「でるんだって。」
隼人の声に並んで自転車をこいでいた幽佳が震える。
「で、でるって・・・幽霊?」
「ああ、でるんだと。知らなかった?」
という隼人の声に震えがとまらない幽佳。
「ほら、お前の肩に白い手が・・・」
「きゃあっ!?」
いい終わる前に、震えが限界にたっしたのか悲鳴を上げる幽佳。
「まあまあ、あくまでも噂だし、だいじょーぶだって。」
「・・・もう・・・」
むっとした表情の幽佳に隼人は
「じゃあ、明日行くか?」
「・・・えっ?」
「幽霊を見に。」
「・・・・・・・へっ!?」
衝撃だろう。いきなり、幽霊を見に行こうなんていわれるのは。
「ど、どういうこと?」
とかえすと、隼人はきょとんとした顔で
「え、幽霊を見るんだって。」
と返した。
「いやいやいやいや、ええっ!?」
と驚く幽佳に
「ん。いやなのか?」
「まだ何も言ってないじゃん。」
すると
「よし、じゃあ決まりな。」
「・・・・・へっ!?」
と、あまりよくわからない話を交わし、幽佳は幽霊見物に付き合わされることになったのだ・・・
「この辺か?」と海地。
「そうじゃないすか?」と宏介。
「うう、怖いよぉ…」と幽佳。
「ま、幽霊がみれるならなぁ…」
「てか、なんで千葉?」という海地さん。
「ああ、この前フク電で幽霊を見たって言うらしいんですよ。」という宏介。
「わかったけど、今時フクダ電子アリーナを『フク電』なんて略す奴はいないよ~…」
「え、そうなんすか?」とこっちをみる宏介。
うんうん、と首を縦にふる幽佳。もちろん俺も。
「う~ん、やっぱりフク電はダメかぁ…」
という宏介。
「あ、見えてきたよ。」
「おっ、ついに!?」
「いや、QVCマリンフィールドだ。」
「あ」
「そ、そうなんですか…」
海地のひっかけに見事に引っかかりがっかりする幽佳。
「なに、みなみんって千葉住み?」
「みみ、みなみん!?」
という宏介の驚きを背に
「あ、違います…兄がジェフ千葉ファンで、一時期わたしもここら辺に働きに来てまして…」
「へぇ~…」
「あと、みなみんはやめてください…」
納得する海地、そして案の定みなみんというあだ名は中止されました←
「それより、見えてきたよ。フクダ電子アリーナだ…」と宏介がいう。
「ああ…」
と、その時!
「っ!?」
「ゆれっ…!」
「みんなっ、掴まってろよ…!」と海地さんが言ったときには…
「みんな、無事か…」
「へ、平気です…」
「俺も大丈夫…」
「はぁ…海地さん、もうちょいまともな運転してくださいよ←」
「いきなりコントロールが乱れるなんて、海地さんらしくないですよ…」
すると、海地は落ち着いた声でこう答えた。
「…いや、意識が何者かに乗っ取られた。手が命令とは違う方向に行った。それも、ここに近づいたから、だと思う。」
「意識が…」「乗っ取られた…?」二人は目を見開く。
「まあ、それも…ここではっきりするだろうな…」
と、海地は闇夜にたたずむフクダ電子アリーナを見上げた…
最終更新:2014年08月02日 11:24