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楽園ならこうして地獄と化した――。
お砂糖、お塩、カオスワールド、ダンス、スポーツ――。このVRCには様々な遊び方がある。
VRChat。略称、VRC。
それはVRゲームの中でも特に人気で、その沼に沈められた者は数知れない。
最初はただのコミュニケーションツール、アバターと思われがちだがVRC内で『お砂糖』――つまり恋人を作ったり、アバターや周りの環境が人格に影響を与えkawaii道を突き進むなど、人によって様々な変化がある。
つまりVRCとは人生なのだ。
それはVRゲームの中でも特に人気で、その沼に沈められた者は数知れない。
最初はただのコミュニケーションツール、アバターと思われがちだがVRC内で『お砂糖』――つまり恋人を作ったり、アバターや周りの環境が人格に影響を与えkawaii道を突き進むなど、人によって様々な変化がある。
つまりVRCとは人生なのだ。
普段の人生では決して歩むことの出来なかった第二の人生――セカンドライフと言っても良いだろう。
さて。
そんなVRCだが、最近はあるワールドの話題でもちきりだ。
まだ『開発中』で実際にワールドとして公開されたわけではないゲームワールドだが、その内容やスクショの数々はVRCをしている人々の心を奪った。
そんなVRCだが、最近はあるワールドの話題でもちきりだ。
まだ『開発中』で実際にワールドとして公開されたわけではないゲームワールドだが、その内容やスクショの数々はVRCをしている人々の心を奪った。
- 任意の武器か能力を創造して使用出来る
これほど心躍る一文はない。
※武器・能力の創造といっても行き過ぎた性能はバランスブレイカーになります
という注意書きもあるが、それは当然のこと。
むしろこの一文により、チート能力による荒らしなどが防がれたと喜ぶ者もいる。
ルールはシンプルで、今流行りのバトロワ方式。ただしFPSというわけではない。
剣を使うのも銃を使うのも、プレイヤーの自由だ。
むしろこの一文により、チート能力による荒らしなどが防がれたと喜ぶ者もいる。
ルールはシンプルで、今流行りのバトロワ方式。ただしFPSというわけではない。
剣を使うのも銃を使うのも、プレイヤーの自由だ。
また武器を創造しなくとも、全てのプレイヤーにランダム支給品というものが最大3つまで支給される。
これは例えば『二刀流』スキルを習得したのに、武器が無いから意味がない――などそういう状況を少しでも無くすためだという。ゲームは公平でなくてはならないというのが、開発者の方針だ。
これは例えば『二刀流』スキルを習得したのに、武器が無いから意味がない――などそういう状況を少しでも無くすためだという。ゲームは公平でなくてはならないというのが、開発者の方針だ。
そして本日――遂にそのワールドが公開される。
ワールド製作者の名前は情報公開段階では秘匿されているが、それでもこの祭りに飛び込まない手はない。
全世界から様々なVRCユーザーがそのワールドに集い――。
ワールド製作者の名前は情報公開段階では秘匿されているが、それでもこの祭りに飛び込まない手はない。
全世界から様々なVRCユーザーがそのワールドに集い――。
『ここに集まってくれたプレイヤー達に良い報せと悪い報せがあります。まずこのゲームは――ゲームであっても遊びではありません』
ゲームであっても遊びではない。
一部のユーザーはその意図を察するが、これは所詮VRC。VRの世界だ。
現実にソードアート・オンラインの茅場晶彦のような技術を持った者が存在するわけない。存在してたまるか。
――そんな至極当然の結論に至る者が大多数だが、それを否定せんと開発者は更に説明を続ける。
その声は音声合成ソフトを介しているせいで、男性か女性かすらわからない。
一部のユーザーはその意図を察するが、これは所詮VRC。VRの世界だ。
現実にソードアート・オンラインの茅場晶彦のような技術を持った者が存在するわけない。存在してたまるか。
――そんな至極当然の結論に至る者が大多数だが、それを否定せんと開発者は更に説明を続ける。
その声は音声合成ソフトを介しているせいで、男性か女性かすらわからない。
『証拠にこのワールドに来た時点でプレイヤー達はフルダイブ――つまり完全にアバター自体が肉体となり、痛みなどの感覚もリアルと同じように感じるようにしてあります』
彼の言葉にプレイヤー達が頬を抓ったり、手を叩いたりしたら確かにリアルな感触に襲われる。
なによりも皆、VRを付けている感覚がこのワールドに来た時点で消え失せ、アバターが本物の肉体のようになっている。
この現象はデスクトップ勢――つまりVR機器を使わずにダイブしている者も同じで、そういったプレイヤーは特に強烈な違和感を覚えていただろう。
なによりも皆、VRを付けている感覚がこのワールドに来た時点で消え失せ、アバターが本物の肉体のようになっている。
この現象はデスクトップ勢――つまりVR機器を使わずにダイブしている者も同じで、そういったプレイヤーは特に強烈な違和感を覚えていただろう。
『プレイヤー達に今からしてもらうのは、本当の命を懸けたデスゲームです。死ねば終わりで、リスポーンはありません。ゲーム内での死は、即ち現実での死です』
「ふざけるな!そんな理不尽が許されるとでも――」
ピンク髪の美少女が異議を唱える。
その声は男性だが、VRCでは日常的な光景だから誰もつっこまない。
勇気ある彼に続こうとした者や勇気づけられた者も多い。
その声は男性だが、VRCでは日常的な光景だから誰もつっこまない。
勇気ある彼に続こうとした者や勇気づけられた者も多い。
『許されます。それが開発者――ゲームマスターの権限なのですから』
だが現実はどこまでも残酷で。
『そして見せしめがたった今、決まりました』
――直後、ピンク髪アバターの真上から純白の剣が轟速で射出される。
彼にこれを避ける術などなく――勇敢な美少女は、いとも容易く串刺しにされた。
ぐはっ、と口から大量の血液が溢れ落ちる。全身から力が抜け落ちる。
プレイヤー名『ななし』は自分の命が短いことを悟り、絶望し、怒り狂い――
ぐはっ、と口から大量の血液が溢れ落ちる。全身から力が抜け落ちる。
プレイヤー名『ななし』は自分の命が短いことを悟り、絶望し、怒り狂い――
「まだ、動ける!」
そして今際に思うのは、VRCで仲良くなった人々の姿。
彼らを守るためにも彼はこの状況で自分を射抜いた純白の剣を引き抜き、構えた。奇跡的にもまだ生きていたのだ。
脳内のアドレナリンにより、痛みを忘れる。
友のために前を進め、震えるな……!
我が人生、全てをVRCの人々に捧げる――!
彼らを守るためにも彼はこの状況で自分を射抜いた純白の剣を引き抜き、構えた。奇跡的にもまだ生きていたのだ。
脳内のアドレナリンにより、痛みを忘れる。
友のために前を進め、震えるな……!
我が人生、全てをVRCの人々に捧げる――!
『いえ。もう終わりです』
――『ななし』に巻かれていた首輪が爆破され、首だけが転がり落ちたのはそのすぐ後のことだった。
『このようにプレイヤー達は首輪で管理されています。開発者に逆らいたければ――ハッピーエンドなゲームクリアを目指すなら、まずはそれを外すことです』
そして天空に設置されたモニターが、VRC 機器を装着した一人の男性の死体を映し出す。
それが誰かなんて――言う必要もないだろう。
その後、その死体がピンク髪の美少女と化した。ゲームマスターが現実にまで影響を及ぼせるという何よりの証拠だ。
それが誰かなんて――言う必要もないだろう。
その後、その死体がピンク髪の美少女と化した。ゲームマスターが現実にまで影響を及ぼせるという何よりの証拠だ。
『それではこれより殺し合いを――デスゲームを始めます』
そして各プレイヤーが転送され、VRC史上最強のイベントは幕を開けた
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