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イルカ漁映画 上映の妨害は許されぬ

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pipopipo555jp

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イルカ漁映画 上映の妨害は許されぬ

7月1日(木)

 米ドキュメンタリー映画「ザ・コーヴ」の劇場公開が、3日から東京、大阪など6都府県で始まる。日本のイルカ漁が題材である。

 この映画をめぐっては、上映中止を求める抗議や妨害活動が起きている。この影響で上映を取りやめる映画館が相次ぎ、一時は公開が危ぶまれた。

 言論、表現の自由にかかわる問題として受けとめ、注意深く展開を見守りたい。

 「ザ・コーヴ」は和歌山県太地町に伝わるイルカ漁を撮影した作品だ。米アカデミー賞をはじめ国際的に高い評価を得ている。

 映画はイルカ漁を批判する立場からつくられている。漁の現場は隠し撮りだ。抗議活動の背景には、こうした視点や手法に対する反発があるとみられる。

 まだ封切り前である。実際にこの映画を見た人はほとんどいない。批判するにせよ、共感するにせよ、まずは見てからでなくては判断がつかない。

 自分の考えと異なる意見にも耳を傾け、その発言の機会を保障する。多様な価値観を認め合う。それが民主主義社会の原則だ。

 脅しをちらつかせて言論を封じ、表現の場を奪う行為を許してはならない。このことをあらためて確認したい。

 街頭宣伝行為にさらされながら上映に踏み切る映画館がある。この決断を市民が応援し、上映館を孤立させないことが大事だ。日本ペンクラブなどの団体や個人が、上映支持の声を上げている。こうした声を広げたい。

 横浜地裁が上映館に抗議活動をした団体に街宣を禁じる仮処分を出した。業務妨害などが起きないよう司法は目を光らせてほしい。

 靖国神社を扱ったドキュメンタリー映画をめぐる2年前の騒動を覚えている人も多いだろう。右翼団体の抗議などでいったん上映中止に追い込まれたものの、映画館が次々に名乗りを上げ、最終的には全国で上映された。県内も各地で上映会が開かれている。

 「ザ・コーヴ」も広く上映され、賛否を含めて活発な論議が起きるといい。イルカ漁や捕鯨は日本の伝統文化-と言われても、実際には見たことのない人が圧倒的に多い。まして信州は海がない。この映画は、現代のイルカ漁を知る手がかりになるだろう。

 イルカ漁と捕鯨について、世界の考え方はさまざまだ。映画はどんな問題を提起しているのか。日本の捕鯨や食文化は海外からどう見られているか-。そうしたことを考える機会にもなる。



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