自らの事を『虚空』と称する、
魔王クロノスに付き従う謎の人物。
金糸で飾られた青白い
ローブを羽織り、リュートにも似た楽器を携えた吟遊詩人風の優男。
だが生気のない虚ろ気な眼差しと常に纏っている陰鬱な雰囲気がその優男な外見を台無しにしているのが特徴的である。
彼の役割はクロノスからの伝言を各地に散らばった他の配下に伝えるメッセンジャー。
そのついでとして大きな挫折や失敗を経験した冒険者の前に姿を現し、暗い音色の音楽を弾きながらその者の絶望を現すかのような唄を紡ぐという。
とある日、勇者候補の一人である
プレヤーの前に出現。
プレヤーは知り合いを訪ねる為に穏健派魔族の隠れ里に逗留していたが、突如そこを武装集団が強襲。
偶然にも所用で里を離れていたプレヤーが異変に気付き急ぎ戻るも、到着した時には里は既に壊滅していた。
襲撃者達は激昂したプレヤーが発現した凄まじい力によって殲滅されたものの、深い絶望が彼の心を塗りつぶす。
そして、そんな彼の前に暗い音色を奏でながら足音もなく一人の男が現われた。
男は魔族の子供の亡骸を抱えて打ちひしがれるプレヤーを見下ろしながら、彼の無力感をそのまま表現したかのような陰鬱な歌を口ずさむ。
そんな男に対し、怒りにまかせて聖剣を振り抜き青い魔力の斬撃波を放つプレヤー。
だが男はそれを避ける様子もなく、弦を奏でていた手をその斬撃に向けて伸ばしたのである。
放たれた斬撃は男の身体を傷つける事すらなかった。
信じられないようなものを見るプレヤーを、男は嘲笑うでも皮肉る事もしない。
ただ虚しさを感じさせる一つの言葉を囁き、次の瞬間にはまるで霞のようにその場から消え失せたのであった。
【実態】
かつて『時間を司る神』であったクロノスが魔族に転生する際に捨て去った『神の力』…。
その神の力の残滓が彼の奥底で渦巻いていた失望と絶望という想念によって練り合わされ、形を得た存在。
根幹がクロノスの無力感である故か、夢や希望といった想いを持つ者に対して『無意味』と結論付けて諦めの感情を囁き塗りつぶそうとする。
しかしその一方、絶望的な状況であっても我武者羅に足掻きひたすらに突き進む相手には傍観しつつも何か思うものがあるらしい。
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最終更新:2026年10月15日 20:54