よぉ、俺クルス。
今は、次はどこへ行くかと話している最中だ。
「この国から、3個ほど国を超えたところに、
メルグ国があるんです！僕、美味しい物食べたいです！」
「わかる！」
「食べにいこっ！」
「あ…
メルグ国の先の…グリルグゥルデンは危険です…！行かないでくださいね！」
「知ってる」
「…ルートですが、この先の国に行くには、ユグレス大森林を超えるか
ボルドリア公国を通るかの2ルートがあります。」
「ほう、ならば
ボルドリア公国を通ろう。
ユグレス大森林を通るのは危険すぎる。」
「しかし、その先には
ヴィラ植民地があります。万が一グリルを敵に回したら世界中で僕たちの命が狙われることになります。」
ん…厳しそうだな。
「じゃあどーすんのさー！」
確かにアクリの言う通りだ。
「そこで…超高速ヘリコプターを庭に出しておきました。それに乗っていきましょう。」
「おい、待て。なんでそんなもの持ってきてるんだ。」
「？ヘリコプターってなんだ？」
「気にするな」
「…ヘリコプターを天具さんに持ってきてもらったんですよ…」
「あいつ、転生してからもバックアップしてくれるのか…」
新事実が発覚した。何者なんだあいつ。
～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～
「はい、じゃあテイクオフです。」
え、こいつ操縦もできんの？
「なんだこの機械…」
「これが空を飛ぶのー？」
「相変わらず変なのだしてくるわねぇ、ブレちゃん…」
お前らの感覚は間違ってない…
「さ、行きましょう。」
！？なんかめっちゃ速いぞこのヘリ！
「掴まってないと潰れて死にますよ、気を付けてください」
「物騒すぎるううううう！！」
～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～
40分後…
「はい、ボルドリアに着きましたよー。」
「…死ぬかと思った。」
「と言うよりもうすぐ死ぬところだった。」
「回復で事なきを得たよ…」
「ごめん…フィジカルは…ないから…」
「あれ、なんで皆さん疲れてるんですか？」
お前なぁ…
「さ、行きましょう。1日くらい滞在していきましょう。」
「そ…うだな…」
～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～
「やあ、旅人さんかい？丁度いいところに来たね、今日は
ボルドリア超マラソンの開催日さ！」
「…国を横断するアレか。」
参加してもいいかもしれんな。だけど俺は参加したくねぇし…そうだ。
「3、4日も滞在してられませんよ、行きましょう。」
「えー、いいじゃん！参加しよーよー！」
「…俺もだ。」
「ま。いいんじゃないの？」
よし、皆が乗ってくれた！
「…じゃあ僕が参加しますよ」
「どうぞどうぞ」
「くそがああああああああああ」
嵌めてやったぜ…
～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～
【ブレ目線】
なんていうことだ…僕が
ボルドリア超マラソンに参加する羽目になるなんて…
3、4日以上滞在するのはともかく、参加するなら一位を取りたいです…
僕はスタミナはありますが足は速くありませんし、
ホールズワースに乗ったところで食われるのがオチです…
どうしましょう…あ、そうだ。走ってればなんでもいいなら…
「来てください、マシンドラグネイター。」
爆音を上げ、砂埃をあげながら僕の愛機、竜型バイクのドラグネイターが来てくれました。
これに乗れば優勝は確実です。旅の資金も心配いらなくなりますし、これに乗りましょう。
「さ、行きましょうかドラグネイター。」
そういうと僕はドラグネイターを引き、会場へ向かいました。
～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～
さて…そろそろ開始ですか。ドラグネイターの性能を信用していないわけではありませんが、緊張します。
「では…スタートです！」
合図と共に始まりました。日にちをまたぐ大レースが。
僕はエンジンを入れ、走り出しました。
～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～
日が暮れました。
僕のドラグネイターに追い付ける物はありません。
やはり…余裕ですね。と言うわけにはいかないわけでして。
チャンピオン…
ホールズワースです。既に本来の選手を振り落としていますが、僕のドラグネイターとほぼ同等のスピードです。
騎鳥にこんなスピードが出せるとは思ってませんでした。僕は驚きを感じています。
しかし、さすがに騎鳥です。ドラグネイターには少し及ばないようですね。
～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～
二日目です。
未だに
ホールズワースとの並走が続いています。
疲れないんですか？この騎鳥。
追いついてくる物は誰も居ません。
～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～
三日目…眠いです…おなかもすきました…
でも寝てしまったら事故ります。最悪死にます。そして生き延びたとしても食われて死にます。それは嫌です。
なので眠気を我慢しながら
ホールズワースとの並走を続けます。
！？うわ、蹴ってきました！ならこっちも、この麻酔銃で…
くっ、当たんない！めっちゃかわしてくるじゃないですか！
やりますね！僕を怒らせたこと、後悔させてやりますよ！
～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～
四日目！妨害合戦ですっかり目が覚めました。
夜も朝も妨害してたのでもうギンギンです。しかし空腹はそのままです、腹が鳴りっぱなしです。
これが極限状態って奴ですか…旅しててもこんなことにはなりませんでしたよ…
食料が尽きてそこらの蛇料理して食べたことはありましたが。おいしかった。
って、関係ないこと考えてた…僕、空腹が続きすぎて気でも狂ったんでしょうか…
あ！ゴールが見えました！よし、このまま一位に…って、
ホールズワースが急に速く！？
ラストスパートってことですか！じゃあ僕も…！加速システム、ブラックパンサー起動！いっけええええ！！！
～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～
【クルス目線】
おぉ、あいつ、チャンピオンに勝ちやがった！バイクに乗ってるけど…
あ、表彰式…
「では、別荘と名誉、そして賞金を…」
「賞金以外、いりません。」
「え？」
「僕は、旅人なので。資金以外は、必要ありません。」
「…おお！ブレ選手は旅人だったのですか！では、こちらを！」
「これで…しばらくは困りませんね。」
あ、断っちゃった。
ま、いいか。俺も通りすがるつもりだったからな。
「おーい、ブレー。」
「すごいねー、ブレお姉ちゃん！」
「おい、お前が言うといろいろややこしいぞアクリ。」
「賞金以外断っちゃったのねぇ…」
それは少し残念だ。
「おい、これからどうする？」
「はい！そうですね！今すぐ寝たいですよ！」
「…そ、そう怒んなｙ」
「誰が原因ですかね！こんなのに参加したのは！」
「…すまん」
いや、マジですまんかった。
～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～
【ブレ目線】
やーどやー！落ち着きますよ、ここ！ああ、やっと寝れる～！
僕、よく頑張りましたよ！自分を褒めてあげたいです！よくやりましたね、僕！
よし、ベッドにダーイブ！ねるぅ…
～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～
【クルス目線】
…朝か。ん、みんなも同時か。あれ、ブレは？
「あ、起きましたか、みなさん。料理を作っておきましたよー。」
「わーい！ブレお姉ちゃんの料理だ！初めて食べるー！」
「ふむ…じゃあ頼む。」
「…なんか嫌な予感がするけど、いいわ。」
ん、ブレの料理？まずくはないだろうし、食うか。
「OK、頼んだ」
～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～
「どうですか？がんばってみました。」
「うん、結構うまそう…！？ぐはああああ！！！」
「あ、大丈夫ですか？」
「これは…料理ではない…」
「なにこのあじ…」
「だから嫌な予感がしたのよ…」
いや、マジでなんだこれ…まるで罰ゲームで食べるものみてぇだ…
「おい！ブレ！これ旅人流料理（いろいろな野生動物や虫などの手頃な物をどうにか食べられるようにしたもの）じゃねぇよな！？」
「大丈夫です、蛇やサソリなどは入ってませんよ。」
「ではなんだ！これは！」
「僕、不器用なんで」
「何言ってんだ！ふざけるな！これは不器用っていうレベルじゃないぞ！」
「そーだよ！ブレお姉ちゃんは気でも触れてるの！？」
「うるさいですね、レシピ通りに作ってたらこうなるんですよ。」
「ふざけるなああああ！！」
「おぇ…ちょっと…流し台行ってくるわぁ…」
～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～
さて、食事も終え、今はヘリのある所に向かっている。
「さ、こっち側にヘリを置いておき…」
「GUOOOO！！」
げぇ、魔物！
仕方ない、戦闘配置だ。
「みんな！いくぜ！」
と号令をかけると、
「ウィンドライフル！」
ウィンドライフル…あの時のあれを出す。
「オラオラオラー！」
からの連射。三体クリア。
「GYOOOO！」
げ、後ろから…
「新しい武器、投げナイフですよ。スタイリッシュでしょう？」
ふぃー、助かった…って、また武器増やしたのかブレ…
「はい、どんどん投げていきますよー。」
ナイフの雨だな、これ。
「負けてられんな！行くぞ中級魔法剣！紅蓮爆斬！」
うおおお、すげぇ！燃えてる！爆発してる！やばい！って、油断してたら目の前にってあああ！
「ぐへぇ！」
「！まずい、応急手当てをしないと…えっと、包帯ありましたっけ…」
「大丈夫…心配しないで…」
「癒しは…私の役目だから！」
おお！ナイス回復！
「それじゃあ、私も得意技のお披露目と行くわ…」
…！ついに本気が…！
「これが…消滅魔法よ！」
うおおお！つええええ！
俺も…やるしかないな！
「バーンナックル！うおおおお！」
敵をどんどん殴り飛ばしていく。
「だんだん乗ってきたぜ！」
そういい、最後の三匹を一気に殴り飛ばす！
「…OK！コンビネーションも良くなってきたぜ！」
へへ、このチーム…最高だぜ！
「じゃあ、引き続きヘリの置いてある場所まで行きましょう。」
～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～
「はい、じゃあテイクオフですよー。」
「ああ、またこの地獄か…」
「もーやだよー…」
「はぁ…どうにかならないのかしらぁ？」
「知らんな」
前回はマジで死ぬかと思ったからな。今回こそは耐える。
～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～
1時間後
「はい、メルグに到着です。…ん？どうしたんですか？皆さん。」
「止まるんじゃねぇぞ…」ｷﾎﾞｳﾉﾊﾅｰ
「うわあああ！クルスが死んだ！」
「にぃに！落ち着いて！ここは
回復魔法を！」
「騒がしいわねぇ…」
「えーい！メガヒール！」
「俺は止まんねぇ！フッカーツ！」
ああ、危うく団長になるとこだった。
「さ！さ！食べに行きましょう！僕、7日くらい食べてません！あ～、早く食べたいです！」
なんかテンション上がって別キャラになってる…
～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～
「あ～…天国ですね、この国。何度か寄ってますが、ここくらい最高な国はありません。さ、次はあの店ですね！」
あああ…もう8万くらい使っている…
「ブレ！これ以上食うと食い倒れるぞ！やめとけ！」
「え？なんでですか？賞金のおかげでお金は山ほどありますよ？」
確かにそうだが…
「じゃあお前の目標は？」
「この国の全ての店の全メニューを制覇します」
やっぱダメだ！止めないと！
「ふつーに食い倒れるわ！アホ！」
「そ、そうですか…」
はぁ、しょんぼりしてるけど思いとどまってくれた…
「おい、あいつブレじゃねぇか？」
「おお、帝国への反逆者か！捕えてやれよ！」
え？
「し、しまった！気づかれた！み、皆さんは早く逃げて！」
え、え？
「わ、わかった！」
～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～
【ブレ目線】
僕としたことが迂闊だった。この国全体がグリル帝国の目なのを忘れていた…
くっ、少しまずいな…
「…命までは奪いたくありません、降参しませんか？」
「お、いつもなら問答無用で殺しに来るのによぉ…丸くなったなぁ、ブレ？」
…あの人の影響です。ありがとう、クルスさん。
「ふふ…僕も変わるんですよ。」
「へへ…じゃあ丸くなったところを突いて殺してやる！」
「いや、性奴隷として売り飛ばすのもいいかもな！」
…なめるな。
「…確かに丸くなりましたが…甘くなったわけでは、ありませんよ。」
僕は、相棒の【ブレイブキャノン】をそっと構えました。
～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～
「ぐっ…まさか…こんな奴らに…」
…負けた。なんでだろう、最近負け続きだ。それに、今回はただ負けただけじゃない。
ヘタしたら、命が危ない。生存最優先の僕らしくないなぁ…
「さ、連れて行こうぜ。」
「へへ、昇進しちまうな。」
…屈するもんか。
～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～
ここは…牢屋でしょうね。…裸ですか、変態さんですかね。
まあ、僕は女の体つきをしてないので興奮しないと思いますけど。
はぁ…グリル帝国の牢屋…いつ見ても簡素、広い以外何も取り柄がありません。
ん？あ、あいつは…
「…やあ、久しぶりじゃん、ブレちゃん。私と、私の国に何の用？」
…ケタ。本名、貴多気 洲戯菜。きたけすぎなです。
元は僕の親友で、いい友達だった。だけど、僕と一緒にポータルに入ってから変わった。
優しかった性格は見る影もなくなりました。
僕と洲戯菜は対立しました。リヴァイクと、グリルの代表として。彼女は今、とある理由で帝王よりも権力を持っています。
そして僕は、ある時のリヴァイクとグリルの戦闘時、捕えらたんです。その時僕は処刑されたということになっています。
しかし僕は逃げだし、旅人として世界の放浪を始めました。…僕は仲間を捨てたんです。これも、いつかこの人を、グリルを倒すための…一時的な撤退です。
そして僕は、対抗できる仲間を見つけました。…しかし、僕はまた捕えられた。仲間にこのことも言えず。僕は苦し紛れに
「ケタさん…僕はあなたを許しません…！」
と、言いました。
～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～
次回予告
「あさま山荘じけーんアターック！」
「…助けに来てくれたのですか？」
「お前には…頼れる仲間がいる！」
「今助けるからね！おねぇちゃん！」
「行くぞ！紅蓮乱撃！」
「消えなさい、氷結煉獄！」
「ふざけるな！あたしの邪魔を…するなあああああ！！」
「くっ、お前も間違ってるだけなんだ！ブレみたいに！」
「あたしを…千歩と同じにするなああああああ！！！」
「戦う気のない相手にワンサイドゲームなんて、卑怯だなぁ…」
「俺が遊んでやるよ」
「どうした、俺をもっと楽しませろよ。遊んでくれるんじゃなかったのか？」
「こんな…バカな…」
「あたしが歯が立たない…」
「…あなたたちも、僕を…頼って下さい。」
次回
「the strongest enemy」
次回も、心を熱く燃やして！
