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Do you struggle against trouble?

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Do you struggle against trouble?◆IjfUSUNsIR9f


先ほどの腑抜けた叫び声の後、追われる側であった逆井運河と追う側であった田崎紀夫は、一旦その関係を忘れるかのように沈黙を作り上げた。

二人の眼前に広がる筋骨隆々の、毛深い男の体。
だがしかし、その屈強な肉体は赤く染まっていた。
だがそれが彼の筋肉に艶々とした輝きを与えていて、逆に気色が悪い。
次にツン、とした鉄の匂い。
…いや、鉄ではない。鉄というのにはあまりにも刺激臭だ。

そして何よりも。
目の前の肉体には、あるべきはずの首が無かったのだから、彼は殺されたのだろう、それは一目で分かる。

―――死体だ―――


その言葉が二人の脳内を駆け巡った。
紀夫はビビった。いきなり本日二度目の死体が自分の下敷きになっていたのだから。
運河もビビった。怪我人は今までの不幸故に見たものの死体はあまり見慣れなかった(寧ろ初見)のだから。
故にその妙な恐怖が、彼らに沈黙を与えたのだ。
彼らに与えられた沈黙は恐怖とともに、冷静を与えた。
追う追われるの関係を忘れさせる程の、また不思議な冷静さ。
いやそれは唖然に近いのか。

「…マジっすか…こんなん…マジっすか…」

そんななんとも言えぬ沈黙を破る第一声は田崎紀夫からだった。
死体から起き上がるように後退りしながらの言葉だった。

紀夫は、既に死体を見ている。
怖い物見たさのように、おそるおそる。
それは世間一般からしても残虐極まりない死体。
美しかっただろう少女を、青ざめさせ、穢れさせるような死体。

だが、違う。今眼前の死体は違うのだ。
『無惨に殺す』事だけを考えた死体。
首は切り落とされ、うつ伏せの死体の心臓と思われる部分には穴が貫いている。

近年の外国のB級スナッフビデオ(殺人を装った映画。ここではスプラッタ系を除く)でも、ここまで単純かつ残酷な殺し方はしないだろう。

それに、加えるとしたらこの死体の筋肉である。

紀夫はまずこの死体が生前手練れであると把握した。
柔道で三段(三段というと各地域の審査会で昇段試験を受けてよっぽどが無い限りは取れるが)の紀夫。
そのタチ故に一柔道選手としてある程度の大会に出場してきた。
そんな中ひょんとした拍子に全国大会3位になったりはした。
組み合わせの運の強さもあるものの、彼の実力は3段とはいえ筋金入りだ。
故に、これでもかと鍛えられた肉体は見てきた。

相撲取りの一見脂肪に見える紀夫の肉体。
知る方は多いだろうが、あれはほとんどが筋肉である。紀夫の体は寧ろ相撲取りに近い。

いや、相撲取りと比べると明らかに脂肪の比率は多いが。
…ともかく彼の体は受け身を取れるように、しっかりとした体幹を持つ為に、技の衝撃に耐えれるように仕上がっている。

だけれど、眼前の男は違う。

紀夫のように無駄な脂肪は無く、全身がまるでお手本のように出来上がっている。

しかし違うのだ。彼の体はボディービルダーのように見せるようではない、まさに獣のような肉体。
ここまでするのに、かなりの労力が必須だろう。それは絶え間ない努力で手に入れた、即ち『闘う為の肉体』である。
その『闘う為の肉体』が。
こうして眼前で惨くうつ伏せになっているのを見ると紀夫は危惧する。


―――ここまでの人間を、殺せる程の人間がいる―――?


一度は冷静になったものの、改めて恐怖を覚える。
何故、何故自分が呼ばれるのかと。

さて。
そんな紀夫を差し置いて逆井運河は考えていた。
いち早くこの状況から逃げる事を。
だが、どうする?
目の前の太った男は怯えているようだ。
ここで素早く逃げ出せば目の前の男は理解出来ずに着いていけず、逃走可能かもしれない。

だがもし、男が察知したら?

…次は逃げ切れまい。先ほどの逃走で、この太った男の体力は外見に似つかず自分よりも高い。
また長期戦となれば間違いなくまた捕まってしまうだろう。
ああ、それは面倒くさい。
方針は決まった。すぐにこの男が着いてこないように立ち去り、素早く逃げる。

運河は徐々に、徐々に尻餅をついた状態から太った男から離れていく。気づかれないうちに、慎重に、慎重に。

(今だっ)

そう思い飛び上がるように立ち上がった瞬間。

『―――やぁやぁ、久しぶりだね。僕だよ』

脳内に、軽快な声が響き始めた。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「…案外早いモノね」

いきなり私の脳内に話しかけてきた声。正直、よくぞまあヌケヌケと喋れるもんだ。
さっき武器を見た時は『気があう』とふざけつつ言ったが前言撤回。こいつはとんだ精神の持ち主だ。実験対象に仲良く話しかけてくるなんて。
私なら出来るか?いや出来ない。はい反語。
まあただこんな意味不明な、下手すれば100%キチ○イに思われる人殺し大会を開催する時点でこいつには躊躇は無いんだろう。
妙に腹が立つが、ここで立てて何になる。
そうある程度の区切りをつけて、放送に耳を傾けた。

んで。始まる声。


禁止エリアだとかは大切だが今の状況下でディパックから用紙か何かを取り出してメモするのは容易ではない。
仕方なしに、頭の片隅にでも置いておくのだけれど。

次に呼ばれた、死亡者一覧。
いや、フツー死んだ人呼びます?って率直に感じたけど、前述の通り相手には常識が無さそうなアンポンタンなのだから、諦めながらまたこれも耳を傾けた。

…ただ生憎私の知り合いは劉以外に呼ばれる事は無かったから、一切私には関係はないし、気が狂うなんて事は無かったのだけれど…てか全員で12人?

いやいやいや。

皆ハリキリすぎでしょ?『よーし、お父さんRPG-7撃っちゃうぞー』とか言ってんの?バカなの?
治外法権ってレベルじゃないでしょこれ。
まー、案外乗り気なのはやっぱりいるもんだなあ、と再確認したところで。

オーヴァーを越える殺人狂でもいんのここには?)

溜め息。今ディパックから確定名簿を取り出して読もうとしたが、この状況下だ。まあいい。

「…もうこれ詰みでしょ」
私は足下を見る。うん。凍ってる。
さっきの『状況』はこの事。私、現在冷凍中。
頑張って砕こうとはしてみたけれど、これがまた妙に固い固い。【エターナルフォースブリザード】だなんて仰々しい名前らしく、フツーの氷とは作りが違うのか?気になるけど、今の私にはどうしようもない。
それに、このままだと非常にマズイ事になる。
凍傷だ。
今はまだ、多分大丈夫だろうが私がこのままだと間違いなく足に凍傷が起きる。
今はまだ軽いからいいかもしれないけどこれが続いたら?使い物にはならないだろう。だから、なんとしてでも、早く氷をなんとかしないと。

(…まあ…私にゃどうしようも出来ないんだけれどねー)

あー、クソッタレ。やっぱりこうなったら誰かに助けを求めるしかないのか。
出来れば、出来れば運河以外。あいつが来ると私は死ぬ。間違いなく死ぬ。

「周りに誰か居ないかなーっと」

足を固定されてるから視野は狭いが、私は辺りをなるべく見ようと首だけで努力。
結構位置が高いから、360度とはいえないがそのぶん奥行きでカバー。
目を凝らす。さながら獲物を狙う、鳥のよう。
いや、違う。高いとこから降りれなくなった助けを求める子猫のよう。
失業中とはいえ一応エージェントだ。
その名折れ、だとか言われて笑われるかもしれないが別に構うもんか。

…………あ、居た。二人。ピザと痩せてる?うーん。顔はこっからじゃ分からない。
気づくかなあ。まあ気づくだろうなあ。こんな電波塔、現代アートでもないもんなあ。
これがゲームに乗ってたら私の人生はDEAD END。さて、どうなるか。
…気づいてくれますように。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

『それでは、さようなら』

…いやいやいや、これどういう事なんすか?
ファンちゃんが死んだ?あのファンちゃんが?
数時間前は、あんなに楽しそうに話していた女の子が?
それにファンちゃん含めて12人…いやいや。あり得ねーっすよこんなん。死にすぎでしょ。ヤベーッスよ。
えっ?まさか俺こん中で生き残らせる気っすか?
ムリムリムリムリ。逆に俺みたいな奴がよく生きれたぞって。
…うわ。こ、怖い。
な、なんすかこの怖さ。今日で二人死体見たけど…改めて確認っすよ。
いつ死ぬかが分からないって。それが誰であろうと不思議じゃないって。
…でも。怖いのを押さえて。
ファンちゃんが死ぬ前にした約束、果たさなくちゃ。
…さっき追ってた男は!?
…ん?妙に距離がある?まさか、逃げようと?
逃がす訳にはもういかないっすけど…何か!何か無いか…
あ。ディパック。
そういえば、なにか支給されてるかなんとか、そんな話…

(スキルカード…)

さっき、ファンちゃんが言っていた。
これには不思議な力があるって。ファンちゃん、言ってくれなかったんすけど。
…そうと決まれば。こいつを信じるしかない。
目の前の男は加速寸前。こいつとおいかけっこする訳には。
ディパックを漁る。地図、パン、弓矢…
色々あるのだけれど、俺に必要なのは、カードっす。
…あった!テレフォンカードくらいの大きさ。
これさえあれば、あいつを―――でもどうすれば?
…とりあえず口に出してみるっす。

「え、こ、骨そ…そう?骨葬の儀式!」

そう言った瞬間、地面からボコっと音がしたんす。
それは、水面から顔を出すように、一、二、三、四、五。
でも、でもそれは皆白くて、ヒビが入ってて。
さながら、骸骨…。
すると骸骨は、突然カタカタとその顎を動かし始めた。

「え何wwwやっと俺らの番www遅くねwwwもう一回放送なったよwww?」
「まあ大丈夫だろwww私らつえーしwww」
「ですよねーwww」
「さーて、ぼくらのマスターは……ピザwwwオワタwww永遠ちゃんみたいな美少女がええのにwww」
「おまwwwその名前禁止wwwwwwやべえwww笑えるwww」

…えっ?なんすかこれ。
妙に腹立つんすけど。この骸骨どもがスキル?
と、すると頭の中に急速に入ってくる情報。

(なんでも言うことを聞いて戦ってくれる、かあ)

と、なると。この骸骨は俺の手足って事すか。走るの苦手な俺からしたら、ありがたいっすね…。
まあ、信頼は薄いけど任せてみる価値はあるのかな?

「あの痩せた男を追ってほしいんすけど…」
『えっwwwやだwww』
『でもやだって言ったら俺たちあの人から消されるけど』
『ネタにマジレスwww百に承知なのにwww』
『骨だけに骨が折れるぜってか?やかましいわwwwwww』
『お前ら黙れwww言われた通りに従うぞwww…おいピザ!』
「お、俺っすか…?」
『止めるだけでいいんだよな?』
「し、進路を塞いでくれれば…」
『うはwwwwww楽勝www任せとけwwwwww』

そう笑いながら五体の骸骨は男に向かっていくっす。
男は既に走ろうとしていて。俺ならまたさっきみたいになるんだろうけど、骸骨たちは尋常じゃない速度で男の進行方向に走り込み、そして―――
『はい通せんぼwwwwww』

五体はあっという間に男を取り囲むようにして進路を防いでしまったんす。
うわ、骨たちすごい。

『これでいいwwwwww?』
「あ、ありがとうっす…」
『俺ら次の命令来るまで全裸待機w』
『元から全裸じゃねーかwwwwww』
『うwwwるwwwせwwwえwww』

…ともかく、これで逃げれなくなったのは確かっす。

こうなったら、逃がす訳にはいかない。

「さ…さっきの死体はやっぱあんたがやったんすか!?」

男が骸骨に狼狽えながら振り向いた。
完全に慌ててるっすね。しめた。

「お、俺細かい事分かんないっすけど…やっぱ、やっぱやったんならすぐにやめた方がいいっすよ!」
「……おい」
「もし、もしやめないなら俺が…」
「おい…俺はやってない」
「嘘だっ!」

…嘘だ。
必死すぎるっすよ、あきらかにそんなん。
目が泳いでる。
俺、わかるっすよ、嘘だって。こいつが黒だって。
猪目さんだって今危ないかもしれない。
ファンちゃんみたいな人は、もう出したくないっす。約束したから。始めてにひとしい、女の子との約束だから。

「…正直に言うっすよ…やったんだって…」
「あのなあ、落ち着いてくれないか。頼むから」
「やったに違いないっすよ!!!」

そうっすよ。
今、目の前の男が殺し合いに乗ってるんだろう。
こんなに短時間で人が死んでる状況で、眼前に死体があった人物が人殺しじゃない?
だったら?どうすればいいんすかね。
……ああ。分かった!
俺がここで、一先ずこいつ倒せばいいんすよね。

「…ファンちゃんが…ファンちゃんが死んだのだって…あの女の子が死んだんだって…あの男の人が死んだのだって…」

皆、皆。人殺しが悪いんだ。
ファンちゃんも、人殺しに殺された。
こいつだって、きっと。

「俺、柔道三段なんスよ。まあたかが三段いうけど、柔道って人を気絶くらいは出来るんスよね」

体を足を大股に。
腰をしっかりと据えて。
無いけど、黒帯を締めるモーション。

「田崎紀夫三段、新雪館所属。行くっす」

柔道に誇りは無いけれど。
俺に出来る事を、やらなくちゃいけないんすよね。
約束を果たす為にも。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

(おいおい、嘘だろ…)

面倒くさい事になった…。
目の前の太った男の雰囲気が変わった。
さっきまでの陽気なのは一変。今は目が鋭い。目つきだけで人を殺せるような。
そして、この体型。
腰を落とし、ジリジリと寄ってきている。間接技か?まあ、いずれにせよ厄介だ。
…だから逃げたいのに。俺の後ろには骸骨達がニヤニヤ(骸骨に表情あるのがおかしいけど)待ち構えている。
さっきの速度を見るに、もう逃げれないだろう。

「最悪だ…」

俺は何処まで運がないんだ。
改めて実感。誤解から、こんな目にあうなんて。

「もうやだ」

俺はそう呟いた。
目の前にはデブ。後ろには骸骨。
さあ、どうすりゃいいんだこんなの。

【一日目・朝/C-5 劉厳の死体の近く】

【逆井運河】
【状態】健康、疲労
【装備】なし
【スキル】なし
【所持品】基本支給品、スキルカード『二分の一』、不明支給品1~2
【思考】
1.死体だし、追っかけられるし、また死体だし、骸骨だしもう死にたい…。

【田崎紀夫】
【状態】健康、疲労
【装備】なし
【スキル】なし
【所持品】基本支給品、スキルカード『骨葬の儀式』、弓矢(?/?)
【思考】
1.ファンちゃんの為に頑張ってみる


【一日目・朝/C-5電波塔のてっぺん】
イリアム・ツェーン
【状態】健康、足首から先が凍り付いて電波塔とドッキング、動けない
【装備】M36レディ・スミス
【スキル】エターナルフォースブリザード
【所持品】基本支給品×2、不明支給品0~1、首輪×1
【思考】
1.やってましましたなぁ。ほぼ詰んだわー。助けてー。
2.参加させられてるであろう逆井運河を探す
3.首輪を解析できる技術者を探す
4.正午に教会でフィクションたちと落ち合う
5.あの二人は気づくかな?
※参加者候補の名前は記憶しています
※電波塔が凍り付いています


34:許さざるもの 時系列順 36:オクティル国物語
34:許さざるもの 投下順 36:オクティル国物語
23:ドーン・オブ・リビングデッドを夢見て 逆井運河
23:ドーン・オブ・リビングデッドを夢見て 田崎紀夫
24:僕たちの失敗 イリアム・ツェーン

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