僕の知っている日常はいとも簡単に崩れ去った。
あの時、断っていれば。
あの時、興味を持たなければ。
あの時、手を差し出さなければ。
僕に、断る勇気があれば。
あるいは知らないままでいられたかもしれない。
知らなければいいことは確かに存在していた。
つまりは世界の裏側だろう。
表を歩いている人には決してわかるはずのない世界。
知ってしまったら戻れないのだ。
たぶん、知ってしまった人の過半数は、思っただろう。
「戻りたい」
と。
それが普通の人。
だけど僕は思う。
無知は罪だと。
きっと根っからの『こっち』の世界の人間なのだろう。
キミも知らなければよかったと思う時が来る。
僕とは違うから。
人類は平等なんてない。
思考、容姿、人種すべて違う。
キミと僕は思考が根本的に違う。
それは決定的であり、不可避の真実であることに疑いはない。
今のキミは偽物だ。
気づいていないから。
曖昧にでも気づくと、それで人は大人と呼ばれる。
目覚めるのは簡単だ。
そして、死ぬ時、人は完全に気づくだろう。
僕は大人ではいられない。
裏の人間だから。
死んではいない。
でも、ほぼ完全に理解した。
キミにはまだ教えない。
『こっち』とはどっちなのかも、何に気づくのかも、死んでないのに理解した理由も、その存在も、子供でも大人でもない人とは何なのかも、僕の思いさえも。
キミにはまだ教えることはできない。
キミにはまだ教えれない。
キミにはまだ教えない。
キミにはまだ。
キミには。
最終更新:2013年04月06日 23:02