【スペロ帝国】
大陸東の沿岸部に存在する帝国。
東に広大な海とジャポネ、西にテルス平原と地下に広がる潤沢な水脈と温水脈を有する。
大陸諸国とは陸・海双方を用いた貿易によって良好な関係を築いている。
帝国の名を冠してはいるものの君主として戴くのは代々「女王」であり君主として皇帝を戴く帝国とはやや趣が異なっている。
首都サンクトゥスフルゴルとその周辺を含めた女王直轄領以外は「五爵」と呼ばれる五家の大貴族の所領であり、五家が王の名の下に互いを牽制しあうことで均衡が保たれている。
その建国史は大陸史上にフルゴルの名が登場する最初の出来事でもあり、小国家が乱立し大陸でも特に戦火の多かったスペロ地方を類稀なる弁舌によって僅か数年のうちに纏め上げた手腕は「スペロの奇蹟」とも称されている。
この際にいち早く時流を察知し、フルゴルの策に乗ったのが現在の五爵である。
しかしその後は彼らの思惑と異なり、出来上がったスペロ帝国においては前述のとおり他家に出し抜かれないよう牽制しあわざるを得ない状態に陥ったことで「スペロ地方の平定と大国建国に貢献し、地位と名声を得た後で国を乗っ取る」という五爵の野望は潰えることとなった。
これは現状のカルミナ大陸におけるスペロ帝国、スピノー王国、
ドゥルチス共和国、
ディセプティオ帝国、マキナポルタ王国、
プロエリウム帝国、
エリュジオン王国という七つの大国が互いに牽制しあうことで平和が保たれている状況と非常に似通っており、
後の歴史家から「フルゴルはスペロを用いて大陸の戦果を鎮めるための実験を行ったのではないか」とも分析されている。
建国の背景もあってか「帝国」という体制をとってこそいるものの五爵家の持つ権限は非常に大きく、彼らの領内においては時として領主の命が王命よりも優先される場合すらある。
だがそれでもスペロ帝国がその危うい均衡を保ってきたのには明確な理由も存在している。
帝国内において民は王の名において絶対的に「移住の自由」を許されているのだ。
簡単に言えば「ある五爵の領内に住んでいたが重税が酷いので別の五爵の領地へ移住する」といったことが簡単にできるのである。こうすることで領民に重税を課したりすることでどこか一つが力を蓄えたりすることを防止。
さらには万が一、増税による税収の増加等を目論んで「移住の制限」を行えば他家へ征伐の大義を与えることとなる。
結果的に税収を増やしたければ民に「自主的に」他領地から移動してきてもらう、あるいは自領内の経済が成長することが必要となるため五爵家は躍起になって他家よりも良い政を行おうと必死になっている。
そのことで皮肉にも現在はそうした駆け引きと無関係の位置にある王直轄領が最も「住みづらい」との評を受けている。
フルゴル教を国教としており、代々女王直轄領における大臣や政務官には半数近くが
フルゴル教会の高僧から選出されるのが通例となっており、そういった国家の要職を兼ねる高僧は「枢機卿」と呼ばれる。
しかしあくまでも「女王付の政務官等が居る宗教団体」という域を脱しておらず、その強権も五爵家の領内にまでは及ばない。
スペロ帝国五爵家
ウィットフォード公爵家
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スペロ帝国五爵家の一角。
帝国東部に広大な領地を持ち、港湾の運営等によって財を成している。
とはいえ貿易等は国家主導で管理されているため他国との直接的な取引による利潤というよりは、港湾の管理や独自に保有する強力な海上戦力を利用した治安維持業務による収益が主。
五爵家のなかでも領民への税が低いことが有名だが社会福祉等への意識は低く、領民へ自立を強く求める気風がありそれが結果として諸侯領よりも大きな貧富の差を生んでいる。
「商売で身を立てたければウィットフォード領へ行け」と称されるほど儲けのチャンスが転がっているが、同時にライバルも多く、領内で新たに旗揚げする商店の訳6割が3年のうちに店を閉めると言われている。
貿易を国家戦略として掲げ実行しているスペロ帝国において海運は非常に重要な部分でもあるため、その維持安定を担うウィットフォード家の財政面における発言権は大きい。
現在はヘイゼル・グローリア・ウィットフォードが当主。
領内に構えた豪華な邸宅があるものの、彼女はもっぱら自家の巨大な帆船に詰めていることが多いことから領民たちに「提督」の愛称で親しまれている。
彼女の政治信条は独立独歩、領民各々が強い目的意識を持って自ら考え行動する自由を重んじている。犯罪の取り締まりなど高い公共性を必要とする事業以外はすべて民間で行うべきで、領主や国家が口を出すべきではないと考えている。
そのため何かと「縛り」を増やしたがるフルゴル教会に対し非常に強い反感を抱いており「坊主風情が何故国事に口を出すのか」と言って憚らない。
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ゲオルギイ公爵家
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スペロ帝国五爵家の一角。
帝国の西側に広がるテルス平原や潤沢な水源を有している
ミナワ地下水道に流れている水も元を正せばこの領地のもので、パケーム温泉もこの中にある
この地域の地下には大空洞の流れを汲む、広範囲に渡る水源が存在し、ミネラルなどを多分に含んだ水が流れていて、この水源がサンクトゥス・フルゴルのミナワ水道などにまで繋がっているという
この水脈は場所によっては深部がカルミナ大地脈と繋がっていて地脈の熱で温泉と化している部分がある、これがパケーム温泉の源泉である
地上には、前述の地下水脈が湧き出た多くの小さな河と、スペロ帝国北西部にあるアルデウス山脈から流れ出た雪解け水が合流してできている大きな【ロートス河】が、
北西部から東部にかけて、この領を分断するようにまっすぐ流れ、領地の境目付近で複数の支流に分かれて他の領地に入っている
河の流れはゆったりとしていて、
河の幅の広さと距離の長さ、割と低いところに流れているということもあって、氾濫するようなことは少ない
このロータス河付近はこの領に住む半数以上の人々が暮らしている。
この領の街は常に濁ることない澄んだ飲み水を得ることができ、食品加工などが発達している。
しかしスペロ帝国全土に広がる河の上流という環境に配慮し、大規模な工業地帯などはない。
ロートス河には【ラクシム大橋】という大きな橋があり、大きな街道はこの橋を通っている。そこを通して領の北部分と南部分は行き来を行い、ウテロ大森林やエリュジオンに行く際にもこの橋を通るルートが多い
また渡し船もかなりの便数がある。
この領は街道や河川、地下水脈などと合流していることをうまく利用し、観光地や療養地として国内外で有名である
ロータス河の畔は夏の間の避暑地としても最適であり、パケーム温泉での湯治は、各国の有力者がこぞって体を癒しにやってくるほどだ
こうして観光業で得た収入と、各地へロータス河の水や地下水脈の湧き水などの受け渡しによって、この公爵領は五爵家での地位を得ている。
現当主はマシュー・ライン・ゲオルギイ
彼は父親であり前当主であるトリチェリ・R・ゲオルギイが23の頃に逝去されてから、御年40歳になるまで、
経済的にも重要なゲオルギ領のバランスが崩れないように休むことなく尽力を続けてきたため「不夜公爵」の名で親しまれ、領民からも愛されている。
結婚などの暇もなかったため、かなり歳を食ってしまった後だが仕事が落ち着いてきたので花嫁候補を探している途中だとか…
フルゴル教会との関係性は悪く無く、縛りなども政の一環として受け入れて良い関係を結んでいる
しかし軍事力を多分に得ようとする枢機卿の一部派閥や、スペロ帝国の最近の動向などには良い顔をしていない。
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ニクス公爵家
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スペロ帝国五爵家の一角にしてニックス公国を預かる大公家。
帝国の勃興から今日に至るまで、霊龍『白火(はっか)のアルヴニクス』が当主を努めている。
元来ニックスは「神の火」を奉じ「あちらとこちら」を分かつ使命を持つ一族の土地であった。
その一族の始祖こそがアルヴニクスであり、その血を引く彼らだからこそ危険な魔物たちが跳梁跋扈するかの地の守護者たり得たのであろう。
そんなニクス一族、アルヴニクスがスペロ帝国の公爵として叙勲されているのはかの地が持つフルゴル教との深い関わり故である。
というのも神の火を奉じる神殿こそがフルゴル降臨の地であるとされているためだ。
フルゴルの計略によって建国されその意志を国教としたスペロ帝国にとって、国内の強力な貴族たちに伍する「軍」の長でありフルゴル降臨の生き証人であるアルヴニクスは是が非でも抱き込みたい存在だった。
故に彼らは建国に際しアルヴニクスへ「スペロ帝国(フルゴルの理想)を守護する者」として大公位の叙任を打診、彼が「友がそう望むなら」とそれを受けたのである。
大公が治める土地であるため「公国」として扱われ自治権が認められているが、帝国としては「竜如きに統治は無理。傀儡にすればいい」というつもりでいたらしい。
しかしアルヴニクスが「叙任されたし責任は果たす」とやたらやる気を出して統治に乗り出したため思惑は大外れすることになった。
アルヴニクスによる当地などの詳細は《ニックス公国》の項に詳しい。
前述の通り、当主は「白火」の二つ名を持つ霊龍アルヴニクス。
その姿はまるで龍の形をした白銀の鎧に青い炎が詰まっているかのようで、神秘的な美しさがある。
しかし大変な高齢らしく、本人曰く「人間に例えるなら骸骨が気合で動いてるようなもの」らしい。
スペロ帝国からの召還があった際には術を使って人の姿をとる。その際の容姿は男とも女ともつかない人間離れした美形。
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フランソワ公爵家
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スペロ帝国五爵家の一角
帝国の北部に領地を有する、スペロ帝国建国以前ははナチュレルと言う小国家の王族だったが
前大戦開始以前に当時の当主の【人間種優位政策】を始めとした政治意見に対し
反発した一人娘、【白蓮の聖騎士ルイ・フランソワ】が騎士団を引き連れて離反しかけ当主が頭を下げて引き留め
方針を180度転換させて全力を持って国民を分け隔て無く大切にした結果
土地は豊かでは無いが芯の有る人間が多く生まれる様になる
また【白蓮の聖騎士ルイ・フランソワ】とその夫【孤島の大魔術師ロフタン・フランソワ】と
麾下の騎士団の指導により練度の高い騎士や魔法使いが多く生まれ
今も尚、彼女等二人の功績は後世の語り継がれる
また採掘量が多い鉄鉱石を使った汎用的な武器製造等の鍛冶職が盛んで
腕はピンキリだが国内屈指の鍛冶屋密集地帯と称される
伝承や人柄が良い土地柄だがいかんせん土地が豊かでは無く
保存食作りから派生した携帯食料等の日持ちする食品生産と先述の鍛冶業が領内の主な産業で
これ等を公爵家が販売する事業を行っているが近年は新規参入に推され気味で経営はギリギリ黒字とあまり良くない
また宣伝文句も下手、時代錯誤的と称され、良くも悪くも昔気質と言える
現当主はマルージュ・フランソワ
気さくで温和な女性だが【ルイとロフタンの500年越しの隔世遺伝】と称される程、武勇と魔法に秀でている
しかし本人は才能と言う物を全否定しており努力の結果だと思っている
現場主義の為、揉め事が有ればすぐさま最前線に乗り出し、失敗や間違いがあった場合は即座に謝罪する
反面、上流階級としての礼儀作法に関しては不得手でパーティ等も苦手、自室でとっくりを着ている
また現状に対し不安が有る様で様々な新規事業に手を出しては失敗したり
詐欺に遭ったりするが領民が失敗を巻き返す努力や詐欺師を返り討ちにしたりとバランスは取れている
最近は側近の部下達にアクロバティックな方法で止められる
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マグワイア公爵家
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スペロ帝国南部に広大な領地を有する、スペロ帝国五爵家の一角。
国内においては他の追随を許さない莫大な麦の生産地を擁し、国内の台所事情をすべて賄ってもなお有り余るとすら称される。
領民の大半が農業従事者であり、ゆえに土地の大半を農耕地が占める。
平野に広がる黄金色の麦畑、粉引き用の風車や水車がまばらに立ち並ぶ景色は非常に牧歌的で時間が緩やかに流れているかのような錯覚すら覚えるほど。
そういった領内の雰囲気から分かる通り、農業政策に重きを置いており商工業面では他領に一歩劣る。
積極的な都市化などは行っておらず、ある一定の間隔でマグワイア家に属する貴族が領主として配され彼らを介して広大な領内にまばらに存在する村落や町を支配している。
現当主はシリル・オーウェン・マグワイア。
87度の結婚と62度の離婚遍歴を持ち、現在妾を含めて12歳から56歳まで25人の妻がいる。一夜の関係を持った相手は星の数よりも多いとすら噂され、着いた異名は「夜の王」。
領内の中央部に位置する深い森の中心に建つ巨大で豪奢な館に住み、公に顔を出したがらない。
しかし厭世的なわけではなく、むしろ無類の遊び人。滅多に公の場に顔を出さないのは領民たちに面が割れると「つまみ食い」に差し障るからではないかとすら言われている。
毎日毎日朝から晩までかわるがわるに国内他領の貴族や領内諸侯を呼びつけては宴を催し、たまに宴を開かないと思えば領内へお忍びで繰り出して飲み歩いているらしい。
誰も——彼に仕える侍従たちですら彼がいつ寝ているのか分からない。
前戦争のころから生きているとも言われているが、公式記録上では31歳。
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スペロ内の設定
【ミナワ旧水路】
スペロ地下に走る広大な水路。
新しい水路ができたため現在は封鎖されており、日向を歩けぬ無法者や魔物たちの温床となっている。
【パケーム温泉】
スペロ郊外にある温泉、ある意味文字通り、カピバルの温床になっている
地下には巨大な魔物が封印されているとかいないとか
【アヴェ・オ・スペロ女王】
女性 サンクトゥス・スペロ出身 現スペロ女王
スペロ帝国に於ける現女王であり、前女王ヴェル・ム・スペロの姉にあたる人物。
前女王ヴェル・ム・スペロと同じく超高度の召喚術を持ち、召喚に於ける人々の人望は厚い。
女王になるまでは法務大臣の位に座しており、各法律の改善や改訂などを、一方では厳しい法も作っていた。だが、ヴェル女王の殺害事件により、彼女の位は一夜で変わったのである。
基本的に人前では黒いフェイスファインダーで顔を見せる事はなく、慎ましい態度と何か妖艶な雰囲気を漂わせる。
彼女の親衛部隊で、アヴェス・アクチュアル・アーミー「AAA」が存在する。
最終更新:2018年07月13日 15:11