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オクティル国物語

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オクティル国物語 ◆BUgCrmZ/Lk


フランツ・O・ブリュデリッヒは流れる放送に耳を傾けていた。
彼の傍らには砂金の様な黄金の髪を朝日に輝せた美しき姫君がいる。
この場におけるフランツの主君。フランドール・オクティルである。
彼女は死者を悼み、黙祷を捧げている。
フランツもそれに倣い、静かに死者に向けて黙祷を捧げた。

放送によって知らされたのは、早くも1/3が死亡するという尋常ならざる事実であった。
人気のない山中に放り出されたというのはあるいは幸運だったのか。
否。犠牲者を出さないという主の掲げる理想からいえば、山中を抜けるのに時間を費やしたのは不運であるといえるだろう。

だが、その大量の死者よりも、気がかりなのは生者。
放送と共に配布された名簿に羅列された幾つかの名前である。
それらはフランツに僅かながらの動揺をもたらせた。

○カイン・シュタイン...

友であるカインがこの場にいるという事実は驚くべきことではあるのだが、これに関しては心配はしていない。
いや、まったく心配でないといえば流石に嘘になるが、同じ騎士という立場である以上、無用な気遣いはむしろ侮辱にあたるだろう。
それに、心配などせずとも、彼が自分などよりうまく立ち回るであろうことは想像に難くない。

藍葉水萌...
○篠田勇...

それよりも目を引いたのは異世界より現れ消えた勇者の名であった。
救世の勇者と破壊の勇者。
両名の名がしっかりと記されている。

救世の勇者はしばらく我が国に滞在していたもが、主にやり取りを行っていたのは王や騎士団長を務める父であり。
一介の騎士でしかないフランツが直接会話を交わしたのは数える程度の事である。
父の勧めで一度だけ手合せしたこともあるが、向こうがこちらの事を覚えているかは微妙なところである。

破壊の勇者に関しては直接の面識はない。
だが、悪名ともいえる噂は嫌というほど耳に入ったし、近隣諸国からの御触れや人相書きで特徴は把握している。
その破壊の勇者が愛用していた大剣が支給されたのは縁といえば縁だろう。

漆黒を纏う大剣。
鋼よりも固く、それでいてゴムの様なしなやかを誇る特殊な鉱物から生み出された業物で、それに比例して重量も凄まじい。
フランツの様な大男には見合う大剣であろうが、これを女人の細腕で振るうというのだから恐ろしい話である。

だが、フランツに最も衝撃を与えた名はこれらではない。

相互理解のためにフランツが語った友との昔話。
それに対してフランドールが返し語った話もまた、友の話だった。


そして、この名は、まさしく先ほど語られた友の名であった。

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―――オクティル王国。


周囲を高い山々に囲まれてた山岳国であり、その恵まれた地形から他国からの侵略の危機にさらされることもなく長らく平和を維持してきた。
鉱山から取れる鉱物の輸出が盛んであり、特に金の産出国としては有名で、主な財源として大いに国を潤わせていた。
その潤沢な財源をもって小国ながら、近隣諸国に高い影響力を持っている国だった。

だがある日、王が病に倒れたことからその平穏は崩れ始めた。

次期王位はフランドールの兄である第一王子が継ぐことがほぼ決定事項だった。
王子は才覚にあふれ、高い決断力を持ち、敵対者に容赦しない非情さを持つ、とかく優秀な男だった。
彼の即位に表立って不満を申し立てる者などいるはずもなく、王位継承は憂いのない問題だった。

だが、事件は起きた。
大使として訪れた異国の地で、王子がテロに巻き込まれ死亡したのだ。

第一王位継承者の急死。
その一報はまさしく青天の霹靂であり。
王が病に伏せたことよりも強く王国全体を揺るがせた。

死亡した王子の他に男児はおらず、王の直系たる遺児は女児であるフランドール一人。
王の余命はいくばくもなく、フランドールの婚儀の相手を見繕う余裕もない。
なれば、第二王位継承権を持つフランドールが女王として即位するのが順当かと思われた。

だが、これに異議申し立てたのが、現王の弟、フランドールの叔父にあたる副王である。
歴史あるオクティル王家の歴史で女が王位を継いだ事例はなく、フランドールの即位は好ましくない。
ならば、王の実弟であり直系である己が継ぐのが妥当であると。これが叔父の主張である。
もちろん、将来フランドールが婚姻を遂げ、子をなし、男児が生まれた場合には快くその席を譲ると付け加えて。

この異議申し立てに反論したのが大臣である。
現王と年の違わぬ叔父が即位したとして、同じく病で倒れられては二の舞である。
何より、第二王位継承権を持つ王女が即位するのが正統である。と真っ向から反発。

この争いを発端として、平和だったオクティル国は骨肉の後継者争いへと向かっていった。

王位を狙う叔父はもとより、王女を支持する大臣も、その実、政に無知な姫君を祭り上げ、傀儡として政権を握ろうとする目論見である。
更には叔父を囲う派閥の中には、密かに王女を亡き者にしようと企む過激な思考を持つ者までいる始末であった。
身の安全に関しては、大臣が送り込んだ護衛が守護しているものの、それも体のいい監視役である。
優しかった父は病に倒れ、頼りになる兄もこの世にはいない。
どちらの勢力が派閥争いに勝つか、どのような結果にるか、ただ天命を待つばかり。
渦中の姫君の置かれた状況は針のむしろだった。

そんな彼女の身を案じる者たちも確かにいた。
使用人を中心とした勢力。王女派である。
しかしながら、王女派は姫を慕う使用人を中心とした派閥であり、支援者も少なく発言力も皆無に等しい。
直接的に命を狙う過激派はもとより、王女の自由を許さず常に監視下に置こうという大臣の動きにも、表立った対応は不可能であった。

だがフランドール・オクティルという女は、そんな状況を甘んじて受けるような、何も動かず運命を受け入れるだけのような、そんな潔い女ではなかった。

国内の状況に関わらず外交は必要である。
小国であるオクティル王国は、むしろ国内が荒れているからこそ、それの弱みを見せぬよう外交に手を抜くわけにはいかない。
故に、国の顔役として兄の代役を務めるべく国外へと向かうフランドールの動きは両勢力にも止めようがない事だった。
もちろん、護衛という名の厳しい監視は付いていたが。動きを起こすには、まずこの監視を抜け出す事が必要であった。
そして公務を終え、帰国する飛行機の中で、彼女は監視の意表を突く方法で監視網からの脱出に成功する。

フランドール・オクティルが加山圓と葉桜加奈子の二人と出会ったのはその時の話である。

目撃者は出さないつもりだったが、落下点にいたのだからどうしようもない。
戸惑う二人を何とか誤魔化して、その場を後にした。それが出会いだった。

フランドールは、まずは事前に取り決めていた通りに女王派に連絡を取り、更に父と懇意にしていた諸国へと状況を伝える文を送った。
監視の目を逃れた今なら大臣に握りつぶされる事無い。
だがこちらの連絡を受け、向こうからの何かしらの動きがあるのを待つ間、どこかに身を潜める必要がある。
当然行く宛てはない。
逞しくも、彼女が人生初の野宿を決意したところで、朝に出会った少年、加山圓にまた出会った。

明らかに怪しい、事情も明かせない状況にあるそんな彼女を、圓は自身の住まう武家屋敷に招いてくれた。
慣れぬ暮らしに戸惑うこともあったが、加奈子もたびたび顔をだして、何かと身の回りのことを気にかけてくれた。
立場を隠していたので当然と言えば当然だが、王女ではなく一人の少女として扱われるのは新鮮な経験だった。

日本での生活は一ヶ月ほど続いた。
相手の出方を窺うため、あえて注目を浴びる行動をとったこともあった。
遂には、彼女の命を狙う刺客が送られ、その生命を彼らに守られたこともあった。
愛する祖国の行く末を左右する一ヶ月だったが、振り返れば充実した日々であったと思える。
誰も味方のいないあの状況で、あれほどまで親身になってくれた二人には感謝の言葉もない。
二人ともフランドールにとって得難い友となっていた。

だが、そんな生活の終りは唐突に訪れる。

死んだはずの王子が祖国に帰国したのだ。

そこからは電光石火の早業だった。
王子はあっという間に宮中をまとめあげると、今回の件に関する不穏な動きを材料に、副王と大臣と言った危険分子を追放した。

そして事件の片を付け終え、王子はフランドールを迎えに来日する。
自らの即位に当たって不穏分子を炙り出し、一掃するための策だったのだと、彼女に向かって事情を説明した。
そんな兄を、最後に圓が一発殴って、この件は終わりを向かえた。

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「フランドール様」

気遣うような声がかかる。
黙祷を続けていたフランドールは瞼を開き、長身のフランツを見上げた。
主の心痛を慮る、臣の気遣いを理解しながら、あくまで何事も無いように彼女は振る舞う。

「フランツ様。既に多くの犠牲者が出ています。
 山道も抜け、日も昇りました。これ以上の犠牲を出さぬよう道を急ぎましょう」

救える命を一つでも掬い取る。そのスタンスに変わりはない。
例え友がいるとわかったとしても、私情に走り彼らの探索を優先するわけにもいかない。
平等であることが統治者の努めである。

「心得ております。我が主よ」

主がそういう態度であるのならば、フランツとしてもこれ以上進言すべきことはない。
恭しく頭を垂れると、フランツは先陣を切る。
ようやく平地に降り立った騎士と姫は、全ての悲劇を止めるべく本格的に行動を開始した。

【一日目・朝/C-2 平地】
【フランドール・オクティル】
【状態】健康
【装備】なし
【スキル】なし
【所持品】基本支給品、不明スキルカード、不明支給品1~2
【思考】
1.すべての悲劇を止める
2.ヨグスにしかるべき裁きを与える

【フランツ・O・ブリュデリッヒ】
【状態】健康
【装備】勇者の剣・黒
【スキル】なし
【所持品】基本支給品、不明スキルカード
【思考】
1.フランドールに忠誠を誓い、その理想を叶える

35:Do you struggle against trouble? 時系列順 37:スリラー
35:Do you struggle against trouble? 投下順 37:スリラー
25:騎士と騎士 フランドール・オクティル 39:その手の温もりを
25:騎士と騎士 フランツ・O・ブリュデリッヒ 39:その手の温もりを

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