【思考・状況】
 基本:生きて、"本物の"マスターに会う。(訳:優勝後、時間操作の技術を得て全部なかったことにする)
 0.――やり直すんだ。
 1.黄陣営の少女(マミ)から話を聞く。
 2.1が終わり次第、カザリの下に戻るか、オーズとカオスを追う。
 3.フェイリス、ごめんなさい……
 4.ニンフと仲直りしたい。
 5.共に日々を過ごしたマスターに会うために黄陣営を優勝させねば。
 6.目的達成の障害となるものは、実力を以て排除する。
【備考】
※22話終了後から参加。
※“フェイリスから”、電王の世界及びディケイドの簡単な情報を得ました。このためイマジンおよび電王の能力についてほぼ丸っきり理解していませんでしたが、ディケイドについては本人を目にした限りの情報を得ました。
※最終兵器『APOLLON』は最高威力に非常に大幅な制限が課せられています。
※最終兵器『APOLLON』は100枚のセル消費で制限下での最高威力が出せます。それ以上のセルを消費しようと威力は上昇しません。
『aegis』で地上を保護することなく最高出力でぶっぱなせば半径五キロ四方、約4マス分は焦土になります(1マス一辺あたりの直径五キロ計算)。
※消費メダルの量を調節することで威力・破壊範囲を調節できます。最低50枚から最高100枚の消費で『APOLLON』発動が可能です
※『Pandora』の作動によりバージョンⅡに進化しました。
※桜井智樹の死で、インプリティングが解除されました。
※参戦時期の違いを知ったことで、「『自身の記憶と食い違うもの』は存在しない偽物であり敵」という考えを改めました。
※カザリの言葉を信じたいと思っています。そのため、最終的に大体のことはやり直せるから気にしないようにするつもりです。
※『APOLLON』使用を境にレーダーからの反応消失をイカロスが確認できたのは、ディケイド、バーナビー、後藤の三名についてだけです。



132:電脳亡霊のメッセンジャー 投下順 134:執着
時系列順
119:今俺にできること 巴マミ 142:そんなあなたじゃないでしょう(前編)
123:欲望交錯-足掻き続ける祈り- イカロス


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最終更新:2015年08月03日 22:49