全体のあらすじ
ある春の日、とある研究所からノイ・アポステルの少女が逃げ出してしまった。 
研究所内の警備隊員2000名は彼女が研究所から脱け出す時間5分以内に全員殺され、リヤンの秘書、諷木さんも無惨に殺される。
何とか特殊能力者の射撃で頭部を狙い、浅くも傷をつけることが出来たが、少女はそのまま海に落ち、逃げてしまった。
ノイ・アポステルとは、驚異的殺人衝動と絶対的な2つの能力を持った角の生えたヒト。
ノイ・アポステルの特有能力は自意識加乗という能力で大気、無機物、有機物、生物、霊物、あらゆるものに自分の意識を倍々ゲームのように乗せ、支配操作する能力である。
2つ目の能力は様々。 電力同化、加速増減等がある。

逃げてしまったノイア(略語)の少女『フィーア』は記憶をなくしてしまい、血分紳士により血分命(ちわけ みこと)という名をもらう。
やがて夏になりアシベの家で住むことになり、学校にも行くことに。アシベは命と何か面識があるようで複雑そうな調子でいた。
命を殺.すよう研究所に依頼され送られてきたリカルドは、記憶を一時的に取り戻した命により敢えなく敗退し利き腕と左脚を千切られ、研究所の病院に搬送される。同じノイアのツヴァイは四肢を持っていかれ敗退するも、最後にフィーアの能力を封じ、電力複雑応用操作で命の脳に『限定』をかけ記憶を逆戻りさせた。

前回のあらすじ
父に性的虐待を受け、母に要らないと虐げられ、帰る場所も打ち明けられる人もなく途方に暮れ彷徨っていた少女、長閑。
彼女の誕生日、アシベたちは警官に連れられそうになっていた長閑を「私たちの家族なんです」と言い保護。
アシベの家に連れられると、長閑を待っていたのは祝福と幸福な一時だった。
長閑は自分は迷惑になると泣きつつも、その家の住人は彼女を家に招き、一緒に住むことになったのだった…。



長閑「それじゃ、いってきますね」
制服に着替え学校へ行く長閑。
以前の彼女からは想像出来ない、柔らかで可愛らしい笑顔をした少女がそこにはいた。
アシベ「いってらっしゃい」

それを見送る赤髪の少女、アシベ。
アシベ「いやー、しかし…」
依深「うん 長閑ちゃん、よかったね 新しい学校へ行くようになってから明るくなった。」
ウィル(うま)「ぐかー…zzzz」
依深「…い、つ、ま、で!!」
いまだに寝ているウィルに近付き蹴り飛ばす依深。
依深「未練がましく寝てんのさ!」
ウィル「ぐおっ!?;;」
渾身の蹴りで起き上がるウィル。痛そうだ。
それでもまだげしげしと踏むのをやめない依深。
ウィル「わかったよ!!起きる…つか起きた!!いだだだだだだ;;;;」

ウィル)…長閑ちゃんと暮らしてからしばらく 嫌がる彼女をなんとか説得して、家の電話番号を聞き出した。
そして…彼女の母親と会い、住民票をこの家に移し、近くの中学校に新入生として入学することになった。

ウィル「けどさ、長閑ちゃんのお母さんも、よく簡単に転校を認めたよな 普通見ず知らずの他人に娘を預けたりしないだろ…もっともめると思ったんだけどな」
複雑そうな表情で呟くウィル。 内心、長閑の母親をよく思っていないようだ。
アシベ「そーだなあ 警察にも届けてなかったみたいだし…って…」
そこまで言い、アシベはウィルを呆れた風に見る。
アシベ「お前が詳しい事情は聞かないって決めたんだろうが」
ウィル「そりゃそうだけど…」
アシベ「生活費だって大変だぞー…。もっと節約しないとさ もしかしたらテントぐらしになるかも」
冗談めかしく言うアシベに、ウィルはつかさずこたえた。
ウィル「テントはさすがにねえよ。 はあ…俺もバイト探すかな…」
依深「……もう女の子増やさないでよ?」
ジト目で見やる依深の表情は少し嫉妬の念がはみ出ているようだった。
ウィル「別に俺が好きこのんで連れてきてるわけじゃないだろ!!つかお前も居候j」
アシベ「ほらほらほら、俺達も学校いくぞ 痴話喧嘩おしまい」
ウィルの言葉を上手く遮り、パンパンと手を叩くアシベに、ウィルはぐ…と言いたいことを抑え込んだ。
アシベ「早く準備しなっ…て…はあ」
ウィル「…zzz」
目を離したすきにまた寝ようとしているウィルに呆れるアシベ。
依深「もー!さっさと起きなさいよー!」
よく晴れた空の下、依深の声が鳴り響いた。


ウィル) そして俺達も、この春から高等部入りを果たした。

ウィルの通う学校は能(力)魔(力)武力育成学校。 通称SS
ここでは幼少期から大学期まで通うことが出来、能力魔力武力の成績ごとに称号がわけられている。
アシベ、ウィルは中学期後半から入ったにも関わらず、SSSレートの称号を持っていた。

ウィル「命も学校に慣れたか?」
命 記憶をなくし、言葉を使うことの出来ないか弱い少女。
命「うみゅ!」
相変わらずあどけない笑みを浮かべ、みゅーみゅー言っている。
ウィル「うみゅじゃなくて、「うん」だぞ もしくは「はい」」
命「はぁい!」

言葉の意味を理解出来ていないような満面の笑みをし、少女は返事をした。
ウィル「…////」
ウィル)…命もようやく言葉を覚えてきたような、きてないような。 でも命一人を家に置いておくことは出来ないからな…。仕方なく一緒に学校に連れてきていた。

ウィル「いいか?命 そのリボンは絶対に外すなよ。 角がバレたら何処かに連れて行かれて実験台にされちゃうぞ」
命「はぁい!」
命のまたの無邪気な笑みにドキッとするウィル。 それを見てムッとする依深。またまたそれを見てにやにやするアシベ。
ウィル「あ!そうだ依深」
依深「ん?なあに!?」
いきなり話を振られ顔を赤くしながら振り返る。
ウィル「依深って案外頭よくなかったり?」
依深「はあ!? いきなりなに言ってんのさ!」
突然のウィルの言葉にむきーっとする依深。
ウィル「いやだって…ここって一般の学科知識がそんなになくても、能力とかが少しあれば入れるとこだし…。それに依深、別に能力的にも平均以k…ブベラッ」
あまりにデリカシーのない言いようにアシベが顎に蹴りをいれる。
依深「…違う学校、優秀なところ受かってたよ……」
とても小さく聞こえずらい声でボソっと言う依深。
ウィル「え?」
聞き返すウィルに依深は少し目を潤ませながら叫んだ。
依深「はいはい!そーですよ!!どうせ私は馬鹿な能無しですよ!!!」
ウィル「ご、ごめん!冗談だよ!」

場面変わってとある研究室

リヤン「ツヴァイ…」
かつてとある少女に渡したネクタイを見つめ、リヤンはうつむいた。
ツヴァイ「パパ!!」
リヤンに気づくと、ツヴァイはとびきりの笑顔でリヤンに駆け寄る。
ツヴァイ「わーい!!パパだ!!!パパだ!! ネクタイ持ってきてくれたの!?」
そのまま駆け寄るが…
ツヴァイ「あっ!!!」
スポッ ズシャアアアン

なんと脚がふとももから外れ、少女は勢いあまってそのまま転んでしまった。
ツヴァイ「あいたたたた…」
リヤン「手足の具合はどうだ?」
ツヴァイ「うん…なんかいまいちだけど…そのうち慣れるかな?」
座り込み、不安そうな表情でリヤンを見上げる。
リヤン「わからない…「自意識加乗」の能力を使って義手義足を動かすのはツヴァイが初めてだ。
指を動かせるか?」
ツヴァイ「…」

ぐにゃり 普通なら曲がらない方向に曲がる指を見て、ツヴァイはため息をついた。
ツヴァイ「やっぱり難しいよ…」
しばらくの無言の後、ツヴァイは切り出した。

ツヴァイ「ねえパパ…私もう、パパに使ってもらえないの?」


リヤン「ああ。」
リヤンの言葉にツヴァイは大きく目を見開き、その瞳を潤ませた。
リヤン「今は駄目だ。」
続けた言葉に、ツヴァイは俯かせた顔を上げる。
リヤン「ただ、傷が治って身体がちゃんと動かせるようになったら、また仕事を手伝ってほしい。」
ツヴァイ「うん!! 私頑張る!!!」
思い切り抱きつき、顔を埋める少女。しかしリヤンの表情は固く、鋭いままだった。

場面変わって学校

依深「ねえウィル、アシベさん 部活とかなに入るか決めた?」
昼時。四人は昼食を済ませた後、ラウンジで暇をもてあそんでいた。
ウィル「んーーー…帰宅部かな」
アシベ「同じく」
パックのりんごジュースを飲みながら答えるウィル、アシベ。
依深「えー…;;二人して? 何か趣味とかないの?」
その言葉にウィルは一間置いてから答えた。
ウィル「……動物園めぐり」
依深「えっ?」
意外そうにウィルを見つめる依深。
ウィル「変わった動物を見るのが好きなんだ。」
依深「ふーん…」
アシベ「で、依深ちゃんはなんの部活に入るの?」
依深「…わ、たしは……ウィルとアシベさんが入らないんだったら入らない。」
ウィル「え」
このとき、依深はウィルとアシベが と言っていたが、それが表向きの理由であり、本当はウィルのみに対しての言葉だと気づいていた。
依深「それじゃ、私三限目スポーツだから命ちゃん頼むわよ」
アシベ「俺は能力強化だわ」
アシベは内心出る意味ねえと思いつつも、次の授業へと向かった。
ウィル「あ、ああ…」
依深「じゃ、また後でね」

その頃、いつの間にか席を離れていた命が映画研究同好会の部員が着ている着ぐるみをキラキラした目でみていた。

ウィル「さて、俺もそろそろ授業に行くか。 次はなんだっけ」
鞄をゴソゴソと確認するウィルは、ふと前を見た。
ウィル「あっ?! お、おい 命? どこにいったんだ? 命!!」
あたりを見回すがどこにもいない。

広場にて。
命「みゅ? みゅみゅ??」
完全に迷子になった命。 右も左も分からず、途方にくれていた。
うっちゃん「ねえねえ君 新入生?」
おなじみの不良、a.b.cが湧いて出てきた。
命「みゅ…?」
困ったような表情で不良を見る命。
たけっち「かわいいね〜 どう?うちの部活入らない? 夏はテニスで冬はスケボー。
楽しいよ〜 今日新入部員歓迎会があるんだけどさ 一緒に来てよ」
徐々に近づく不良。 命は涙目で怯えていた。
うっちゃん「これ大きなリボンだね〜」
さっと不良が命の角を隠すためのリボンを触ろうとした。
命「っ!!」
耐えかねてその場から逃げ出す命。
前を見ずに走ったので、ドンッと誰かにぶつかってしまった。
命「みゅ!!!」
反動でぐらつく命。

「………みゅ?」
ぶつかった男はそのいかつい顔を更に強張らせ、命の口癖を確認するかのように言った。
研究員「どうしました?リカルドさん」

リカルド「なんだ?おい…みゅだとコラ!?」
命「???」
そう、ぶつかった男は、かつて命の主人格フィーアによって目を潰され右手左足を千切られた特殊部隊のリカルドだった…。

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最終更新:2014年10月06日 20:23