午前7時の商店街。
普段であれば仕入れの荷車が行きかい、あるいは各商店の従業員が商品の陳列をおこない、はたまた開店までの仕込みをおこなう時間帯である。
もっとも、夜に開くお店なら店主も従業員も床に就いているかもしれないが。
行き交う人々は通勤通学路として通りを歩く学生たちや作業員であり、店から追い出された酔いどれたちだ。
店主たちは午前の営業時間に向けて黙々と準備を重ねる、そんな時間。


しかし、そんな光景も今や夢幻。
街に残る記憶でしかなく、残滓でしかない。
割れた窓、ぶちまけられた商品、歪んだシャッター、落ちた看板、めくれ上がった石床。
それは、人が住まなくなり打ち捨てられた、村の終焉そのものの姿だ。
山折厳一郎が予見し、なんとしてでも防ぎたかった終末の風景そのものである。
過疎化による終焉と、VHによる終焉という決定的な違いはあるものの、滅びには違いはない。


吹きすさぶのは生暖かい湿気た風、それに混じってときおり何かが崩れる音が通り抜ける。
死界そのものと化した静寂の廃墟。
そこに、ぱぁんと乾いた目覚まし時計が一発鳴り響いた。
銃声という目覚まし音は、生も死も認識せぬままにまどろんでいた商店街の住人たちを目覚めさせる。
たった一発ゆえに発信源こそ見失ったが、次の不届きな合図を住人たちは待ち続ける。


「……っ!」
「肩、大丈夫ですか?」
「まぁ……、見た通りだよ。痛くないと言えば嘘になる。
 ……なぁに、キミたちが……顔をしかめる必要はない。
 代わりに、キミ……たちは、どちらも……、傷つかなかった。
 名誉の負傷……、として、ボクはこの傷を誇ろう」
「誇る誇らないの前に、それじゃ先生が長生きできないです。
 今だってそう。怪我を治すことを最優先すべきなのに、はぐれた生徒さんたちを探しに行きたがってる。
 まっすぐ歩くことだってできていないじゃないですか」
「いや、そこまで無様なことには……あっ……?」
雪菜に反論しようとしたスヴィアはよろけ、雪菜を巻き込んで路傍に倒れ込んだ。
爆音による内耳機能の損傷の結果である。


「いや、これは、参った……な」
朝までの6時間。
スヴィアは聡明さと親しみやすさ、ときおり理想を表に出しつつ、生徒たちを信じ、なだめ、見守り、ときにはからかいながら、導いてきた。
それが責務なのだと言い聞かせ、多分にも演じた。
けれども生徒の半数とはぐれ、肉体もイエローゾーンに瀕すれば、余裕を表に出すほどの余力は湧いてこない。

「あなたが教職にプライドを持っているのは分かる。
 だがまともに歩けないくらいに負傷が深いのだとしたら、どこかで休むべきでしょう」
見かねた創が諫言する。
一体どの口が言うんだい、と反論を受ければ、縮こまるしかない立場なのはかくも承知。
一言紡ぐたびに自己嫌悪感に苛まれるが、それでも必要な提言だ。
だが、スヴィアは身体を起こしながら、ふるふると頭を振る。

「まずはここを……、抜けるべきだ。長居は勧められない。
 想定よりも住人――ゾンビの数が……、多くてね。
 大半は屋内だが、留まる、のは、危険だね」
「このまま進むほうがいい、と?」
「目立つ……真似を、しなければ、問題ないさ」

古民家群側は外をうろつくゾンビが際立って多い。
商店街の外周をまわるよりは中を突っ切る方が危険は少ないと考えられる。

「ああ、哀野くんはボクの異能を知らないのか」
なんで分かるんだと純粋な疑問を顔に出す雪菜に対して、創が移動がてら軽い説明を加える。
その割に雪菜の登場に気づけなかったのは直前に起こった何者かの銃弾乱射のためなのだが……。
流れ弾の当たった創が気まずい顔をするのは致し方ないだろう。


仲間への誤射など、エージェントとして要再教育級のミスである。
スヴィアは笑って流せるポカ話であるかのように語るが、当たり所が悪ければ彼女は冷たい骸であった。

それでも、スヴィアは創を責めない。無視しない。悪態もつかない。
創への態度は、事が起こった前後で変わらない。

(あなたが何事もなかったかのように振る舞えば振る舞うほど、自分の惨めさを突き付けられるみたいだ)
口に出してしまえば、まわりまわって自分を呪う感情だ。
そんなものが心の奥底に渦巻いていることに、軽く自己嫌悪に陥る。

大人としてのプライドか、教師として理想の姿に殉じているのか。
彼女は生徒に余計な罪悪感を植え付けないよき教師であり、中学生男子のプライドを傷つける悪い教師である。
そのできた人間性がよりいっそう、創の罪悪感を刺激する。
創の内心には、エージェントとしての少なからぬ自負があった。
ひるがえって、その自負がこの局面において、無力さと惨めさを引き立てる。

無論、そのトラウマで手を鈍らせるような凡骨ではないが、100%割り切れるほど人生を達観してはいない。
少なくとも、彼女の容態には責任を持とうと考えるくらいには。
だが、そこまで考えたところで、喉に小骨が引っかかったような違和感を覚える。

(……プライド? 理想? それだけか? 本当にそれだけか?
 むしろ、研究所関係者としての贖罪じゃないのか)

雪菜に目を向ければ、初めて出会った時のようなやけばちな言動こそ収まっているが、未だ昏い決意を秘めているようにも思える。
自分が何とかしなければならない、自分がウイルス騒ぎを止めなければならない。
雪菜は抱えきれない後悔に押しつぶされそうになりながら、そのように語った。

だが、果たしてそれは雪菜だけか?
スヴィア本人がその口から語っていたではないか。


スヴィアは危険を承知でみかげを見守り、またはぐれた彼女らを負傷を押して探しに行こうとしている。
その高潔な人間性は偽りではないだろう。
教師としての矜持もウソではないだろう。
そこに自罰という調味料を、贖罪というエッセンスを、たったひとつまみ。
それだけだ。ただそれだけで、文字通り使命として、彼女は命を使い果たすのではないか?


「やはり一度どこかで休息しましょう。
 考えていたよりも状態が深刻に思えてならない。
 近場への物資調達だけなら、先生を無理して連れて行く必要はないでしょう」
「私もそう思います。先生はどう見ても強がりすぎ。
 言いたい放題にお説教して、そのくせ勝手に負わなくていい傷を負ってる。
 私のほうが心配してしまうくらいに……」

先生が生徒に説教されては立つ瀬がない。
子供が頬を膨らませて抵抗するように、数秒ほどスヴィアは無言で抵抗するが、二人の有無を言わさぬ真剣な声色に……。

――かちっ。かちっ。
ゾンビたちの呻き声と足音の蔓延る中、異質な音がスヴィアの耳に届いた。

(スイッチ?)
創からでも雪菜からでもない。
遠くから流れてくる機械音だ。

――ぱさっ。ぱささっ。
――しゅー、しゃるるるるるるる。

(なんだ? 何かが焼ける音?)
火が伝っている音にも思えるが、断言はできない。
自然と長考を選択してしまい――

――ぱん。ぱん。ぱぱん。ぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱん!

「っ!!」
「伏せろっ!」

スヴィアたちの後方、商店街の出入り口付近での激しい爆発音。
最初の音が鳴るや否や、創が女性二人を地面に押し倒す。
当の創は地面を女性二人を地面に這いつくばらせると、音の鳴っていたほうに即座に目を向ける。

視線の先では、わずかに煙が垂れ込めるだけ。
誰もいなかった。
事故なのか、何者かの意志がはたらいているのか、それすらも定かではない。

言えることはただ一つ。
音に導かれて住人が姿を見せた。
先ほどの爆音は商店街に訪れた観光客への祝賀のくす玉であったのか。
よそ者たちを出迎えるかのように、山折村の住人たちが次々と通りへと繰り出していた。

「いや、いやあぁぁぁ……」
「っしゃっせぇぇェェ……!!!」
「フヒィィィィ!!」

定食屋ウエイトレス、腕組みをしていそうなラーメン屋。
元の職業が一目で分かる恰好をした、けれど目を剥いて唸り声をあげる店員たち。
それと一人混じる頭以外は全裸のパンティマスク。
地震で崩れた壁の隙間から、割れた窓ガラスの間から、ひしゃげたシャッターの隙間から。
よりにもよってこのタイミングで大挙して押し寄せてきた。
シャッターの下りた店でも、中からガンガンとシャッターを叩く音がする。
多くのゾンビが創たち三人を獲物と定めている。

「な、何このゾンビ!?」
「桃照……お前……」
当然顔見知りとてゼロではない。
見知ったクラスメイトも混じっている。

「フッヒャアアアァァァ!!」
「っっ!」

雪菜にいの一番に飛び掛かってきた一番槍男の全裸パンティゾンビは――
「すまん、桃照!」
創が横合いから華麗に尻を蹴り飛ばす。
桃照は脇に積み上げられた段ボールにシュートイン。真っ先にクラッシュアウトだ。
その敗北ポーズは犬神家である。

「彼はともかく、だ……。
 ゾンビたちも、……さっきの音に、反応したのだろう、ね。
 聴覚……は、無意識に、はたらく感覚、だからね」
「いいから、無理はしないで!」
スヴィアの聴覚はゾンビすら叩き起こす爆音をまともに受けてしまった。
質量すら伴うような脳に響く甲高い音は、スヴィアの鼓膜を通じて内耳すら強く揺さぶる。

創がはじめに発砲したタイミングは、三樹康と天が武器を隠れ家に放り込んだタイミングだった。
今しがたの爆音は、クマカイが三樹康を獲物と見定めた後の出来事だった。
もう少しタイミングが悪ければ、彼らの牙が向く先も変わっていただろう。

いずれの運命も創ら三人は免れ、正常感染者も特殊部隊も近づいてこない。
近づいてくるのはまどろみから叩き起こされたゾンビたちだ。
桃照はただの前座。
飲食店が建ち並ぶ村のグルメ通りの両サイドの商店から、背後の古民家群から、
音に引き寄せられたゾンビたちが続々と姿を現し、視界に入った創たちの元へと集結している。

「僕がしばらく引きつける。
 これでも、一通り護身術は身に着けてる。
 その間に、哀野さんは先生を連れて避難をしてほしい。
 任せていいか?」
創の言葉に、雪菜は力強くうなずく。

「もちろん、二人の安全を確認したら僕もすぐに合流する。
 悪いが、頼む!」

出会いこそ最悪だったが、スヴィアの身体を張った説得を通して、わだかまりは流れ去った。和解した。
少年少女の会話を、スヴィアはそう評した。
傍目にはそう見えるかもしれない。
けれども。

(しっかりしなきゃ、私が守らなきゃ……)
雪菜の精神状態とて、決して良好なものではない。


自らを追い詰め、傷付き、悔やむスヴィアを前に、雪菜は一度振り上げた拳の降ろし所を見失った。
スヴィアが完璧な大人であったなら、持つ者から持たざる者への施しとして差し伸べられた手など振り払っていただろう。
けれども、彼女から覗き見えた後悔と悔恨の念が、どこか雪菜自身とリンクした。
怒り狂う他人を見て冷静になるように、慌てふためく他人を見て落ち着くように。
悔やみうなだれるスヴィアを見ていると、なんとなく、ただなんとなく、彼女に共感してしまった。
生まれも見た目も道筋も、何もかも違うのに。今さら、欺瞞にすぎないのに。
この人を野垂れ死にさせたくないな、と思うくらいには、スヴィアに共感してしまった。

知的な雰囲気はメッキのようにパリッとはがれ、
そこから覗く彼女のこころは不器用で、危なっかしくて、とても見ていられない。
それが雪菜のスヴィア評。

雪菜は大人に過剰な期待はしていないけれども、それを差し引いても、大人とは思えないほど見ていて不安になる。
先生のくせして、無茶しかしていなくて、ハラハラしてしまう人。
それでいて、とてつもなくお節介で、みえっぱり。
火元に飛び込んでは勝手に命を削って、放っておけば今すぐにでも死んでしまいそうな、子供のような小さな先生。
そんなかっこ悪い人だからこそ、差し伸べられた手を取れた。


一人ぼっちの義務教育時代。
誰ともかかわらず、やることもなくて、いつも学級文庫から本を借りては読み。
物語を読んでは、主人公に憧れた。
どうしようもない灰色の現実から救い出してくれる王子様を待ち望んでいた。
進学するにつれて、どんなに運命に翻弄されようとも、手を差し伸べてくれる人がいて、最後には幸せになる主人公たちを、頁一枚を隔てて眺めていた。
自分は脇役。名もなきエクストラ。十把一絡げのキャスト。
ほかの誰かを主役にした現実という舞台から、いつの間にか退場するのだろうと。

『……いいんですか、私なんかで』
『いいよ。来る者は拒まず、っていうじゃん? ってか、誘ったのあたしだし。
 ほら、この前原作読んでたじゃん。それなら今度の新作舞台、絶対気に入ると思うんだよね。
 あたし、これでも超オタクだよ? 劇場とかよく行くし超好き! どうよ、あんたも一緒に沼に入らん?』

だから、手をすくいあげてフロアに連れ出してくれた彼女に、そこから見える景色に、どうしようもなくひかれて。
色を失ったはずのモノクロームな世界に再び色が咲き乱れ、世界はこんなにいろんな顔を見せるんだなんて思えるようになったのは、そのころからだったか。
すたぁの隣の小さなキャストだったけれど、舞台も悪くないのかなと思ったのは初めてだった。

額縁舞台を照らす照明を消して、消して、消して消して消してまわって。
舞台は自身の手で幕を引いてしまったけれど。
二度と開かれないはずの緞帳の内側でもう一度、声を聞いた。

友の声が道しるべ。
友とはじめて出会った時の言葉のリフレイン。
幕の向こうから投げかけられたか細いアンコール。
観客席にいた、なけなしの命のチケットを握りしめたたった一人の小さな観客だからこそ、雪菜は取ったその手を手放せない。


どこか遠くから流れ来る銃声が、痛みのフラッシュバックと共にスヴィアの意識をびりびりと引き裂く。
ほうぼうから聞こえるゾンビたちの怒りと哀しみの声が、精神力をごっそり削り取っていく。
避難に適した店舗はことごとくゾンビたちの向こう側。
雪菜一人ならともかく、内耳を揺らされ足元のおぼつかないスヴィアでは物量に競り負ける。

だから雪菜は先の店舗には向かわない。
どのみち、入り口が解放されているならゾンビも追ってくるのだ。
だから目指すは目と鼻の先、シャッターの隣にあるカギのかかった勝手口。

商店街を行き交う人は普段目もくれないドア。
従業員と窃盗犯を除いて、そこにあることすら意識しない扉だ。
二本の金属のでっぱり――ラッチボルトとデッドボルトで開け閉めをするタイプのドアなら、異能でこじ開けられる。


異能を使うとは、自身を傷つけること。
スヴィアは何か言いたげにしているが、敢えて見ない耳を貸さない。
その肩口の銃創を晒しながら訴えたところで、なんの説得力があるものか。
たらりと血を滴らせ、ガラス片を濡らせば、完成するのは即席の物理式ピッキングツールだ。
カギ穴ではなくストライクとの隙間にガラス片を挿し込み、ノコギリを挽くように動かせば、みるみるうちにデッドボルトは削れていく。

一度荒事が起これば、スヴィアがやれることは何もなく。
怪我人は怪我人、何もしなくても体力は削られていく。
ただでさえ頭がくらくらとするのだ。
生徒二人を信じて待つのみである。


「イやあぁぁぁ……」
「っせぇぇぇェ!!」
「ふっひひぃぃぃぃ!」
「こっちだ!」

悲運を嘆くような嗚咽を漏らすゾンビたちを挑発するように、創が手を叩きながら駆け回る。
即座に復活し、雪菜をつけ狙う桃照を、再度蹴りあげて、二度段ボールの山へと突っ込ませる。
ねじり鉢巻きのように白いタオルを頭に巻いたラーメン屋店主を、足を払って地面に転がした。
創を追ってきた黄緑髪の中性的な定食屋ウエイトレスに対しては、脳を揺らすことを狙って、アゴをかすめるような軌道の右手パンチで撃ち据える。

「い゛、や、いやあぁぁぁ……」
若いウエイトレスのゾンビが絞り出す声はまるで悲鳴のようだ。
一瞬だけ脳裏をよぎった罪悪感、そのほんのわずかな時間でぎょろりと白目が回転する。
倒れかけていた体躯をびんと伸ばして復活し、伸びきっていた創の腕を逆につかんだ。

「ちぃ!」
アーチェリーの大会で好成績を残すほどの技と姿勢は、ゾンビとしては一切反映されない。
けれど、しっかりと鍛え上げた肉体は残っている。
下半身を土台とした掴みは、ちょっとやそっとでは切り離せない。

(……くっ、『ゾンビ』ってのは言い得て妙だな。
 死体に乗り移った精霊が身体を動かす。
 ……この精霊の代わりがウイルスってワケか)

肉体を実際に動かすのは本人の意志ではなく、ウイルス。
だからこそ、意識を断ち切るのではなく、ある程度のダメージ蓄積がなければ無力化には及ばないのかもしれない。
より手荒な真似も必要か。

そう考え、手首を支点に肘を突き出して捕縛を外そうとしたところで、
「なんだ……?」
ゾンビが力無く崩れ落ちた。
創は何もしていない。露出した右腕を素手で掴まれていただけだ。


腕をまくったラーメン屋の店長が、発症前の記憶を再現しているのか、威勢のいい掛け声とともに飛び掛かってくる。
これは実証だ。その露出した腕を右手でつかむ。

(1、2、3……)
たった一秒で目に見えて抵抗が抜け、三秒後にはやがてずるりとその場に倒れた。

(よし!)
確かな効果を実感する。
これが創自身の異能だと理解した。

スヴィアの様子を見るに銃は使えない。
素手でゾンビの群れを無力化するしかない厳しいミッション。
エージェントは荒事もできないわけではないが、この領域では武術家や特殊部隊には一段劣るだろう。
だが、ゾンビを無力化したこのチカラが自身の異能だというならば、渡りに船である。

「これならゾンビはなんとかなりそうだ……!」
そんな希望を見た。
けれど、安易な考えであった。

「(´・ω・`) ヴヴヴゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛……!!」
後方から、らんらんと迫ってきたのは、巨大な豚のペルソナであった。

(な、なんだ? こいつ?)

新たに創の視界を塞ぐかのように現れた新手のゾンビは、190センチを超え、100キロ近い体重をほこる巨体である。
入り口近くの肉屋、『トコトントン』から現れた彼女は肉の解体でもしていたのだろうか、
装着していた作業用エプロンはところどころ血と肉汁で汚れ、手袋は薄いピンクに染まっている。
後光を受けて正面は影となり、陰影くっきりとしたその姿は非常に不気味だ。

そしてガタイ以上に目を引くのは頭。
頭に装着したつぶらな瞳の豚ペルソナは異様である。
放送後、正気を失っても他の人間に危害を加えることがないようにと、苦肉の策で被ったという事情など、知るものはここにはいない。
感じ取れるのは、その巨躯から繰り出されるすさまじい威圧感のみ。
捕まれば抜け出せる気がしない。

衣服ごしで異能が作用するのかは未知数。
衛生面に最大限に考慮した作業服は、ありとあらゆる肌の露出をきっちりと抑えている。
巨大な豚さんペルソナはそのまま防具として機能し、頭部周辺の露出すらゼロである。
分厚く着込んだエプロンと肉の鎧。
その体格、文字通り格が違う。


「ヴン! ヴン!」
「ダダダダダダダダダダ!!」
ゾンビはまだまだ現れる。

崩壊した古民家群から大袈裟に現れたのは、二人のゾンビのコラボである。
小綺麗な衣装に身を包み、楽器のような一味違った声を出す中背の小太りの男。
アニメキャラのような緑髪ツインテールにド派手な紅白の水玉スーツを着たお笑い芸人のような若い女。
彼らが生き生きと言葉を発していれば、ユーモアのある弁舌と軽快なトークによって一目で収録だと分かったであろう。
『たった数年で若者二倍!? 少子化対策最前線! 山折村に訪問してみた!』 という地域紹介系の動画配信なのだと認識したであろう。

「パララララララ……!」
「ラ゛ラ゛ラ゛ラ゛ラ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!」
喉を鳴らして配信動画の効果音のような声を出すスケキヨメガネの男に、
テンションを上げすぎてトリップしたようにしか見えないパピヨンマスクの女は、
廃墟に突撃して亡霊に憑りつかれたホラー系配信者の末路そのものである。
視聴者がいればテンションも上がる。
承認欲求という準本能にしたがって商店街に異音を響かせる二人は、爆竹や銃声の代わりとなってほかのゾンビたちを呼び寄せる。


「うふふ、うふふふふ……」
商店街の奥からあらわれた新手は、パピヨンマスクに負けず劣らずド派手な衣装を着こなした道化師の女であった。
古くから山折村に住む住人たちにとっては、毎年村祭りの時期に保育園や小学校に来てくれるおなじみのアイスクリーム屋さん。
今年も商店街でアイスクリームを通学中の子供たちに配っていた彼女は、
引っ越してきてから一年と経っていない創やスヴィアにとって、正体不明の不気味な道化師以外に形容のしようがない。

肌色の部分を念入りに消し、頬まで口紅を真っ赤に塗りたくり、
何よりゾンビでありながらにっこりと笑みを浮かべたその容貌は、どう見ても人を殺すタイプのピエロである。
距離的にはスヴィアと雪菜のほうが近いのだが、二人をまるで視界に入れていない。
欲望のまま、創へと一直線だ。


「HAHAHAHAHAHA!!」
そして極めつけがこいつだ。
ボロボロのトレンチコートに身を包み、頭には仮想用のゾンビマスク
ご丁寧にモンスターグローブを装着し、ノコギリを右手に固定したそれはもはや怪人である。
包帯ごと腕にぐるぐる巻いて固定したノコギリに、たとえ理性を失っても山折村への殺意を手放すまいという強い意志が感じられる。
狂人か、殺人鬼か、破滅主義者か、心中希望者か、はたまた村全体への怨恨か。
その殺意は、ゾンビの中では頭一つ抜けている。

数人気絶させてもゾンビは減らない。
それどころか、先に気絶させていたウエイトレスが再び目を覚まし、起き上がろうとしている。
一度気絶させれば一日持つほどの強力さはないようだ。
数秒で気絶したゾンビは、十数秒ののちに起き上がる。

まだ気温が上がっていないというのに、じわりと額に汗がにじむ。


「そっちはどうなってる!?」
「もう少し、もう少しで……」
ガチ、と金属が断ち切れる音がする。
「開いた!」

雪菜がやや歓喜気味に声をあげると同時に――

「フヒィィィィ!」
「ぃやっ!」

三度ゴキブリのように復活し、本能と欲望に任せて、一心不乱に振り乱して襲い来るパンティマスクは――
「いい加減にしろ!」
「フビャアァァッッ!」


創が三度その桃尻を蹴り飛ばせば、スピードそのままに軌道をそらし――

「アラアラァァ?」
創に向かって一心不乱に迫っていたピエロの胸に飛び込んだ。
禁断のドッキングは欲望と欲望のコンタミネーション。
子供も大好きバニラエッセンスの香りに誘われて、がっちりホールドされてしまったその姿は食虫植物に絡めとられた小虫のようであり、
お姉さんと未成年の見るもおぞましい享楽の宴がこれから始まるのだろう。

二人の水遊びは――
「先生、早く先に中に入ってください」
「そうさせて……、もらうよ」

二人の――
「WAHAHAHAHA!!」
「(´・ω・`) ヴゥ゛ゥ゛!!」
「剣術は修めていないんだが……!」

二人の行く末を見届ける者は誰もいなかった。

創が手に持つのは掛け看板。
表面には丁寧な文字で『CLOSED ―― 本日は閉店いたしました』と書かれている。
モクドナルドの入り口扉から拝借したものである。

「HAHAHA!!」
率先して創に襲い来るゾンビマスクの怪人。
恐怖の化身のような造形だが、その実は技一つない力任せの振り落ろし。

「軌道が見え見えだ!」
ノコギリの軌道に木口を合わせることは造作もない。
掛け看板にノコギリが見事に食い込んだ。

「GAAAAAA!!」
木目に対して直角に振り下ろされたノコギリが、掛け看板をたたき割ることはない。
それどころか腕に固定したノコギリが中途半端に食い込んだために、身体の自由は大きく制限されてしまう。

「(´・ω・`)ヴヴゥ゛ゥ゛ゥ゛!」
巨体を揺らしながらやんやんと迫りくる豚のペルソナを横目で確認。
視界が悪いのか体重のためか、動きは鈍重だ。

ゾンビマスクはノコギリを引き抜くために、看板ごと強引に引っ張ろうとする。
そこで創が敢えて踏み込むように押し込んでやれば、力のつり合いが崩れてゾンビマスクが後方にたたらを踏んだ。
姿勢を崩した隙をついて、ふところに飛び込んだ創が渾身の体当たりをしかけ――

「GOAAAAAA!!」
「(´・ω・`)ヴヴ……?」
体重の軽い創の肉体でも、全体重で体当たりをすれば、ふんばりを突き崩すことくらいはできる。
よろけたゾンビマスクは豚さんペルソナに衝突し、二人まとめて盛大に転倒する。
ゾンビといえどものしかかる0.1トンの巨躯を容易には押しのけられない。


「ワ゛ァァ~~~!!」
「ワワワワワワアアアッッ!!」
勝利に紙吹雪でもまき散らそうというのか。
興業のように音と声で煽る配信コラボゾンビを筆頭に、ゾンビの宴はまだまだ終わらない。
全員を相手にする体力はない。

「はやく、こっちです!」
特に危険そうなゾンビ二体が一時的に行動不能であることを確認すると、
扉の影から覗く雪菜の手招きに導かれるままに、その身を屋内へ滑り込ませた。


商店街の入り口に面した一等地の商店、その屋上。
そこから、迷彩服に身を包んだ男――SSOG隊員、乃木平天が下り階段を静かに駆け抜け地上に降り立った。
地上の喧騒を思い返しながら、その考えをまとめる。


実力や運用上の現場判断とは別に、組織図としての立場上では、責任者に最も近い立場にあるのが天だ。
大田原や成田、美羽との関係は、端的に言えば先任軍曹と幹部候補生の関係である。
現場での指示を仰ぐことに異論はないが、その結果責任を引き受ける立場にはある。

この作戦をどう終わらせるか。
常に念頭におかなければならない。

完勝できるなら問題ない。
ターゲットを殺害後、ゾンビとなった村人が正気に戻る前に撤退すればよい。
隊員として与えられた任務は見敵必殺である。
(だが、私は遂行できていない)


SSOGの女王斬首作戦はどれくらい正常感染者に広まったのだろうか。
一度情報が拡散すれば、女王感染者を討っても正常感染者とSSOGとで殺し合いが起こる可能性が高い。
その間にゾンビとなった村人が正気に戻れば、山折村全体とSSOGとで殺し合いが始まるだろう。
こうなってしまえば、48時間後に空爆で村を焼き尽くすのと結果的には何の違いもなくなってしまう。作戦失敗に等しい。

『手柄を立てるために、村を封鎖するはずの隊員の一部を率いて斬首作戦に踏み切った』
そう主張し、村人の怒りの矛先をすべて引き受け、奥津隊長と自分の首を引きかえにSSOGという組織を守る。
とまあ、そのようなことも考えなければならないくらいには窮屈な立場だ。
そして、すでにそのルートには枝が一本伸びている。
ターゲットの取りこぼしは許されないだろう。


では、今まで通りにターゲットと接触して、交戦し、それが可能なのか。
答えは否。
これまでの戦績からもそれは明らか。

ワニを取り逃がし、氷の異能者を取り逃がし、ハヤブサIIIと研究者の男を取り逃がし、野生児を取り逃がした。
否、後者二回は敗走と言い換えていい。

想像力だけでは到底予測できない異能のバリエーション。握り続けられたイニシアティブ。
人智を超えた異能を持つ人間に先手を許すことは、相手に首を差し出すに等しい。
他の部隊員は敵に先手を許しても相手を返り討ちにできる実力を有しているが、残念ながら天はその極致には至っていない。
射撃の腕前もナイフの腕前も、自分が一番よく分かっている。


だからアプローチを変える。変えなければならない。
交戦する前に、異能とターゲットの人となりを理解するのだ。
交戦に役立つ異能なのか、そしてゾンビと出会った時にどう対処する人間なのかを理解することが必要だ。
彼らの人となりを理解すればするほど殺害後の罪悪感も強まるだろう。
彼らの謳うまっすぐな正義が天の身も心も焼き尽くすだろう。
彼らの名前が、姿が、言葉が、所作が、バックボーンが、天の記憶に挟みこまれ、その心を蝕んでいくだろう。

(伊庭さんの気持ちも分かるような気がしますよ。
 今さらの話ですが、ね)
それで心折れるようならば、SSOGの任はとっくに解かれている。
今も現場に立っていることが彼の意志表示である。

ゾンビを創たちの元に誘導したのは天だ。
商店街のおもちゃ屋で拝借した爆竹花火で、古民家群や商店街北東区域のゾンビたちをおびき出した。
誰が主戦力なのか、誰が司令塔なのか、各人の異能は戦闘向きなのかどうか。
それを測るにはゾンビとの小競り合いを誘発するのが最も適任である。
とりたい手段ではなかったが、万全を尽くさなければ死ぬのは自分だ。

ゾンビも色々と個性があるが、音に敏感に反応するのは変わらない。
感情があるのかは不明だが、大きな音には若干攻撃的になる。
そして、ゾンビ同士より、対正常感染者への反応のほうが激しい。
山折村商店街渋谷ハロウィンとでも言うべき光景だが、この程度はもう耐性が付いている。
天の動揺は誘わない。


(少年の彼は、右手に触れることで意識を奪う異能でしたね)
ゾンビ限定かどうかは不明、付加効果も不明である。
装備で防げる可能性もあるが、早合点は危険すぎる。
彼の右手には要注意だろう。
本人に複数のゾンビを打ち倒すほどの地力があり、状況判断が早く、銃を所持しているのも極めて厄介。
まだまだ若いが、交戦時には彼がおそらく一行の司令塔にあたると思われる。

(『哀野』さんの異能はカギ開け……。血液で切れ味を高める……。
 いや、ストレートに、成田さんが話していた酸を扱う異能者、か。
 血液そのものが酸として作用する……といったところでしょうか?)
だとすれば輪をかけて厄介な相手だ。
うかつに殺害して返り血を浴びようものなら、大田原や美羽ですら即座にミッション失敗となるだろう。
最新鋭の防護服といえども、扉をこじ開けるほどの強酸への耐性は有していない。
近距離戦は絶対厳禁。
情報アドバンテージのある天自身が確実に仕留めるべき相手である。

(そして、『先生』の異能は不明瞭。
 ですが、花火の音に大きな反応を見せていたことを考えれば、聴力の強化は十分あり得る異能でしょう)
視力の強化という異能を持ったハヤブサIIIがいた。
聴力や嗅覚等の五感が異様に強化された異能者がいるのは極めて現実的なラインである。

足音を可能な限り立てず、隠密性を重視した潜入・尾行は、逆に悪意ある外敵が近づいているこれ以上ないアピールとなるだろう。
ゾンビと自分の足音すらすべて聞き分けるほどに鋭敏なのか、
それこそコミックのように筋肉の動きを耳で聞き分けて予知することすら可能なレベルなのかは確認が必要だが。

(そして、三人ともゾンビには極力被害を出さないように努めていた、と)
ゾンビを嗾けておきながら、彼らが極力殺害を忌避するスタンスであったへの安堵も自覚している。
このあたりが伊庭に偽善者と呼ばれる所以なのだろう。
ともかく、ゾンビとの戦いを避けるなら、必然的に移動ルートが限られてくる。


三人が侵入したと思われるのは村のファストフード店の一つ。
当然だが、客の出入りする入り口とは別に、従業員の出入りする扉や搬入のための裏口がある。
だが、商店街の北側に、ターゲットの三人の姿はまだ見えない。
明らかに目立つ白い学ランからして、最低一人は村外の生徒と思われるため、この短時間のうちにファストフード店を出て身を隠すことはできないはずだ。
未だに表のゾンビは騒がしく、その存在をアピールしているため、表口からの脱出はおこなっていないだろう。
小休止のために、予想通り店内に留まっているようだ。
怪我人とゾンビ相手の大立ち回りの後と考えれば、不自然な判断ではない。が……

(確かな救助を期待できない、いつゾンビが扉を破って侵入してくるとも分からない状況で、いつまで篭城を選ぶでしょうか。
 面倒なのは、私自身の存在がすでに露呈し、警戒されている場合ですが……)


シミュレート。
最も理想とする展開は、偵察か物資調達のために一人だけが裏口から外に出てくるパターン。
一対一で対峙することができる理想の展開だ。
逆に三人同時に外に出てきた場合、全員をその場で仕留めるのは厳しい。
主力の少年、初見殺しの少女、偵察役の女性、誰を優先するかは判断に迷うところだ。
このまま篭城を選ばれる可能性もある。
人間相手の篭城とは違い、表のゾンビたちはいずれ立ち去る。
大人しく建物内に避難しておくパターンも考えられなくはない。
この場合、天のほうから攻め入るしかないが、守りは堅固だろう。
ただし、銃創を負った人間がいる中で、いつまで篭城できるかは判断が分かれるところであるが。
どの選択肢を取るだろうか。

裏口の扉、カーテンの閉められた窓。
向かいの建築会社の敷地内の物陰に身をひそめ、天は息を殺して待機する。
(まずは根競べになりますかね)
犯人の外出を見張る刑事のように、天は屋内に潜んだターゲットを待ち続ける。


創たちは八人掛けの長いソファを占拠して、調理場に残っていた骨なしフライドチキンとコーヒーによる軽食を摂っていた。
しっかりとラップでくるまれていたのは、大地震後に炊き出し目的で確保されたものだからであろう。
スヴィアの十分な治療には至らないが、せめて血は必要だ。
創の右手で気絶させられ、従業員専用フロアに押し込められたモックの店長に、雪菜はひそかに感謝の念を抱く。

「ああ、確かに……、一時的だが、聴力が元に戻った。
 記憶の齟齬ももうないな。珠くんの突発的な言動……、合点がいったよ」
「僕の異能は、『ウイルスの効果を除去する』もので間違いなさそうだ。
 だから、ゾンビを気絶させることもできる、と」
「けれど、ウイルス……は、死滅するわけじゃない。根本的な、解決からは、まだ遠い……ね」
「それで女王を鎮静化させることはできないんですか?」
「済まない、その確証は、まったく持てない……」
「どの道、女王を判別できなければ意味がないということだろう。
 それで、緊急の課題だが、ゾンビたちを嗾けた第三者がいる可能性がある、と」
「可能性だが、ね。音が混じり合って、ね……。追うことはできなかった。申し訳ない」
今も外でゾンビたちが乱痴気騒ぎを起こしている。
ダダダダダダ! とシャッターを叩き、ガツンガツンと扉に攻撃をしかける。
さながら異音の見本市のなか、人一人の足音や声を聞き分けるのは至難の業だろう。

「……先生、謝ってばかり。悪いことなんて何もしていないのに」
「そう……だね。気を付けよう」
極限状態で一晩過ごし、肉体を負傷して、銃声による過負荷まで受けて、どうして最良のパフォーマンスを発揮できるはずがあろうか。
スヴィアは研究員にすぎず、エージェントでも特殊部隊でもないのだから。
睡眠とはいかずとも、ソファに身体を深く沈め、彼女は身体を休めている。


「仮に誰かが裏で糸を引いていたとして、目的はなんなんでしょうか」
「異能の偵察か、陽動、あるいは分断目的といったところだろうな。
 最悪、裏口から出た途端に銃弾かナイフが飛んでくる可能性もあるぞ」
「外の……様子は……ダメだ。表のゾンビが……立てる音に、覆い隠されてしまう」
表にはゾンビの群れ、裏には暗殺者が待ち受ける可能性。
面倒な状況だ。

表の方は扉二つの余裕があり、それぞれ金属棚で扉をつっかえさせている。
しばらくはもつだろうが、破られる可能性もある。

もし敵やゾンビがいなければ、見張りの一人を残して、もう一人が物資を調達してくる手があった。
今はスヴィアの容態がいつ悪化するかも分からない状態で、篭城を強いられた形だ。
疑似的なタイムリミット。
ゾンビの襲撃が意図的としても、どこまで意図されたものなのか。
今の状況まで見越していたとすれば、非常に狡猾な相手と言えよう。

篭城、偵察、全員で脱出。
パッと思いつく限りでも、選択肢はある。
見えざる敵はそこにいるのか、いたとして敵の狙いはどこにある?


(考えろ、もう失敗は許されないぞ……)
(これ以上の失態をおかすわけにはいかない……)
失敗し続けた者同士、壁を隔てた内と外。
ゾンビたちの喧騒が収まらない中、静かに戦いは始まっていた。


【E-5/商店街・モクドナルド店内/一日目・朝】
スヴィア・リーデンベルグ
[状態]:右肩に銃痕による貫通傷(止血済み)、耳鳴り、軽い眩暈
[道具]:???
[方針]
基本.もしこれがあの研究所絡みだったら、元々所属してた責任もあって何とか止めたい。
1.先生は、生徒を信じて、導いて、寄り添う者だ。だからボクは……
2.ボクってば、情けないな……
3.上月くん達のことが心配なのに、このザマだと、探すことすらままならない……

天原 創
[状態]:異能理解済、疲労(小)、
[道具]:???、デザートイーグル.41マグナム(7/8)
[方針]
基本.パンデミックと、山折村の厄災を止める
1.もうこれ以上の無様は晒せない……
2.女王感染者を殺せばバイオハザードは終わる、だが……?
3.スヴィア先生、あなたは、どうして……
※上月みかげは記憶操作の類の異能を持っているという考察を得ています

哀野 雪菜
[状態]:後悔と決意、右腕に噛み跡(異能で強引に止血)、全身にガラス片による傷(異能で強引に止血)、スカート破損
[道具]:ガラス片
[方針]
基本.女王感染者を探す、そして止める。これ以上、後悔しないためにも。
1.スヴィア先生は絶対に死なせない。
2.止めなきゃ。絶対に。
3.あの声、叶和なのかな……?
4.叶和は、私のこと恨んでるの? それとも……?
5.この人(スヴィア)、すごく不器用なのかも。
[備考]
※通常は異能によって自身が悪影響を受けることはありませんが、異能の出力をセーブしながら意識的に“熱傷”を傷口に与えることで強引に止血をしています。
無論荒療治であるため、繰り返すことで今後身体に悪影響を与える危険性があります。
※雪菜が聞いた『叶和の声のようなもの』に関して、思い込みによる幻聴か、もしくは別の要因のものであるかどうかは、後述の書き手におまかせします。

【E-5/建築会社敷地内/一日目・朝】
【乃木平天】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(中)、精神疲労(小)
[道具]:拳銃(H&K SFP9)、サバイバルナイフ、医療テープ、ポケットピストル(種類不明)、着火機具(※)
[方針]
基本.仕事自体は真面目に。ただ必要ないゾンビの始末はできる範囲で避ける。
1.屋内にいる三人を仕留める
2.能力をちゃんと理解しなければ。
3.黒木さんに出会えば色々伝える。
4.小田巻さんもいるんですね。ですが必要なら撃ちます。
5.あのワニ生きてる? ワニ以外にも珍獣とかいませんよね? この村。
6.某洋子さん、忘れないでおきます。

※ゾンビが強い音に反応することを察してます。
※診療所や各商店から医療テープ・爆竹花火・着火機具以外にも何か持ち出したかもしれません。
※成田三樹康と情報の交換をおこなっています。
※ポケットピストルの種類は後続の書き手にお任せします
※ハヤブサⅢの異能を視覚強化とほぼ断定してます。

080.風雲急を告げる 投下順で読む 082.Zombie Corps
時系列順で読む 084.愛しの■■へ
此処でなく、現在でなく 天原 創 それぞれの成果
スヴィア・リーデンベルグ
哀野 雪菜
旭日昇天前 乃木平 天

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最終更新:2023年07月01日 18:31