「退屈だー退屈だー」
棒読みでそう言いながらウダウダしている決闘者__デュエリストの「まみ」
「退屈ならわたしのように修業でもしたらどうですか?」
ヌンチャクの手入れをしながら提案したのは中国三千年、究極のカンフー「王ドラ」

ここはまみの家のリビング。今まみの家にいるのはこの二人だけ。
キッドは開拓星「ウエスタン」に、ドラリーニョはサッカーの試合、エル・マタドーラは肉料理店「カルミン」のバイト&シエスタと…皆さま活躍地へでかけている。今は夏季。学校がないなら勉強とか修業しなさいと王ドラの言葉の攻撃を物ともしないまみはせんべいをバリバリ食べている。生活習慣病かお前は。

「悪かったねどーせ俺は運動不足だよ」
「(地の文に文句言ってもしょうがないでしょう…)」
「ひまだひまだアイムフリー!」

ピンポーン!

「「?」」
まみのじたばたはチャイムによって止められた。
「このチャイムが暇と言う天敵を倒すのだろうかー」
「……ハァ」
ため息をこぼす王ドラに目もくれず、まみはリビングを出て玄関へ向かう。
「宅配便?お尋ねもん?誰だか分からんけどどちら様ですかー」

ガチャッ

食べかけのせんべいを片手にもち、もう片方の手でドアを開けた。

「よぉ!」
「…こんにちは」
明るく手を出す少年と礼儀正しくぺこりとお辞儀をする少女だった。随分と重たそうな荷物を抱えている。
「……どちら…さま?」
「俺達を覚えてないのか?;」
「……(・・`」
キョトンとした顔を浮かべるまみ。
「俺だよ俺!アルゴ!」
「私…ノベム」
…………………………………………………………

「えぇーーーあなたたちぃ!?だって業火さんのとこにいたんじゃないんですかぁ!?」
「業火様に夏季休業を与えられたんだ」

回想__
「アルゴ、ノベム」
「「はい」」
閻魔亭__二匹は幻想郷の閻魔様「閻魔業火」に呼び出される。
「何か御用ですか?」
「今は夏季だ。よってお前たちに夏季休業を与える」
「ありがとうございます…!」
「現世に行ってもよいとする。あまり迷惑をかけるなよ?」
「「はい!」」

__

「…てわけでまみのとこに泊まろうと思ってたわけ」
「……はい?」
まみにはアルゴの言葉が理解できず思わず疑問形になる。
「…私とアルゴ…ここにお泊まりするの」



「……え?」
これにどう答えればいいか、まみは分からなかった。
人を泊めたことがなかったし、彼女が帰ってきたら何を言われるのか分からない。だからといって断るのもせっかく人(?)が来たのに追い返しているようなもの。せっかく現世に来てくれたのに追い返したら思い出を壊してしまうー…。
こんな不安がまみの頭をグルグル転回する。

「…大丈夫か?」
アルゴの心配そうな声に我に返る。
「え、えぇ…こんなゴミ屋敷でいいのなら」
自分が育った家にそんなことを言うのか。
「俺達はまみのところに泊まるために現世に来たからな」
「…よろしく」

「あの、立ち話の最中に失礼します」
リビングから王ドラが顔をのぞかせる。
「…猫?」
印象を呟くノベム。
「わたしはここ、まみさんのお宅に居候している王ドラと申します。まみさんとはお知り合いですか?」
「まあな」
「こちらがアルゴさん。そしてノベムさん」
「王ドラだったな。よろしく!あと…」
アルゴとノベムが本来のゲル状の姿になる。
「うわああ!ひ、人が……!?」
思わず尻もちをついてしまう王ドラ。
「俺達は擬態生物兵器だから、なんにでも変身できるんだ」
「これ…本来の姿」
二人…いや、二匹はそう簡潔に説明し、また人間の姿になる。
「そうですか;あらためて、王ドラです。よろしくお願いします」
「よろしくな!」
「…よろしく」

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最終更新:2012年11月27日 22:17