一体何だってんだ!俺が何か悪い事でもしたのかよ!……そういえば仕事サボったりしたけど
「何で俺が斬られなきゃならねえんだよ!」
「しらばっくれるな。お前を……許すものか、渡すものか!」
本当に容赦ねえ。もう少し気付くのが遅れてたら腹をマトモに斬られてた所だ。
同僚とは思えねえ程殺気立ちやがって。
「許さねえって、俺がお前に何かしたか?」
「っ……!!」
_キィィン……!!
剣と剣をぶつけたとき、アイツの目は、怒りか何かで
紅に染まっていた
「俺の、大事な者を、弄んだだろう!!」
「お前……!!」
__キィィ、ドスッ!……
「ぐっ……!!」
気が付けば俺は、剣を弾き飛ばし、柄で相手の腹を突いていた。
手の震えが止まらない。アイツがあんなに怒り狂う所、初めて見た。
「……おい、しっかりしろ。オレをちゃんと見ろ」
「……? ケイン、か……?」
今更気付きやがって。
「人違いも大概にしやがれ。……お前、こんな所で何してたんだよ?最近妙な噂が流れてるっていうのに」
「……」
アイツは人の質問にも答えず、よろよろと起き上がって木のそばへと歩いていく。
そうして木の根元まで着くと、今度は座り込んでゴソゴソしてる……何なんだ一体。
「……噂、というのはコイツの事か?」
「それは……ガイコツじゃねえか、何でそんなものが?」
「……好きだった」
「……は?」
「ずっと……一緒に過ごしたい。そう思ってたが、仕事の事があって、言えなかった」
まるでガイコツに対して喋ってるみたいだな。
「好きで、好きで……でも、アイツはあの男が好きだった」
そうか、黒い奴に攫われて、魔導師は死んじまったのか。
「でも、俺がアイツを好きな事には変わりない……傍に居てくれるだけで良い、それだけで俺は……」
本当に、魔導師の事が好きだったんだな。骨になってまで愛するぐらいだし。
……でも、何で骨が手元にあるんだ?攫われたなら普通残らないだろ。
まぁ、噂の真相も分かった事だし、ジェイドが立ち直るかどうかは分からねえが、
一先ず一件落着じゃね?
「家まで送ってやるよ。風邪引くぞ」
「……ああ」
それにしても……マスター、何であんな事俺に聞いたんだろうな?
最終更新:2013年04月21日 17:07