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パートI 10 国民の国防意識の高揚

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10 国民の国防意識の高揚


 近年我が国の歴史教科書が極めて自虐的に書かれていることが産経新聞等によって明らかにされ、扶桑社の新しい歴史教科書が作られることになった。多くの日本国民はこのことを歓迎し、本教科書は市販本として数十万部の売れ行きを示し暫時ベストセラーの一角を占めた。私はこの教科書が売れて本当によかったと思っている。残念ながら学校の教科書採択においてはあまり採用されなかったが、市販本としてかなりの数が売れたことにより今後とも学校における歴史教育を正す運動は継続されることになろう。

 問題は自衛隊が歴史教育を正す運動をどう考えるかである。もちろん自衛隊には本件に関する法律上の責任は全くない。しかしながら今後とも学校教育において日本の国の悪いところばかりを強調するような歴史教育が継続されることは、国家安全保障上重大な問題があるのではないか。学校を卒業した一般国民は、そんな悪い国なら守るに値しないと考えて当然である。しかしながら事実はどうか。第2次大戦前の我が国の中国、韓国や東南アジア諸国に対する対応は欧米列強の対応に比較すればよほど穏健である。道路や鉄道などインフラを残し、回収が投資を下回るような植民地政策を実施したのは列強の中では我が国だけである。一番悪くない日本が一番悪く言われている。政治家がもっと頑張ればいいのにとか、文部科学省は一体何をしているのかとかいう意見もあろうが、自衛隊にも国の機関として国民が正しい歴史観を持つためにやれることがあるのではないかと思う。国民が国の伝統を尊重し、国を愛する心を持つことは国家安全保障の基盤であり、その具体的戦略についても今後検討が必要である。

 自衛隊はこれまで政治的活動に関与せずということを強く指導されてきたために部外において意思を表明する活動については極めて慎重な対応をしてきた。自衛隊の外で行われることには無関心を装ってきた。しかし気がついたら反日活動がこれほどにも進展している。これを認識すれば、今後はこれに負けない親日活動をするぐらいの心構えが必要である。それは国の安全保障上必要であり、現行法の枠内でもできることはたくさんあるのではないか。我が国は民主主義国家であり自衛官にも言論の自由は保障されている。従来のような慎重な対応に終始することなく、国の安全保障を担当する専門的見地から積極的に意見を述べるよう心がけるべきである。そして自衛官はそのための勉強を平生から継続しなければならない。

 さて先にも触れたが自衛隊は、部内者に対する教育機関としては極めて優れている。学校でどれほど言うことを聞かなかった者でも入隊して3ヶ月もすれば立派な社会人になる。私たちはこれまで余計なことをして社会的に糾弾されるよりは、自衛隊の中だけでしっかり頑張っておけばよいと考えてきた。しかしマスメディアの発達により、いかなる組織においても広報の重要性が叫ばれるようになり、国民の自衛隊に対する関心も高まりつつある現在、自衛隊ももっと国民に対する広報、国民の国防意識の高揚について配慮すべきではないかと考えている。私は現在統幕学校長であるが、例えば統幕学校の研究部門を充実させて、自衛隊の発信基地として活用するのだ。ホームページを毎週書き換える、定期刊行物を発刊する、マスコミが取り上げるような国際的セミナーを開催する、雑誌や新聞に投稿する、テレビやラジオで直接国民に訴えるというようなことを組織的に実施するのだ。更に部隊等において基地司令等が基地周辺住民等に対しあらゆる手だてを尽くして広報乃至は国防意識の高揚のための活動を行うのだ。今現在は反日的グループの活動が我々の活動を上回っている。彼らの努力が我々の努力を上回っていたから教科書はどんどん自虐的になり、中国や韓国から事あるたびに謝罪を要求され、国のために尊い命を捧げた英霊をまつる靖国神社への総理の参拝さえままならないのではないか。

 国の安全保障を全うするために国民の国防意識を高揚するのも自衛隊の任務だと考えた方がいい。平時における部隊指揮官等の主要な任務は精強な部隊を造ることであるが、今後は国民の国防意識の高揚にも努力すべきである。その心構えを持てば各部隊指揮官等の動きも従来とは少し変わってくるだろう。部隊指揮官等はもっと外に出てどんどん多くの人に語りかける必要がある。6空団司令をしているときにある新聞社の論説委員をしていたO氏と話をすることがあった。話が国民の国防意識に及び、私が「政治家が国防の必要性についてもっと国民に訴えるべきですね」というとO氏は「団司令、それは自衛隊がやるべきだ。自衛隊は国民の国防意識の高揚にももっと意を用いるべきだ」という趣旨の意見を述べた。私は従来から多少そういう感じは持っていたが、この時以来確信を持ってそう思っている。米ソの冷戦は終わった。しかし我々は今、日本国内において反日的グループとの冷戦を戦っている。この冷戦に勝たなければ、日本の将来はないと思っている。

  • (引用者注)太字は引用者による


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