リビング__
まみは人を泊めたことはなかったのでホテルの女将のように部屋を案内すべきかと思い、オリジナルの擬態をした二匹を奥のリビングに案内した。
テーブルやソファーやらごちゃごちゃしてあるため狭く見える。
四人はイスに座った。
「狭くて、ごめんね…何の用意もしてなかったし…」
「いや、連絡なしに来た俺達もいけなかったよ;」
「…うん」
謝るまみと申し訳なさそうな彼女に対してこちらも謝る二人。…でも現世と幻想郷である。どう連絡をとればいいと。
「アルゴさん、ノベムさん。お夕飯はどうしますか?わたしが出しますよ」
「王ドラって料理できるのか?」
「『できる』ではなく『出す』です」
アルゴの疑問に王ドラは言葉を訂正する。
「…私…作る」
ノベムはそういって立ち上がる。
「いいですよ!お客さんを苦にさせるわけにもいきませんから」
「でも…こっち図々しいの…悪いから。せっかく泊めてくれたし……」
「まだ初日です。今日はわたしが出しますから、ゆっくりしてください」
「…うん」
王ドラの制止にノベムは従い、席に座った。
「さてと…」
服の袖の中からテーブルかけをとりだす。
「なんだそれ?」
「食べたいものを言って下さい」
アルゴの質問にまた返答せず王ドラは食べたいものを言えとそれだけ言った。
「…俺はー、…かつ丼にする」
「…カレーライス」
「寿司」
すると…
ジジジジジ…ポコッ
何かを焼くような音がしたかと思うと、三人の食べたいものがでてきた。
「どうなってるんだ……!?」
「すごい…!」
「『グルメテーブルかけ』です。食べたいものを言えば何でも出てきますよ。ちょっと早いですが、お夕飯にしましょう」
時計を見ると、いつの間にたったのだろう。短針が6をさしそうだった。
「よっしゃ、いただきまーす」
「「いただきます」」
三人は手を合わせ、それぞれが頼んだ食べ物を食べ始める。
「美味い!」
「おいしい…」
「……」
二人はおいしそうに食べるが、まみは心なしが考え込んでるような表情をしている。
「まみさん…?どうしたの…?」
「うーん……」
まみは額に指を突いて大げさに考え込む。そして見開く。
「辛さがたりない!つかわさびついてない!」
まみは席を離れ、冷蔵庫からわさびを取り出す。そしてブチューっと大量につける。
「ゲッ…辛そう…」
「何やってんですかまみさん!;」
「王ドラあのね、醤油とわさびとガリがない寿司なんて寿司じゃないんすよ!」
「寿司のこだわりを熱心に説明をしなくていいですって!」
「これが私にとっては寿司なんですよ…あむッ…」
ぶつぶつ呟きながらたっぷりついてあるわさび月の寿司を口内にほうりこんだ。
その後、まみが悶絶して水をがぶ飲みしたのは言うまでもない。
最終更新:2014年11月08日 22:29