「レンタルビデオ屋のバイト×変な客」
作者:SS・イラスト 本スレ 1-510様
132 :レンタルビデオ屋のバイト×変な客:2013/03/08(金) 21:20:40
こんばんは、
1-510 です
自キャラで現パロ小話書いてみました!ので投下させていただきます
絵にはしてないですが、とりあえず 本スレ 1-510 ザック×ヴォルグで、
レンタルビデオ屋の店員×変な客となってますw
元設定でまだ書いてないのにね!現パロの書きやすさは異常!
伏字は多いですが注意書きは特にない生温い仕様です、宜しければどぞー
※この現代パロの設定は
設定スレ 2-022 へ
133 :レンタルビデオ屋のバイト×変な客:2013/03/08(金) 21:21:57
ザックは、全国にチェーン展開している某レンタルビデオ屋でアルバイトをしている大学生だ。
とはいえ、映画はほとんど見ないし、音楽にも興味は無い。
更に言うと、愛想を振りまくのも苦手なので、完全に向いていないと自分で思っている。
が、時給が良い。
勤務時間も、学業との両立に都合が良い。
そこに釣られた。
頼れる肉親のいない、いわゆる苦学生であるザックは、将来の生活の為に勉強し、今の生活の為にバイトをする。
ひたすら淡々と過ぎる日々。
つまんねー奴、とバイト仲間は言う。
面白さで飯が食えるか、とザックは思う。
そんなザックだが最近、少し気になっている事がある。
気になっている人がいる、と言ってもいい。
毎週木曜0時頃、DVDを一本借り、一本返して帰る客。
20代と思われる男性客だ。
随分と人目を引く容姿をしている。
それは彼が俗に言う美男子である、ということもあったが、それよりも何よりも、彼の服装に起因した。
いつも黒スーツに黒ネクタイ…喪服、を着ているのだ。
深夜に喪服で出歩く人間など、そうそういない。
ましてや、レンタルビデオ店ではまぁ見ない。
なのでザックも、おや、と彼の姿を気に留めた。
葬式帰りにしては遅い時間帯、葬儀屋か何かだろうかと想像をしつつレジにて待ち受けた。
怜悧に整った顔、どこか物憂げな雰囲気。
辛気臭い、小難しい映画でも借りていくのだろうと思ったのだが。
……彼が借りて行ったのは「となりのト●ロ」だった。
あまり映画を見ないザックも流石に知っている。
ちょっとした衝撃が走った。
以来、何となくザックは彼が借りていく映画を毎週チェックしてしまっている。
彼が来店すると、ザックはついつい目で追う。
彼はいつも、静かな足取りで迷うことなく同じ棚に向かう。
彼が借りる映画には、規則性があった。
というか、ぶっちゃけジ●リ作品ばかりだった。
ナ●シカ、ラ●ュタ、魔●宅…
いつも無表情かつ無言で、会員カードとDVDをレジに差し出すだけの彼。
どんな顔で観賞しているのだろう。
いつも陰鬱そうに伏せられているあの目が、輝いたり濡れたりする事はあるのだろうか。
気にし始めると、止まらない。
「…好きなんスか?ジ●リ」
ザックは、会計の際に何気なくを装って声を掛けてみた。
彼は小首を傾げて、ほんの少し頷いた。
その、外見に似合わずあどけない様な仕草が、ザックには何だかツボだった。
顔が熱くなるのを自覚しつつ、去り行く彼の後姿をいつまでも眺める。
また来週。
心の中で、呟く。
また、ある日。木曜日の深夜。
いつも同じルートで同じ棚に向かう彼だが、その日は違った。
アニメコーナーまでのルートは同じだが、そこからうろうろと彷徨い出した。
ついに、ジ●リ以外で何か借りるのか?
ザックは俄然気になった。
幸い客入りは少なく暇だったので、ディスクの整頓と称してレジを離れた。
アニメコーナーへ向かい、適当に整頓するフリをしながら様子を窺う。
彼は、とにかく延々とウロウロしていた。
目線は彷徨い続けているので、何かを探しているには違いない。
しかしジブリのコーナーではない。
そのうちに、ザックは「あ」と声を上げそうになった。
彼が、黒いカーテンをくぐる。
赤字で18に×を付けてある、あのカーテンだ。
ザックは動揺した。
動揺して動揺して、後を追いかけるのも忘れた。
彼は、男である。
男であるからには、不思議でもない、のだが。
ザックは心配になった。
ジ●リ映画ばかり見ている彼が、そんなところへ行っても大丈夫なのか。
エゲつないパッケージが並んでいるのを彼が目にするなんて。
…自分も中へ入ろうか入るまいか、迷ってウロウロしていると、
彼がカーテンの奥から戻ってきた。
フラフラとした足取りをしている、と思いきや、彼はその場にしゃがみこんでしまった。
ザックは慌てて駆け寄った。
「だ、大丈夫スか…?!」
「・・・・・・・・・・」
彼が無言でソロソロと顔を上げる。
その顔はいつも通りの無表情だったが、しかし、ヤバいくらい真っ赤だった。
ザックは。
誰だアニメコーナーの傍にAVコーナーを設置したのは!と憤った。
同時に、ここはオレが何とかしてやらないと!と燃えた。
成人男性がAVコーナーに入ったところで何だという話だが、ザックは本気だった。
「何か探してるんなら、オレ、取って来るっスよ…!」
「…………しろ」
「え?」
「かり…?」
「…………」
しろ。
かり。
……彼を見守る内に、すっかりジ●リに詳しくなっていたザックはピンときた。
「もしかして、カリオ●トロの城スか?」
「……!」
「宮崎●夫が監督してる、ル●ンの」
一瞬、彼の目が少しだけ見開かれた。
切れ長で、黒目が大きい。
それがザックを真っ直ぐ見つめて、うんうんと何度も頷いた。
うっと来た。
慌てて立ち上がり、ギクシャク手足を動かして速やかに目的の棚へ向かう。
顔が赤い自覚がある。
落ち着け落ち着け、と自分に言い聞かせながら、目当てのものを手にすると、彼の元へ戻った。
なるべくキリっとした顔を作って、手渡す。
「……どうぞ。コレ、お探しの物っス」
「……………ありがとう」
御礼を言われた。
ザックは一気に舞い上がった。
一緒にレジへ向かい、会計をして、見送って。
その日ザックはぼんやりと勤務し、帰宅し、課題を済ませ、寝る間際になっても、
彼が発したほんの僅かなセンテンスが延々と頭の中でリフレインしていた。
滅多に聞けない彼の声。
ザックには、どこか甘く響く。
……その次の日。
すっかりバイト中は彼の事ばかり考えるようになっていたザックは、ふとある事に気付いた。
彼は、いつもジブリ映画ばかり借りていく。
同じ映画を借りることは、今まで一度もない。
慌てて棚に収まる作品群と、彼の借りた作品リストを照合する。
案の定、彼は既に全てのジブリ作品を制覇していた。
関連である宮崎●雄作品も、あのカリオ●トロの城で最後だ。
ザックは愕然とした。
もし、彼がジ●リ以外の作品には興味が無かったら。
来週木曜にDVDを返しに来て、彼の来店が途絶えたら。
もう二度と、会えなくなる。
ザックは拳を強く強く握り締める。
(そうなったら、絶対に後悔する…!)
そして、木曜。0時。
彼が来た。
いつものようにDVDの入った手提げ袋を返却ボックスへ入れて。
しかし、棚には向かわない。
そのまま出入り口へ戻ろうとしたその背中に、ザックは思い切って声を掛けた。
「あ、の!コレ……!」
振り向いた彼に、一枚のDVDを差し出す。
彼は不思議そうに首を傾げた。
「その、オススメ…っス」
「…………」
「あの…オレ、また探しておきます。ジ●リが好きなら、これも好きかなって作品。だから、その……」
また、来てくれませんか。
振り絞るようにして言って、ザックは俯いた。
祈るような気持ちで、彼の言葉を待つ。
今日この日のために、シフトを増やし、かつ当分昼飯は食わない覚悟をした。
そうして捻出させた金で、必死にアニメ映画を見まくったのだ。
彼に勧めるに相応しい、優しくて、切なくて、暖かな作品を探して。
これで駄目なら、もう打つ手が思い浮かばない。
別に告白しているわけでもないのに、ザックの心臓はもうクライマックスだ。
それに対して、
「………分かった」
彼が言ったのはそれだけだった。
ザックが差し出したDVDを躊躇なく受け取り、タイトルも見ずに会計をして。
「じゃあ、その、また来週…」
声を掛けると、彼はうんうんと二度小さく頷いた。
そして、普通に帰っていった。
努力が報われたのか否かは、微妙なところかもしれない。
しかしザックの脳内は薔薇色だ。
(また来る!また!来週!来てくれる!)
そわそわそわそわ、レジ内を行ったり来たり、落ち着かない。
時折小さくガッツポーズも作って見せる。
そんなザックは、とっくの昔にバイト仲間の内で「つまんねー奴」という評価を返上しているのだが、それに気付く事は無い。
幸か不幸かでいえば、ザックはすごく幸せだった。
【END】
本スレ
1-510 ザック×ヴォルグで現パロ、投下終了です
蛇足ですが、ヴォルグさんが喪服なのはスーツとの区別が付いていないアホの子なだけ
職業は一応リーマン設定ですが…彼に何が出来るというのだろう…
一応連作?みたいな感じで、他はシエン×カイとイーグル×グレンを書いてみるつもりです
テーマは“恋の始まり”で!(キリッ
1-200 様のスーツ ルーシェたん&アレス様も登場させたいと目論み中…現パロ楽しい…w
※以下「新:絵板」より
1-510:2013/04/25(木) 00:42[9]
そういやザックとヴォルグ描いてなかったと思って描いてみました
タイミング的にお恥ずかしい限りですがこういうのは勢い!でエイヤっと投下しときます
とりあえず現パロザックはしまむらでワゴン入りしてる服を買ってくるタイプ…
描けなかったけどパステルカラーのアイスの絵とか描いてある感じのクソダサイ服着てるはず…
最終更新:2013年04月27日 00:45