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時事通信12・27一連記事

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●訂正申請、教科書会社の判断=渡海文科相


 沖縄戦の集団自決をめぐる教科書検定問題で、教科書会社からの訂正申請の承認を決めた渡海紀三朗文部科学相は26日、記者会見し「申請はあくまで教科書会社が出されたということ」と述べ、実質的に文科省が申請を誘導したとの見方を否定した。

 渡海文科相は「誘導したとの指摘を受けるが、こちらから出してほしいとか出すべきだということは一切申し上げていない」と強調。制度上、訂正勧告はできるが、「それをやらないというのが検定を守る責任」と説明した。

 文科相は、検定をめぐる沖縄県側の反発には「沖縄の方々にとっては、これは違う、歴史がゆがめられたという思いがあったと思う」と述べたが、反省点は「今後の問題としたい」とするにとどめた。

 今後の検定の在り方については「透明感を上げることなどを審議会で検討していただき、よりよいものにしたい」とした。(了)


●不合格では売れない=教科書会社苦しい選択


 沖縄戦をめぐる教科書検定問題で、訂正申請の過程で表現が後退した背景には、申請側の教科書会社と合否の決定権を持つ文部科学省との力関係がある。大手出版社の担当者は「検定を通らないと売ることができない。表現でもめると苦しい選択を迫られる」と打ち明ける。

 承認された記述について、東京書籍の編集責任者は「ある程度、趣旨は通せた」と評価。一方、「沖縄の県民感情の理解不足を含め、今回の対応には問題意識が足りなかった。異例な手続きだったが、反省点をきちんと総括したい」と振り返った。

 清水書院の担当者は「どうすればいいか最初から言ってくれという感じだ」と文科省の方針転換を批判。「現行制度の下では記述の後退もやむを得ない」と話した。

 検定自体は通っており、教科書の販売は可能だ。しかし、ある関係者は「文科省は申請を取り下げてほしくなかったようだ」と話し、再提出までさせて承認したのは、同省が訂正申請で修正するという形式にこだわったためと指摘する。

 一方、実教出版の教科書執筆者の1人である歴史教育者協議会委員長の石山久男氏(71)は「非常に不満。執筆者や沖縄県民の意思が無視された」と悔しさをあらわにする。「訂正申請の主眼は強制の表現の復活だった。『強制的』など日本語としてもおかしな表現になり、やらない方がましともいえる」と憤った。

 三省堂の執筆者は「納得できる結果とはいえないが、現状ではこうならざるを得なかった」と語った。(了)


●教科書訂正承認に安堵と不満=沖縄議長ら


 「一定の評価ができ、80点」「『強制』がなくなったのは不満」。沖縄戦集団自決の教科書記述をめぐる訂正申請承認を受け、超党派の沖縄県議や市民団体でつくる県民大会実行委員会が26日、東京都内で記者会見したが、メンバーの間には安堵(あんど)と不満の言葉が交錯した。

 実行委は9月、沖縄で県民大会を開き、検定意見の撤回と記述の復活を求めており、前日から上京していた。

 仲里利信県議会議長(70)=自民=は、軍の関与を明記した集団自決の記述が復活したととらえ、「検定意見は自動的に消滅したと考えている」とほっとした様子。「集団自決の背景も付け加えられており、80点」と評価した。

 一方、平良長政県議(64)=社民=は「日本軍による強制が弱められた」とややぶぜんとした表情。県民大会の開催に奔走した市民団体代表の玉寄哲永さん(73)も「大臣には(検定意見が)誤りだったと言ってほしかった」と述べ、文部科学相の談話に不満を示した。

 実行委は28日、沖縄県で正式な態度表明をする。会見出席者の1人は「満足しているわけではないが、超党派で行動してきただけにここでバラバラになってはいけない」と複雑な胸中をのぞかせた。(了)


●集団自決、文科省の結論に一定の評価=沖縄


 文部科学省は沖縄戦の集団自決に日本軍の関与を認めるが、「強制」といった表現で単純化するのは望ましくないとした。「軍がいなければ起きなかった」。沖縄県で教育に携わる体験者らからは、一定の評価と懸念の声が聞かれた。

 米軍が最初に上陸した慶良間諸島の渡嘉敷島で、渡嘉敷村教委の委員長を務める吉川嘉勝さん(69)は62年余り前、集団自決の場を経験した。

 今回の結論について、自決の背景の記述が増えたことを評価したが、強制を否定した検定意見は撤回されず、「総合的には満足できるものではない。(歴史認識をめぐり)今後も同様の問題が起こるかもしれない」と懸念を隠さなかった。

 自決の際、住民らは島の雑木林に集められたという。吉川さんら家族8人と親族は、兄らが投げた手りゅう弾で自決を試みたが、爆発しなかった。手りゅう弾は軍が渡したと聞かされた。「生きられるときは生きよう」との母の言葉で逃げ出した。周囲から爆発音とうめき声が聞こえ、「まさに地獄だった」という。

 宜野湾市に住む県立高英語教諭の宮城千恵さん(49)は、祖父母を同島の集団自決で亡くした。「生存者は体験を伝えてくれる宝。必死の声に耳を傾けて」と訴えた。

 渡嘉敷島の慰霊塔に刻まれた祖父母の名を見て、集団自決のことを意識するようになった。沖縄戦体験者の高齢化に危機感を募らせるが、自らの母親を含め、語りたがらない人も多いという。教科書検定の在り方にも疑問を感じた宮城さんは今年11月、集団自決を伝える日本語と英語を併記した絵本を出版。「悲惨な状況に追い込まれた事実を、未来をつくる生徒たちにしっかり伝え続けたい」と話した。(了)


●「恣意的」―執筆者が批判=文科省は公正強調


 教科用図書検定調査審議会の議論は、文部科学省の教科書調査官が作成する意見書がたたき台となる。今年3月に公表された集団自決をめぐる検定意見は意見書がそのまま検定審の結論となり、沖縄県側から「実質審議がない」と反発が起きた。訂正申請の過程でも、調査官が検定審の結論前に「日本軍の強制」の明記を避けるよう教科書会社に表現の調整を要請しており、検定実務への強い影響力がうかがえる。

 調査官は、教科ごとに複数置かれた同省の常勤職員。大学准教授クラスで著書や論文もある専門家だ。検定審に先立ち申請図書の内容をチェックし、検定意見は調査官が作成する「調査意見書」を基に決まる。

 検定審日本史小委員会委員の波多野澄雄筑波大副学長は「意見書と違う結論になることはほぼない」と明かす。「調査官は文献などを実によく調べており、専門外の委員は反論できない」。ただ集団自決については、「近年の学説状況に沿った評価で違和感はなかった」と話した。

 同委員で九州大大学院の有馬学教授は「検定審は受動的存在。ここまで削らなくてもと思っても、内容が正しければOKを出す」と語る。

 文部科学省は「中立公正な調査や事務作業軽減のため」とし、制度の必要性を強調。調査官が思想信条を検定に持ち込むことはないとしている。

 しかし、ある教科書執筆者の高校教諭は「軍が住民を戦闘に動員するなどさまざまな意味を込めた『強制』を『軍の命令』と恣意(しい)的に読み替え、修正させた」と憤った。

 別の出版社の編集者は「合格後の記述を調査官の要請で差し替えたことがある」と話す。約20年前、公民の教科書に商社のリベートを批判的に書いたコラムを掲載した。検定合格後、調査官から業界団体からのクレームを理由に差し替えを要請された。訂正申請をして売上高の推移を示すグラフに変更したという。(了)


●表現譲歩で両立図る=教科書検定


 沖縄戦の記述をめぐる教科書検定問題は、文部科学省が「住民が日本軍によって集団自決に追い込まれた」とする表現を承認し決着した。住民側の視点を強調する形で軍関与を一定程度強め、沖縄県側への譲歩を示す一方、検定意見の根拠である「命令を含む強制は認めない」とする当初の立場を両立させた格好だ。

 強制の記述復活はならなかったが、教科用図書検定調査審議会が約15時間の議論を尽くし、審査経過を公表してある程度の説明責任を果たしたことはこれまでなかった対応といえる。

 浮かび上がったのは審査経過の透明化の問題。自由な議論と静かな環境を保つためとはいえ、議事録もなく開催日時や場所を事後も非公表とするやり方は早急に改善が迫られる大きな課題だ。

 複数の検定審委員が指摘するように、明らかな年号の誤りなども小委員会がいちいちチェックする現行方式では、集団自決のような歴史認識の重大な論点について十分な時間がかけられない。透明化と共に審査方法の見直しも急がれる。

 今回の検定問題は、訂正申請で初めて検定審が開かれたほか、執筆者が「密室性に一石を投じる」として内容を事前に公表するなど異例ずくめの経過をたどった。得られた教訓を、将来に生かす姿勢が関係者に求められる。(了)

●集団自決で教科書6社の訂正申請承認=文科省


 太平洋戦争末期の沖縄戦をめぐる高校日本史の教科書検定問題で、文部科学省は26日、住民が日本軍によって集団自決に「追い込まれた」などとする表現で、教科書会社6社8点の訂正申請をすべて承認した。3月に公表した検定意見を踏まえ、軍による「強制」や「強要」などの表現は認めなかったが、軍の関与が自決の主な要因とした。

 教科用図書検定調査審議会(杉山武彦会長)の意見を基に決定し、各社に通知した。沖縄県側が求めていた検定意見の撤回と「強制」記述の復活は、いずれも実現しなかった。

 渡海紀三朗文部科学相は「歴史の教訓を風化させないよう願う沖縄県民の気持ちを重く受け止め、沖縄戦に関する学習が一層充実するよう努めたい」との談話を発表した。

 「追い込まれた」は、検定意見で削除されたり、日本軍という主語が不明確になったりした表現。各社は訂正申請で、本文や側注で軍による手りゅう弾配布や、捕虜になることを禁じる教育があったとする背景説明を加えた。

 訂正申請を受け検定審が開かれたのは初めて。日本史小委員会が11月以降、計7回の会合で沖縄戦や軍事史の専門家9人から文書で出された意見などを基に審査を重ねた。

 この過程で、集団自決の背景として「複合的な要因」の記述が必要と判断。直接的な軍の命令は確認できないとして、強制などの単純な記述は生徒の理解が不十分になるとする見解を、教科書調査官を通じて教科書会社に伝えた。

 この結果、実教出版が申請段階の「殺しあいを強制した」を「強制的な状況のもとで、殺しあいに追い込まれた」に、三省堂が「自決を強要された」を「軍の関与によって自決に追いこまれた」などに変更して訂正を出し直し、再審査で承認された。

 側注で最近の見方として取り上げた「強制集団死」の記述も承認。年表などで検定問題自体を取り上げたり、検定意見撤回を求めた沖縄県民大会の開催を盛り込んだりした記載も認めた。

 検定では、日本軍による強制で住民が集団自決したとする記述すべてに「実態について誤解するおそれのある表現」との意見が付き、教科書会社が「日本軍により」という部分を削るなど修正した。

 沖縄県で反発が広がり、文科省は9月の県民大会を機に記述の修正を容認。各社が11月、訂正申請していた。(了)


●教科書検定審見解の要旨


1、沖縄では、住民を巻き込んで軍官民一体で地上戦が行われた。
1、集団自決は、住民が戦闘に巻き込まれる異常な状況で起き、背景には当時の教育・訓練や感情の植え付けなど複雑なものがある。
1、手りゅう弾の配布や壕(ごう)からの追い出しなど、軍の関与は集団自決が起こった状況をつくり出した主な要因ととらえられる。
1、住民に対する直接的な軍の命令で行われた根拠は確認できないが、住民側から見れば自決せざるを得ない状況に追い込まれたとも考えられる。
1、背景・要因について過度に単純化した表現で教科書に記述することは、集団自決について生徒の理解が十分とならない恐れがある。
1、沖縄の戦時体制や戦争末期の極限状況の中で、複合的な背景・要因によって住民が集団自決に追い込まれたととらえる視点が生徒の理解を深めることに資すると考える。(了)