ブレイブーク

勇者や英雄を『壊す』為だけに作られたと言う剣。
制作者は不明だが、少なくとも千年近く前に製造された物のようだ。
勇者の持つ"力"が強ければ強い程に威力が高まり、相手によっては軽く触れただけであっても致命的な効果をもたらすとされている。

現存数は非常に少なく、判明している限りでは『スタートゥ王国』『グリルグゥルデン帝国』『ノウィスト皇国』の王宮や神殿にそれぞれ一振りが納められているらしい。
あと真偽は不明であるが、アッシュラガイオウ共和国にも存在していた記録がある。
(現在は行方知れず)

その性質から魔族が作った武器だと思われがち。
だが実際は人の手によって生み出された物であり、魔族や亜人では手にする事すら出来ない強力な"呪い"が付与されているらしい。

材質は不明ではあるが、金属としては非常に脆く柔らかい。
その事から普通の武器としては『なまくら以下』との評価が下されているとの事。



リスリー博士のメモ】

問題はなぜ、人がこのような武器を作ったのか。
それは恐らくではあるが、『勇者』とは人の理を超え、人知の外にある者ですら圧倒する事の出来る存在であるからこそ…と思われる。

~(中略)~

たとえ勇者や英雄と呼ばれる者であっても、その根底はれっきとした人間だ。
過去にはその類まれなる力に飲み込まれて増長し、狂った破壊者となった者も少なからず居たらしい。

~(中略)~

『人の業、そして我が憎しみを形にする』

これは、私がとある墓所遺跡を発掘中に見つけた朽ちた金属片の一つ。
その表面に刻まれていた古代文字を翻訳したものである。

私の記憶が確かならば、一度だけ閲覧を許されたブレイブークの刀身にもこれとよく似た内容の文字が刻まれていた。
恐らくはこの名も知れぬ墓の主がブレイブークを制作した者である確率が高い。

だが、あれは勇者を壊す為の武器だ。
墓の主と当時の勇者との間に何かがあったのだろうか?
そしてこの墓の主は何を思ってブレイブークを作り、この文字を刻んだのか。

~(中略)~

歴史に記される事の無かった勇者の『闇』の部分。
私にも勇者の友人は居た。そして彼等に迫るであろう実力を持つ今代の知り合いも多い。

他の勇者候補の事は判らないが、知り合いに限っては基本的に気のいい者達だ。
そんな彼等にこの力が振るわれるような事は無いと信じているが、一度この『闇の部分』を探求するのも悪くないだろうと思う。


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最終更新:2023年03月04日 00:31