Top > 創作物投下スレまとめ 2 > 2-518 「ダニーの日記3」

ダニーの日記3


作者: SS 本スレ 1-549様

518 名前:オリキャラと名無しさん 投稿日: 2014/08/28(木) 23:24:23

こんばんは、1-549 です。お邪魔します。
うpろだにクロス版設定( 設定スレ 2-037設定スレ 2-044 )のSSを上げさせて頂きました

※今回クロス全然してません、次回に続きます
※BL成分もありません、のっけから女体の話です

よろしければ読んでやってください、用件のみで恐縮ですが失礼いたします。

他所の組織さまに関する情報は捏造がいっぱいです。
ご容赦くださいm

※ダニーの日記2は 創作物スレ2-292-01

-------------------------------------------------------

ダニーの日記3

キリアンにとってBカップ以下は平たい胸族であり、標準的なカップはE、理想はHカップだそうです。体重は30キロ前後じゃなかったらアウト。
僕だって男だから女子の体のことなんざ知りませんけどね。でも、30キロっつったら僕の体重ですよ。成人女子が30キロだったら鶏ガラも同然ですよ。
回転寿司で流れてくるアジの骨せんべい以下ですよ。なのに胸とか肉づきばかり要求して。この分だと脳味噌を空洞にしなきゃ胸の大きさが確保できないんじゃないですか。
「やっぱ女子ってそのくらいがいいよなー」
木林、いいよなーじゃない。
「無理があるよ……50キロ越えたらぽっちゃりじゃないの?」
「斑鳩、お前も間違ってる。今、女子に敵こさえた。今、世界の半分に喧嘩売った亅
森のドヤ顔にむっとして、僕は聞き返しました。
「じゃあ森は女子の体のこと正確に知ってるわけ?」
「もっちろん。勉強したさ」
「いょっ女体博士」
「黙れ木林。身長マイナス110が健康な体重です。だから身長165センチあったら体重55キロでも普通です。ok?」
「え?ええと、どうやってセンチからキログラムを引くんだ?」
「……」
バカだなあという僕と森の視線に耐えかねて、木林は慌てて僕に話を振りました。
「つかさあ!斑鳩お前妹いんじゃん。見れるじゃん女体」
「見れないよ!アホか」
まず、身内に女子がいたら見せてくれるって発想が、変です。
「いいなー、金髪美女なんだろ亅
残念ながら金髪でもなければ、美女っていうより警備会社のCMがしっくりくるタイプです。でも巨乳です。
外から、五時の放送が流れて来ました。誰が持ち込んだか分からない掛け時計からハトが飛び出し、気付けば窓の外は夕暮れ。
「さーそろそろ部室閉めて帰るかぁ」
木林がそう言い、僕も立ち上がりかけたその時、僕のポケットのスマホがぶるぶると震えました。通話着信です。キリアンでした。
「もしもし、どしたの」
「ダニー、今どこにいる?まだ学校?」
さっき、キリアンは一足早く下校しました。電話の向こうから山手線のアナウンス音が聞こえてきます。
「どこって、漫研の部室だけど」
「じゃあ丁度よかった!頼みがある」
キリアンの声は慌てた様子でした。どうしたの?
「漫研の部費が入った金庫、部室に置き忘れちゃってさ。頼む!預かってくれ!」
キリアンは申し訳なさそうに言いました。僕が部屋を見渡すと、ちゃぶ台の下に手提げ金庫があります。小銭でずっしり重い金庫を開けると、中には十万くらいの現金が。
「それ、こないだの学校祭の部誌の売り上げ入ってるから!大事なやつだから!」
キリアンがそこまで言うと、通話が切れました。仕方ありません。重い金庫を持ち歩くのは面倒ですがキリアンの頼みです。
「金いっぱい入ってんなぁ。斑鳩、それ絶対無くすなよ」
「そのお金が無いと次の部誌が作れないからね。頼むよ」
木林と森が口々に言いました。僕はいつになっても子供扱いです。いいか、お前たち二人とはタメだかんな。僕の方が、誕生日ちょっと早いんだからな。

さて、僕は学校帰りに、あの金庫を紛失しました。無くしました。一大事です。重たいのがいけなかったんです。どこぞに置き忘れたんです。
必死で探せども見つからず。ならば、僕が十万円を工面するしかありません。あいにく貯金は使いきり、バイトの給料は当分先。
人に迷惑をかけない方法で十万円を工面することを考えても考えても、案は出ず。八方塞がり。
休みの日の朝から僕が布団の上で頭を抱えていると、スマホがぶるぶると震えました。キリアンかと思いドキッとしましたが、知らない番号でした。浮かない声で電話に出ます。
「はいもしもし……」
「やあ!俺だ!俺俺」
一瞬、詐欺かと思いましたが、違います。
「ベルナルド?携帯持ってたんだ?誰に電話番号聞いたの?」
「そんなことはどうでもいいじゃないか」
どうでもよくありません。僕の番号を教えたのは公園の小学生以外にあり得ません。子供にも情報リテラシーを教えるべきです。
「そんなことより、今からフィクス社に行こう」
「へ?何で?」
「馬鹿な、理由など決まっているだろう」
いや、心当たり無いんですけど。
「では!今から念力を送る!ぬうん!……どうだ、俺の思いが伝わって」
伝わってないです。
話を聞けば、ベルナルドは皆がとっくに忘れてしまった巨大鳥騒ぎのことを、未だに気にしているようです。そして、鳥博士イーグルさんに直接説明を求めるそうです。
「だから、巨大鳥は農家を荒らす害鳥だったからやむなく駆除したって鳥博士が……」
「君は巨大鳥の剥製でも見せてもらったのかい?」
「見てないけど、巨大鳥の雛は皆で見たよ」
「その雛は、普通の鷹や鳶だったんじゃないのかい亅
駄目だ、ベルナルドはたまに小学生より賢い。僕は小学生たちさえ納得すれば他のことは良かったんですが、やっぱりベルナルドは巨大鳥のことが気になって仕方がないようです。
「君はそんなフワフワしたスフレみたいな説明で納得しているのかい。子供扱いされていいのか」
そりゃ僕だって、巨大鳥とは結局なんだったのか疑問ですが、博士2m級の巨人だったし眼光は猛禽類の如しでした。僕は勇者じゃありません。
「聞きに行こう。今すぐ行こう」
「今日土曜日だし、会社の人に約束もしてないし迷惑……」
「いいから行こう、君がこないなら俺は一人でも行く」
駄目だ、一人で行かせるのが一番迷惑だ。僕がついて行くより他にない。

ベルナルドと公園で待ち合わせてから、前と同じように電車とバスを乗り継いでフィクス社に向かいます。
バス停で降りて大通りを歩いていくと、フィクス社ビル近くの広い広い駐車場に、テントが沢山並んでいました。地域の特産品、手作りの製品などが売られています。
どうやら郊外の農家たちが行っている、地域の物産祭のようです。
「見たまえ。この祭のプログラム表を。ゆるキャラ握手会に、鶏レース、豚汁の無料配布もあるぞ」
もうそんなの貰ってきたのか。いいから、まっすぐにフィクス社に行きましょうよ。この祭の会場になっている駐車スペースから、フィクス社が入っているビルは目と鼻の先です。
ビルの玄関に出入りする人がよく見えますが、土曜日ですら通勤しなきゃいけない人は大変だなぁ。
「そこのお兄さん方」
ふいに、後ろから声を掛けられました。振り返れば、腰の曲がったお婆さんが、カートを杖代わりにひいて立っています。首回りをすっぽり覆う日除けのついた帽子を被り、
白内障みたいなサングラスをしています。
「今日はこの祭に来なさったのかえ?」
「ああ、 そうだ。豚汁が食べたい」
ベルナルドは元気よく即答しました。僕は頭を抱えました。
「そうじゃないでしょ、フィクス社に行くんでしょ……」
それを聞いたおばあさんの目が、 サングラスの奥で光ったような気がしました。
「悪いことは言わん。今日は帰りなされ」
「なぜだ?」
僕も思いました。なんで?
「それはのう……ああ面倒くさい、いいから帰れよ、てめぇら邪魔なんだよ」
おばあさんの嗄れ声が、急に聞き覚えのある若い声に変わり、お婆さんは少しサングラスを下げて見せました。ウサギのように赤い目。ああ、思い出したような。
「ああ、お前は!ええと……」
ベルナルドは首をかしげ、
「ええと、光子さん」
「違う」
「倫子さん」
「違う」
「大五郎」
「なんで遠ざかるんだよ」
「覚えてるってば、きなこだろ」
「リコだよ!テメェ本気で忘れてただろ!」
僕はリコを上から下までしげしげと眺めていました。よくできた老婆コスプレです。難があるなら身長くらいか。
「あのう、リコさんは今日僕たちに何のご用事でしょうか」
質問したのは僕でしたが、リコはサングラス越しにベルナルドを睨みつけたままです。
「知る必要はねえ。今すぐウチに帰れ。邪魔」
「ふむ、俺たちが豚汁を食べるのを、あくまで邪魔すると言うのだな」
僕は別にいいよ豚汁。それより巨大鳥忘れてませんか。リコは深々とため息をつくと、自らの懐に手を突っ込みました。そして、取り出したものをベルナルドに突きつけました。
「いいから帰れ」
「よし、ダニー君。帰ろう」
「ええ!?」
ベルナルドはリコに札束を貰って満面の笑顔です。買収早い。
「巨大鳥は!?豚汁は!?」
「どう考えてもお金の方が価値があるだろう」
お前は何を言っているのだ、頭は大丈夫か。という顔でベルナルドは僕を心配そうに見ています。僕は釈然としないまま、ベルナルドと一緒に帰りのバスに乗りました。
フィクス社に迷惑をかけなくて良かった。そう考えたら少しホッとして、そして僕は漫研の部費10万円を紛失したことを思い出しました。ベルナルドは今、100万円くらいを持っているはずです。
「ベルナルド、頼みがある亅
「何だい改まって。俺たち親友じゃないか」
知らないうちに、僕は友達から親友にグレードアップしています。
「お金を貸して欲しい」
「駄目だ」
却下早い。
「10万円が早いとこ必要なんだ!バイトの給料日後に返すから!」
我ながら必死である。
「10万円なんて大金じゃないか。大金の貸し借りは友情を壊す元だ。俺はそんなことをしたくない」
「じゃあ、貸し借りじゃなくて、10万円相当の物と交換でどうかな」
「それならば構わない。友達として協力しよう」
10万円相当の物か。自分で言ってから考えました。そんな物を僕は持っていただろうか。否。
「俺は次で降りる。用のあるときは電話で呼んでくれ」
ベルナルドはバスのボタンを押しました。次のバス停は電気街です。
「何かお買い物?」
「本格的プロ仕様のダウンジングマシンが90万円で売られてたんだ。早く買いに行かないと売れてしまうかもしれない」
売り切れるかなぁそれ。
「だから前のダウンジングマシンはもう不要だ。きみに進呈しよう!」
僕が渡されたのは、ただの曲がった針金です。クッソ固い針金を馬鹿力でひん曲げてあるので、ベルナルドの握力が伺い知れます。

最初に乗った地下鉄の駅で降りて、僕はまたいつもの公園に戻ってきました。あーあ。無くした金庫が降って沸いたように見つかればいいのに。
ぼんやりとベンチに腰かけながら、さっきのダウンジングマシンを取り出してみました。僕はこういうの信じてませんが、両手に持つと、先っぽがゆらゆら揺れている気がします。
針金の揺れに従い公園の砂場に来ると、砂山の盛り上がりが少し不自然に見えてきました。下に何か埋まっているような感じです。サンダルで砂を蹴飛ばしてみると、何か硬いものがありました。
今度はしゃがんで、手で掘り起こしていきます。
そうして僕が掘り当てたのは、
「……なんだこれ」
それはずっしりと重い、金属でできた右手でした。
オモチャというには精巧で、かといって、こんなに重たい義手があるわけありません。見れば見るほど精密機械です。手首に詰まった砂を振り落とすと、中には細かい部品がいっぱい。
単なるガラクタとは思えない仰々しさ。すっごくメカっぽい。
僕は、もしかしたらもしかすると、これは10万円相当の価値があるのではと直感しました。

ダニーの日記3 オーパーツ(上)つづく

※続きは 創作物スレ 2-546


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2015年02月14日 22:08